• 更新日 : 2024年10月30日

オンボーディングとは?意味や目的および具体例を紹介!

新入社員が入社してから数週間は、その人の職務遂行と会社への適応において非常に重要な時期です。

この大切な期間を効果的に活用し、社員の定着と成果の最大化を図る手法として、オンボーディングが注目を浴びています。

本記事では、オンボーディングの意味や重要性、注目される背景、目的、実践方法などについて解説します。

オンボーディングとは?

オンボーディングは、新入社員や新任者が組織に参加する際に、円滑な職場適応とパフォーマンスの向上を支援するプロセスを指します。

オンボーディングは新しいメンバーを組織に取り込み、彼らが仕事に必要な知識やスキル、文化を習得し、迅速かつ効果的に業務に参加できるようにする手段といえるでしょう。

OJTとの違い

オンボーディングとOJT(On-the-Job Training)は、どちらも新入社員の能力開発と職場適応をサポートするための手段ですが、アプローチが異なります。

オンボーディングは、新入社員が組織に参加する段階から始まります。彼らには組織の価値観や文化、ビジョンなどの情報が提供され、チームや組織全体の理解を深める機会が与えられます。また、オンボーディングでは必要なトレーニングや資源の提供、役割の明確化、専門知識の習得など、総合的なサポートが行われます。

一方でOJTは、具体的な業務に関連したスキルや知識の習得を中心に据えたトレーニングです。OJTでは、上司や先輩社員が新入社員に対して業務を教え、指導します。実践的な経験を通じてスキルを身につけさせることが目的であり、個別の業務に特化したトレーニングを施します。

オンボーディングとOJTは補完的な役割を果たし、効果的な能力開発と職場適応を促進するために、組み合わせて活用されることがあります。

オンボーディングはなぜ重要?注目される背景

オンボーディングは、なぜ重要なのでしょうか。また、注目を浴びている背景についても見ていきましょう。

オンボーディングはなぜ重要か

オンボーディングは、組織にとって重要なプロセスです。理由は以下の3つです。

まず、オンボーディングは新入社員の早期離職を防ぐ効果があります。適切なオンボーディングプロセスを実施することで、新入社員に組織の文化や価値観を浸透させ、仕事に対する意欲と関与を高めることが可能です。これにより、新入社員は組織への継続的な貢献意欲を持つため、早期に退職するリスクが低下します。

また、オンボーディングは生産性向上にも寄与します。適切なトレーニングやサポートを提供することで、新入社員は業務に必要なスキルや知識を迅速に習得し、効率的に業務に取り組むことができます。オンボーディングプロセスは、新入社員がチームメンバーや上司との関係を構築するための機会も提供します。良好な人間関係の構築は、コミュニケーションや協力を円滑にし、チームの生産性を向上させます。

さらに、オンボーディングは組織文化の伝承にも貢献します。組織の文化や価値観を新入社員に明示することで、彼らは組織の理念や行動基準に基づいて業務を遂行することができます。組織の価値観への適合性が高まることで、組織全体の一体感や連帯感が醸成され、組織のパフォーマンスにプラスの影響を与えます。

注目される背景

近年オンボーディングが注目されている背景として、以下の3つが挙げられます。

まず、競争激化による優秀な人材の獲得とその定着の必要性が挙げられます。組織が優れた人材を確保し続けるためには、魅力的なオンボーディングプログラムを提供することが重要です。組織が新入社員に対して適切なサポートと成長機会を提供することで、彼らは組織にとって価値ある貢献者となる可能性が高まります。

多様性と包括性の重要性の認識が高まっていることも、背景の一つです。オンボーディングは異なる背景や経験を持つ人々が、組織に適応しやすくするための手段です。オンボーディングのプロセスは、多様な人材が組織に受け入れられ、良い職場文化が築かれることを促進します。

組織の効果的な人材管理と、継続的な育成の重要性が認識されていることも、近年オンボーディングが注目されている理由の一つです。オンボーディングは組織における人材管理の一環として位置づけられ、新入社員の成長と能力開発に寄与します。組織は長期的な視点で新入社員を育成し、将来のリーダー候補を育てるために、オンボーディングプロセスに力を入れる必要があるのです。

こうした背景から、オンボーディングは組織の成長、競争力、多様性、効率性を向上させる重要な要素として注目を浴びています。

オンボーディングを行う目的

オンボーディングを行う目的は、以下のとおりです。

新入社員の職場適応を支援

新入社員が組織に参加する際には、早期に組織の文化やビジョン、ミッション、価値観などを理解することが大切です。オンボーディングはこれらの情報を提供し、新入社員が組織の背景や目標を把握し、組織の一員として適切な行動を取ることをサポートします。

新入社員のパフォーマンス向上を促す

オンボーディングのプロセスでは、新入社員に必要なトレーニングや資源を提供し、業務に必要なスキルや知識を習得させます。また、役割・責任の明確化や業務フローの理解、組織内のネットワーク構築なども行われます。これにより、新入社員は早期に業務に参加し、生産性を向上させることができます。

新入社員のエンゲージメントと満足度の向上

新入社員が組織に溶け込み、職場での関係構築や文化への適合性を高めることは重要です。オンボーディングプロセスでは、新入社員と他のメンバーのコミュニケーションを促進し、サポート体制を提供することで、新入社員のエンゲージメントと満足度を高めます。満足度の高い職場は新入社員の定着率を向上させ、彼らが組織に貢献することにつながります。

オンボーディングを行うメリット

オンボーディングは、組織に多くのメリットをもたらします。重要性や目的と重なりますが、ここでは以下の3つのメリットを挙げます。

新入社員の早期離職を減らす効果

適切なオンボーディングのプロセスを実施することで、新入社員に組織の文化や価値観を浸透させ、仕事に対する意欲を高めることが可能です。これにより、新入社員は組織への継続的な貢献意欲を持つため、早期に退職するリスクが低下します。結果として、採用コストや訓練投資の浪費を削減できるだけでなく、組織の安定性と効率性も向上します。

新入社員の生産性を向上

適切なトレーニングやサポートを提供することで、新入社員は業務に必要なスキルや知識を効果的に習得し、効率的に業務に取り組むことができます。オンボーディングのプロセスは、新入社員の仕事の流れや業務の手順を理解させ、必要なリソースやツールを提供するため、生産性の向上につながります。

組織文化の伝承

オンボーディングのプロセスにおいて、組織の理念やビジョン、ミッション、価値観を新入社員に明確に伝えることで、彼らは組織の方針に沿って業務を遂行できます。組織文化への適合性が高まることで、組織全体の一体感や連帯感が醸成され、協力やコラボレーションが促進されます。その結果、組織の成果やイノベーション力が向上します。

以上のように、オンボーディングを実施することにより、新入社員の定着率・生産性の向上や組織文化の伝承が促進されます。これらのメリットは組織に長期的な成果をもたらし、人材の育成と組織の発展に寄与します。

オンボーディングを行うタイミング

オンボーディングは、新入社員が組織に参加する際に適切なタイミングで実施することが大切です。ここでは入社前、入社初日初週入社後の数週間・数カ月の3つの期間に分けて解説します。

入社前のオンボーディング活動は、非常に重要です。これは、新入社員が入社前に必要な情報や準備を受けるプロセスといえます。入社前オンボーディングでは、契約書や必要な文書の提出、組織へのアカウント作成、必要なフォームや資料の提供などが含まれます。また、新入社員とのコミュニケーションを通じて、入社日やオリエンテーションプログラムに関する詳細を共有します。

入社初日・初週に実施されるオンボーディングもあります。入社初日は、組織への正式な参加を祝うためのセレモニーや歓迎会を行う機会です。また、組織の基本的なルールや手順、職場環境などについての情報を提供します。入社初週は、新入社員に対して組織のビジョンやミッション、文化、組織構造などについて説明し、彼らが組織の全体像を理解することを支援します。

オンボーディングは、入社後の数週間・数カ月にわたって続きます。この期間では、新入社員に対してトレーニングや教育プログラムを提供し、彼らが業務に必要なスキルや知識を習得できるようサポートします。また、上司やチームメンバーとの定期的なコミュニケーションやフィードバックを通じて、新入社員の成長と適応を支援します。

以上のようにオンボーディングは入社直後から始まり、数週間・数カ月にわたって継続されるプロセスです。重要なのは、新入社員が早期に組織の文化や業務に適応し、生産的に業務に取り組めるように支援することです。オンボーディングのタイミングは組織や業界の特性によって異なりますが、新入社員が必要な情報やリソースにアクセスできるように調整すべきでしょう。

オンボーディングで検討すべき項目のリスト・テンプレート

オンボーディングを効果的に実施するには、入念な準備とスケジュール管理が不可欠です。そこで、オンボーディングの計画作成に役立つ検討項目リストのテンプレートをご用意しました。
以下より、テンプレートを無料でダウンロードいただけます。

オンボーディングの実践方法

オンボーディングを効果的に実践するためには、以下の5つの方法を組み合わせることが重要です。

情報提供とオリエンテーション

新入社員には組織のビジョンやミッション、目標、文化、ルール、手順などの情報を提供します。また、組織の歓迎会やオリエンテーションプログラムを通じて、新入社員が組織の全体像を理解し、他のメンバーとのつながりを築く機会を提供します。

役割や責任の明確化

新入社員には自分の役割や責任、業務の範囲について明確に伝えます。目標や期待すること、評価基準も共有し、仕事における明確な方向性を示します。これにより、新入社員は自信を持って業務に取り組むことができます。

トレーニングとスキル開発

新入社員が業務を遂行するために必要なスキルや知識を提供します。OJT(On-the-Job Training)やトレーニングプログラム、マンターリングなどの方法で、実践的な経験や必要な専門知識を習得させます。

サポートとフィードバック

新入社員が質問や懸念を抱いた場合には、適切なサポートを提供し、彼らが困難に直面したときには解決を支援します。また、定期的なフィードバックや評価を通じて、新入社員の成長を促し、進捗状況を確認します。

コミュニケーションと関係構築

上司やチームメンバーとのコミュニケーションを活発にし、お互いに期待やニーズを理解し合います。また、新入社員同士の交流や社内イベントを通じて、チームの一体感や協力関係を育みます。

これらの方法を組み合わせてオンボーディングプロセスを設計し、個々の新入社員のニーズや組織の特性に合わせてカスタマイズすることが重要です。オンボーディングの実施は組織の成果に大きく寄与するため、継続的な改善と評価も求められます。

オンボーディング活用の具体例

オンボーディングは、さまざまな方法で活用することができます。オンボーディングの活用例を紹介しましょう。

オンラインオリエンテーションプログラムの提供

新入社員に対して、オンラインで実施されるオリエンテーションプログラムを提供します。ビデオやウェブコンテンツを活用して、組織の概要や文化、ビジョン、業務手順などを説明し、新入社員が自分のペースで情報を習得できるようにします。

バディシステムの導入

新入社員に対して経験豊富な社員をアサインし、バディとしてサポート役を担当させます。バディは新入社員とのコミュニケーションを通じて、組織の文化や業務のヒントを提供し、新入社員が円滑に職場に溶け込めるようにサポートします。

グループ活動やチームビルディングの実施

新入社員同士や他の社員との交流を促進するために、グループ活動やチームビルディングイベントを実施します。これにより、新入社員は他のメンバーとの関係構築や、コラボレーションスキルの向上を図れます。

専門知識やスキルトレーニングの提供

新入社員には、彼らの役割や業務に必要な専門知識やスキルトレーニングを提供します。内部トレーナーや外部の専門家を招き、ワークショップやセミナーを開催することで、新入社員の能力開発を支援します。

定期的なフィードバックと評価

新入社員の成長を促すために、定期的なフィードバックと評価を行います。上司やチームリーダーとの面談を通じて、新入社員の進捗状況や課題を共有し、成果や成長に向けた具体的なアドバイスを提供します。

これらのオンボーディングは、新入社員の組織適応や能力開発を支援し、彼らのパフォーマンスと満足度を向上させることに役立ちます。重要なのは、組織のニーズや文化に合わせてカスタマイズし、継続的な評価と改善を行うことです。

オンボーディングはメンバーの自己実現と清涼のための重要な手続き

オンボーディングの重要性や注目される背景、目的、実践方法などについて解説しました。

オンボーディングは単なる入社手続きではなく、新しいメンバーが組織文化に溶け込み、自己実現と成長を遂げるためのプロセスです。優れたオンボーディングの実施により、組織と新たなメンバーの相互成長が促進されるでしょう。


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