- 更新日 : 2024年9月18日
育児休業期間はいつから?取得期間の計算も解説!
育児休業制度を利用している従業員は手厚い支援を受けています。育児休業制度は、育児と仕事を両立できるようにしていく制度ですが、この育児休業はどのくらいの期間を取得できるのでしょうか。
今回は、育児休業期間はいつからいつまで取れるのかを説明します。その他、育児休業の取得条件や申請並びに延長手続きについても解説していきます。
目次
育児休業期間はいつから、いつまで取得できる?
育児休業期間は、原則として子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が会社に申し出た期間になります。
ただし、育児休業に関連している子を出産した女性労働者については、労働基準法で産後8週間の産後休業が認められているため、その終了後から育児休業を取得可能になります。
育児休業期間の計算方法
育児休業期間の計算方法は、男性労働者と女性労働者で違いがあります。
男性労働者の育児休業期間は、子が出生した日から1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が会社に申し出た期間になりますので、最大1年間が原則の育児休業期間です。
女性労働者の育児休業期間は、産後8週間の産後休業が認められているので、男性労働者の最大1年間から産後休業期間(56日)を差し引いた期間になります。
育児休業の取得条件
育児休業期間は、原則として子が出生した日から1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が会社に申し出た期間のことをいいます。
ここからは、育児休業の取得条件と、男女で育児休業の取得条件や期間が異なるのかについて見ていきます。
育児休業を取得できる労働者とは?
育児休業を取得できるのは、原則として1歳に満たない子を養育する労働者です。ただし、下記のような労働者は除かれます。
- 日雇労働者
- 期間を定めて雇用される人(有期契約社員)は、育児休業の申出時点で、子が1歳6カ月(再延長のときは2歳)になるときまでに労働契約が終了することが明らかな場合
- 労使協定で「育児休業の申出を拒むことができる従業員」と定められた一定の労働者
男性と女性で育児休業の取得条件・期間は異なる?
育児休業制度は、原則として性別による取得条件の違いはありません。ただし、育児休業期間については、女性労働者は産後休業期間については育児休業期間からは除外されるため、男性労働者より短くなります。
その他、男性労働者は、産後パパ育休(出生時育児休業)を取得することができます。産後パパ休業(出生時育児休業)とは、子の出生後、8週間以内のうちに4週間(28日)以内で2回までを限度に、育児休業を分割して休暇を取得することができる制度です。
以上が、男性労働者と女性労働者の育児休業の違いになります。
育児休業期間の延長について
育児休業期間は、原則としては子が1歳に達するまでしか取得できません。しかし、子が1歳に達するまでに保育所に入れない等、一定の取得要件に該当し、かつ、会社に申し出た場合のみ、例外的に子が1歳6カ月になるまで育児休業を延長することができます。
同様に、子が1歳6カ月に達するまでに保育所に入れない等、一定の取得要件に該当し、かつ、会社に申し出た場合のみ、例外的に子が2歳になるまで育児休業を延長することができます。育児休業期間を延長できた場合、雇用保険の育児休業給付金は引き続き支給対象になります。
育児休業期間の申請・延長手続きについて
次に、育児休業の取得申請や延長申請の際の手続きについて、従業員がやることと会社がやることに分けて見ていきましょう。
従業員は、育児休業の取得申請や延長申請について会社に申し出ることにより行います。申し出後に、会社から必要な書類についての案内がありますので、書類を準備して会社に提出してください。従業員は、会社が決めた期限内に申し出を行うことと、申請に必要な書類を会社に漏れなく提出することが重要です。
会社は、年金事務所に社会保険の育児休業を開始するための手続きを行います。手続きが完了すると、申請期間中の社会保険料が事業主、労働者ともに免除されます。また、協会けんぽや健康保険組合に書類を提出して出産手当金の申請手続きを行います。
会社はその他に、ハローワークで育児休業給付金の申請を行います。育児休業中の従業員は給与が無給になることが多いので、そのような手当を受けられる手続きを行わなくてはなりません。
育児休業を延長、再延長(2歳まで)する場合は、年金事務所、協会けんぽ(または、健康保険組合)、ハローワークそれぞれに延長の申請を行ってください。
育児休業申請書のテンプレート
育児休業申請書のテンプレートが必要な場合、汎用的に使えるテンプレートがあります。
以下リンクから、フォーム入力をすることで無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。
育児休業制度を有効に活用しましょう
育児休業は、男性従業員も女性従業員も、育児と仕事を両立させながら働くことができるように会社が支援していくことが目的の制度です。育児休業制度を従業員に利用してもらうことによって、会社も従業員も多くのメリットを受けることができます。
正しい知識を持ち、正確な手続きを行って、育児休業制度を有効に活用していきましょう。
よくある質問
育児休業はいつから、いつまで取得できますか?
育児休業は、原則は子の出生日から1歳到達日(誕生日の前日)までの労働者が申し出た期間取得できます。ただし、育児休業に関連する子を出産した女性労働者については、産後休業の終了後から取得可能になります。詳しくはこちらをご覧ください。
育児休業の取得条件について教えてください
育児休業は、原則1歳未満の子を養育する労働者が取得できます。ただし、日雇労働者や育児休業の申出時に子が1歳6カ月(再延長時は2歳)になるまでに労働契約終了が明らかな有期契約社員などは取得できません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
社会保険料の負担割合とは?計算方法や注意点を解説!
給与から控除する健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの保険料は、従業員が全額自己負担するのではなく、労使双方が負担して納付します。負担割合は、社会保険の種類や業種によって異なります。ここでは、社会保険料の基礎知識や各種保険ごとの保険料の計算…
詳しくみる士業の方は注意!社会保険における常時5人以上とは?対応方法を解説
個人の事業所は、従業員が常時5人以上となった場合、一部の業種を除き社会保険の強制適用事業所となります。加入条件を満たす従業員がいる場合には、社会保険の加入手続きが必要です。 2022年10月に適用業種の範囲変更があり、これまで対象外であった…
詳しくみる扶養とは?所得税と社会保険の観点から解説!
所得税の扶養控除や社会保険の扶養など、「扶養」という言葉をよく聞くと思います。そもそも「扶養」という言葉は、所得税でも社会保険でも同じ意味で使われているのでしょうか? 今回は、「扶養」の意味合い、ならびに、所得税と社会保険で使用している「扶…
詳しくみる労災保険料の計算方法
労災保険は、業務上起こった不測の事態により、けがや病気を負った場合に備える保障制度です。保険料の支払い者が事業主であるため、いくらになるか気が気でない方もおられるでしょう。そこで、具体例を用いて労災保険料の計算方法について解説します。 保険…
詳しくみる厚生年金の最高額は?いくらもらえる?
老齢厚生年金の受給額は支払ってきた保険料に応じて決まるため、基本的には現役時代の年収が多い人ほど、また加入期間が長いほど多くの年金を受け取れます。 ただし、保険料の計算の基礎となる標準報酬月額と標準賞与額には上限があることに注意しましょう。…
詳しくみる基礎年金番号通知書と年金手帳の違いは?提出する場面やよくあるトラブルを解説
就職や転職の際に会社から提出を求められる「年金手帳」。令和4年4月以降は新規発行が終了し、代わりに「基礎年金番号通知書」が交付されるようになりましたが、制度変更の内容や会社とのやりとりについて、正しく理解できていない方も多いのではないでしょ…
詳しくみる