• 更新日 : 2026年10月5日

年末調整の再調整(再年調)をするには?やり直しが必要なケースと申告書の訂正方法を解説

Point年末調整の再調整はいつまでできる?

年末調整の再調整は、法定調書の提出期限である翌年1月31日までに対応できます。

  • 期限は原則として翌年1月31日、超過後は確定申告が必要
  • 扶養異動・保険料追加払いなど5つが主なケース
  • 控除申告書と法定調書の両方を訂正する必要あり

Q. 年末調整の再調整が必要になる主なケースは?

A. 扶養親族の異動、配偶者控除の所得差異、給与・保険料の追加払い、住宅ローン控除申告書の事後提出の5つが代表的なケースです。

年末調整は、従業員の所得税の過不足を精算する年に一度の手続きです。しかし、扶養親族の異動や控除申告書の提出漏れなどにより、確定後に年末調整の再調整(再年調)が必要になることがあります。本記事では、年末調整の再調整をするにはどう対応すればよいか、やり直しが必要になる代表的なケース、申告書の訂正手順、法定調書への影響までを整理して解説します。

年末調整の再調整(再年調)とは?いつまで対応できる?

年末調整の再調整とは、いったん確定させた年末調整の内容に誤りや変更があった場合に、所得税額を計算し直して精算をやり直す手続きです。実務上は「再年調」と呼ばれることもあります。

年末調整は12月の給与や賞与の支払時に済ませるのが一般的ですが、その後に控除対象の情報が変わることは珍しくありません。法定調書等の税務署への提出期限が翌年1月31日までとされているため、原則としてそれまでの期間であれば、企業は年末調整のやり直しによって従業員の所得税額を修正できます。

再調整の対応期限

年末調整の再調整(再年調)は、給与所得の源泉徴収票や法定調書合計表などの提出期限である翌年1月31日までに対応するのが原則です。

この期限を過ぎると、原則として会社側での年末調整の修正ではなく従業員本人による確定申告での精算に切り替わります。ただし、扶養親族の減少などにより源泉所得税の徴収不足が生じているケースでは、1月31日を過ぎていても会社が年末調整をやり直して不足税額を徴収する必要があります。そのため、控除内容の変更を把握した時点で速やかに再調整の要否を判断し、期限内に手続きを完了させることが重要です。

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年末調整の再調整(再年調)が必要になるのはどんなケース?

年末調整のやり直しが必要になる代表的なケースは、扶養親族等の数の変動、配偶者控除等の所得見積額の差異、給与の追加払い、保険料の追加払い、住宅ローン控除申告書の事後提出の5つです。

いずれも、当初提出された控除申告書の内容と、年末調整確定後の実際の状況にズレが生じることが原因です。放置すると所得税の過納・不足が是正されないため、該当するケースを把握しておく必要があります。

ケース 内容 再調整の要否
扶養親族等の数の変動 結婚・出産・障害認定などで扶養控除の対象人数が変わった 可能
配偶者控除等の所得見積額の差異 申告時の見積所得と確定所得に差が生じた 可能
給与の追加払い 本来の支給日以降に同一年分の給与を追加支給した 可能(翌年の改定分は対象外)
保険料の追加払い 年末調整後に生命保険料・地震保険料等を追加で支払った 可能
住宅ローン控除申告書の事後提出 住宅借入金等特別控除申告書の提出が年末調整後になった 可能

年末調整後に扶養親族等の数が変わった場合

結論として、扶養控除等申告書を提出済みでも、その後に扶養親族の数が変われば再調整で対応できます。

控除対象の子が結婚すれば扶養親族から外れて人数が減り、逆に16歳未満の子が障害者に認定されれば新たに扶養親族が増えることもあります。このような異動があった場合は、従業員本人から改めて申告を受け、変更後の扶養親族数をもとに所得税額を計算し直します。

年末調整後に配偶者控除・配偶者特別控除の所得見積額に差額が生じた場合

配偶者控除・配偶者特別控除は、従業員本人と配偶者の合計所得金額に応じて控除額が変わる仕組みのため、見積額と確定額に差があれば再調整の対象です。

年末調整の時点では配偶者の所得は見積額で申告されています。年が明けて実際の所得金額が確定し、当初の見積額との間に差が生じた場合、控除区分や控除額そのものが変わることがあるため、年末調整のやり直しによって是正します。

年末調整後に給与を追加払いした場合

年末調整確定後に同一年分の給与を追加支給した場合は、既払いの給与総額に加算して再調整を行います。

一般的に年末調整は12月に実施しますが、決算賞与や給与改定の精算などで、通常の支払日より後に追加払いが発生するケースがあります。ただし、その年中に支給せず翌年に改定分として支給した場合は、あくまで支給した年分の所得として扱われるため、年末調整の再調整の対象にはなりません。

年末調整後に保険料を追加で支払った場合

年末調整後に生命保険料や地震保険料を追加で支払った場合も、差額分を反映するための再調整が可能です。

年末調整では、従業員が提出する保険料控除申告書をもとに生命保険料控除・地震保険料控除等を計算します。年末調整後に保険料の追加払いが判明した場合は、保険料控除申告書の該当欄を訂正し、証明書類を確認したうえで所得税額を計算し直します。

年末調整後に住宅ローン控除申告書の提出があった場合

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は入居2年目以降、年末調整で適用できますが、申告書の提出が年末調整後になった場合も再調整で対応できます。

住宅ローン控除の適用には、税務署から送付される住宅借入金等特別控除申告書と、金融機関発行の年末残高証明書が必要です。提出が遅れて年末調整に間に合わなかった場合や、提出済みの申告書の控除額に誤りがあった場合も、再調整によって修正します。

年末調整の再調整はどうやって行う?申告書の訂正手順

年末調整のやり直しでは、従業員が提出済みの控除申告書そのものを訂正する必要があります。訂正はケースごとに手順が異なるため、STEPごとに確認していきましょう。

STEP1 扶養控除等申告書を訂正する

扶養親族に異動があった場合は、提出済みの扶養控除等申告書(給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書)を従業員に返却し、訂正してもらいます。

具体的には、対象となる扶養親族の氏名等の情報を二重線で抹消し、「異動月日及び事由」欄に異動日と事由(結婚など)を記載します。なお、年末調整で使用する申告書は押印義務が廃止されていますが、訂正印を求めるかどうかは自社のルールに従って判断するとよいでしょう。

参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

STEP2 基礎控除申告書・配偶者控除等申告書を訂正する

配偶者の所得見積額に差額が生じた場合は、給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書の該当欄を訂正します。

例えば、配偶者の収入が当初の見積りより増え、合計所得金額が変わったとします。この場合、配偶者控除等申告書の「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄の金額を二重線で訂正し、正しい所得金額を記載し直します。所得金額の変動によって控除の区分(区分Ⅱ)の判定が変わることもあるため、区分欄や配偶者の控除額欄もあわせて訂正が必要です。

参考:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁

STEP3 保険料控除申告書・住宅ローン控除の書類を訂正する

保険料控除申告書は、提出自体を失念していた場合は新たに必要事項を記載して提出してもらいます。

保険料控除申告書には複数の保険の控除欄があり、一部の保険について年末調整後に追加で保険料を支払うこともあります。その場合は、該当する保険料控除欄の金額を二重線で訂正し、正しい金額を記入します。あわせて、生命保険料や地震保険料の控除証明書などの添付書類も確認しましょう。住宅ローン控除を追加申告・修正する場合も、住宅借入金等特別控除申告書と年末残高証明書の提出・確認が必要です。

参考:A2-3 給与所得者の保険料控除の申告|国税庁

再調整に伴い法定調書はどう修正する?必要書類一覧

年末調整の再調整をすると、すでに作成済みの法定調書等も書き直す必要があります。提出先は税務署と市区町村の2か所です。

対応が必要な理由は明確で、控除申告書の内容を訂正すれば、それをもとに作成する源泉徴収票や法定調書合計表、給与支払報告書の金額も連動して変わるためです。訂正漏れがあると、税務署や市区町村への報告内容と実際の所得税額に不整合が生じてしまいます。

税務署へ提出する書類

税務署への提出が必要な書類は、給与所得の源泉徴収票、支払調書、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の3種類です。

給与所得の源泉徴収票は、給与を支払ったすべての従業員分の作成・交付が必要ですが、税務署への提出は支払金額が一定額を超える場合等、要件に該当するケースに限られます。支払調書は、税理士や弁護士への報酬、不動産の使用料など一定の要件に該当する支払について作成する書類です。代表的な支払調書には、以下の4種類があります。

支払調書の種類 主な記載内容
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 税理士・弁護士等への報酬等の支払金額
不動産の使用料等の支払調書 土地・建物の賃貸等に伴う仲介手数料や使用料
不動産等の譲受けの対価の支払調書 不動産・船舶・航空機を譲り受けた際の対価
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 不動産の売買・賃貸のあっせん手数料

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表は、作成した各法定調書を種類ごとに集計し、人数・支払金額・源泉徴収税額などをまとめた書類です。再調整によって個々の申告書の内容が変われば、この合計表の数値も修正が必要になります。

参考:令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引|国税庁

市区町村へ提出する給与支払報告書

給与支払報告書は住民税額を決定するために従業員の住所地の市区町村へ提出する書類で、再調整で控除内容が変われば訂正が必要です。

給与支払報告書は個人別明細書と総括表の2つで構成されており、翌年1月31日までの提出が原則です。個人別明細書には氏名・住所・生年月日・個人番号・給与額・保険料の控除額などが記載され、源泉徴収票と同様の情報を扱います。総括表は市区町村ごとに作成する表紙となる書類で、様式は自治体によって多少異なります。年末調整の再調整で控除額や所得金額が変わった場合は、これらの記載内容もあわせて訂正しましょう。

再調整時に気をつけたいポイントは?

年末調整のやり直しをスムーズに進めるには、従業員への早めの周知と、控除申告書・法定調書の訂正漏れ防止が欠かせません。

再調整は、本人の源泉所得税の再計算だけでなく、法定調書合計表や給与支払報告書の作成・提出のやり直しも伴うため、担当者の負荷が大きくなりがちです。年末調整の実施前に扶養親族や保険料の異動有無を確認する案内を徹底する、給与計算システムで訂正履歴を管理するといった対応により、修正漏れや二重対応の手間を減らすことができます。

年末調整の再調整を正しく行い、精算漏れを防ごう

年末調整の再調整(再年調)は、扶養親族の異動や控除申告書の提出漏れ、給与や保険料の追加払いなど、さまざまな理由で必要になります。法定調書等の提出期限である翌年1月31日までであれば、控除申告書の訂正と法定調書・給与支払報告書の修正によって年末調整のやり直しが可能です。ケースごとの訂正手順を理解し、従業員への周知を徹底することで、年末調整の修正漏れを防ぎましょう。


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