• 作成日 : 2022年8月19日

法定外休日・法定外残業とは?割増賃金も解説!

法定外休日・法定外残業とは?割増賃金も解説!

労働基準法では、労働条件である労働時間や休日に関する用語がいくつも使用されています。しかし、一般的に日常で使われている用語と意味が異なることもあり、注意が必要です。今回は、法定外休日と法定外残業の意味について、わかりやすく解説します。また、割増賃金の計算方法も併せて説明していきましょう。

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法定外休日・法定外残業とは

労働基準法の第4章は、「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」とされており、これらについて使用者が遵守すべき最低基準のルールが定められています。

そこでは、法定外休日・法定外残業について、どのように定められているのでしょうか。

「法定休日」について詳しい説明は、こちらをご覧ください。

法定外の意味

まず、労働基準法がどのような法律なのかについて簡単に説明しましょう。

契約の一般法に「民法」という法律があります。そこでは、契約の当事者は互いに対等・平等が前提とされており、契約は自由に締結できます(契約自由の原則)。

仮に一方に不利な内容であったとしても、合意した以上、有効に成立し、国が干渉することはできません(私的自治の原則)。

次に労使関係を考えてみます。労働者と使用者は、対等・平等でしょうか。すぐわかるように、労働者は弱者であり、使用者が強者です。つまり、民法の前提とは異なるため、国としては、弱者である労働者を保護する必要があります。

これが労働基準法であり、弱者である労働者を保護するために契約の一般法である民法の規定を修正し、契約の一方の使用者に規制を設けています。

さて、「法定」の意味ですが、「労働基準法で定める」ということを意味しています。「法定外」というのは、「労働基準法で定める以外」、つまり「労働基準法で規制する対象外」と解釈することができます。

なお、労働基準法の条文では、改まって「法定」という言葉は使用されていません。

法定外休日の定義

「休日」とは、労働契約において労働義務を負わない日のことを意味します。労働基準法では、「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定めています(法35条1項)。

これは、「週休制の原則」といわれるものであり、労働基準法では、週1日の休日付与が最低基準ということになります。これが法定休日です。

多くの企業では、完全週休2日制を採用していますが、2日のうち1日が労働基準法で定める法定休日、残りの1日は会社が就業規則で任意に付与する所定(就業規則で定める所のという意味)休日で、これが「法定外休日」ということになります。

なお、就業規則は、労働基準法で定める法源の一つであり、会社の服務規律として常時10人以上の労働者を使用する使用者は、作成及び労働基準監督署への届出義務があります。10人未満の場合は、義務はありませんが、作成して届出れば、就業規則に準じるものとして受理されます。

土日を休日とする週休2日制を採用し、就業規則で日曜日を法定休日としている場合、土曜日が法定外休日という扱いになります。

法定外残業の定義

そもそも、労働基準法では「残業」という用語は登場しません。国語辞書では、「規定の勤務時間を過ぎてからも残って仕事をする」という意味になります。

ここでいう「規定」とは、会社の就業規則で定めることを意味しています。したがって、単に「残業」と表現する場合は、就業規則で定める所定労働時間を超えたということで、「所定外労働時間」ということになります。

会社の就業規則で始業9時、終業17時、お昼休み1時間と定めている場合、所定労働時間は7時間となるため、これを過ぎると所定外労働時間の残業の扱いです。

労働基準法では、1日8時間、1週40時間を労働時間の上限として定めており、これを「法定労働時間」としています。

したがって、上記の例では、17時を超えて18時まで1時間だけ残業すると、8時間労働したことになります。就業規則では1時間の残業ですが、法定労働時間を超えているわけではないため、「法定内残業」ということになります。

このケースで19時まで残業した場合はどうなるでしょうか。18時を超えた1時間は、法定労働時間である8時間を超えていますから、労働基準法で定める時間外労働です。あえて残業という言葉を使うのであれば、これが「法定外残業」です。

つまり、「法定外残業」とは、残業のうち、労働基準法で定める法定労働時間を超えた時間外労働を意味することになります。

法定休日と法定外休日の違い

前述のように完全週休2日制で日曜日を法定休日、土曜日を就業規則上、任意で与える所定休日=法定外休日としている場合、いずれも労働者にとっては労働義務のない日であることに違いはありません。

しかし、労働基準法上、日曜日に労働した時間が「法定休日」労働であり、土曜日に労働した時間は「法定休日」労働ではなく、「法定外休日」労働となります。

月曜日から日曜日までの1週間の労働時間が40時間を超えていた場合は、超えた時間は時間外労働と扱われることになるため、注意が必要です。

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法定外休日・法定外残業の割増賃金は? 

法定外休日、法定外残業の意味はおわかりいただけたと思います。では、労働基準法上の割増賃金の扱いはどのようになっているのでしょうか。

法定外休日の割増賃金

週1日の法定休日に労働させた場合、法定の休日労働になり、35%以上の割増賃金の支払いが必要になります。

法定の休日に労働させるには、労働契約において休日労働させることがある旨の定めがあり、事業場で「時間外労働、休日労働に関する労使協定」(36協定)を締結し、労働基準監督署に届出なければなりません(労働基準法36条)。

前述のケースの場合、日曜日の勤務はこれに該当します。

しかし、土曜日は法定外休日であり、扱いは異なります。先ほど、触れたように月曜日から日曜日までの1週間の労働時間が40時間を超えた場合、その超えた時間については時間外労働となります。

割増率は、1週間の労働時間が40時間を超えた場合は25%以上です。なお、時間外労働が1カ月について60時間を超える場合は50%以上になります(中小企業については、2023年4月1日から適用)。

法定外残業の割増賃金

残業のうち、労働基準法で定める法定労働時間を超えた時間外労働である「法定外残業」は、時間外労働としての割増率が適用されます。

つまり、1日8時間、週40時間を超えたときは25%以上、時間外労働が限度時間(1カ月45時間、1年360時間等)を超えたときは25%を超える率(努力義務)、時間外労働が1カ月について60時間を超える場合は、50%以上になります(中小企業については、2023年4月1日から適用)。

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法定外休日・法定外残業について知っておこう!

法定外休日、法定外残業について解説してきました。「法定」や「所定」などを含め、用語の違いは意外と理解されていないものです。

一般的に使用されている「残業」と労働基準法上の「時間外労働」についても、正しく理解した上で法律上の効果の違いを知っておくことが大切です。

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よくある質問

法定外休日とは何ですか?

労働基準法で付与が義務づけられている週1日以外に与えられる休日のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

法定休日と法定外休日の違いについて教えてください。

法定休日は労働基準法上、付与が義務づけられている休日であり、休日労働としての割増賃金が必要になります。後者は、時間外労働としての割増賃金が必要になることがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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