• 作成日 : 2022年8月5日

社会保険労務士とは?資格や業務内容について

社会保険労務士とは?資格や業務内容について

社会保険労務士の資格は数ある国家資格の中でも人気の資格です。しかし、社会保険労務士試験に合格しただけでは社労士を名乗ることはできません。

働き方改革、人手不足問題、ハラスメント対応など社労士が活躍できる場面は多く、今後の需要はますます高まることでしょう。ここでは社労士の役割や業務内容と社労士になる方法を解説します。

社会保険労務士とは?

社会保険労務士とは、従業員の採用から退職までに必要な労働関係の法令や社会保険関係の法令に精通する人事・労務管理の専門家であり、略して社労士とも呼ばれます。社会保険労務士の資格は、従業員の雇用や労働問題、社会保険、公的年金の分野を専門とした法律で認められた唯一の国家資格です。業務の範囲は、労働・社会保険関連の法令全般にわたるため、広範囲に及びます。

人手不足、人材育成、育児・介護問題、人事評価、賃金制度、労使トラブルなど、経営者にとって人事・労務管理に関する悩みは尽きることはありません。企業の成長に必要な「人」に関するコンサルタント業務は、働き方改革が叫ばれる昨今、社労士にしか行えない重要な業務といえるでしょう。

就業規則、労働者名簿、賃金台帳などの作成や、労働・社会保険関連法令に基づく行政機関に提出する書類の作成と申請などの業務についても、依頼者である企業に代わって行います。

参考:社労士の仕事 | 全国社会保険労務士会連合会広報サイト

社会福祉士との違い

社労士と似た名前の国家資格に社会福祉士があります。社会福祉士の資格は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく社会福祉を専門とした国家資格の1つです。社会福祉士は、社会福祉の分野において専門的な知識と技術を持っており、福祉の現場で支援が必要な方たちの相談にのり、利用可能な制度やサービスの紹介や調整を図る重要な役割を担っています。

社会福祉士は、高齢者、障害者、子ども、低所得者など、身体や精神上の障害や環境上の理由により日常生活に問題を抱えている人たちの相談にのって、福祉面からサポートやアドバイスができるエキスパートです。名前は似ていても、企業の人事・労務管理のアドバイスや労働・社会保険関連の法令に基づく手続き中心に業務を行う社労士とは、業務内容が大きく異なります。

参考:社会福祉士とは | 日本社会福祉士会

社会保険労務士の業務内容

社労士は、人事・労務管理の問題から個人の年金相談まで幅広い業務に対応することができます。社労士が行う業務内容について詳しく見ていきましょう。

1.労働・社会保険関連法令に基づく事務手続き(提出代行・事務代理)
社労士は、従業員の採用から退職までに必要な労働・社会保険に関連する手続きを依頼者である企業に代わって行います。

会社を設立して従業員を雇えば、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の手続きが必要です。労働保険の成立、社会保険の新規適用から従業員一人ひとりの雇用保険や健康保険、厚生年金保険の資格取得や喪失の届出など、さまざまな手続きが発生します。

労働基準監督署、ハローワーク、日本年金機構(年金事務所)をはじめとした厚生労働省が管轄する各行政官庁へ提出する書類の作成と申請手続きは、社労士にしかできません。社労士に任せれば、企業のミスが減り事務手続きが大きく軽減されることでしょう。また、専門的な知識を必要とする年金裁定請求の手続きや労災保険の給付申請なども行うことが可能です。

2.労働・社会保険関連法令に基づく諸規程や帳簿の作成
賃金規程、退職金規程などを含む就業規則、時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届)をはじめとした各種労使協定を作成し必要に応じて労働基準監督署に提出します。また、企業に作成が義務付けられている労働者名簿や賃金台帳などの帳簿の作成も可能です。

近年、労働・社会保険関連法令の改正が相継ぎ、企業は法改正への対応に追われることもあるでしょう。また、就業規則や各種規程、数多くある労使協定の作成には専門的な知識を必要とします。自社の制度設計には、法違反にならないように社労士の手を借りることも必要です。

3.労働・社会保険関連法令に基づく人事・労務管理のコンサルティング
人手不足、人材育成、育児・介護問題、高齢者雇用、人事評価、賃金制度、労使トラブルなど、企業を経営しているとさまざまな問題が起こります。社労士は人事・労務管理の専門家であり、企業にあったアドバイスが可能です。

労働・社会保険関連法令に基づく事務手続きや諸規程、帳簿の作成は社労士の独占業務と呼ばれ、社会保険労務士の資格がない者が報酬を得て行うことはできません。人事・労務管理のコンサルティングについては独占業務ではないものの、専門的な知識があり、多くの企業の人事・労務管理に携わってきた社労士にしかできない業務といえるでしょう。

4.労働関係紛争におけるあっせん代理
働き方の多様化に伴い、近年労使関係のトラブルが増加しています。社労士は、トラブルを未然に防ぐとともに、起きてしまった労使のトラブルの解決に手を貸すことが可能です。

厚生労働省で定められた紛争解決手続代理業務試験に合格して付記を受けた社労士は「特定社会保険労務士」と呼ばれ、都道府県労働局や社労士会労働紛争解決センターで行う裁判外紛争解決手続(ADR)で和解交渉の代理や和解契約締結の代理を行うことが可能です。

解雇、雇止め、賃金引下げ、各種ハラスメントの問題で労使のトラブルが発生してしまうこともあるでしょう。裁判より迅速に低価格で当事者間の自主的な解決を目指す裁判外紛争解決手続(ADR)によって和解をすることは、労使ともにメリットがあります。

参考:社会保険労務士の仕事|東京都社会保険労務士会

社会保険労務士に必要な資格

社会保険労務士の資格は数ある国家資格の中でも人気がある資格です。社労士になるためにはどのようにすればよいのかを解説するとともに、社会保険労務士の資格以外にも取っておくとよい資格についても紹介します。

社会保険労務士を取るために必要な試験

社会保険労務士の資格を取るためには、まずは年1回行われる社会保険労務士試験を受験し、合格しなければなりません。しかし、社会保険労務士試験を受けるには、「大学の一般教養科目を終了」「短期大学や高等専門学校卒業」など一定の受験資格を必要とします。

また、試験に合格しただけでは社労士にはなれません。社労士を名乗るためには、合格後、全国社会保険労務士会連合会の社労士名簿への登録を受けることが必要です。社労士名簿への登録は、都道府県ごとにある社会保険労務士会を経由して行うため、開業する事務所や勤務社会保険労務士として登録する勤務先、または住所地がある都道府県の社会保険労務士会に入会する必要があります。

なお、全国社会保険労務士会連合会に登録するためには、実務経験が2年以上必要です。実務経験が2年以上ない方は、連合会が実施する「事務指定講習」を受けることで、実務経験に代えることができます。

参考:
社労士になるには|全国社会保険労務士会連合会
社労士の登録申請について|全国社会保険労務士会連合会

社会保険労務士以外にも取っておくと良い資格はある?

社会保険労務士の資格以外にも取っておくと役に立つ人気の国家資格を紹介します。

  1. 公認会計士
  2. 難易度としては最高クラスの資格ですが、弁護士や医師と並ぶ将来を約束された人気の資格です。企業の財務内容の監査、株式公開の支援など独立開業して活躍できる社会的地位の高い資格です。

  3. 税理士
  4. 企業の税務申告や会計業務、税務に関するコンサルティングなど、税理士を必要としない企業はないといってよいでしょう。相続や事業承継の業務は、今後の需要の増加が見込まれます。

  5. 中小企業診断士
  6. 経営戦略から人事、法務、財務、起業支援、マーケティングまで経営全般で活躍できるのが中小企業診断士です。現在の仕事に活かせるばかりでなく、転職、独立開業にも役に立つ人気の国家資格です。

  7. 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
  8. 税金・保険・投資・相続・金融・ローンなどお金にまつわることを横断的に網羅しているのが1級ファイナンシャル・プランニング技能士です。自分自身の専門性を高めつつ、法人から個人に至るまで、お金(経済・経営)に関する幅広いアドバイスができる資格です。

    社会保険労務士の今後の需要

    企業の成長に必要となる「金」「モノ」「人」の中で、従業員の採用から退職まで、「人」にかかわる諸問題を取り扱うのが社会保険労務士の業務です。労働・社会保険関係の法令に精通し、人事・労務管理の視点から会社経営のアドバイスをすることができます。

    少子高齢化が進む中で、「人」に関する悩みを抱えている経営者は多いでしょう。人手不足、人材育成、ハラスメント問題など、企業が解決しなければならない問題は山積みです。コロナ禍でのテレワークの推進、働き方改革の実現などに見られるように、労働環境は日々変化しています。人事・労務管理の制度設計、法改正への対応など、社労士の需要は、今後ますます高まるでしょう。

    年金相談、ワークライフ・バランスの推進、育児や介護の問題も、社労士の専門分野です。ライフ・プランニング、ダブルワーク、育児や介護・病気を抱えた方の両立支援など、個人のニーズに応じたアドバイスも専門家としての立場から行うことができます。

    企業の成長に必要な「人」にかかわる専門家「社労士」

    社労士は、従業員の採用から退職までに必要な労働関係の法令や社会保険関係の法令に精通した人事・労務管理の専門家です。

    社労士の業務は、就業規則、労働者名簿、賃金台帳などの作成や、労働・社会保険関連法令に基づく手続き業務だけではありません。人手不足、人材育成、育児・介護問題、高齢者雇用、人事評価、賃金制度、労使トラブルなど、広範囲に及びます。

    企業の成長に必要な「人」にかかわるコンサルタント業務を行うのが社労士であり、働き方改革により多様で柔軟な働き方が求められる現在、社労士の需要は今後ますます高まることでしょう。

    株式会社キュービック 小森 様

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    よくある質問

    社会保険労務士とはなんですか

    社会保険労務士とは、社労士とも呼ばれ、労働・社会保険関係の分野を専門とした唯一の国家資格を持つ、従業員の採用から退職までに必要な労働・社会保険関係の法令に精通する人事・労務管理の専門家です。詳しくはこちらをご覧ください。

    社会保険労務士の業務内容について教えてください

    社会保険労務士の業務には、労働・社会保険関連法令に基づく事務手続き、就業規則や賃金規程などの諸規程や帳簿の作成、人事・労務管理のコンサルティング、労働関係紛争におけるあっせん代理などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


    ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

    執筆:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

    銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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