• 更新日 : 2026年8月4日

厚生年金の標準報酬月額表とは?等級・見方・保険料計算の基本をわかりやすく解説

Point標準報酬月額表の見方は?

厚生年金の標準報酬月額表は、報酬を32等級に区分し保険料を一覧化した表です。

  • 等級は第1等級88,000円〜第32等級650,000円
  • 保険料率は18.3%で労使折半が基本
  • 毎年の定時決定で9月から等級が更新される

Q. 標準報酬月額表はどう読む?

A. 報酬月額の範囲を確認→等級を特定→保険料額を確認の3ステップで完結します。

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厚生年金の保険料計算に欠かせない標準報酬月額表は、報酬額に応じた保険料を32段階の等級で整理した一覧表です。給与額と等級の対応関係を把握しておけば、被保険者本人と企業それぞれの負担額をすぐに確認できます。この記事では、標準報酬月額の決まり方から表の正しい読み方、定時決定・随時改定のタイミングまで、バックオフィス担当者が押さえておくべき知識をまとめて解説します。

厚生年金における標準報酬月額表とは?

標準報酬月額表とは、厚生年金保険料の算出に使う、報酬区分と保険料額を対応させた一覧表です。被保険者の報酬を32段階の等級に当てはめることで、保険料の計算を統一的かつ簡便に行える仕組みになっています。

厚生年金や健康保険の保険料は、毎月の実際の給与額ではなく「標準報酬月額」という一定の等級をもとに計算されます。この仕組みを採用することで、給与がわずかに増減するたびに保険料が変動する煩雑さを避け、企業の事務処理を合理化できます。

標準報酬月額の決定方法

標準報酬月額は、通常毎年4月・5月・6月の3か月分の報酬総額を平均した値をもとに決定されます。この手続きを定時決定(算定基礎届)といい、原則として9月分の保険料から新しい等級が適用されます。

報酬の範囲には基本給だけでなく、通勤手当・家族手当・残業代・賞与のうち年4回以上支払われるものなど、毎月支払われる手当全般が含まれます。一方で、年3回以下の賞与や臨時に支払われる報酬は原則として含まれません。

含まれるもの(報酬として算入) 含まれないもの
基本給 年3回以下の賞与
通勤手当 解雇予告手当
家族手当・住宅手当 出張旅費(実費弁償的なもの)
残業代・深夜手当 慶弔見舞金
年4回以上の賞与 結婚祝い金(臨時)

32の等級に分けられている理由

厚生年金の標準報酬月額は、下限の第1等級(88,000円)から上限の第32等級(650,000円)まで32段階に区分されています。細かすぎる区分を設けず一定幅でまとめることで、保険料計算の事務負担を大幅に軽減できるためです。

各等級には幅があるため、実際の報酬額と標準報酬月額の間にはわずかな差が生じます。ただしこれは制度上の仕様であり、毎年の定時決定や給与変動に伴う随時改定によって、実態との乖離が大きくなりすぎないよう調整される仕組みになっています。

等級 標準報酬月額 報酬月額の範囲
第1等級 88,000円 93,000円未満
第2等級 98,000円 93,000円以上〜101,000円未満
第3等級 104,000円 101,000円以上〜107,000円未満
第19等級 300,000円 290,000円以上〜310,000円未満
第31等級 620,000円 605,000円以上〜635,000円未満
第32等級 650,000円 635,000円以上

参考:厚生年金保険料額表(令和2年9月分〜)|日本年金機構

最新の保険料率

現在の厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。保険料率は平成29年(2017年)9月を最後に引き上げが終了し、それ以降は変更がありません。

保険料の全額は「標準報酬月額 × 18.3%」で算出され、その半分ずつを被保険者と事業主が負担します(労使折半)。たとえば標準報酬月額が300,000円の場合、保険料全額は54,900円、被保険者と事業主がそれぞれ27,450円を負担します。

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標準報酬月額表の見方は?

標準報酬月額表の読み方は3ステップで完結します。「報酬月額の範囲を確認→等級・標準報酬月額を確認→保険料額を確認」という流れです。

日本年金機構のホームページで公開されている厚生年金保険料額表(令和2年9月分〜)を参照し、以下の手順で確認します。

STEP1:報酬月額の範囲を確認する

表の中央付近にある「報酬月額」の列を参照し、被保険者の報酬月額が含まれる範囲の行を探します。

ここで注意が必要なのは、報酬月額には基本給だけでなく毎月支払われる各種手当も含まれる点です。たとえば通勤手当が月2万円含まれる場合は、基本給との合算額で範囲を確認します。

STEP2:等級と標準報酬月額を確認する

STEP1で特定した行の左側を見ると、「等級」と「標準報酬月額」が記載されています。

例として、報酬月額が295,000円の場合を見てみます。295,000円が含まれる範囲は「290,000円以上〜310,000円未満」であり、対応する等級は第19等級、標準報酬月額は300,000円です。

STEP3:保険料額を確認する

STEP2で確認した行の右側に、厚生年金保険料の「全額」と「折半額」が記載されています。

第19等級(標準報酬月額300,000円)の場合、全額は54,900円、折半額は27,450円です。会社が給与から控除するのは折半額である27,450円で、同額を事業主も別途負担します。

なお、報酬月額が305,000円の被保険者も同じく「290,000円以上〜310,000円未満」の範囲に入るため、295,000円の被保険者と保険料額は同一になります。これが標準報酬月額の仕組みの特徴で、実際の報酬額ではなく区分値で計算される点がポイントです。

標準報酬月額はいつ・どのように変わる?

標準報酬月額が変更されるのは、定時決定・随時改定・育児休業等終了時改定の3つのタイミングです。このうち特に重要なのが毎年1回行われる定時決定です。

定時決定(算定基礎届)

定時決定とは、毎年7月1日から10日の間に事業主が算定基礎届を日本年金機構へ提出し、9月以降の標準報酬月額を決定する手続きです。4月・5月・6月に支払われた報酬の平均額をもとに等級が決まり、翌年8月まで適用されます。

バックオフィス担当者は毎年6月末時点での報酬実績を正確に把握し、7月の届出に備えておく必要があります。

参考:定時決定(算定基礎届)|日本年金機構

随時改定(月額変更届)が必要になるケース

随時改定は、昇給・降給など固定的賃金に大きな変動があった場合に、年の途中でも標準報酬月額を見直す手続きです。以下の3つの条件をすべて満たした場合に対象となります。

  1. 固定的賃金(基本給・住宅手当など)または賃金体系に変動があった
  2. 変動月から3か月間の報酬平均と現在の標準報酬月額との差が2等級以上生じた
  3. 3か月間の支払い基礎日数がすべて17日以上である

3条件を満たした場合、変動月から4か月目の保険料から新しい標準報酬月額が適用されます。月額変更届の提出期限を逃すと遡及処理が発生するため、給与担当者は昇降給のタイミングで随時改定の要否を確認する習慣が重要です。

参考:随時改定(月額変更届)|日本年金機構

育児休業等終了時改定

育児休業等終了時改定は、育児休業明けに職場復帰した被保険者が時短勤務などで報酬が下がった場合に、標準報酬月額を見直せる制度です。随時改定の2等級要件を満たさなくても申し出ることができる点が特徴で、被保険者からの申し出を受けて事業主が手続きを行います。

参考:育児休業等終了時報酬月額変更届の提出|日本年金機構

標準報酬月額が関わる産休・育休時の厚生年金手続きの実態

マネーフォワードでは、従業員の産休・育休に関する実務に携わる方を対象に、実務における負担や課題を明らかにするための調査を実施しました。

実務で負担が大きい社会保険料免除と給付金申請の手続き

育児休業に関する一連の手続きにおいて、特に工数がかかる、または判断が難しいと感じる業務を調べたところ、最も多かったのは育児休業給付金の申請書類作成と提出で43.2%でした。次いで、社会保険料免除(産休・育休中)に関する手続きが42.3%にのぼり、これらが上位2つを占めています。さらに、育休中の社会保険料や給付金の予想額の試算・説明を負担と感じている担当者は29.8%でした。

調査結果からは、育休からの復職後に標準報酬月額が下がる際に行う育児休業等終了時改定だけでなく、休業中の厚生年金保険料などの免除手続きや従業員への個別説明など、制度に関わる様々な実務が現場の負担になっている実態が読み取れます。

出典:マネーフォワードクラウド、育児休業に関する一連の手続きの中で、特に工数がかかる・判断が難しい業務【産休・育休に関する調査データ】(回答者:866名(有効回答:産休・育休の実務に関与する674名)、集計期間:2026年3月実施)

健康保険の標準報酬月額との違いは?

健康保険と厚生年金では、同じ「標準報酬月額」という名称を使いながら、等級の数と上下限が異なります。

厚生年金は32等級(88,000円〜650,000円)であるのに対し、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険は50等級(58,000円〜1,390,000円)と幅が広く設定されています。これは、健康保険の被保険者には高報酬の役員なども広く含まれるためです。

項目 厚生年金 健康保険(協会けんぽ)
等級数 32等級 50等級
最低等級 第1等級:88,000円 第1等級:58,000円
最高等級 第32等級:650,000円 第50等級:1,390,000円
保険料率 18.3%(固定) 都道府県によって異なる
保険料の負担 労使折半 労使折半

保険料計算では、厚生年金と健康保険それぞれの等級表を参照する必要があります。協会けんぽの健康保険料額表も日本年金機構のホームページで都道府県別に公開されているため、実務では両方を確認しましょう。

参考:健康保険・厚生年金保険の保険料額表|日本年金機構

標準報酬月額の基本を押さえて、保険料計算の精度を上げよう

厚生年金の標準報酬月額表は、報酬を32等級に区分し、被保険者と事業主それぞれの保険料負担額をまとめた一覧表です。表の見方は「報酬月額の範囲→等級の確認→保険料額の確認」の3ステップで完結します。あわせて、毎年の定時決定や給与変動時の随時改定のタイミングを正確に把握しておくことが、標準報酬月額を適切に管理するうえで欠かせません。健康保険との等級の違いも整理しておくと、保険料計算の精度がさらに高まります。

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よくある質問

厚生年金における標準報酬月額表とはなんですか?

標準報酬月額表は、厚生年金の保険料を計算するために用いられる表です。被保険者の報酬月額によって32の等級に分けられています。詳しくはこちらをご覧ください。

厚生年金における標準報酬月額表はどこで確認できますか?

日本年金機構のホームページで確認できます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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