- 更新日 : 2026年9月15日
年金受給者の所得税はいつからかかる?非課税ラインと確定申告不要制度を2026年最新情報で解説
年金受給者の所得税は、令和8年分で65歳以上214万円未満・65歳未満164万円未満であれば非課税です。
- 遺族・障害年金は非課税で計算不要
- 公的年金等の収入が400万円以下で、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下など、一定の条件を満たす場合は確定申告不要
- 住民税の非課税基準は所得税より低い
Q. 老齢基礎年金の満額受給者に所得税はかかりますか?
A. かかりません。令和8年度の満額は年約84.7万円で、65歳以上の非課税ライン214万円を大きく下回ります。
年金は税法上の雑所得として所得税の対象になりますが、受給額が一定額以下であれば所得税はかかりません。本記事では、年金受給者の所得税が発生する仕組み、所得税が非課税になる年収の目安、源泉徴収の計算方法、確定申告不要制度と申告が必要なケースまで、令和8年(2026年)分の最新基準をもとに解説します。
年金受給者に所得税がかかるのはどんな場合?
公的年金等は所得税法上の雑所得に区分され、原則として所得税の課税対象です。ただし、年金収入から公的年金等控除と基礎控除を差し引いた残りが0円以下になる場合は、所得税はかかりません。
国民年金(老齢基礎年金)や厚生年金(老齢厚生年金)、共済組合の退職共済年金、確定給付企業年金など、老後に受け取る公的な年金の多くが雑所得の対象です。一方で、遺族年金や障害年金は非課税とされており、そもそも所得税の計算に含める必要がありません。この違いを理解しておくことが、年金受給者の所得税を考えるうえでの出発点になります。
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年金の所得税が非課税になるのはいくらまで?
年金収入がその年金だけの場合、令和8年分(2026年分)は65歳未満で年間164万円未満、65歳以上で214万円未満であれば、原則として所得税は源泉徴収されず、実質的に非課税となります。
これは、令和7年度・令和8年度の税制改正により基礎控除が段階的に引き上げられたことに伴い、年金の源泉徴収が発生しない年金額の基準も引き上げられたためです。以前は65歳未満108万円未満、65歳以上158万円未満が目安とされていましたが、現在はより高い水準まで非課税となっています。
| 区分 | 令和7年分(2025年分) | 令和8年分(2026年分) |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 155万円未満 | 164万円未満 |
| 65歳以上 | 205万円未満 | 214万円未満 |
参考:令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項|日本年金機構
なぜこの金額が非課税ラインの基準になるのか
非課税ラインは、公的年金等控除の最低額と基礎控除額を合計した金額でおおむね決まります。この2つの控除の合計額を年金収入が上回らなければ、課税対象となる所得は発生しません。
公的年金等控除の最低額は65歳未満で60万円、65歳以上で110万円です。これに、令和7年度・令和8年度の税制改正で引き上げられた基礎控除(所得の低い層ほど手厚く増額)を加えると、前述の164万円・214万円という基準に近づきます。基礎控除の額は合計所得金額によって細かく分かれるため、正確な税額を知りたい場合は国税庁や日本年金機構の資料で最新の控除額を確認するのが確実です。
参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁
老齢基礎年金の満額だけを受給している場合は非課税
国民年金の老齢基礎年金のみを満額受給している場合、所得税はかかりません。令和8年度の老齢基礎年金の満額は年額847,300円で、65歳以上の非課税ライン(214万円未満)を大きく下回るためです。
年金から所得税が源泉徴収される仕組みは?
非課税ラインを超えた年金については、超えた部分に所得税(令和19年12月31日までは復興特別所得税も加算)がかかり、源泉徴収された差引額が振り込まれます。
年金には給与所得者のような年末調整の仕組みがなく、源泉徴収される税額はあくまで概算額です。そのため、最終的な税額との過不足は、原則として自分自身で確定申告をして精算する必要があります。ただし、後述する確定申告不要制度により、多くの受給者は申告を免除されています。
公的年金等の受給者の扶養親族等申告書の役割
この申告書は、配偶者控除や障害者控除などの人的控除を源泉徴収額に反映させるための書類で、対象となる受給者には日本年金機構などから毎年送付されます。
令和2年分以降は、この申告書を提出し忘れても税率が上がって必要以上に天引きされる不利益はなくなりました。ただし、提出しなければ配偶者控除や障害者控除といった人的控除は反映されず、天引き額が本来より多くなってしまいます。控除を漏れなく受けるためにも、期限内の提出が重要です。
参考:公的年金等の受給者の扶養親族等申告書の提出方法|日本年金機構
源泉徴収税額の計算方法
源泉徴収税額は、年金支給額から社会保険料等と基礎的控除額を差し引いた残額に税率をかけて算出します。
ステップ1
年金支給額から社会保険料(国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料)を差し引きます。
ステップ2
ステップ1の金額から基礎的控除額を差し引きます。令和8年分は「1カ月の年金支払額×25%+11万円」を基本とし、65歳未満は最低14万円、65歳以上は最低18万円が保障されます。扶養親族等申告書を提出していれば、ここに配偶者控除や障害者控除などの人的控除も加算されます。
ステップ3
ステップ2で残った金額に5.105%(所得税5%+復興特別所得税0.105%、令和19年12月31日まで適用)を掛けた金額が、実際に源泉徴収される税額になります。
参考:公的年金の税金(所得税)はどうやって計算される?|生命保険文化センター
年金受給者で確定申告が不要になるのはどんなケース?
公的年金等の収入合計が400万円以下で、かつ公的年金等以外の所得が20万円以下であれば、原則として確定申告は不要です。これを確定申告不要制度と呼びます。
年金を受給する高齢者の申告負担を減らす目的で平成23年分の所得税から導入された制度で、現在も多くの年金受給者がこの制度によって申告を免除されています。
確定申告不要制度の2つの条件
以下の2条件をどちらも満たす場合に、確定申告不要制度の対象となります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 条件1 | 公的年金等の収入合計額が400万円以下(老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金、使用者から支払われる年金、普通恩給、確定給付企業年金などが対象) |
| 条件2 | 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下(個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金などが該当) |
なお、住民税は所得税の取り扱いとは別に定められているため、確定申告が不要な場合でも住民税の申告が必要になることがあります。年金以外の収入がある人は、居住する自治体に確認しておくと安心です。
条件を満たしても確定申告をしたほうがよいケース
確定申告不要制度の条件を満たしていても、次のようなケースでは確定申告をすることで税金が還付される場合があります。
- 1年間の医療費が高額だった場合(医療費控除)
- 住宅ローンを利用してマイホームを取得し、借入金が残っている場合(住宅ローン控除)
- 災害や盗難による損失があった場合(雑損控除)
- 配偶者の国民健康保険料などを支払い、社会保険料控除を受けられる場合
さらに、令和7年度税制改正による基礎控除見直しの影響で、合計所得金額が88万円超132万円以下となる一部の人は、年末の精算後もなお源泉徴収税額が残っている場合があります。こうしたケースも、確定申告をすれば還付を受けられる可能性があります。
参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|日本年金機構
年金受給者で確定申告が必要になるのはどんなケース?
公的年金等の収入合計が400万円を超える場合、または年金以外の所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。平成27年度以降は、外国の法令に基づく社会保険や共済制度に類する年金を受給している人も対象に加わっています。
年金以外の所得が20万円を超えるケースとしては、次のような例が挙げられます。
- 年金を受け取りながら働いている(雑所得と給与所得がある)
- 年金に加えて家賃収入がある(雑所得と不動産所得がある)
- 年金以外に個人年金や副収入がある
こうしたケースに当てはまる人は、確定申告を忘れずに行いましょう。
年金にかかる住民税の非課税基準は所得税と同じ?
いいえ、住民税の非課税基準は所得税とは別に定められており、多くの場合、所得税より低い金額で課税対象になります。
例えば日本年金機構は、個人住民税の各種控除に対応するため、令和8年度税制改正により、令和9年分からは、所得税の源泉徴収対象者だけでなく、住民税の各種控除を受けようとする年金受給者も扶養親族等申告書の提出対象となりました。
日本年金機構は、令和8年10月から、65歳以上では年金額148万円以上、65歳未満では98万円以上の方などを対象に、令和9年分の扶養親族等申告書を順次送付します。 実際の住民税非課税限度額は、居住する市区町村の級地区分によって異なるため、正確な基準は自治体への確認が必要です。所得税は非課税でも住民税は課税されるケースがある点に注意しましょう。
参考:令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項|日本年金機構
年金受給者の所得税は仕組みを理解して手続きの漏れを防ごう
年金受給者の所得税は、公的年金等控除と基礎控除の合計額を上回った分にかかり、令和8年分は65歳未満で164万円未満、65歳以上で214万円未満であれば非課税です。扶養親族等申告書の提出、確定申告不要制度の条件、還付を受けられるケースをそれぞれ確認し、年金にかかる所得税の手続きに漏れがないようにしましょう。
よくある質問
公的年金にも所得税はかかりますか?
公的年金の受給額や年齢、扶養親族の有無等によって所得税がかかる場合があります。詳しくはこちらをご覧ください。
公的年金の所得税の税率は?
所得税5%に復興特別所得1.021%をかけた5.105%が税率となります。詳しくはこちらをご覧ください。
公的年金も確定申告が必要ですか?
「確定申告不要制度」により、一定の要件を満たせば確定申告を省略することができます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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