- 更新日 : 2018年8月7日
年末調整でのシャチハタの利用について

簡単に入手でき、朱肉もいらず手軽に使えるシャチハタですが、年末調整でシャチハタを使用することはできるのでしょうか?
ここでは、シャチハタの性質、公文書や年末調整におけるシャチハタの利用について説明します。
シャチハタの性質と使う場面
シャチハタは、朱肉を用いて押印する印鑑とは異なり、判子内部にインキが入っている判子の一種で、浸透印とも呼ばれています。染み込んでいるインキを使うため、朱肉を用意する必要がなく、容易に利用できます。
そのため、宅配便の受取印や社内回覧物の確認のための印など、サイン代わりに使われることが少なくありません。このように、日常生活のなかで押印することによる事後責任が生じない場合は、シャチハタを用いることができます。
公文書におけるシャチハタの取り扱い
一方、公文書においては、シャチハタの使用が認められていません。公文書における判子の役割は、判子を押すことにより判子の所有者がその文書を作成したという証明になることです。
しかし、シャチハタを用いた場合は、以下の理由から特定の者が押印することによる本人であると証明することができないため、判子の意味をなしません。
2.シャチハタはゴムでできているため、経年劣化による印影の変化や、ぶつけた場合に文字の欠損がおこる可能性がある。
3.旧来のシャチハタの場合は、押印をする強さにより印影が異なる。
4.インキが時間の経過で薄くなったり、にじみが生じたりする場合がある。
以上の理由から、公文書を作成する際には、シャチハタではなく朱肉を使用する印鑑を使用しましょう。
年末調整におけるシャチハタの扱い
年末調整で使用される書類は通常、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」「給与所得者の配偶者特別控除申告書」「給与所得者の(特定増改築等)住宅貸入金等特別控除申告書」の3種類です。
これらの書類には、氏名欄に押印をする必要がありますが、シャチハタを使用することはできるのでしょうか。
年末調整の書類も所得税法上は、会社を通じて税務署に提出するべき公文書の一部ですが、実は、年末調整ではシャチハタを使っても良い場合があります。
それは、実務上、年末調整に使用する書類は税務署に提出はされず、会社内に保管されるものだからです。そのため、シャチハタが可能かどうかの判断は各会社に任されています。
しかし、所属する会社でシャチハタが認められている場合であっても、本来は税務署宛ての公文書であること、長期間保存される書類であることを鑑みて、シャチハタではなく通常の印鑑の方が望ましいといえます。
確定申告におけるシャチハタの扱い
以下は、確定申告が必要、若しくは必ずしも必要ではないが申告をした方が有利になる場合の一例です。
上記のような場合に作成する確定申告書は税務署に出す公文書なので、シャチハタは認められません。
そのため、確定申告の書類を作成する際の押印には注意しましょう。
まとめ
以上で、シャチハタ利用について、シャチハタの性質や、シャチハタが認められる場合、認められない場合についてまとめました。
年末調整においては、会社によりシャチハタでも大丈夫な場合がありますが、通常の印鑑が望まれるケースが多いことから、できるだけ朱肉を用いる印鑑を捺印するようにしましょう。
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