• 作成日 : 2022年8月26日

厚生年金の平均受給額はいくら?

厚生年金の平均受給額はいくら?

日本の年金制度には、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する「国民年金」と会社員などが加入する「厚生年金」があります。厚生年金の加入者は自動的に国民年金にも加入しており、国民年金だけの方とは年金の受給額が異なります。本記事では、年金の平均受給額などについてご紹介します。

厚生年金の平均受給額はいくら?

厚生労働省の資料、「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、老齢厚生年金加入者の受給額の平均は、令和2(2020)年度末時点で月額14万6,145円です。前年が14万6,162円のため、月に17円減少しています。なお、この金額には老齢基礎年金(国民年金)も含まれます。

では、厚生年金とはどのような制度なのでしょうか。
厚生年金とは、株式会社などの法人や従業員が5人以上常勤している事業所には強制的に適用される年金制度で、事業所と従業員で保険料を折半し納付します。適用事業所では、アルバイトやパートでも、通常の従業員の労働時間の3/4以上働いている、長期雇用が見込まれる、報酬が8.8万円以上などの条件を満たせば、加入させなければなりません。

また、強制の条件に当てはまらない事業所でも、申請して任意適用事業所となることができます。

次に、厚生年金の最近の加入者の状況をみてみましょう。

厚生労働省の資料「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の令和2(2020)年度末時点での総加入者数は4,047万人で、公的年金の被保険者全体に対する割合は約59.9%です。公的年金の被保険者数は前年の6,762万人から6,756万人と6万人(約0.1%)減少していますが、厚生年金だけを見ると前年の4,037万人から10万人(約0.2%)増加しています。

一方、受給者の状況はどうでしょうか。令和2(2020)年の厚生年金の受給者数は、老齢年金、障害年金、遺族年金受給者の合計で3,581万人で、前年より38万人(約1.1%)増加しています。また、老齢年金だけをみると、1,553万人で、前年より14万人(約1.01%)の増加です。

保険料や受給金額の計算で重要となる標準報酬月額の平均額(短時間労働を含まない)は、令和2(2020)年の年度末で31万3,099円です。しかし、これには男女差があり、男性は35万5,232円、女性は24万6,518円で、女性が30%近く低くなっています。

なお、標準報酬月額とは、月収の金額を1~32の等級に分けたものです。通常4~6月の給与から平均額を計算します。この標準報酬月額により、健康保険や厚生年金の保険料などが算定されます。そして年金の受給額の計算にも、この標準報酬月額が関係するのです。

(参考)

令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)

引用:令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)|日本年金機構

老齢厚生年金の受給額の計算式は、以下のとおりです。

年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
    • 報酬比例部分 = A + B

A = 平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年(2003年)3月までの加入月数
B = 平均標準報酬月額 × 5.481/1000 × 平成15年(2003年)3月以降の加入月数

    • 経過的加算

昭和60年(1985年)に年金受給開始の年齢が60歳から65歳に変更されました。その期間に年金受給開始の予定だった方には、「特別支給の老齢厚生年金」として、報酬比例部分とは別に「定額部分」と呼ばれる金額を64歳まで受け取れます。65歳からは通常の老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給に戻りますが、このとき老齢基礎年金の額が、当分の期間それまでの定額部分を下回ってしまうのです。そのため、それまでの定額部分と65歳から受給する老齢基礎年金の差額が、老齢厚生年金から「経過的加算」として支給されます。

    • 加給年金額

厚生年金への加入期間が20年以上あり、受給年齢になって受給する場合に、生計を同一にしている配偶者や18歳以下の子、または障害を持つ20歳未満の子がいれば、人数に応じて加給年金が加算されます。

参考:令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省
参考:適用事業所と被保険者|日本年金機構
参考:老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機構
参考:報酬比例部分|日本年金機構
参考:経過的加算|日本年金機構
参考:加給年金額|日本年金機構
参考:特別支給の老齢厚生年金|日本年金機構
参考:老齢年金とは|日本年金機構

国民年金の平均受給額はいくら?

前出の「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、老齢基礎年金の平均受給額は令和2(2020)年度末時点で、月額5万6,358円です。この平均額には、老齢基礎年金のみの人、厚生年金や共済などの加入者などすべてが含まれています。上記いずれにも加入していた期間がなく、老齢基礎年金のみの方の平均は、月額5万1,276円です。

国民年金は、20歳以上60歳未満の国民すべてが加入する年金です。
そして、国民年金の被保険者は主に3種類に分けられます。

    • 第1号被保険者

農業等の従事者や、厚生年金の適用とならない自営業、アルバイト、パート、学生、無職の方などが加入します。保険料は納付書や口座振替などで自分で納付します。

    • 第2号被保険者

厚生年金の適用となる事業所に勤める方は自動的に加入となります。保険料は、加入している厚生年金制度などから拠出されるため、厚生年金の保険料のみ負担し、国民年金の保険料は負担する必要がありません。

    • 第3号被保険者

第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の方のことをいいます。ただし、本人の収入が年間130万円を超えて健康保険の扶養になれない場合は、第3号ではなく第1号被保険者となります。国民年金保険料は、配偶者が加入する厚生年金制度からまとめて支払われます。

では、国民年金の保険料計算についても確認してみましょう。
国民年金では、20歳から60歳になるまでのすべての月の保険料を納めると、老齢基礎年金を満額受け取ることができます。その金額は、令和4(2022)年時点で年額777,800円(月額64,816円)です。

自分が受け取れる年金額は、納付した月数や、免除を受けた月数などをもとに計算することができます。計算式は、以下のとおりです。

(777,800円 × (保険料納付済月数)+(全額免除月数×1/2)+(1/4免除月数×5/8)+(半額免除月数×3/4)+(3/4納付月数×7/8))÷ 40年(加入可能月数)× 12月

加入可能年数など、生まれた年やさまざまな条件によって個々の老齢基礎年金額は異なります。詳細は、お住いの地域の役所や役場、年金事務所などにお問い合わせください。

参考:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機
参考:令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|日本年金機構
参考:公的年金の種類と加入する制度|日本年金機構
参考:老齢年金ガイド|日本年金機構

年金受給額は加入期間と保険料で決まる

本記事では、厚生年金と国民年金の平均受給額とともに、最近の受給者の傾向や受給額の計算方法、よく使われる言葉など、年金について「知っておきたいこと」をまとめました。わたしたちがいずれ受給する年金はどのようにして計算されるのか、そして保険料の支払とどう関係するのかなどを主にご紹介しましたが、支払期間や金額が後の受給額の計算に大きく影響することがおわかりいただけたと思います。

これを機に自分の年金がどうなっているのか、支払月数や未払いの月はないかなどを見直してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

厚生年金の平均受給額はいくらですか?

月額14万6,145円です。(令和2(2020)年度末時点)詳しくはこちらをご覧ください。

国民年金の平均受給額はいくらですか?

月額5万6,358円です。(令和2(2020)年度末時点)詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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