- 作成日 : 2022年7月22日
生活残業が多い会社の特徴は?生活残業させないためにおすすめの対策も解説
生活残業とは、生活費や小遣いなどを稼ぐために必要以上の残業を行うことです。生活残業は会社全体に悪影響を及ぼす可能性があるため、生活残業が発生しやすい条件を把握して早急に対策を施す必要があります。この記事では生活残業が発生しやすい会社・従業員の特徴や生活残業の何が悪いか、さらに生活残業への対策方法などを紹介します。
生活残業が多い会社の特徴
生活残業が多く発生している会社では、社内の体制や従業員への対応などに悪い意味での特徴がみられます。状況を改善するためには悪い特徴について把握して、各特徴のうち自社に該当している部分を考える必要があるでしょう。この章では生活残業が多い会社の特徴を3つ紹介します。
給料が低く残業代で低賃金を補おうとしている
生活残業が行われる大きな原因に低賃金が挙げられます。基本給の設定額が安く、残業せずに得られる収入が少ないケースです。基本給だけでは生活できず、従業員は残業代を上乗せして生活費の不足を補おうとします。家庭を持っている従業員は生活費が多く必要になるため、特に生活残業が行われやすくなります。
このケースでは残業代の大半が生活費に使用されており、残業ができなくなると収入額が減少して生活に困窮するかもしれません。低賃金を補うための生活残業が発生する場合、基本給の設定額を安くし過ぎている企業に責任があります。
残業で長時間働く人の方が評価されている
従業員に対する評価制度に問題がある場合も生活残業が発生しやすくなります。日本企業の多くは労働時間の長さで従業員を評価する風潮があり、長時間働いている従業員ほど出世しやすい傾向が強く残っています。逆に定時退社すると「やる気がない」とみなされて評価が下がることもあり、効率的に業務をこなせる優秀な従業員が高く評価されなくなる問題が起こります。
労働時間を重視する会社では従業員が自分の評価を上げるために労働時間を引き延ばそうとするため、無意味な残業時間の発生・増加に繋がるのです。
いつでも残業できてしまう状態にある
社内における残業を行いやすい体制に問題があるケースもあります。残業の実施前に許可を取る必要がない会社では残業を行うハードルが下がり、残業代目当てに残業を行う従業員が増加するでしょう。会社側で従業員の勤務状況を把握できていないケースも多くみられます。各従業員が進めている業務の内容を本人以外知らないため、従業員は意図的に業務の所要時間を引き延ばせます。
どちらも従業員を正しく管理できていないことが原因で生活残業の増加を招いています。これらのケースでは、従業員の管理状況を改善できない限り生活残業が発生し続けるでしょう。
生活残業を放置することによる3つのデメリット
従業員による生活残業を放置していると、残業代の増加や仕事の効率低下など多くの問題に繋がります。時間が経つほどに状況が悪化していくため、生活残業が発生している状態を長く保たずに積極的な改善を行いましょう。以下では生活残業を放置していると発生しうる3つのデメリットを紹介します。
人件費が増加し残業代未払いの危険性がある
生活残業が増えると従業員に支払う残業代が増加するため、より多くの人件費がかかるようになります。毎日2時間生活残業を行う従業員が1人いる場合、残業代が1時間あたり2,000円ならば1日で2,000円×2時間=4,000円のコストが追加で生じます。1ヶ月では4,000円×20日=80,000円、1年では80,000円×12ヶ月=96万円が残業代だけで必要になります。生活残業を行う従業員や残業時間が増えれば、必要なコストもさらに増えていきます。
多くのコストが求められる一方で、進められる業務の量は残業していない場合と大きく変わりません。結果として売り上げが伸びずにコストだけが膨らむでしょう。
人件費の増加は経営への悪影響に繋がり、残業代未払いのようなトラブルを招きかねません。「従業員が長時間労働をしている」「残業代を支払っていない」などの評判が世間に広まって、会社のイメージを大きく損ねる危険性もあります。
会社全体のモチベーション低下に繋がる
生活残業を行っている従業員がいると、会社全体のモチベーションが低下していく恐れもあります。生活残業により長時間労働をしている従業員は、残業代により多くの収入を得られます。
ほかの従業員からみると「ダラダラ働いているやつばかり高評価される」と感じられるため、まじめに効率良く業務を進める利点が感じられなくなります。多くの従業員が非効率で時間のかかる働き方を選ぶようになり、社内からやる気が感じられず生産性の低い会社になるでしょう。会社としての質が落ちると優秀な従業員から他社に移っていくため、自社に所属している従業員の質も低下してさらなる生産性の低下を招きます。
社内で負の連鎖を招かないように、社内のモチベーション維持や生活残業への対策が重要です。
ブラック企業のイメージが付きやすくなる
生活残業を続ける従業員によって会社のイメージ悪化を招く可能性もあります。
毎日のように生活残業を行っている従業員がいると、外からでは「従業員に長時間労働をさせる会社=ブラック企業」と認識されます。残業が多く長時間労働を強いられる会社は就職希望者からの人気が下がるため、自社への入社を希望する人材が減少するでしょう。入社希望者が減少すると優秀な人材を確保できる可能性も低下して、生産性の向上や事業拡大なども難しくなっていきます。生活残業により発生しうるイメージ悪化は大きな悪影響を生じさせるため、会社を健全に保つためにも対策が欠かせません。
生活残業させないためにおすすめする3つの対策
従業員に生活残業を行わせると会社にとって大きなデメリットが生じます。生活残業をやめさせるために多方面からの対策を取りましょう。生活残業を行えない仕組みを作ると同時に、従業員自身が生活残業をやめる気になる環境の構築も必要です。従業員の生活残業を防ぐ対策として、以下では3つの方法を紹介します。
給与や待遇の改善を図る
生活残業を防ぐために、従業員の給与・待遇を改善しましょう。生活残業を行う従業員の多くは少ない基本給を補うために残業しているため、基本給を増やせば従業員は意図的に残業する必要がなくなります。「いつも残業しているから」と考えて、残業代が追加されることを前提に基本給を抑えている会社では生活残業の抑止を望めません。従業員の責任を追及する前に会社側の問題は存在しないか考えて、生活残業が発生する大きな原因への対処に取り組みましょう。
残業に関する内容を人事評価に繋げない
従業員を評価する際には、残業の内容を評価基準に繋げないようにしましょう。多くの残業によって高い評価を得られる評価基準になっていると、評価を上げるために無意味な残業を行うケースが増加します。
従業員の評価は労働時間でなく生産性や効率の面から判断するようにして、残業では評価が上がらないことを従業員に周知させなくてはなりません。良い結果を出せば良い評価が得られる成果主義の賃金体系にできれば、従業員は無用な残業をせず効率的な業務進行のために努力してくれます。
自由に残業できないように許可制に変更する
従業員が自由に残業できないような体制構築も生活残業の防止に効果的です。生活残業が発生する原因の一端には従業員に対する業務・進捗管理の甘さがあります。残業を許可制にして、上司が必要とみなした場合のみ残業できる体制にしましょう。従業員が残業代目当てで無駄な残業を行えなくなるため、生活残業の発生を防止できます。
残業を許可制にするためには適切な業務配分とまめな進捗管理の実施が必要です。残業の発生は生活残業以外にも起こりうるため、従業員の手に余る業務を与えて残業を禁止すると業務進行が滞ります。残業の許可を厳しくし過ぎて必要な残業も許されなくなると、従業員の負担が非常に大きくなり不満を募らせる結果に繋がりかねません。
生活残業しやすい社員の見分け方
生活残業を行う従業員は効率的に仕事を進めようとしないため、まじめに働いている従業員と比べて行動に複数の特徴が生じます。生活残業を行いやすい従業員の判断基準を把握していれば、各従業員に目を配り早期発見・対応が可能になるでしょう。この章では生活残業を行う恐れのある従業員の主な見分け方を3つ紹介します。
退社時間が一定であり残業時間も決まっている
生活残業を行いやすい従業員は、残業後の退社時間帯が一定になる傾向があります。生活残業を行う際は必要な残業代などから残業時間を計算しているケースが多く、計算した時間分の残業が終わったタイミングで退社します。繁忙期・閑散期などに関係なく年間を通して一定の残業をしている場合は、本来不要な生活残業を行っている可能性が高まります。
一定に保たれた時間の残業が続くと生活残業が常習化するかもしれません。早めに察知して、従業員の業務内容を管理しましょう。
効率的に仕事をしようとしていない
業務を効率的に進めようとする様子がみられない場合も要注意です。生活残業を行う従業員は残業分の業務を残そうとするため、日中の定時勤務では意図的に非効率で時間がかかる働き方をします。ほかの従業員と比べて明らかに業務進行が遅い場合は生活残業を行っている可能性があります。
気になる行動を取っている従業員がいれば早めに調査・対策を行いましょう。調べもの・探し物に余分な時間をかけていたり、定時が近づいてから新しい業務を始めたりしているようならば特に注意が必要です。
就業時間中に仕事に集中していない
日中の就業時間中に集中して勤務しない点も生活残業者の特徴です。残業を前提に考えて本来の想定より少ない配分の業務を担当するため、本来の就業時間においては手を抜いて働きます。休憩が高頻度・長時間だったり業務の優先順位を見誤ることが多かったりする場合、生活残業を行うために時間を引き延ばしている可能性が高まります。
営業のような外回りが多い業務では必要以上の休憩時間を容易に確保できるため、ほかの業務以上に勤務時間を引き延ばしやすくなります。従業員が仕事に対してあまりに集中していない場合、懲戒処分のような厳しい措置を取らなくてはならない可能性もあります。状況が悪化する前に、普段から業務指導や注意を徹底して行いましょう。
生活残業の原因を理解し対策をして生産性を上げよう
生活残業が発生しやすい会社の特徴や生活残業によるデメリット、防止に役立つ対策や生活残業を行いやすい従業員の見分け方などを紹介しました。生活残業を放置して常態化すると会社全体に重大な悪影響が生じるため、普段から管理・対策を行って被害を未然に防ぎましょう。
生活残業の発生を防げれば従業員は定時内の勤務時間に効率良く業務を進められるようになり、会社全体の生産性向上も期待できます。生活残業は多くの場合会社側に原因があるため、会社の生産性を上げる意味でも生活残業発生の原因を探り適宜対策を取っていきましょう。
よくある質問
生活残業の経験がある人はどのぐらいいる?
回答者全体の40%ほどに生活残業の経験があり、多くの人は基本給だけでは生活が苦しいことを理由に挙げています。
生活残業を辞めさせるにはどうしたら良い?
残業を美徳とする社内文化をなくして、給与体系を見直したり無許可での残業を禁止したりと多くの対策が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
生活残業が常習化するのは会社の問題?
給与体系や人事評価制度などに問題を抱えている会社で多く生活残業が発生しているため、従業員が生活残業を行わずにすむ仕組みづくりが重要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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