• 更新日 : 2022年3月18日

住民税決定通知書とは?入手方法や用途について解説

住民税決定通知書とは?

地方税である住民税では、自治体から「住民税決定通知書」が交付されます。決定した税額を通知する文書ということはわかっても、その用途など、詳しいことについては意外と知らないものです。今回は、住民税決定通知書が必要となるケースや文書中で確認すべき事項について、また紛失した場合の対処法などについても解説していきます。

住民税決定通知書とは

「住民税決定通知書」とは、住所地の自治体が前年の所得をもとに算出し、決定した住民税の税額を通知する書類のことです。住民税決定通知書という名称が一般的に使用されることが多いようですが、単に「税額通知書」とする自治体もあります。

実は、厳密には住民税の納付方法によって名称が異なり、通知書の交付先も納付方法によって違ってきます。そこで、文書の説明の前に、まずは住民税とは何か、そして、その納付方法について説明しておきましょう。

住民税とは?

住民税とは、地方税のひとつで、都道府県が課税する道府県民税(東京都は都民税)と、市区町村が課税する市町村民税(区市町村民税)を総称したものです。1月1日に住所がある都道府県、市町村に納付します。

自治体が教育、社会福祉のほか、道路、公園、住宅の建設や管理など、さまざまな行政サービスをするための財源です。個人だけでなく、法人も納税義務があり、個人の場合は「個人住民税」、法人の場合は「法人住民税」と呼ばれています。

今回のテーマで扱うのは、個人住民税ですが、納付方法には次の2種類があります。

  1. 普通徴収
  2. 特別徴収

地方税法では、普通徴収は個人事業主が自ら納付し、特別徴収は所得税を源泉徴収している事業主が、従業員の個人住民税も源泉徴収して納付しなければならないことになっています。給与所得者である会社員は、本人が希望しても普通徴収を選択することはできず、特別徴収で納付しなければなりません。

個人事業主の普通徴収では、文書は納付書と一緒に同封されており、通知書の名称は「市民税・県民税 税額決定・納付通知書」とされているのが一般的です。

毎年、個人事業主が確定申告すると、税務署から確定申告書に記載された情報が市町村に送付され、納税額が決定されたのち、個人宛に納税通知書と納付書が送付されます。納付方法は、一括(納付期限は6月末まで)、または4期分割(納付期限は第1期が6月末まで、第2期が8月末まで、第3期が10月末まで、第4期が翌年1月末まで)となっています。

一方、特別徴収については、事業主が源泉徴収することから、通知書の交付先は勤務先であり、名称は「給与所得等に係る特別市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書」とされています。

毎年、1月末を期限とし、勤務先から前年の給与支払報告書が市町村に送付されます。そこで税額を決定後、5月頃に特別徴収税額決定通知書と納付書が勤務先へ送付され、6月より給与から源泉徴収が行われます。

文書の名称が、厳密には普通徴収と特別徴収で異なることは、おわかりいただけたと思います。ここでは、煩雑を避けるため、住民税決定通知書で統一して説明していきます。

住民税決定通知書の用途

住民税決定通知書は、どのような用途があるのでしょうか。自分がいくら住民税を支払っているのか、確認するのに使うのが本来の用途になります。

また、住民税は前年度の所得をもとに算出されているため、年収を概算することが可能です。そこで、自治体という公的機関が年収を証明する書類という役割も果たします。

1.住宅ローンの申込手続

金融機関に住宅ローンの申込をする際、住民税決定通知書の提出を求められることがあるのは、そのためです。個人事業主の場合は、自治体から本人宛に送付されていますから、こうしたケースを想定してきちんと保存しておくことが大切です。

会社員の場合は、勤務先に送付されており、一般的には会社から本人に交付していると思われます。もし、会社から渡されていなければ、請求する必要があります。

また、夫婦共働きでふたりの収入を合算して住宅ローンの借入をしようとする場合は、夫婦ふたりの住民税決定通知書を求められることになります。

住宅ローンでは、収入合算ではなく、夫婦それぞれが各自の収入を基準に互いが連帯保証人となってひとりずつローンを組む「ペアローン」という方法がありますが、この場合も夫婦ふたりの住民税決定通知書が必要です。

なお、金融機関がほしいのは、借入人の年収の証明ですので、やはり市町村で発行する「所得・課税証明書」でも構わないとする場合もあります。

2.ふるさと納税による控除額の確認

最近、人気のふるさと納税ですが、そのメリットは寄付先の自治体から特産品や宿泊券だけでなく、給与収入による控除上限額の範囲内での寄附であれば、税金が控除されて実質的な自己負担は2,000円だけになります。

ふるさと納税で間違いなく、税金が控除されているのか、初めてふるさと納税をした方は不安になることもあるでしょう。住民税決定通知書を確認することで、その不安を払拭することができます。ただし、ふるさと納税には、「ワンストップ特例制度」を利用して行う場合と、「確定申告」で控除する場合のふたつの方法があり、控除の確認方法は、どちらの手続で行ったかによって異なります。

具体的な確認方法については、後述します。

住民税決定通知書の入手方法

おさらいになりますが、住民税決定通知書は、個人事業主と会社員では住民税の納付方法が異なるため、その入手方法が異なります。

個人事業主の場合は、住民税を普通徴収として納付するため、住民税決定通知書は直接、送付されてきます。一方、会社員の場合は、住民税は特別徴収です。住民税決定通知書は、本人ではなく、住民税を源泉徴収する勤務先に送付されます。会社から配布されない場合は、請求して入手することになります。

なお、会社員であっても、住民税決定通知書が直接、本人に送付されてくる場合があります。例えば、休職等で給与から源泉徴収できない状態になった場合のほか、勤務形態によって特別徴収ができない場合などが考えられるでしょう。

住民税課税通知書が届いた際の確認事項

次に住民税決定通知書の見方について説明していきましょう。ここでは、会社員の場合の「給与所得等に係る特別市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書」を取り上げます。

まず、通知書全体を挙げ、確認すべき5つの項目を示してみましょう。
住民税課税通知書
住民税課税通知書(2)
引用:個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-|総務省

では、①の「所得」欄からみていきます。
住民税課税通知書の所得欄
引用:個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-|総務省

給与所得は、給与収入から必要経費に相当する額を差引いて計算します。会社員のような給与所得者の場合、必要経費に代わるものとして、収入金額に応じた給与所得控除を差引いて算出しますが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて決められています。

給与収入以外にも収入がある場合は「その他の所得」に金額が記載されます。給与所得とその他の所得計を合算したものが「総所得金額①」となります。

次に、②の「所得控除」欄について説明します。
住民税課税通知書の所得控除欄
引用:個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-|総務省

所得控除欄には、個人の実情に合わせて所定の金額を所得金額から差引く金額が記載されます。基礎控除配偶者控除社会保険料控除等14種類の控除があります。

所得控除の合計金額は、「所得控除合計②」に記載されています。
住民税課税通知書の課税標準欄
引用:個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-|総務省

③の「課税標準」欄には、①所得欄の「総所得金額①」から②所得控除欄の「所得控除合計②」を差引いた「総所得③」が記載されています。これが税額計算の基礎となる額です。
住民税課税通知書の摘要欄
引用:個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-|総務省

④の摘要欄は、ふるさと納税をした場合に確認が必要となります。「ワンストップ特例制度」を利用した場合には、「寄附金税額控除 市民税○○円 県民税○○円」という記載があります。控除されている市民税と道府県民税(東京都は都民税)の合計金額が「寄附金額-2,000円」となっていることを確認しましょう。間違いなければ、控除がなされたことで自己負担は2,000円だけですんだことになります。

「確定申告」した場合には、ふるさと納税の控除は「住民税」と「所得税」の双方で行われます。自己負担が2,000円のみであることを確認するには、住民税決定通知書だけでなく、前年の確定申告書の控えも必要になります。

所得税の税率については、確定申告書の「課税される所得金額」の金額が当てはまる「税率」を次の所得税の速算表でみつけます。

課税される所得金額
税率
控除額
1,000円から1,949,000円まで
5%
0円
1,950,000円から3,299,000円まで
10%
97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで
20%
427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで
23%
636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで
33%
1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで
40%
2,796,000円
40,000,000円以上
45%
4,796,000円

引用:No.2260 所得税の税率|国税庁

所得税からの控除額を計算します。

所得税からの控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」×1.021(復興特別所得税)

③「摘要」欄の「寄附金税額控除 市民税○○円 県民税○○円」という記載を確認します。

控除されている市民税と道府県民税の合計金額を計算し、「寄附金額―2,000円」となっていれば、控除されたことで自己負担は2,000円だけですんだことになります。

最後に⑤の「税額」欄についてみていきます。
特別徴収税額決定通知書の税額欄
引用:個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-|総務省

課税標準で計算した課税所得に対して、住民税と道府県民税のそれぞれについて、所定の税率を乗じた額が「市町村・税額控除前所得割額④」「道府県・税額控除前所得割額④」として記載されています。

ふるさと納税や住宅ローンでの控除はここから差引かれて、それぞれ「⑥所得割額」に記載されているはずです。

住民税決定通知書が手元にない場合

住民税決定通知書をどのように入手するかはすでに述べてきた通りです。しかし、個人事業者で住民税決定通知書が届いていないケースがまったくないとは言い切れません。会社員の場合も勤務先からもらっていないことも考えられます。また、紛失してしまったということもあるかもしれません。

住民税決定通知書が必要な場合、どうすればよいのでしょうか。

住民税決定通知書が届いていないときは?

個人事業主であれば、本当に届いていないのか、しっかり確かめたうえで市町村の税務課等の担当部署に確認する必要があります。

普通徴収は、本人が手続をするため、住民税決定通知書と一緒に送付される納付書が手元にない状態を放置していると、納税し忘れてしまう可能性があります。確認を怠らないようにすることが大切です。何らかの手違いで送付されていなければ、手続をとってもらえるでしょう。送付済みということであれば、後述する再発行の問題となります。

会社員の場合は、勤務先が送付すことを失念している可能性が高いと思われます。市民税の担当部署に問い合わせてみましょう。

住民税決定通知書をなくした場合の再発行は可能?

では、紛失してしまったことが明らかな場合はどうすべきなのでしょうか。結論からいえば、残念ながら住民税決定通知書は再発行してもらえません。

住宅ローンの手続では、金融機関は「所得・課税証明書」で前年の収入は証明されますので代用で支障はないと思われます。

また、「所得・課税証明書」には、住民税決定通知書に記載されている項目のすべてが証明事項となっていますので、ふるさと納税の控除の確認もできます。発行の申請は、市民税の担当部署になりますが、手数料がかかります。

住民税決定通知書の内容を確認しましょう

住民税決定通知書がどのような文書なのか、詳しく解説してきました。個人事業主の場合は、納付書と一緒に送付される大切な書類です。紛失することのないように保管しましょう。会社員の方も勤務先まかせにせず、手渡されたら、内容をしっかりと確認することを心がけてください。

よくある質問

住民税決定通知書とは何ですか?

住所地の自治体が前年の所得をもとに算出し、決定した住民税の税額を通知する書類のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

住民税決定通知書は、どのようなときに必要になりますか?

住宅ローンの借入の手続やふるさと納税の控除を確認する際に必要となります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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