• 更新日 : 2024年1月19日

ATS(採用管理システム)とは?意味や選び方を解説!

ATS(採用管理システム)とは?意味や選び方を解説!

企業における人材採用の効率化は、競争優位を築く鍵となります。最近、注目されているATS(採用管理システム)は、そのための最先端のツールといえるでしょう。

この記事では、ATSの基本的な意味やその注目されている背景、主要機能、選び方のポイント、そして導入のメリットとデメリットを詳しく解説します。

ATS(採用管理システム)とは?

まず、ATS(採用管理システム)とは、どのようなものなのか、最初に概要を解説しましょう。

Applicant Tracking Systemの略

ATSとは、「Applicant Tracking System」の略称です。人材採用のプロセスを効率化し、管理を簡素化するためのツールです。このシステムは、求職者の情報の追跡、選考過程の管理、通信の自動化などを実現します。企業はATSを使用することで、履歴書や職務経歴書のスクリーニング、適切な候補者の選出、スケジュール調整、面接プロセスの管理などを一元化できます。

これにより、人事部門の負担を軽減し、より適切な人材を迅速に採用することが可能になります。また、データベース化された候補者情報の活用により、将来的な採用活動にも効率的に対応できるようになります。

ATS(採用管理システム)が注目されている背景

ATSが注目されている背景には、労働市場の変化とテクノロジーの進化があります。グローバル化の進展や多様な働き方の普及により、企業は多種多様な人材を求めるようになりました。このような状況の中、効率的かつ迅速な人材の発掘と採用が企業の競争力を左右する重要な要素となっています。

また、デジタル化が進む中で、人事部門もデータ駆動型の意思決定を行う必要が増しており、ATSはその助けとなるツールです。ATSは、大量の応募データを処理し、最適な候補者を効率的に選出することが可能です。さらに、コミュニケーションの自動化により、候補者との円滑なやり取りを実現し、採用プロセス全体の透明性と効率性を高めています。

このように、ATSは現代のダイナミックな労働市場において、企業の人材採用戦略における重要な役割を担っています。

ATS(採用管理システム)の機能

今、注目されているATSですが、どのような機能があるのでしょうか。ここでは4つの機能について詳しく見ていきます。

求人の管理

求人管理機能は、採用プロセスの初期段階で非常に重要な役割を果たします。この機能を使うことで、企業は複数の求人を効率的に作成や公開、管理ができます。具体的には、求人のテンプレートを使用して新しい求人情報を簡単に作成し、それをさまざまな求人サイトや企業のキャリアページに一括で掲載することが可能です。

また、求人ごとの応募状況の追跡や、応募者がどの広告経由で応募してきたかを分析することもできます。この機能は、採用活動におけるコストと時間の削減、そして効果的な求人広告の展開に貢献します。さらに、適切な求人情報のターゲティングにより、質の高い候補者の応募を促すことができます。

情報の管理

情報管理機能は、応募者データの組織的な管理を可能にします。このシステムでは、応募者ごとに詳細なプロフィールが作成され、履歴書や職務経歴書、面接メモなどの情報が一元的に保存されます。応募者の情報は、キーワード検索やフィルタリング機能を使って簡単に検索できるため、特定のスキルや経験を持つ候補者を迅速に見つけることが可能です。

また、応募者選考の進行状況をリアルタイムで追跡し、各段階での状態を確認できます。情報管理機能は、大量の応募データを効率的に処理し、選考プロセスの透明性を高めることに寄与します。これにより、人事担当者は候補者とのコミュニケーションを改善し、より適切な採用決定を下すことが可能になります。

選考の管理

選考管理機能は、採用プロセスの中核を成す部分です。この機能により、応募者の選考過程を段階ごとに追跡し、管理することができます。応募者が初めて応募した時点から面接、最終選考に至るまでの各ステップがシステム上で可視化され、人事担当者はこれらの情報に基づいて適切なアクションを取ることができます。

例えば、応募者ごとに面接日時の設定、評価の記録、フィードバックの共有などがシステム内で一元管理され、選考過程の効率化と透明性の向上が図られます。また、ATSは、各候補者の選考状況に応じて自動的に通知を送る機能も備えており、スムーズなコミュニケーションを促進します。このように、選考管理機能は、選考プロセスの効率化と候補者体験の向上に寄与します。

内定者の管理

内定者の管理機能は、選考プロセスを終え、候補者が内定を受けた後の段階に重点を置いています。この機能により、内定者の情報をシステム上で管理し、入社に向けた各種手続きの進行状況を把握できます。例えば、内定者に対するオファーレターの発送や入社日の確認、必要な書類の提出状況、オンボーディングプロセスの進捗管理などが含まれます。

また、内定者との連絡や情報共有もシステムを通じて行われ、内定者のエンゲージメントを高めることができます。さらに、ATSを通じて内定者の管理状況をフィードバックし、将来の採用プロセスの改善に役立てることも可能です。内定者の管理機能は、内定者が入社後、スムーズに職場に溶け込み、効率的に業務を開始できるようにサポートする重要な役割を果たします。

ATS(採用管理システム)の選び方・ポイント

ATSのサービスを提供する企業は多数あります。実際にATSを導入する場合、どのようなことに注意すべきか、その選び方とポイントについて確認していきましょう。

注力する領域にマッチしているか(雇用形態・求める人材など)

ATS(採用管理システム)の選び方で重要なポイントの一つは、そのシステムが企業の注力している領域に適しているかどうかです。具体的には、企業が求める雇用形態や人材の特性に合致した機能を持つシステムを選択することが重要です。

まず、雇用形態に着目しましょう。正社員採用に注力している企業は、長期的なキャリア形成やスキルの成長を見据えた採用プロセス管理が必要です。一方で、アルバイトや契約社員を多く雇用する企業では、迅速な採用プロセスや短期間での人材評価が重視されるでしょう。したがって、企業の雇用形態に適した機能を持つATSを選ぶことが求められます。

次に、求める人材の特性に合わせた機能の選定も大切です。例えば、技術職や専門職を多く採用する企業は、特定のスキルや資格を持つ候補者を効率的に探し出す機能が有効です。一方で、営業職やカスタマーサポートなど、人間性やコミュニケーション能力が重視される職種では、面接プロセスの管理や評価機能が充実しているシステムが適しています。

最後に、企業の規模や業務の特性を考慮したシステム選びも重要です。大企業では大量の応募を効率的に管理するための高度な機能が求められることがありますが、中小企業ではよりシンプルで使いやすいシステムが好まれる傾向にあります。また、国際的な採用を行う企業では、多言語対応や異文化間コミュニケーションのサポートが可能なシステムが望ましいでしょう。

効率化したい業務に適しているか

ATSを選ぶ際、そのシステムが企業の効率化したい業務に適しているかどうかも重要なポイントです。まず、自社の採用プロセスを分析し、どの業務が時間を取られているか、どの部分で効率化が必要かを明確にします。例えば、求人の掲載や履歴書のスクリーニング、面接のスケジュール調整、応募者とのコミュニケーションなどが挙げられます。

次に、市場にあるATSの中から、これらのニーズに合致する機能を持つものを選びます。例えば、自動化された応募者追跡や効率的なスクリーニングツール、面接スケジューラーなどが必要かもしれません。また、企業の規模や採用する職種や職位に応じて、必要な機能が異なる場合もあります。効率化を図りたい業務に対して、最適な機能を提供できるATSを選ぶことが、最終的な採用成功につながります。

導入のサポートはあるか?

さらに、重要なポイントとして、システムの導入と使用におけるサポートの有無です。ATSの導入は、単にソフトウェアを購入するだけでなく、組織の採用プロセスに合わせて適切に設定し、社内での利用を促進する必要があります。したがって、導入サポートや採用担当者に対するトレーニングが提供されるかどうかは、非常に重要です。このサポートには、システムの設定や機能の使い方、トラブルシューティング、アップデートに関する情報提供などが含まれる場合があります。

また、サポートの質や利用可能な時間、言語なども考慮すべき要素です。良いサポートサービスは、ATSの効果的な運用を保証し、ユーザーの不明点や問題を迅速に解決することで、全体的な採用プロセスの質を高めることに貢献するでしょう。したがって、サポートの質と範囲を確認し、組織のニーズに合致するかどうかを検討することが重要です。

サービス連携

サービス連携も重要な項目です。ATSは採用プロセスを効率化し、管理を容易にするツールですが、他のビジネスツールやプラットフォームとの連携能力が高ければ高いほど、その効果は大きくなります。

特に、求人広告や採用ポータルとの連携が重要です。多くのATSは、主要な求人広告サイトやキャリアポータルと連携し、一元管理下で求人情報を配信できる機能を持っています。この連携により、求人の公開や応募者情報の収集がスムーズになり、効率的な採用活動を支援します。また、人事管理システム(HRM)や給与計算システムとの連携も大切です。採用プロセスが完了し、候補者が社員として入社する際、人事情報の移行が必要となります。ATSとこれらのシステムが連携している場合、情報の自動転送や更新が可能となり、手作業によるミスを減らし、時間を節約できます。

さらに、メールシステムやカレンダーシステムとの連携も求められます。面接日程の調整や通知を自動化できれば、採用担当者の負担が大幅に軽減されます。候補者への返信やフォローアップが迅速になり、良好な候補者体験を提供できるでしょう。最近ではソーシャルメディアとの連携も重視されています。LinkedInやFacebookなどのプラットフォームとの連携により、より広範な候補者層にアプローチでき、効果的な採用管理が可能になります。

セキュリティ対策

ATSを選ぶ際には、セキュリティ対策も不可欠な検討事項です。ATSには個人情報や機密情報が含まれるため、データの安全性を確保するための厳格なセキュリティ対策が必要になります。まず、提供されるセキュリティ機能、例えばデータ暗号化やアクセス制御、二要素認証、定期的なセキュリティアップデートなどがあるかどうかを確認します。また、サービスプロバイダがデータ保護に関する規制や基準(GDPRやその他の地域固有のプライバシー法規など)を遵守しているかどうかも重要です。

さらに、サーバーの物理的なセキュリティや、万が一のデータ漏洩やシステム障害時の対応計画の有無も確認する必要があります。セキュリティ対策は、ATSを安心して使用するための基盤を提供し、企業の信頼性を保つ上で不可欠です。したがって、セキュリティ機能とその運用ポリシーを詳細に検討することが大切になります。

ATS(採用管理システム)を導入するメリット

ここでは、あらためてATSを導入するメリットについて、3つ紹介します。

採用候補者の一元管理

ATSを導入する主要なメリットの1つ目として、採用候補者の情報を一元管理できることです。ATSは、応募者の履歴書、職務経歴書、面接のフィードバック、通信記録など、候補者に関するすべての情報を一つのシステム内で管理します。これにより、応募者の情報を簡単に検索、アクセスし、選考過程を迅速に進めることが可能になります。

さらに、ATSは応募者の追跡とステータス管理を自動化できます。応募者が採用プロセスのどの段階にいるかをリアルタイムで把握できるため、採用担当者は選考プロセスを効率的に進め、適切なタイミングで応募者とのコミュニケーションを取ることができるようになるのです。

選考情報を社内共有できる

2つ目のメリットとしては、選考情報を社内で容易に共有できる点です。採用プロセスには多くの場合、異なる部門やチームメンバーが関与します。ATSを利用すると、各応募者の選考状況や面接評価、通信記録などの重要な情報をリアルタイムで共有できます。これにより、チーム間のコミュニケーションが向上し、候補者選考における一貫性と公正性が保たれます。

また、関係者全員が最新の情報にアクセスできるため、誤解や情報の齟齬を防ぐことができます。選考プロセスの各段階での情報共有は、迅速かつ効果的な意思決定を促進し、採用の質を高めることに寄与します。

情報更新の早さ

3つ目のメリットは、情報更新の速さです。採用プロセスは動的で、応募者の状況や選考の進行に伴い、情報が頻繁に変化します。ATSを利用すると、応募者のステータス更新や新たな面接フィードバック、追加の応募者情報などがすぐにシステムに反映されます。これにより、人事担当者は常に最新の情報に基づいて行動を取ることができ、迅速かつ適切な採用決定を支援します。ATSは通常、自動通知機能を備えており、重要な更新があると関係者に即時に知らせることができます。このように、情報の迅速な更新は、効率的な選考プロセスを実現し、採用活動の全体的なパフォーマンスを向上させる重要な要素です。

ATS(採用管理システム)を導入するデメリット

ATSには、上記のようなメリットがある一方、デメリットがあることも知っておく必要があります。ここでは、2つのデメリットを挙げます。

運用がうまくいかない場合にコストになる

ATSを導入する際の潜在的なデメリットの1つ目は、運用がうまくいかない場合にコストが増大することです。ATSの導入には初期投資が必要であり、システムの設定や従業員のトレーニング、継続的なメンテナンスにもコストがかかります。もしシステムが企業の具体的なニーズに合致していない、または社内で十分に活用されていない場合、これらの投資は無駄になる可能性があります。

また、システムの複雑さや不具合が頻繁に生じる場合、追加のトレーニングやサポートが必要になり、さらなるコストが発生することもあるでしょう。適切なATSの選定と効果的な運用計画がなければ、高いコストを負うリスクがあります。したがって、ATS導入のコストと潜在的なリターンを慎重に検討し、運用計画を事前に策定することが重要です。

導入効果の実感までに時間がかかる

ATS導入の2つ目のデメリットは、その効果を実感するまでに時間がかかることがある点です。新しいシステムの導入は、従来の採用プロセスを大きく変更することを意味し、従業員にとっては新しい操作方法やプロセスの学習が必要になります。このため、システムのフル活用には一定の時間と努力が必要となります。

ATSが十分な効果を発揮するためには、データの正確な入力や適切な運用方法の確立が不可欠であり、これには時間がかかることがあります。さらに、システムの導入初期には技術的な問題やユーザーの不慣れによる障害が生じる可能性もあり、このような問題を解決するためには追加の時間とリソースが必要です。結果として、導入後すぐに大きな効果が得られるとは限らず、持続的な効果を実感するまでには時間が必要になることがあるでしょう。

効果的なATS選定で採用成功への道を切り開こう!

ATSは、採用プロセスの効率化、透明性の向上、そして最適な人材の確保に大きな役割を果たします。適切なシステムの選定と効果的な運用により、採用業務の質とスピードが向上しますが、その一方、導入のコストや運用の複雑さも考慮する必要があります。

導入を検討する際には、企業のニーズに合わせて最適なATSを選ぶことが、採用戦略の成功への決め手となるでしょう。


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