• 更新日 : 2023年3月24日

育児休業給付金の計算方法 – いつの給与までが対象になる?

育児休業給付金の計算方法 - いつの給与までが対象になる?

育児休業は、子どもが1歳(一定の条件を満たした場合は2歳まで)取得できます。また、育児休業期間中は通常は給与は無給になりますが、雇用保険から育児休業給付金を受けることができます。

今回は、育児休業給付金とは何かを再確認し、育児・介護休業法の改正による育児休業給付金の影響、支給額の計算方法や手続きについて見ていきます。

育児休業給付金とは?

育児休業給付金は、雇用保険に加入している被保険者が育児休業を取得して給与が一定以上支払われなくなった場合に、雇用保険から給付される給付金のことです。

育児休業給付金には、出生時の育児休業期間を対象に支給される「出生時育児休業給付金」と育児休業期間中に支給される「育児休業給付金」があります。

育児・介護休業法の改正ポイントおさらい

2022年4月から育児・介護休業法の改正が段階的に施行されています。今回の改正は特に男性の育児休業制度が大きく見直されています。

育児・介護休業法の改正についてのポイントは、下記のようになります。

※2022年4月1日の改正

  • 雇用環境整備や個別の周知・意向確認の措置の義務化
  • 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

※2022年10月1日の改正

  • 「産後パパ育休」制度の開始
  • 育児休業の分割取得
  • 育児休業給付に関する規定整備

※2023年4月1日より

  • 育児休業の取得状況を公表するよう企業に義務付け

詳しい内容はこちらでご確認ください。

育児休業給付金の計算方法

ここからは、育児休業給付金と出生時育児休業給付金の計算方法について見ていきます。出生時育児休業給付金、育児休業給付金は、ともに休業した日についての給付金ですので、休業開始日から休業終了日までの分が支給対象になります。

出生時育児休業給付金の計算方法

出生時育児休業給付金の支給額は、原則として、

「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(上限は28日)×67%」

です。

※休業開始時賃金日額は、申請の際に提出する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」で、育児休業を開始する前6カ月間の賃金を180で割った金額です。

※休業開始時賃金日額の上限額は15,190円(ただし令和5年7月31日まで)です。

出生時育児休業給付金の上限額は、15,190円×28日×67%=284,964円になります。

※出生時育児休業期間に会社から賃金が支払われた場合は、支払われた賃金の額により支給額が変わります。

  • 休業開始時賃金日額×休業期間の日数の13%以下の場合
    → 休業開始時賃金日額×休業期間の日数×67%
  • 休業開始時賃金日額×休業期間の日数の13%超から80%未満の場合
    → 休業開始時賃金日額×休業期間の日数×80%-賃金額
  • 休業開始時賃金日額×休業期間の日数の80%以上の場合
    → 出生時育児休業給付金は支給されません。

例えば、休業開始時賃金日額が9,000円で15日間の出生時育児休業を取得した場合

育児休業を開始した場合、賃金が全く支払われていなければ、
支給額=9,000円×14日×67%=84,420円になります。

育児休業給付金の計算方法

育児休業給付金の支給額は、支給対象期間(1カ月)について、原則として、

「休業開始時賃金日額×休業期間の日数×67%(育児休業開始日から181日目以降は50%)」

です。

※休業開始時賃金日額は、申請の際に提出する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」で、育児休業を開始する前6カ月間の賃金を180で割った金額です。

※支給日数は原則30日間です。ただし、休業終了日を含む休業期間の日数は休業終了日までの日数になります。

※休業開始時賃金日額の上限額は15,190円、下限額は2,657円(それぞれ令和5年7月31日まで)です。

支給日数が30日の場合、支給上限額と支給下限額は次のようになります。
(給付率67%) 支給上限額 305,319円  支給下限額 53,405円
(給付率50%) 支給上限額 227,850円  支給下限額 39,855円

※育児休業期間に会社から賃金が支払われた場合は、支払われた賃金の額により支給額が変わります。

  • 休業開始時賃金日額×休業期間の日数の13%以下の場合
    → 休業開始時賃金日額×休業期間の日数×67%
  • 休業開始時賃金日額×休業期間の日数の13%超から80%未満の場合
    → 休業開始時賃金日額×休業期間の日数×80%-賃金額
  • 休業開始時賃金日額×休業期間の日数の80%以上の場合
    → 育児休業給付金は支給されません。

例えば、休業開始時賃金日額が9,000円(賃金月額が270,000円)の場合
育児休業を開始した場合、賃金が全く支払われていなければ、

  • 育児休業開始日から180日目までで休業日数が30日の場合の計算
    支給額=9,000円×30日×67%=180,900円
  • 育児休業開始日から181日目以降で休業日数が30日の場合の計算
    支給額=9,000円×30日×50%=135,000円

になります。

育児休業給付金を受け取るための手続き – 企業と従業員

ここからは、出生時育児休業給付金、育児休業給付金を受け取るための手続きについて解説します。

出生時育児休業給付金の手続き

【必要書類】

◆会社

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書
  • 賃金台帳、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書など、出生時育児休業を開始した日と終了した日、賃金額、支払い状況がわかるもの

◆従業員

  • 払渡希望金融機関指定届
  • 母子健康手帳、医師の診断書など、出産予定日ならびに出産日を確認できる、いずれかのもの(コピー可)

【手続きの流れ】

  1. 受給予定の従業員が会社に出生時育児休業の申し出を行います。
  2. 従業員が必要な書類を会社に提出します。
  3. 会社が必要な書類をそろえて管轄のハローワークに提出します。
  4. 審査が承認されたら出生時育児休業給付金が支払われます。

育児休業給付金の手続き

【必要書類】

◆会社

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
  • 賃金台帳、出勤簿、タイムカードなど、育児休業を開始した日と終了した日、賃金額、支払い状況がわかるもの

◆従業員

  • 払渡希望金融機関指定届
  • 母子健康手帳など、育児の事実、出産予定日ならびに出産日を確認できるもの(コピー可)

【手続きの流れ】

  1. 受給予定の従業員が会社に出生時育児休業の申し出を行います。
  2. 従業員が必要な書類を会社に提出します。
  3. 会社が必要な書類をそろえて管轄のハローワークに提出します。
  4. 審査が承認されたら育児休業給付金が支払われます。

その後は、1〜2カ月に1回、支給申請手続きを行います。

【育児休業給付金はいつまでもらえるか】

原則は、子どもが1歳になる日の前日まで支給されます。

しかし、一定の要件を満たした場合には、最長で1歳6カ月または2歳になる日の前日まで受けられる場合があります。

育児・介護休業法の改正を確認して正しく給付金を受給しましょう

育児休業給付金は、法改正により、育児休業給付金の他にも出生時育児休業給付金を受け取ることができるようになりました。

支給要件や必要書類を確認して、正しく出生時育児休業給付金や育児休業給付金を受けられるように手続きを行っていきましょう。

よくある質問

育児休業給付金とは何か教えてください

育児休業給付金とは、雇用保険に加入している労働者が支給要件を満たした場合に雇用保険から給付される給付金のことです。育児休業給付金には、「出生時育児休業給付金」と「育児休業給付金」があります。詳しくはこちらをご覧ください。

育児休業給付金の計算方法について概要を解説してください

出生時育児休業給付金は、原則、「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(上限28日)×67%」です。育児休業給付金は、原則、「休業開始時賃金日額×休業期間の日数×67%(181日目以降は50%)」です。詳しくはこちらをご覧ください。


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