- 更新日 : 2022年4月15日
年末調整手続きの電子化とは?方法やメリットについてわかりやすく解説!
年末調整といえば、従業員から紙で書類や控除証明書を受け取る必要があるなど、多くの労力がかかるものでした。しかし、今は、年末調整も電子化がされており、年末調整にかかる手間が削減できます。
ここでは、年末調整の電子化や「そのメリットとは何か?」といったこと、年末調整をするために申請が必要なのか、どのような給与システムやソフトを使えばよいのか、マイナポータルとの関係などについて、詳しく解説します。
目次
年末調整手続きの電子化とは?
はじめに、年末調整手続きの電子化とはどのようなものかを見ていきましょう。
年末調整手続きの電子化とは、簡単にいうと、年末調整手続きをデータで処理することです。これまでの年末調整では、まず会社が年末調整をするために必要な書類を入手して従業員に渡し、後日必要事項を記載した年末調整関係書類を従業員から回収していました。このように、手間がかかっていましたが、それらをすべてデータとして処理できるようになりました。
年末調整の詳しい内容については、次の記事で解説しているので、ご参照ください。
年末調整を電子化するメリットは?
年末調整を電子化には、会社側、従業員側の双方でメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。
紙をなくし、ペーパーレス化ができる(会社側のメリット)
会社側のメリットとしてあげられるのが、ペーパーレス化ができることです。
これまでは、年末調整をするために必要な書類を入手したり、それを従業員に配布、回収したりするなどの手間がかかっていました。しかし、年末調整を電子化することで、それらの作業を削減できます。
また、ペーパーレス化により、書類の保管場所を確保する必要もなくなります。控除証明書などをデータで受け取れば、添付書類等の確認などの作業も削減されるメリットがあります。
手書きの作業を省略できる(従業員側のメリット)
従業員側のメリットとしてあげられるのが、手書きの作業を省略できることです。
従来、従業員は年末調整書類を手書きで作成したり、控除額を自分で計算したりする必要がありました。年末調整を電子化すれば、これらはデータとして会社に提出するため、手書きの作業をする手間がなくなります。
また、控除証明書をなくした場合の保険会社などへの再発行の手続きも、簡素化されるメリットがあります。
年末調整の電子化に向けて準備すべきことは?
年末調整の電子化には、多くのメリットがあります。では、年末調整を電子化するためには、どうしたら良いのでしょうか。
ここでは、年末調整の電子化に向けて準備すべきことについて見ていきましょう。
承認申請書の提出
年末調整の電子化をするためには、税務署に事前に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、所轄税務署長から承認を受ける必要がありました。
しかし、令和3年の税制改正で、令和3年4月1日以降に従業員から年末調整の書類をデータで受け取る場合、承認申請書の提出は不要となっています。
給与システムの改修
年末調整の電子化では、従業員から年末調整申告書データや控除証明書等データを受け取る必要があります。
ただし、データを使って年末調整をするためには、従業員から受け取ったデータを会社の給与システムで取り込まなくてはいけません。そこで、こられのデータを読み込む(インポート)するための改修が必要です。どのような改修が必要なのかは給与システムによって異なるため、事前に給与システム会社に相談しておく必要があります。
従業員への周知
年末調整の電子化の導入には法律上、事前に従業員からの同意が必要かといえば、必ずしもそうではありません。しかし、年末調整の電子化では、従業員に控除証明書等のデータを取得するなどの作業が必要となり、実務上はその準備のために従業員への周知が必須になります。
従業員は控除証明書等のデータを取得する必要がある
年末調整では、従業員は自分で、控除証明書等のデータを取得する必要があります。控除証明書等のデータを取得するための方法には、次の2つの方法があります。
①保険会社のホームページから取得する方法
保険会社のホームページなどから、控除証明書等のデータを取得します。具体的な取得方法は、契約者用の専用ページからダウンロードといった方法になりますが、各保険会社によって異なります。
保険会社のホームページからの取得方法が不明な場合は、各保険会社にお問い合わせください。
②マイナポータルに連携して一括取得する方法
マイナポータルがあれば、マイナポータルから一括して控除証明書のデータをダウンロードできます。そのためには、事前にマイナポータルアプリのダウンロードやマイナンバーカードの取得、マイナンバーカードに対応したスマホの用意が必要です。マイナポータルに連携して一括取得する手順は次の通りです。
(1)マイナポータルで利用者登録
マイナポータルのガイドに従い、利用者登録を行います。
(2)マイナポータルと民間送達サービスの連携
マイナポータル画面の「もっとつながる」から民間送達サービスのアカウントを開設します。
(3)控除証明書等データ取得のための設定
保険会社のホームページなどで、契約している保険の証券番号などを入力するなど、控除証明書のデータがマイナポータルに届くための設定を行います。設定方法は各保険会社で異なります。
年末調整ソフトを選ぶときのポイントは?
年末調整のソフトを選ぶ際には、まず、年末調整の電子化に対応しているものを選びます。最新の製品であれば問題ありませんが、古いソフトの場合は、年末調整の電子化に対応していないものもあります。
また、初めて年末調整の電子化をする場合は、設定方法など不明な点も多く出てきます。そのため、サポートがしっかりしているソフト会社の年末調整ソフトを選んだほうがよいでしょう。
年末調整の電子化に向けてきちんと準備しましょう
年末調整の電子化は、会社にとっても従業員にとっても、メリットの大きなものです。しかし、事前準備をきちんとしておかないと、いざ年末調整のときに、電子化がうまくいかないこともあります。
年末調整の電子化の準備には、会社、従業員それぞれで対応しなければならないがあります。年末調整の電子化を考えている場合は、早急に準備にとりかかるようにしましょう。
年末調整の電子化にはクラウドサービスを活用しよう
年末調整の電子化を進めるうえで、クラウドサービスを一つの選択肢として検討してみるのも良いでしょう。
クラウドサービスのうち、マネーフォワード クラウド年末調整を使用すれば、年末調整の書類配布から入力、回収、提出までがWeb上で完結します。
従業員は質問に答えるだけで入力作業が完了でき、労務担当者も提出状況のステータス管理をWeb上で行いながら、スムーズに業務を進めることができます。さらに、書類回収後に発生する年税額の自動計算や訂正や修正、行政機関への電子手続きもクラウド年末調整を使って対応可能です。
製品の詳しい機能や使い方については、企業担当者さま向けのオンライン個別説明会を行っておりますので、まずは気軽にお問い合わせください。
よくある質問
年末調整手続きの電子化とは何ですか?
年末調整手続きの電子化とは、簡単にいうと、年末調整の手続きをデータで処理することです。詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整を電子化するメリットは?
ペーパーレス化ができる、手書きの作業を省略できるなどのメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整の電子化に向けて準備すべきことは?
給与システムの改修や従業員への周知が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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