• 更新日 : 2023年11月10日

年末調整での年税額の計算方法を紹介!算出所得税額の速算表の見方も

年末調整での年税額の計算方法を紹介!算出所得税額の速算表の見方も

年末調整では、最終的に計算した所得税の金額と月々の給与から源泉徴収された税額を精算します。年税額とはその年の給与に対して算出した所得税額のことであり、年末調整で年税額を計算する際には、算出所得税額の速算表を使うと便利です。

年末調整での業務効率化のために、年末調整での年税額の計算方法と共に速算表の見方も紹介します。

年税額を計算する手順

年末調整は、最終的な年税額を計算することにより、算出された年税額と月々の給与から源泉徴収された税額を調整する役割があります。

年税額を計算する手順は、以下のとおりです。

  • 年末調整の対象となる給与、および源泉徴収した税額を集計する
  • 給与所得控除後の給与等の金額」を計算する
  • 扶養控除等の合計額を計算する
  • 「所得控除の合計額」を計算する
  • 課税所得金額」、および「算出年税額」を計算する
  • 最終的な年税額を計算する

これらを踏まえて、以下の算式にあてはめて計算します。

給与所得控除後の給与等の金額-所得控除(扶養控除などを含む)の金額=課税所得金額

この「課税所得金額」をもとに、国税庁が案内するパンフレット「年末調整のしかた」などに記載されている「年末調整のための算出所得税額の速算表」にあてはめ、年税額を算出します。

算出年税額-住宅借入金等特別控除額=最終的な年税額(年調年税額ともいいます)

ここで計算した最終的な年税額に復興特別所得税(2.1%)の金額を加算したものが従業員が1年間で支払うべき税額です。年末調整では、ここで算出した税額と月々の給与から天引きしていた源泉所得税の合計額との差額を計算し、1年間の最後に支払う給与や賞与を支給する際に精算します。

次の項目から、各計算方法について詳しく説明していきます。

算出所得税額の速算表の見方

所得税は、支払い能力に応じて負担する所得税額が多くなるよう、超過累進税率の方式を取っています。つまり、所得が多いほど税率が高くなり、支払う所得税が多くなるのが超過累進税率の特徴です。

従業員ごとに給与の金額は異なるため、年末調整では従業員ごとに所得税の金額を計算しなければなりません。しかし、国税庁が案内するパンフレット「年末調整のしかた」には、年末調整をする企業の担当者に便利な早見表がいくつか掲載されています。その早見表の1つが「算出所得税額の速算表」です。この速算表の見方がわかれば、課税所得金額から簡単に算出年税額を計算することができるようになっています。

年末調整のための算出所得税額の速算表

引用:令和5年分 年末調整のしかた|国税庁

課税(給与)所得金額(1,000円未満は切り捨て)が算出できたら、速算表に当てはめて税額と控除額を計算すれば、簡単に年税額を計算することができます。以下で具体的に計算してみましょう。

例えば、給与所得控除後の給与等の金額から各種所得控除の金額を差し引いた課税所得金額が350万円だったとします。

3,500,000円 × 税率20% - 控除額427,500円 = 272,500円

上記計算した年税額に住宅借入金等特別控除があれば差し引き、復興特別所得税(2.1%)の金額を加算したものが、従業員の1年間の給与収入に対する最終的な税額となります。

仮に速算表を使わなかったとしたらどうでしょう。速算表を使わずに計算すると以下のようになります。

A:1,950,000円 × 5% = 97,500円
B:(3,300,000円 - 1,950,000円) × 10% = 135,000円
C:(3,500,000円 - 3,300,000円) × 20% = 40,000円
D:A + B + C = 272,500円

課税(給与)所得金額を4段階に分けて計算することで所得税の年税額を計算しても、速算表を利用して計算しても同じ金額になることがわかるでしょう。少しでも手間を省くには、速算表を利用するのが早くて便利です。

給与と徴収税額の集計方法

まず、年末調整の対象となる金額の集計を行います。これらは、その年における各月の給与金額と、源泉徴収された税額を集計することで求められます。

  1. 本年中に支払が確定した給与については、すでに支払が行われているかどうかに関わらず、(未払)給与金額、(未払)徴収税額を集計に含める。食事の支給など現物給与については、課税対象である支給額、徴収税額を集計に含める
  2. 本年最後に支払う給与の税額は省略してもいいが、その場合、年末調整により一括精算される
  3. 年の中途で就職した人で、前職の勤務先からの給与がある場合は、前職の給与と源泉徴収された金額も合算して年末調整を行う
  4. 前年における年末調整による過不足金額を、本年に繰り越し精算されている場合でも、本年分の徴収税額には影響を与えない
  5. 2カ所以上から給与の支払を受けており、年の中途で「扶養控除等(異動)申告書」の提出先を変更した人は、変更以前に前の提出先から受けた給与と、後の提出先からの給与との合計額が年末調整の対象となる。

給与所得控除後の給与等の金額の計算方法

以上の方法により求められた年間の給与の総額で、「給与所得控除後の給与等の金額」を計算します。

詳しくは、国税庁が案内するパンフレット「年末調整のしかた」に記載されている「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を参照して下さい。

ただし、本年度の給与合計額が660万円以上の場合については、この表に該当するものがないため、以下のように表に記載されている算式を用い、計算します。

令和3年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表

引用:令和5年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表|国税庁

扶養控除額等の合計額の計算方法

配偶者控除や扶養控除、障害者控除は、申告者が提出した「扶養控除等(異動)申告書」に基づいて、国税庁が案内するパンフレット「年末調整のしかた」などに記載されている「扶養控除額及び障害者等の控除額の合計額の早見表」や「令和5年分の扶養控除額及び障害者当の控除額の合計額の早見表」にあてはめ、その合計額を算出します。

課税所得金額の計算方法

課税所得金額は、給与所得控除後の給与等の金額から、所得控除を差し引いて算出します。所得控除には、主に以下のような控除があります。

  1. 社会保険料等控除額
  2. 小規模企業共済等掛金控除
  3. 生命保険料控除
  4. 地震保険料控除
  5. 配偶者特別控除
  6. 配偶者控除額
  7. 扶養控除額
  8. 基礎控除

以上の方法を用いて算出した課税所得金額に1,000円に満たない端数が生じた場合は、端数を切り捨てます。

最終的な年税額の計算方法

課税所得金額に対して、国税庁が案内するパンフレット「年末調整のしかた」などに記載されている「年末調整のための算出所得税額の速算表」にあてはめて、所得税額を計算します。これを「算出年税額」といいます。

さらに、住宅借入金等特別控除を受ける人については、算出年税額から「住宅借入金等特別控除申告書」に記載されている控除額を差し引くと、最終的な年税額が確定します。住宅借入金等特別控除を受けない人は、「算出年税額」が、最終的な年税額となります。100円未満の端数が出た場合は切り捨てましょう。

年税額の計算を効率化するには、マネーフォワード クラウド年末調整がおすすめ

上記のように計算を行い、年税額を算出します。

国税庁のホームページ内の「年末調整のしかた」に詳しく記載されていますので、年末調整をされる際は、参考にしてください。昨年度との違いについても詳しく載っています。こちらも参考にしてみてください。

また、年税額の計算を効率化したいのなら、クラウドサービスの活用もオススメします。

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よくある質問

年税額を計算する手順について教えてください

年末調整の対象となる給与と源泉徴収税額を集計し、給与所得控除後の所得金額を求めます。そこから所得控除の合計額を差し引き課税所得金額を求めたら、算出所得税額の速算表を利用して年税額を計算しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

算出所得税額の速算表の見方について教えてください

課税(給与)所得金額が算出できたら、算出所得税額の速算表の所得金額の区分に当てはめて税額と控除額を計算すれば、簡単に年税額を計算することができます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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