• 更新日 : 2022年5月16日

年末調整の提出書類まとめ!同上の使い方など申告書の書き方を解説

年末調整の提出書類まとめ!同上の使い方など申告書の書き方を解説

年末が近づいてくると、会社の経理担当者から「年末調整のお知らせ」があります。書き方の案内など、日頃は見慣れない単語に難しさを覚える人もいるでしょう。年末調整は、1年間の所得税を確定させる大切な手続きです。書類に不備のないように提出しましょう。ここでは、年末調整の提出書類とその書き方について解説します。

年末調整は何のためにするの?

まず、何のために年末調整が必要なのでしょうか。
年末調整は、サラリーマンなど給与を受け取っている人が対象です。会社勤めの人の場合、毎月の給与や賞与が会社から支払われますが、その給与や賞与から、必ず「所得税」が天引きされて支払われます。

ただし、この月々の給与から天引きされている所得税は、正確な金額ではありません。毎月天引きされる所得税は、国税庁作成の源泉徴収税額表に基づいて計算されますが、その源泉徴収された税額の1年間の合計額は、毎月の支給金額と扶養人数をもとにした「概算」の源泉徴収税額です。

概算ということは、実際の年税額と一致するとは限りません。一致しない理由は人によって異なります。年の中途で給与の額に変動があること、年の中途で扶養親族の異動があること、生命保険料控除地震保険料控除など人によって所得控除できる金額がそれぞれ異なることが要因として挙げられます。

このような不一致を解消するためには、1月1日から12月31日までの給与が確定した時点で正確な情報をもとに源泉徴収税額を確定・精算することが必要です。この精算の手続きを「年末調整」と呼びます。
年末調整では、あらゆる控除額も踏まえて調整が行われます。扶養家族がいる場合は扶養控除を受けたり、生命保険料を支払っている場合は生命保険料控除を受けたりすることができます。

提出書類の詳細については、次の項目で解説します。

年末調整の提出書類をリストアップ

年末調整に必要な提出書類は、主に3つあります。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

※令和2年の改正により、新たに「給与所得者の基礎控除申告書」及び「所得金額調整控除申告書」が設けられました。

そして対象者のみが提出する、給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書があります。

また、ここで特に押さえておきたいのが、控除のために必要な提出書類です。

  1. 生命保険料控除証明のための保険会社からのハガキや電子発行データ
  2. 地震保険料控除証明のための保険会社からのハガキや電子発行データ
  3. 個人型の確定拠出年金の掛け金を証明する書類など
  4. 国民年金、国民健康保険など、社会保険料を証明する書類
  5. 配偶者特別控除に必要な源泉徴収票などの収入証明
  6. 住宅ローン控除に必要な住宅借入金等特別控除申告書、借入金の年末残高等証明書などの書類

控除についてあまり詳しく知らない人の中には、控除が受けられる保険料を払っていても、控除を受けていなかったというケースが多々あります。それは、これらの控除を受けるには自分から申告しなければならないためです。

なお、医療費控除寄付金控除は年末調整ではなく、自身で確定申告を行う必要があります。住宅ローンを利用してマイホームの購入や建築した場合など、住宅ローン控除を初めて受ける場合にも確定申告が必要です。

年末調整でわからないことがある方は、企業の経理担当者に、どのタイミングで書類を提出すればいいのかなど、きちんと聞いておきましょう。

年末調整に必要な提出書類の記入方法

控除に必要な年末調整の書類。今年はスムーズに記入したくはありませんか?ここでは、年末調整に必要な提出書類の記入方法をご紹介します。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

引用:令和4年度 給与所得者の扶養控除等 (異動)申告書|国税庁

こちらの書類には、市町村名や会社名、自分の名前や生年月日などを記入します。令和3年4月1日以降は、税務申告書類への押印が省略できるようになりました。

また、源泉控除対象配偶者に関しても記入をしていきます。源泉控除対象配偶者には、婚姻関係にある配偶者に関する情報を記入することになりますが、ただ単に戸籍上の配偶者を記入するのではなく「源泉控除対象」配偶者であることがポイントです。
夫婦両者とも「源泉控除対象」配偶者に該当しない場合、配偶者の有無の欄では「有」に丸を付けますが、源泉控除対象配偶者欄は空欄で提出します。

(注)源泉控除対象配偶者とは、所得者がその年中の収入が給与収入だけの場合、給与収入が1,095万円以下(合計所得金額が900万円以下)の人(所得者)と生計を一にする配偶者で、その配偶者の収入が給与収入だけであれば150万円以下(合計所得金額が95万円以下)の人をいいます。

つまり、以下の「配偶者控除額または配偶者特別控除額の表」において、配偶者控除額又は配偶者特別控除額が38万円(老人控除配偶者の場合は48万円)となる配偶者がこれに該当します。
年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき
引用:No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき|国税庁
配偶者控除や扶養控除の要件に出てくる「所得金額」について、収入ベースでみた場合の具体的な金額を表にまとめます。

給与所得の収入金額(A)所得控除額(B)所得金額(A)ー(B)
1,095万円195万円900万円
150万円55万円95万円
103万円55万円48万円

控除対象扶養親族の欄は、扶養親族、70歳以上の老人扶養親族、大学生や高校生など、特別な扶養家族などについて記入する欄です。扶養親族は、年齢によって控除対象となるかどうかが変わります。年末調整をする年の12月31日時点で16歳以上に達しているかどうかで判断します。

たとえば令和4年12月31日が満16歳の誕生日であれば、令和4年12月31日時点で16歳に達していることになるため、令和4年分の控除対象扶養親族に該当します。
源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族とは別に、本人や配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合や、本人がひとり親や寡婦、勤労学生に該当する場合にも、控除の対象になります。該当する場合には必ず記入するようにしましょう。

また、16歳未満の扶養親族、いわゆる「年少扶養親族」は、所得税の控除対象ではありませんが、住民税において計算の対象になるため、16歳未満の扶養親族の欄に忘れずに記入することも、重要なポイントです。

給与所得者の保険料控除申告書

給与所得者の保険料控除申告書

引用:給与所得者の保険料控除申告|国税庁

保険料控除申告書には、年末調整に関わる保険料についての情報を記入します。毎月の給与から控除されている健康保険料や介護保険料は記入する必要はありません。それ以外に支払った生命保険や地震保険、本人が給与から天引きされている社会保険料とは別に支払った社会保険の保険料、確定拠出年金の掛金や小規模企業共済の掛金などがある場合には、各種保険料に関する情報を忘れずに記入するのが重要なポイントです。
社会保険料控除のなかでも、国民健康保険料や介護保険料については証明書を添付しなくても構いませんが、国民年金保険料、小規模企業共済等掛金については必要な証明書を申告書の裏に貼り提出します。

生命保険料控除、地震保険料控除には上限額があるため、申告書に記載されている計算式にあてはめて計算する作業が必要です。しかし、社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除は、支払額が控除額と同額となるため、支払った金額をそのまま記入します。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

引用:令和3年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書│国税庁

配偶者控除等申告書は、配偶者控除又は配偶者特別控除を受ける場合に提出が必要です。
配偶者控除及び配偶者特別控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合に適用ができ、配偶者の給与収入が133万円までであれば配偶者特別控除を受けることができます。

配偶者の収入が給与収入だけであれば上記の金額を根拠に配偶者控除と配偶者特別控除を受けることができます。先に紹介した「配偶者控除額または配偶者特別控除額の一覧表」でも確認できますので、控除額をよく確認するようにしましょう。
配当所得や不動産所得、事業所得などが別にあれば、給与所得とすべて合計した金額で配偶者の所得金額が決定されます。そのため、株式取引などで利益を得た場合や家賃収入がある場合には、所得の総額で配偶者特別控除が適用できるかどうかを判断することが必要です。

また、配偶者控除及び配偶者特別控除ともに、納税者本人の所得の金額によって控除額が異なります。給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書に記載されている計算のフローを参照し、控除額を計算しましょう。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

これは、住宅を購入し、そのローンの支払いをしている人が申告できます。住宅ローン控除が適用できる初めての年は、自分自身で確定申告を行う必要があります。年末調整で控除できるのは、2年目以降の人が対象です。

初年度に確定申告をした場合、この申告書と「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が税務署から送られてきます。

税務署から送付される書類と、金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」を準備しましょう。
申告書の書き方は、これらの書類にしたがって各項目欄に記入し、証明書は会社に提出します。

提出書類に記入するうえで役立つポイント

年末調整の書類は、項目の内容を理解しつつ記入する必要があるため、複雑だと感じるかもしれません。また、記入箇所が多いことに煩雑さを覚えることもあるでしょう。提出書類を記入する上で、覚えておくと役に立つポイントを以下にご紹介します。

同居家族の住所については「同上」を使用して問題ない

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のように、配偶者や家族、親族の氏名と住所を記入する場合、同居家族の住所については「同上」を使用できます。また、同上を意味する「〃」も、国税庁が公開する記載例に示されています。

参考:令和4年分 給与所得者の扶養控除等申告書の記載例|国税庁

年末調整の提出書類は押印が不要に

令和3年度税制改正に伴って、これまで押印が必要だった年末調整の書類の押印が不要となりました。税務署の窓口などで配られている書類には一部押印欄が残っているものもあるかもしれませんが、基本的に押印の有無が書類の不備となることはありません。

年末調整の書類は正しく記載しましょう

年末調整は、これらの書類を中心に記入していきます。年末になると、業務も慌ただしくなり、書類を用意することが難しくなるかもしれません。経理担当者に提出する期限まで手を付けないでいると、書類の準備が間に合わなくなることがあります。
控除対象者であるにも関わらず、控除に関する情報を記入し忘れたということになれば、控除が受けられなくなる可能性もあるため、書類の準備は余裕を持ってはじめましょう。
また、年末調整を行うには、扶養家族の収入証明なども必要です。遠方に扶養家族が暮らしている場合などは、急には詳細がわからないということも十分ありえることです。
そのため、年末が近づいてきたなら、扶養家族に対して、必要な提出書類を用意するよう打診するようにしましょう。何事も、早めの準備が大切です。

よくある質問

年末調整は何のためにするの?

その年に納める税額を計算し、それまで源泉徴収で納めた所得税との過不足分を精算するために行います。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整に必要な提出書類は?

主に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の3つです。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整に必要な提出書類の記入方法は?

本記事では、具体例を用いて年末調整に必要な3つの提出書類の記入方法を解説しています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加治 直樹(経営労務コンサルタント)

銀行に20年以上勤務し、融資融資から資産運用、年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタント。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は行政で企業及び労働者の労働相談業務を行いながら、セミナー講師など幅広く活動中。

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