• 更新日 : 2023年5月29日

2023年(令和5年度)- 年末調整の書き方を解説!提出書類や今年度の変更点

2023年(令和5年度)- 年末調整の書き方を解説!提出書類や今年度の変更点

年末調整は、1年間の納税額を確定させる重要な業務です。年末調整の時期は、経理担当者は必要資料の作成だけではなく、従業員からの質問に対応するなど忙しくなります。
とくに令和5年度(2023年)の年末調整は、資料に一部変更があるため正しく理解しておきましょう。ここでは、最新版の年末調整の手続きと提出資料について解説します。

年末調整は何のためにするの?

まず、何のために年末調整が必要なのでしょうか。

年末調整は、サラリーマンなど給与を受け取っている人が対象です。会社勤めの人の場合、毎月の給与や賞与が会社から支払われますが、その給与や賞与から、必ず「所得税」が天引きされて支払われます。

ただし、この月々の給与から天引きされている所得税は、正確な金額ではありません。毎月天引きされる所得税は、国税庁作成の源泉徴収税額表に基づいて計算されており、その源泉徴収された税額の1年間の合計額は、毎月の支給金額と扶養人数をもとにした「概算」の源泉徴収税額です。したがって、実際の所得税の年税額と一致するとは限りません。

一致しない理由は人によって異なります。年の中途で給与の額に変動があること、年の中途で扶養親族の異動があること、生命保険料控除地震保険料控除など人によって所得控除受けられる金額がそれぞれ異なることが要因として挙げられます。

このような不一致を解消するためには、1月1日から12月31日までの給与が確定した時点で正確な情報をもとに源泉徴収税額を確定・精算することが必要です。この精算の手続きを「年末調整」と呼びます。

年末調整では、あらゆる控除額を踏まえて調整が行われます。扶養家族がいる場合は扶養控除を受けたり、生命保険料を支払っている場合は生命保険料控除を受けたりすることができます。

広告
広告
人事労務担当者が読むべき2023年度版法改正まとめ 無料ダウンロード

年末調整の対象者

年末調整の対象になるのは以下の従業員です。給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受けている人が原則として対象となりますので、申告書の回収漏れ、転居による住所の変更、扶養親族の追加や削除の有無なども併せて確認しましょう。

  1. 自社で1年間(1月1日~12月31日)働いてきた人
  2. 途中入社で年末(12月31日)まで働いてきた人
  3. 1年間の途中で海外支店に転勤するなどの理由から非居住者に該当した人

1年間の途中で退職した従業員でも、次の場合は年末調整の対象になることに注意しましょう。

  1. 死亡退職者
  2. 心身の障害が著しく、12月31日までに再就職が見込まれない人
  3. 12月に支払われる最後の給与(賞与も含む)をもらってから退職した人
  4. パートやアルバイトの従業員で、退職した際に12月31日までに支払われる給与の合計が年間103万円以下の人(ダブルワークで勤務していた人や、退職した後も他の勤務先から年末までに給与が支払われる場合を除く)
広告

年末調整の提出書類

年末調整に必要な提出書類は、主に3つあります。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

※令和2年の改正により、新たに「給与所得者の基礎控除申告書」および「所得金額調整控除申告書」が設けられました。

そして対象者のみが提出する、給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書があります。

また、ここでとくに押さえておきたいのが、控除のために必要な提出書類です。

  1. 生命保険料控除証明のための保険会社からのハガキや電子発行データ
  2. 地震保険料控除証明のための保険会社からのハガキや電子発行データ
  3. 個人型の確定拠出年金の掛け金を支払ったことを証明する書類など
  4. 国民年金、国民年金基金などの掛金を支払ったことを証明する書類
  5. 配偶者特別控除に必要な源泉徴収票などの収入証明
  6. 住宅ローン控除に必要な住宅借入金等特別控除申告書、借入金の年末残高等証明書などの書類

従業員が、生計を一にする配偶者や子供などの親族が負担するべき社会保険料を従業員自身で支払った場合には、その保険料についても社会保険料控除が受けられます。国民年金、国民年金基金の掛金は支払ったことを証明する書類が必要となりますが、それ以外の、たとえば家族の国民健康保険などの保険料を支払った場合には、証明する書類は不要です。

控除についてあまり詳しく知らない人の中には、控除が受けられる保険料を払っているにもかかわらず控除を受けていないケースがあります。これらの控除を受けるには自分から申告しなければなりません。

なお、医療費控除寄付金控除は年末調整ではなく、自身で確定申告を行う必要があります。住宅ローンを利用してマイホームの購入や建築した場合など、住宅ローン控除を初めて受ける場合にも確定申告が必要です。

年末調整でわからないことがある従業員のためにも、企業の担当者は、どのタイミングで書類を提出すればいいのかなど、きちんと説明できるようにしておきましょう。

広告

年末調整に必要な提出書類の書き方

控除に必要な年末調整の書類。業務をスムーズに行うためにも必要書類の書き方を正確に理解しておく必要があります。ここでは、年末調整に必要な提出書類の記入方法をご紹介します。

令和5年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

令和5年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

引用:令和5年度 給与所得者の扶養控除等 (異動)申告書|国税庁

こちらの書類には、市町村名や会社名、自分の名前や生年月日などを記入します。令和3年4月1日以降は、税務申告書類への押印が省略できるようになりました。

また、源泉控除対象配偶者に関しても記入をしていきます。源泉控除対象配偶者には、婚姻関係にある配偶者に関する情報を記入することになりますが、ただ単に戸籍上の配偶者を記入するのではなく「源泉控除対象」配偶者であることがポイントです。
夫婦両者とも「源泉控除対象」配偶者に該当しない場合、配偶者の有無の欄では「有」に〇を付けますが、源泉控除対象配偶者欄は空欄で提出します。

(注)源泉控除対象配偶者とは、所得者がその年中の収入が給与収入だけの場合、給与収入が1,095万円以下(合計所得金額が900万円以下)の人(所得者)と生計を一にする配偶者で、その配偶者の収入が給与収入だけであれば150万円以下(合計所得金額が95万円以下)の人をいいます。

つまり、以下の「配偶者控除額または配偶者特別控除額の表」において、配偶者控除額又は配偶者特別控除額が38万円(老人控除配偶者の場合は48万円)となる配偶者がこれに該当します。

年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき
引用:No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき|国税庁

配偶者控除や扶養控除の要件に出てくる「所得金額」について、給与収入のみの人の収入ベースでみた場合の具体的な金額を表にまとめます。

給与所得の収入金額(A)所得控除額(B)所得金額(A)ー(B)
1,095万円195万円900万円
150万円55万円95万円
103万円55万円48万円

控除対象扶養親族の欄は、扶養親族、70歳以上の老人扶養親族、大学生や高校生など、特別な扶養家族などについて記入する欄です。扶養親族は、年齢によって控除対象となるかどうかが変わります。年末調整をする年の12月31日時点で16歳以上に達しているかどうかで判断します。

たとえば令和5年12月31日が満16歳の誕生日であれば、令和5年12月31日時点で16歳に達していることになるため、令和5年分の控除対象扶養親族に該当します。

源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族とは別に、本人や配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合や、本人がひとり親や寡婦、勤労学生に該当する場合にも、控除の対象になります。該当する場合には必ず記入するようにしましょう。

また、16歳未満の扶養親族、いわゆる「年少扶養親族」は、所得税の控除対象ではありませんが、住民税において計算の対象になるため、16歳未満の扶養親族の欄に忘れずに記入することも、重要なポイントです。

源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族の書き方

源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族の書き方

引用:《記載例》令和5年分扶養控除等申告書|国税庁

源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族に該当する人の、氏名・個人番号(マイナンバー)・従業員本人との続柄、生年月日・住所(転居などにより異動があった場合には、その年月日と理由)をそれぞれの欄に記入します。

控除対象扶養親族で70歳以上の人がいる場合には、控除対象扶養親族が「本人やその配偶者の直系尊属で、本人又はその配偶者といつも同居している場合」に該当すれば「同居老親等」にチェックし、該当しない場合には、「その他」にチェックを付けます。

控除対象扶養親族が19歳以上23歳未満の人の場合には、「特定扶養親族」にチェックを付けます。

源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族が非居住者となる場合には、「非居住者である親族」の欄に〇をするのを忘れないようにしましょう。非居住者とは、「国内の住所を持たず、現在まで継続して1年以上国内に住んでいない人」が該当し、この場合、別途、親族関係書類が必要になります。

「令和4年中の所得の見積額」に記入する金額は見込み金額で問題ありませんが、後日要件に該当しないという事態を招かないように、従業員にはできるだけ正確な金額を記入してもらうのがよいでしょう。

非居住者の親族の扶養控除対象

令和5年版より、非居住者の親族の扶養控除対象の変更があります。
令和4年度までは、国外にいる16歳以上の扶養親族はすべて扶養控除対象となっていましたが、令和5年(2023年)1月以降は、扶養親族の中でも対象は以下の通り変更されます。

(1) 年齢16歳以上30歳未満の者
(2) 年齢70歳以上の者
(3) 年齢30歳以上 70 歳未満の者のうち、次の①から③までのいずれかに該当する者
① 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
② 障害者
③ その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上
受けている者

引用:[Q1] 国外居住親族に係る扶養控除等の制度の概要を教えてください。

さらに、(3)に該当する場合には、その事実を証明するために「留学ビザ等書類」や、「38万円送金書類」の提出が必要です。

対象の変更にともない、申告欄も変更になっています。「非居住者である親族」の該当する欄にチェックを記入してください。

非居住者である親族

引用:令和5年度 給与所得者の扶養控除等 (異動)申告書|国税庁

「令和5年中の所得の見積額」に記入する金額は見込み金額で問題ありませんが、後日要件に該当しないという事態を招かないように、従業員にはできるだけ正確な金額を記入してもらうのがよいでしょう。

障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生の書き方

障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生の書き方

引用:《記載例》令和5年分扶養控除等申告書|国税庁

本人や同一生計の配偶者、扶養親族が、一般の障害者・特別障害者・同居特別障害者に該当する場合には、それぞれの項目に分けてチェックを付けます。「扶養親族」の欄にあるカッコの部分には、人数を記入します。障害者控除の場合、年齢が16歳未満の扶養親族でも対象になることに注意しましょう。

夫と死別した人や離婚をして扶養親族がいる人、結婚をしていない、または、配偶者の生死がわからない人で子どもを育てている人などは、一定の要件を満たすことで「寡婦」もしくは「ひとり親」に該当しますので、チェックを付けます。勤労学生に該当する場合のチェックも確認が必要です。

一般の障害者・特別障害者・同居特別障害者、勤労学生の要件は、扶養控除等申告書の裏面にも記載がありますので参考にするとよいでしょう。

他の扶養者が控除を受ける扶養親族等の書き方

令和4年分扶養控除等申告書 他の扶養者が控除を受ける扶養親族等の書き方

引用:《記載例》令和5年分扶養控除等申告書|国税庁

夫婦共働きなどで、本人の同一生計の家族に所得がある人が他にもいる場合には、控除対象扶養親族の対象となる人を他の人の控除対象扶養親族にすることもできます。どちらで控除を受けるかは本人の選択です。控除扶養親族が複数いる場合には分けて控除を受けることもできます。

同一生計内の他の所得者が控除を受けるケースでは、控除対象扶養親族の氏名・続柄・生年月日・住所、控除を受ける他の所得者の氏名・続柄・住所などを記入する必要があります。

16歳未満の扶養親族の書き方

16歳未満の扶養親族の書き方

引用:《記載例》令和5年分扶養控除等申告書|国税庁

ここには、所得税の控除対象にならない16歳未満の扶養親族がいる場合に、氏名・マイナンバー・続柄・生年月日・住所・令和4年度中の所得の見積額などの記入をします。ここに記入する扶養親族が国内に住所を持たない場合には、「控除対象外国外扶養親族」の欄に〇をすることを忘れないようにしましょう。控除対象外国外扶養親族に該当する場合、別途、本人が住んでいる住所地の市区町村に親族関係書類と送金関係書類の提出が必要な場合があります。

また令和5年版から「退職手当などを有する配偶者・扶養親族」を記載する欄が追加されました。記載漏れのないよう、確認しましょう。

令和5年度の年末調整における給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方については、以下の記事もご参考ください。

令和4年分の給与所得者の保険料控除申告書

給与所得者の保険料控除申告書

引用:令和4年分 給与所得者の保険料控除申告書|国税庁

保険料控除申告書には、年末調整に関わる保険料についての情報を記入します。毎月の給与から控除されている健康保険料や介護保険料は記入する必要はありません。それ以外に支払った生命保険や地震保険、本人が給与から天引きされている社会保険料とは別に支払った社会保険の保険料、確定拠出年金の掛金や小規模企業共済の掛金などがある場合には、各種保険料に関する情報を忘れずに記入するのが重要なポイントです。

社会保険料控除のなかでも、国民健康保険料や介護保険料については証明書を添付しなくても構いませんが、国民年金の掛金、国民年金基金の掛金、小規模企業共済等掛金については必要な証明書を申告書の裏に貼って提出してもらいます。

生命保険料控除、地震保険料控除には上限額があるため、申告書に記載されている計算式に当てはめて計算する作業が必要です。しかし、社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除は、支払額が控除額と同額となるため、支払った金額をそのまま記入します。

生命保険料控除の書き方

令和4年分扶養控除等申告書 生命保険料控除の書き方

引用:《記載例》令和4年分給与所得者の保険料控除申告書|国税庁

生命保険料控除の書き方は、一見難しそうに見えますが、保険会社から届いた生命保険料控除証明書を手元に準備して、記載してある内容を転記しながら計算すれば、簡単に計算できる書式になっています。

「一般の生命保険料」と「個人年金保険料」の欄には、保険会社等の名称・保険等の種類・保険期間または年金支払期間・契約者の氏名・保険金受取人の氏名と続柄・本年中に支払った金額などを生命保険料控除証明書を参考に記入します。「新・旧の区分」は、生命保険料控除証明書に記載されていますので、間違いのないように○をしましょう。

新保険料と旧保険料の合計をそれぞれA欄・B欄に分けて記入し、下の部分に記載がある新保険料と旧保険料の計算式に当てはめて、申告書に記載されている手順で計算するだけです。介護保険料の場合には新・旧の区別はなく、該当箇所を一般生命保険料と同様に記入します。

新保険料の上限金額は4万円、旧保険料の上限額は5万円と異なり、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の合計金額の12万円までが控除額の上限となるところがポイントです。

保険金等の受取人は、本人またはその配偶者や親族(個人年金保険料の場合は本人または配偶者のみ)であることが条件となることに注意しましょう。

地震保険料控除の書き方

令和4年分扶養控除等申告書 地震保険料控除の書き方

引用:《記載例》令和4年分給与所得者の保険料控除申告書|国税庁

地震保険料控除の書き方も、保険会社等の名称・保険等の種類・保険期間・契約者の氏名・利用している者の氏名・続柄などを地震保険料控除証明書を参考に記入します。「地震保険料又は旧長期損害保険料区分」は、地震保険料控除証明書に記載されていますので、間違いの無いように○をしましょう。

加入している保険の内容を記入し、申告書に記載されている手順で計算するだけです。地震保険料の上限金額は5万円、旧長期損害保険料の上限金額は1万5千円、地震保険料と旧長期損害保険料の合計金額の5万円までが控除額の上限となるところがポイントです。

「保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している者」は、本人または本人と生計を一にする親族であることが条件となることに注意しましょう。

小規模企業共済等掛金控除の書き方

令和4年分扶養控除等申告書 小規模企業共済等掛金控除

引用:《記載例》令和4年分保険料控除申告書|国税庁

小規模企業共済等掛金控除は、社会保険料控除と同様に支払額が控除額と同額となるため、証明書類に記載がある支払った金額を該当する掛金の箇所にそのまま記入するだけです。

保険料控除申告書の書き方については、以下の動画でも解説しています。
文字ではなく映像で確認したい方はぜひご覧ください。

令和4年分の給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

引用:令和4年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書|国税庁

配偶者控除等申告書は、配偶者控除または配偶者特別控除を受ける場合に提出が必要です。

配偶者控除および配偶者特別控除は、納税者となる従業員本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合に適用ができ、配偶者の給与収入が133万円までであれば配偶者特別控除を受けることができます。

配偶者の収入が給与収入だけであれば上記の金額を根拠に配偶者控除と配偶者特別控除を受けることができます。先に紹介した「配偶者控除額または配偶者特別控除額の一覧表」でも確認できますので、控除額をよく確認するようにしましょう。

配当所得や不動産所得、事業所得などが別にあれば、給与所得とすべて合計した金額で配偶者の所得金額が決定されます。そのため、株式取引などで利益を得た場合や家賃収入がある場合には、所得の総額で配偶者特別控除が適用できるかどうかを判断することが必要です。

また、配偶者控除および配偶者特別控除ともに、納税者となる従業員本人の所得の金額によって控除額が異なります。「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に記載されている計算のフローを参照し、控除額を計算しましょう。

給与所得者の基礎控除申告書の書き方

令和4年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書 給与所得者の基礎控除申告書の書き方

引用:《記載例》令和4年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書|国税庁

「給与所得」の欄は、前年の源泉徴収票や今年支払われた給与明細などを参考に、本年の給与収入と給与所得の金額の見積額を記入します。給与所得金額の計算方法は、申告書の裏面にも掲載されています。

ダブルワークで勤務先が2つある場合には、それぞれの給与収入を合計して「収入金額」の欄に記入し、その金額をもとに給与所得を計算する必要があるため注意が必要です。 また、副業で事業所得がある場合などのように、給与所得以外の所得があるケースでは、その所得金額も記入し、その合計額を計算しなければなりません。ただし、「給与所得以外の所得の合計額」の欄に記入するものには、源泉分離課税の対象となり源泉徴収で納税が完結するものや、一定の所得で確定申告をしないものは除かれます。

配偶者控除や配偶者特別控除を受ける場合には、「区分Ⅰ」の欄に判定でチェックした区分を記入する必要があります。そして最後に「基礎控除の額」の欄に金額を記入します。

令和4年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書 給与所得の計算欄

引用:《記載例》令和4年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書|国税庁

給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方

給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方

引用:《記載例》令和4年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書|国税庁

最初に配偶者の氏名・マイナンバー・生年月日などを記入します。配偶者と同居している場合には、住所の記入は不要です。配偶者が非居住者の場合は「非居住者である配偶者」の欄に◯をして、「生計を一にする事実」の欄に送金額などを記入します。

「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」の書き方は、「給与所得者の基礎控除申告書」の書き方と同じです。それから、矢印に沿って右の欄の判定欄の該当する区分をチェックします。

最後に、判定した区分(基礎控除申告書の「区分Ⅰ」およびここで判定した「区分Ⅱ」)を「控除額の計算」の欄に当てはめて、該当する金額を「配偶者控除の額」または「配偶者特別控除の額」の欄に記入します。

所得金額調整控除申告書の書き方

所得金額調整控除申告書の書き方

引用:《記載例》令和4年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書|国税庁

所得金額調整控除とは、本人の給与所得の金額から15万円を限度に、給与の収入金額(最大1,000万円) から850万円を差し引いた金額の10%相当額を給与所得の金額から控除するものです。本人や配偶者(同一生計の者)、扶養親族が特別障害者に該当する場合や、扶養親族が23歳未満である場合に対象となります。ただし、給与収入が850万円以下の場合は対象外ですので、「所得金額調整控除申告書」の記入は不要です。

所得金額調整控除を受ける場合には、「要件」の欄の該当箇所にチェックを付けて、「扶養親族等」の欄をそれぞれ記入します。本人が特別障害者である場合には、「扶養親族等」の欄の記入は不要です。

また、特別障害者に該当する場合には、「特別障害者に該当する事実」の欄に、障害の状態、または、手帳の種類と交付年月日、障害の等級などを記入します。

所得金額調整控除の額については給与の支払者である企業で計算することになっています。控除額に間違いが生じないように細心の注意を払う必要があります。

配偶者控除および配偶者特別控除の概要や計算方法については、以下の動画でも確認できます。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

これは、住宅を購入し、そのローンの支払いをしている人が申告できます。住宅ローン控除が適用できる初めての年は、自分自身で確定申告を行いますので、年末調整で控除できるのは、2年目以降の人が対象です。

初年度に確定申告をした場合、この申告書と「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が税務署から送られてきます。

税務署から送付される書類と、金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」の金額があっているのかをよく確認しましょう。

申告書の書き方は、これらの書類にしたがって各項目欄に記入し、証明書の提出をしてもらいます。

広告

2023年(令和5年度)の年末調整に変更点はある?

2023年の年末調整について、前年度からの大きな変更は扶養控除等申告書の非居住者の親族の扶養控除対象になる点です。対象をチェックするとともに、確認書類が必要なケースについて抜け漏れのないようにしましょう。

また、昨年度から増えた電子提出可能な書類についても、再度確認し従業員に周知しましょう。

<電子データ提出可能な書類>

  • 生命保険料控除証明書
  • 地震保険料控除証明書
  • 社会保険料控除証明書
  • 小規模企業共済等掛金控除証明(払込証明書)

提出書類に記入するうえで役立つポイント

年末調整の書類は、項目の内容を理解しつつ記入する必要があるため、複雑だと感じるかもしれません。また、記入箇所が多いことに煩雑さを覚えることもあるでしょう。提出書類を記入する上で、覚えておくと役に立つポイントを以下にご紹介します。

同居家族の住所については「同上」を使用して問題ない

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のように、配偶者や家族、親族の氏名と住所を記入する場合、同居家族の住所については「同上」を使用できます。また、同上を意味する「〃」も、国税庁が公開する記載例に示されています。

参考:令和5年分 給与所得者の扶養控除等申告書の記載例|国税庁

年末調整の提出書類は押印が不要に

令和3年度税制改正に伴って、これまで押印が必要だった年末調整の書類の押印が不要となりました。税務署の窓口などで配られている書類には一部押印欄が残っているものもあるかもしれませんが、基本的に押印の有無が書類の不備となることはありません。

年末調整の書類は正しく記載しましょう

年末調整は、これらの書類を中心に記入していきます。年末になると、業務も慌ただしくなり、書類を用意することが難しくなるかもしれません。従業員には、提出期限を設定し、早めに回収しないと、書類の確認や不備の修正が間に合わなくなることがあります。

控除対象者であるにも関わらず、控除に関する情報を記入し忘れたということになれば、従業員は控除が受けられなくなる可能性があります。年末調整の準備は余裕を持ってはじめることが肝心です。

また、年末調整を行うには、扶養家族の収入証明なども必要です。遠方に扶養家族が暮らしている場合などは、急には詳細がわからないということも十分ありえることです。そのため、年末が近づいてきたら、従業員には、扶養家族に対して必要な提出書類を用意するよう打診するように依頼しましょう。何事も、早めの準備が大切です。

よくある質問

年末調整は何のためにするの?

その年に納める税額を計算し、それまで源泉徴収で納めた所得税との過不足分を精算するために行います。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整に必要な提出書類は?

主に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の3つです。詳しくはこちらをご覧ください。

年末調整に必要な提出書類の記入方法は?

本記事では、具体例を用いて年末調整に必要な3つの提出書類の記入方法を解説しています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

年末調整の関連記事

新着記事