• 更新日 : 2024年10月7日

産休はいつから?正社員やパート、公務員、男性の場合と手当金まとめ

産休とは、産前休業と産後休業の2つの期間を合わせたものです。女性労働者は雇用形態に関係なく14週間取得できます。産前休業は任意のため取らなくてもいいですが、産後休業は必ず取らなくてはいけません。男性は2022年から男性版産休と呼ばれる出生時育休と通常の育休が取れます。産休・育休中は各種手当や給付金を活用しましょう。

産休はいつからとれる?

出産予定日の前後の具体例

産休とは産前休業と産後休業の2つの総称です。

産前休業は、子どもが生まれる前までの休みで、産後休業は子どもが生まれて翌日からの休みの期間となります。

双子または3つ子の場合は、出産予定日の14週間前から休めます。

この章では、以下の事項を解説します。

  • 産前休業と産後休業の違い
  • 双子以上の場合
  • 産休の対象者
  • 公務員の場合
  • 出産予定日からずれた場合

産休・育休機関の自動計算サイトの紹介もしているため、産休の期間を知りたいという方は活用してみてください。

産前休業と産後休業の違い

産休には、産前休業と産後休業が含まれています。産前休業は、子どもが生まれる予定日の6週間前(42日)から取得できます。一方で、産後休業は子どもを出産した翌日から8週間(56日)のことです。女性の場合、産休は産前、産後合わせて14週(98日)間取得可能です。

産前休業は取得しなくても問題ありませんが、産後休業は必ず取得することとされています。しかし、労働者本人の申し出で、医者から労働を認められた場合のみ、産後6週間経ってからは就業できます。

双子以上の場合

双子以上の場合、1人(単胎)の場合とは異なり、母体の負担が大きいことから、14週前(98日)から産前休業が取れます。産後休業は、単胎と同様に休業期間は8週間です。

産前休業と産後休業合わせて22週間休むことが認められています。

産休の対象者

産休の対象者は、会社に勤めているすべての労働者です。正社員や契約社員、パートタイマーやアルバイトなど雇用形態に関係なく産休は取得できます。また、勤務年数なども不問です。

パートタイマーだからといって、産休は取らせないなど不利益な扱いをするのは禁止とされています。減給、解雇なども行ってはいけません。

公務員の場合

公務員の場合、一般の会社員より2週間早い、出産予定日の8週間前(56日)から産休を取れます。最短で妊娠34週から休みが取れる計算です。早めに休むことで身体の負担を軽減できるでしょう。

双子以上の場合は、会社員と同じく14週間前から産休を取得できます。

出産予定日からずれた場合の産休の期間

出産予定日からずれた場合の産休の期間は、産前6週間よりも少なかったり、長かったりします。出産は必ずしも予定日に生まれるとは限らないためです。そのため、人によって産休の期間が変わることがあります。

例えば、出産予定日を5日過ぎて生まれてきた場合、6週間と5日が産休期間となります。一方で、5日早めに生まれてきた場合、6週間に満たない、5週2日が産休の期間です。

出産予定日を5日過ぎてしまい、産休が6週間を超えたとしても、すでに取得していた最初の5日分は欠勤扱いとならず、産前休業となるため心配ありません。

産休・育休期間の自動計算サイト

自分の産休や育休期間を知りたいという方に、おすすめのサイトを紹介します。いつでも確認できるため、活用してみてください。

産休・育休期間の自動計算サイトは、厚生労働省の産休育休の自動計算にて確認ができます。

出産予定日や出産日、双子の妊娠か否かを入力すると、自動で期間が計算されます。また、育児休業期間のみの計算も可能です。

参考:産休育休の自動計算|厚生労働省

パートなど雇用期間がある場合、産休はとれる?

これまで正社員や公務員の産休育休について解説しました。一方で、パートタイマーなど雇用期間がある場合、産休は取れるのかについて解説します。

  • パート・アルバイトの場合
  • 派遣社員の場合
  • 業務委託・フリーランスの場合

必ず取れるのか、取るための条件があるかなど、詳しく見ていきましょう。

パート・アルバイトの場合

パートやアルバイトの労働者が妊娠した場合、産休は取得できます。雇用形態や雇用期間が決められている場合でも、産休は取れます。

例えば、週3日しか働いていない、月に60時間しか働いていない場合でも取得可能です。

出産を理由に解雇するなどは禁止されています。

派遣社員の場合

派遣社員の場合、産休を申請する際に働いていれば取得可能です。産前休業に入る6週間前までに(双子以上の場合は14週前)派遣の契約中であることが条件の1つです。

産休前に契約満了となる場合、条件に満たないため、産休は取れません。妊娠をしたら自分の契約期間の確認や産休期間の確認を早めにして、会社へ伝えましょう。

業務委託・フリーランスの場合

業務委託の場合は、会社に勤めているわけではないため、産休を取れません。業務委託契約をした会社に産休を求めることもできないため、注意が必要です。

フリーランスの場合、個人事業主となるため、産休はありません。産休は企業に勤めている労働者が対象となるからです。

もし、休業したい場合は、業務委託契約を解除するなど、仕事の調整を行えば休めるでしょう。会社員のように、産休中の賃金の補償や手当は出ないため、長期間休むのは難しいでしょう。

産休はいつから取得している?(アンケート)

産休は出産予定日の6週間前から取得可能ですが、実際はいつから取得しているのか、アカチャンホンポのアンケートを参考に解説します。

アカチャンホンポが取ったアンケートによると、産休に入ったのは、出産予定日の6週間前が一番多いとわかりました。

次いで、妊娠6ヶ月から8ヶ月が25%です。早めに産休に入りたい場合は、年次有給休暇を使用するといいでしょう。

妊娠中は体調が不安定であるため、早めに休業したいという労働者がいることがわかります。一方で、出産ぎりぎりまで働いているのは5%という結果でした。産休に入らずに働く理由は、産休中のお金の心配で働く、体調が良くて働ける、引継ぎによる遅延などが挙げられるでしょう。

産休は任意で取るものであるため、出産ぎりぎりまで働くことが認められています。体調や会社と相談しながら産休期間を決めましょう。

参考:産休はいつから取れる?|アカチャンホンポ

産休中に給料は支払われる?

産休中は基本的に給料が支払われません。その代わりに、雇用保険料から支払われる出産手当金を申請することで、生活資金を確保できます。

産休中は労働しているわけではないため、賃金が発生せず、雇用保険の支払いはありません。住民税については、前年度の所得により発生しているもののため、前年に所得がある場合は産休中でも支払う必要があります。

産休中に給料は支払われる?

次に産休中の有給について解説します。有給は取れますが、給料が発生した日は出産手当金がもらえないことに注意が必要です。そのため、出産手当金を満額もらうためには、産休に入る前に有給を使うようにしましょう。

産休中の社会保険料はいつから免除される?

産休中の社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は申請すれば免除されます。会社も産休中の労働者の保険料は負担しなくても問題はありません。

免除期間は産休に入る日を含む月から、休業を終える日の翌日を含む前月までです。

2/3に出産した場合
産前休業開始日出産日産後休業終了日産後休業終了日の翌日
12/242/33/314/1

例えば、2月3日に出産した場合は、12月24日から3月31日までが免除期間となります。

産休後の育休はいつからいつまで

育休とは育児休業のことで、産後休業が終わってから取得できる制度です。

この章では、産休後の育休について解説します。

  • 育休が取れる対象者
  • 育休の期間
  • 育休は義務なのか

産後休業が終わるときには、まだ子どもは生後3ヶ月にも満たないです。産休後すぐ復職するのではなく、しばらく子育てに専念できるように育児休業という制度を活用しましょう。

育休を取れる対象者

産休は会社に勤める労働者であれば取得できることを解説しました。では、育休を取得できる対象者はどのような方でしょうか。。

育休が取れる対象者は1歳に満たない子を養育する労働者のため、日雇い労働者は取れないと決められています。

また、パートや契約社員など契約期間が定められている労働者には育休を取るための条件があります。

条件のひとつ目は育休を取ると会社に申し出た時点で、子どもが1歳6ヶ月に達する日までに、労働契約が終わっていないことです。ふたつ目は更新されることが確実であることです。

育休の期間

育休の期間は子どもが1歳になる日の前日までです。しかし、以下の場合は、育休を延長できます。

  • 保育園へ入所申し込みをしているが、入れない場合
  • 子どもを養育する予定であった者が、ケガや病気などの理由で養育が難しい場合

どちらかの条件を満たす場合、1歳6ヶ月または2歳まで延長できます。

その他に、配偶者と共に育休を取得している場合は、1歳2ヶ月まで延長可能です。(パパママ育休プラス)

参考:働く女性の心とからだの応援サイト|厚生労働省委託

産休・育休でもらえるお金や支援

産休・育休でもらえる一時金や支援について紹介します。

出産する時にもらえるお金は以下の通りです。

  • 出産育児一時金
  • 出産・子育て応援交付金
  • 出産手当金

育休の際には、育児休業給付金がもらえます。そのほか、産休・育休中の社会保険料や雇用保険料について解説します。

出産育児一時金

出産育児一時金とは、子どもが生まれたときに保険協会からもらえる一時金です。令和5年4月より42万円から8万円増額し、50万円の支給となりました。

出産する本人が会社の保険に入っている、または扶養者である場合は支給対象です。妊娠4ヶ月以上で出産したことが条件となっています。

出産・子育て応援交付金

出産・子育て応援交付金は、市町村役場の伴走型相談支援と10万円の経済的支援を一体的に実施し、切れ目ない支援を充実させるための目的で、令和4年度に開始されました。

妊娠が分かり、市町村役場で親子健康手帳を交付してもらうときに、担当の方と面談をします。その際、交付金の手続きをする用紙をもらい、提出をすると5万円が交付されます。

出生後、3ヶ月以内に助産師などが自宅を訪問して面談を行います。その際に再度、交付金の手続きをする用紙をもらいます。出産人数×5万円が交付される仕組みです。

出産手当金

出産手当金とは、会社に勤める女性労働者が出産をするために休業(産休)する場合に支払われるものです。会社から給料が支払われていない場合にのみ支給という条件があります。

健康保険料を支払っている保険協会から支払われ、産前6週、産後8週の計14週間分が支給されます。もし出産が遅れた場合、その期間についても支払われます。

育児休業給付金

育児休業給付金とは、1歳の子を養育するための休業を取っている労働者に給付されるお金です。原則1歳までですが、保育園申し込みしても入れないなどの理由がある場合にのみ、子が1歳6ヶ月または2歳になるまで延長給付が認められています。

産休・育休中の社会保険料や雇用保険料

産休・育休中の社会保険料は免除されます。免除期間は産休に入った月から育休を終える日の前月までです。

雇用保険料については、労働者は働いていないため、所得がありません。そのため、支払いはありません。

男性の産休・育休はいつから?

男性の産休・育休はいつからかについて解説します。

これまで、男性は育休しか取得できませんでしたが、2021年に成立した育児介護休業法によって、男性の産休が定められました。

男性の産休というのは、出生後8週間以内に4週間まで休暇を取得できるという制度です。期間を分割して取得もできます。

男性の産休・育休について詳しく見ていきましょう。

男性の育休取得率

男性の育休取得率について、厚生労働省が調査を行った結果、男性の育休取得率は30.1%と前年より13%上昇したことが分かりました。

上昇した要因としては「妊娠や出産を申し出た労働者に育休取得の意向を確認するよう企業に義務づけたこと」とされています。

参考:令和5年度雇用均等調査結果|厚生労働省

男性が育休を取得するメリット

男性が育休を取得するメリットを2つ挙げます。

1つ目は妻と共に子育てする時間を持てるため、夫婦仲も深まることです。また、親という自覚を持つ時間となることで、人として成長し、仕事のモチベーションアップにつながります。

2つ目に、育児に関わる給付金がもらえることです。休業することで給料がないと不安になると考える方が多いですが、男性も育児休業給付金の支給対象です。

男性も女性のように、給付金や保険料の免除があるため、取得しやすい環境へと変わっています。

出生時育児休業給付金と出生後休業支援給付

出生時育児休業給付金は、男性がもらえる給付金です。出生後8週間以内に4週間分を限度として給付金が支給されます。

また、2025年4月より「出生後休業支援給付」が新設されます。子どもが生まれて一定期間以内に、夫婦ともに14日以上の育休を取得する場合に、休業開始賃金の13%相当額が支給される制度となっています。

給付イメージ

引用:子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要7ページ|こども家庭庁

育児休業給付金と合わせると80%支給されることとなり、実質の手取りが働いているときと同等となる制度です。

産休の取得で会社がすべきこと

産休の取得で会社がすべきことを2つ挙げます。

  • 給付金の申請
  • 社会保険料免除の申請

申請を忘れてしまっては、労働者の生活に大きく関わります。また、社会保険料の免除では、会社側の費用にも関わります。よく確認しましょう。

給付金の申請

産休に入った労働者がいる場合は、出産手当金の申請を行います。提出書類には、労働者本人、医師または助産師、事業主に記載してもらう欄があります。すべて揃え、会社の健康保険協会へ提出しましょう。

社会保険料免除の申請

協会けんぽまたは、自社の保険会社へ社会保険料の免除申請を行います。免除期間は産休に入る月から育児休業終了する日の前月までです。社会保険料は個人負担分、会社負担分ともに免除されます。申請を忘れてしまった場合は、保険料が発生するため注意が必要です。

産休・育休手続きに関する各種テンプレート

産休・育休の手続きに関するテンプレートを紹介します。

産休申請書と産休申出書は、労働者が産休を取得すると申し出るときに必要な書類です。出産予定日や産前産後休業期間の記載ができます。

育児休業申請書と育児休業申出書は、労働者が1歳未満の子を養育するために休業する際に会社に提出する書類です。育休を取る1ヶ月前までに提出しなければなりません。

以下で、実務で使用できるWordのひな形を無料でダウンロードできます。ぜひ活用して業務の効率化を図ってください。

https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/516/

https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/1456/

https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/415/

https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/885/

女性も男性も育児に専念できるように休業制度を利用しよう

産休は出産の6週間前から取れます。女性労働者であれば、雇用形態に関わらず取得可能です。休業の際に、会社から賃金が支払われない場合は、出産手当金が保険協会より支給されます。

産休、育休中の社会保険料は免除申請を行えば支払わなくていいため、会社に申請をしてもらいましょう。

男性も育休を取得すれば、育児休業給付金や保険料の免除が受けられます。夫婦ともに休業して、子どもの成長を一緒に見ることで、夫婦仲がよくなることや、仕事へのモチベーションアップなどにつながります。

産休・育休など、仕事と子育ての両立ができるように制度を活用しましょう。


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