• 更新日 : 2023年1月19日

社会保険とは?種類や仕組みをわかりやすく解説!

社会保険とは?種類や仕組みをわかりやすく解説!

社会保険の適用範囲が拡大し、加入条件を満たすパート・アルバイトは、健康保険と厚生年金保険への加入義務が生じます。

この適用拡大は、2016年10月より始まり、大企業から中小企業へと段階的に進んでいるのです。適用となる事業所は、対象のパート・アルバイトが月何時間、週時間働くと対象となるのかなどを、わかりやすく説明します。

社会保険とは?

社会保険とはなにか、漠然とは理解していても、詳細を明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
しかし、人事の労務担当者ならば従業員に説明を求められた際にはしっかりと応じられるよう、最低限の知識は持っている必要があります。社会保険とは、どのような制度なのでしょうか?

社会保険の種類や仕組み、定義、国民健康保険雇用保険との関係について考えてみましょう。

社会保険の種類

病気やケガ、労働災害、失業、高齢化などの誰にでも起こりうるリスクに対して、社会全体で備えることを社会保険といいます。加入条件に該当する人が被保険者となって保険料を支払い、要件を満たす受給者になると保険給付を受けることができます。

会社として雇用する労働者に適用する社会保険には、健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の5種類があります。
このうち雇用保険と労災保険は「労働保険」と呼ばれ、「社会保険」は健康保険、介護保険と厚生年金保険のみを指す言葉として用いられます。内容をはっきりとさせる必要がある場合には、健康保険、介護保険と厚生年金保険を「狭義の社会保険」、健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険のことを「広義の社会保険」として区別しています。

この記事では以降、狭義の社会保険について説明します。

広義の社会保険

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

狭義の社会保険

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

社会保険の仕組み

会社で従業員について手続きなどが必要とされる社会保険は、健康保険、介護保険と厚生年金保険です。入社時には被保険者資格の取得手続き、退職時には被保険者資格喪失手続きをしなくてはなりません。健康保険料、介護保険料と厚生年金保険料の算定や被保険者負担分の徴収、会社負担分の支払い、納付も会社が行います。

健康保険は、従業員が病気やケガをした場合に治療や療養を受けられるようにする仕組みをいいます。協会けんぽや健康保険組合の被保険者となり、保険料を支払うことで健康保険が使えるようになります。健康保険が使えると病気やケガで病院にかかった際、窓口での支払いが自己負担分のみで済むようになります。健康保険が使えない場合は、かかった費用の全額を支払わなければなりません。

介護保険は、40歳以上の人が加入でき、介護保険料を納めることにより介護が必要になったときに所定の介護サービスが受けられる社会保険です。介護保険の被保険者は、65歳以上の人は「第1号被保険者」、40歳から64歳までの医療保険加入者は「第2号被保険者」になります。第1号被保険者は、要介護認定または要支援認定を受けた際には介護サービスを受けることができます。また、第2号被保険者は、加齢に伴う疾病が原因で要介護認定、または要支援認定を受けた際に介護サービスを受けることができます。

厚生年金保険は、従業員の将来や障害などの備えとなる公的年金制度です。健康保険と同じように被保険者となって保険料を支払うことで、老齢になったときに受け取れる年金額を増やしたり、障害を負った場合に厚生年金から年金受給ができるようにしたりします。

国民健康保険との違い

会社員や公務員は勤め先で社会保険に加入しますが、勤め人ではない自営業者などは同じようにはできません。自営業者などが加入する公的医療保険が、国民健康保険です。

国民健康保険は市区町村を単位として運用されていて、自営業者をはじめとして学生、職業に就いていない人など、会社員や公務員など勤め先で健康保険に加入していない人全員に加入義務があります。
保険料は全額が被保険者負担となること、扶養という概念がないことが、国民健康保険の特徴で、会社員や公務員が入る健康保険との大きな違いです。

雇用保険との違い

雇用保険は、失業して給料が得られなくなった労働者に対して給付を行う保険制度です。
失業者に対する給付をはじめとして育児休業給付、介護休業給付など、労働者の生活の安定や雇用の安定、就業機会の拡大などを目的に、さまざまな給付を行っています。

1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあることを加入条件としている点が、狭義の社会保険と異なります。

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社会保険の加入条件

法人の事業所で、常時従業員を使用する事業所、事業主のみの事業所、または常時5人以上の従業員が働いている事務所、工場、商店などの個人事業所は、社会保険への加入が法律で義務づけられています。

また、法律で義務づけられている事業所以外であっても、従業員の半数以上が同意して、事業主が申請し、厚生労働大臣の認可を受けた場合には社会保険に加入できます。

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社会保険の加入対象者

狭義の社会保険である健康保険、介護保険、厚生年金保険への加入対象者は、以下のような方になります。

  • 社会保険に加入している事業所に常用的に使用されている70歳未満の方
  • パート・アルバイト等で、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上である方
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2022年10月からの社会保険の適用範囲の拡大

健康保険、厚生年金保険など狭義の社会保険の適用拡大により、2022年10月から加入条件が拡大されます。拡大後の加入条件は以下の通りで、すべてに当てはまる従業員が対象になります。

  1. 1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること
  2. 1カ月あたりの賃金が88,000円以上であること
  3. 雇用期間の見込みが2カ月超であること
  4. 学生でないこと

従業員数の適用拡大は次のように、企業規模別に段階的に行われます。

  • 2016年10月~:従業員数501人以上の企業
  • 2022年10月~:従業員数101人以上の企業
  • 2024年10月~:従業員数51人以上の企業
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社会保険の適用に関する労働時間の計算方法

労働時間は、社会保険への加入を判断する上で、賃金と並んでポイントとなる基準の1つです。次の労働時間で働く従業員が、社会保険への加入対象者となります。

  • 1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上

「決まった労働時間」とは、あらかじめ定められている労働時間のことです。雇用契約書や労働条件通知書に記載されている、所定労働時間を指しています。残業時間は含まれません。

社会保険に加入するメリットは?

社会保険の適用拡大によって、パート・アルバイトといった短時間勤務の労働者でも健康保険、厚生年金保険に加入することになります。

配偶者の扶養から外れて社会保険に自ら加入した場合のメリットには、以下のようなものがあります。

  • 将来、受け取る年金額が増える
  • 障害厚生年金や遺族厚生年金が受け取れる
  • 傷病手当金や出産手当金が受け取れる

社会保険の加入は義務?

しかし健康保険・厚生年金保険へ加入すると、保険料を負担しなければなりません。健康保険料、厚生年金保険料が給料から差し引かれ、手取りが減少します。配偶者の扶養家族のままであれば、自分自身が保険料を負担する必要はなく、手取りが減ってしまうことはありません。

そのため社会保険に自ら加入することを敬遠するパート・アルバイトも多くいますが、社会保険へは加入条件に該当している全員に課されている義務です。加入するか・加入しないかを選択することは認められていません。前述した通り、社会保険の適用拡大により、パート・アルバイトの人でも以下の条件に当てはまった場合は必ず加入が必要になります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上(契約上の所定労働時間。残業時間は含まない)
  • 月額賃金が8.8万円以上(基本給および諸手当。残業代、賞与などは含まない)
  • 2カ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

適用拡大に備えて社会保険の仕組みを確認しておこう

2016年10月より社会保険の適用拡大がスタートしたことにより、社会保険の加入条件が変わっています。労働時間について従来の「週労働時間がフルタイムで働く労働者の3/4以上の従業員」から「週の所定労働時間が20時間以上」に緩和され、条件に当てはまるパート・アルバイトにも社会保険の加入義務が生じます。保険料負担も発生することに注意が必要です。

社会保険に加入すると保険料を支払わなくてはならなくなりますが、将来受け取れる年金額が増える、といったメリットもあります。仕組みや特徴をきちんと確認しておきましょう。

よくある質問

社会保険とは?

広義では健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の5種類、狭義では健康保険、厚生年金保険の2種類の公的保険制度のことをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。詳しくはこちらをご覧ください。

社会保険の加入は義務ですか?

社会保険への加入は義務であるため、加入条件に当てはまる人は必ず加入しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)

山本 務(特定社会保険労務士/AFP/2級FP技能士/日商簿記2級/第一種衛生管理者)
やまもと社会保険労務士事務所所長
大学卒業後、システム開発技術者、上場企業情報システム部&人事部を経て2016年に開業。
独立後も労働局の総合労働相談員として200件以上のあっせん事案に関与。労働相談は民間委託事業の電話相談も含めて1,000件以上の実績あり。
労務相談、就業規則、給与計算を中心に、各種手続きや労使問題対応など、外部人事部員として活動。システムのことも分かる社会保険労務士です。

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