• 更新日 : 2023年11月17日

ワクハラとは?ワクチン強制は違法?職場での注意点

ワクハラとは?ワクチン強制は違法?職場での注意点

ワクハラとは、ワクチンの接種を強要したり、ワクチン未接種であることを責めるような言動をしたりすることをいいます。ワクチン・ハラスメントの略称であり、新型コロナウイルスの影響下において、職場で「ワクハラ」という言葉が聞かれるようになりました。ここでは、ワクハラに該当する行為や、ワクハラの違法性について解説します。

ワクハラとは

ワクハラとは「ワクチンハラスメント」の略称です。新型コロナウイルスのワクチン未接種の人に対して接種を迫ったり、接種しないことを責めるような言動を取ったりすることをいいます。

2020年以降、新型コロナウイルスの世界的な流行をきっかけに、人々は未知のウイルスに対して恐怖心を募らせました。コロナウイルスのワクチンが開発され、接種が開始された際、感染を広げないためにワクチン接種が広く推奨されていたのを覚えている人もいるでしょう。しかし、ワクチンを接種することによるリスクを懸念して、ワクチン接種をしないことを選ぶ人もいます。

持病を持っている人や妊娠中の人のようにワクチン接種による副反応に不安を感じている人、体質的にワクチンが合わない人もいます。また、持病や体質により、ワクチンを接種したくてもできない人が一定数存在するのも事実です。

事情があってワクチン接種をしない人がいるのもかかわらず、「職域接種」のように職場全体でワクチン接種の機会が設けられたこともあり、ワクチン接種を選択しないことで職場の同僚・上司から嫌がらせを受けるケースが発生しました。

コロハラとの違い

コロハラとは、「コロナハラスメント」の略称です。新型コロナウイルスに感染した人に対して、不当な扱いをしたり嫌がらせをしたりすることを指します。「コロナをうつされるかもしれない」といった恐怖心が差別につながることもあります。ワクハラもコロハラも、従業員に対する不当な取り扱いや威圧的な言動など、不法なハラスメント行為に発展することもあり、職場では見過ごせない問題です。

ワクハラの具体例

どのようなケースがワクハラに該当するでしょうか。ここでは、ワクハラに該当すると思われるケースを紹介します。

ワクチンの接種を強要する

職場での飲み会が開催された際、一人だけワクチンを打っていない従業員に対して、「なぜワクチンを打たないの?」と誰かが質問を投げかけたところ、チームメンバー全員が当該従業員に詰問するような形になりました。しまいには、上司が「ワクチンを打つことは、職業人として重要なことだ」と強い口調でいい、険悪な雰囲気になってしまったのです。

ワクチン接種しないことにより、業務上不利益を被る

職場で、ワクチンを接種しないと公言している従業員が複数名いました。会社としては、職域接種の機会を設けつつも、ワクチン接種は本人の自由意志によるものというメッセージを発しています。にもかかわらず、ワクチン未接種の従業員が属する部署で、新規プロジェクトメンバーが発表されたところ、ワクチン未接種の従業員だけが、いずれもメンバーから外されていたのです。日頃の業績から考えても、全員がプロジェクトメンバーから外されるのは不自然でした。その出来事をきっかけに、ワクチン未接種の従業員が重要な任務から外されるようなことが続いています。

ワクハラは違法?

ワクチン接種は、本人の自由意志によって決定されるものです。厚生労働省からも、新型コロナウイルスのワクチン接種について、本人の意思が尊重されるべきものとのコメントが出ています。

ワクチン接種の強要や、ワクチン未接種であることを責めるような言動は、ハラスメントになる可能性があります。当人の意思を尊重しない行為、自由な意思形成を妨げるような行為、退職させることを目的とするようないじめや嫌がらせは、不法行為となることもあるのです。とはいえ、ワクハラがどの程度であれば不法行為となるのかは、誰も明確にいうことはできません。

ワクハラが職場で発生した場合、ワクチン接種そのものがそれぞれの意思によって決定されるべきものであることを職場で共有し、ワクハラを行っている人物に対して個別に指導するなど、慎重な対応が求められます。

ワクハラをきっかけにパワハラ(パワーハラスメント)に発展する恐れもあります。人格を否定するような精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、個の侵害などは、パワハラの典型的な行為です。パワハラは、職場での優位性をもとに、業務上必要もない度を超えた、就業環境を害するような言動です。企業は、職場でのパワハラを防止するため、相談窓口の設置や研修の実施、相談があったときの適切な対応など、さまざまな措置を講じることが求められています。

もし職場でワクハラが発生した場合には、企業としては、さらなるハラスメントに発展しないよう、慎重に対応する必要があるでしょう。

ワクハラが生じてしまう原因

なぜ、ワクハラが発生してしまうのでしょうか。ワクハラを行う人の心理には、「わからないもの」への不安があります。

病気への不安感

第一にあるのは、新型コロナウイルスという未知の病気への恐怖心です。致死率や、重症化率について分からない部分も多く、他人との接触が制限されるといった前代未聞の事態に、大きなストレスを感じた人も少なくありません。こうした病気への恐怖・不安感が、ワクチンを打たない人に対する攻撃に隠れています。

自分以外の人から感染する可能性を消したい

新型コロナウイルスは、他者からの感染力が強い病気であることも大きな特徴です。職場の誰かが感染した場合、「自分にもうつるかもしれない。そうした可能性を低くするには、職場の全員がワクチンを接種するべき」。このような短絡的な考え方が、他者の意思を尊重しないワクハラへとつながっています。

もしワクハラにあってしまったら

もし職場でワクハラが発生したら、もし自分がワクハラにあってしまったら、どのように対応するのがよいでしょうか。

職場でワクハラの現場を見かけた場合

職場でワクチン未接種の人を非難するような言動を見かけた場合は、ワクチン接種が本人の自由意志によるものであること、国や会社が強制することはできないことを伝えましょう。周りがいっても、ワクハラをしている人の態度が改まらない場合には、人事や上司に相談してみるのがよいでしょう。

ワクハラの被害にあってしまった場合

ワクハラをされている場合、まずは人事部や上司に相談しましょう。その際、ハラスメントの内容について記録を残しておくとよいでしょう。とくにワクハラの程度が酷い場合や、業務妨害や不利益な待遇を受けている場合、パワハラとして会社に取り扱ってもらえるよう、証拠や記録を残しておくことが重要です。

ワクハラについて人事として相談された場合

まず、当人に話を聞き客観的な状況把握に努めましょう。その際、関わる人物のプライバシーにも配慮しなければなりません。その後、ワクハラが行われたのが事実であるかを、当該職場で働く人や関係者から聴取します。相談した人に対して不利益な取扱いをすることができないことはもちろんのこと、事情聴取や事実確認に協力した人に対しても、不利益な取扱いをすることは厳禁です。事実確認は速やかに行いましょう。

ワクハラの事実が確認されたのち、ハラスメント行為を行っている人物に対して、注意・指導など適切な処分を決定します。また、企業としては、当該相談を解決するだけではなく、再発防止の措置を取ることも大切です。ワクハラが発生しないために、会社として新型コロナウイルスやワクチンの正しい知識を啓蒙するような情報発信・研修を行うのがよいでしょう。

ワクチンの接種は本人の意思によるもの

ワクチン接種は、本人の意思によって「打つ・打たない」が決定されるものです。人によって事情は異なり、なかにはワクチン接種を希望しない人もいます。そのため、会社が強要することはできません。

ワクチン接種を迫ったり、執拗に未接種の理由を聞いたりすることは、ワクハラに該当する可能性があります。職場でのワクハラを防ぐには、新型コロナウイルスやワクチンに対する正しい知識を啓蒙することが重要です。


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