- 更新日 : 2024年10月30日
目標管理とは?目標管理シートの無料テンプレートを基に例文、書き方を解説
目標管理とは、社員それぞれが設定した目標について、目標達成までのプロセスや達成度について分析や管理をすることです。企業が目標管理を導入して社員一人ひとりが目標達成のために努力をすることで、企業の目標達成につながっていきます。本記事では、目標管理とは何かや、目標管理シートの書き方について解説します。
目次
目標管理とは?
目標管理とは、業務上での目標設定をした後に、目標の達成までのプロセスや達成度などを管理、分析することです。目標管理を英語表記すると、Management by Objectives(MBO)になります。本項では、目標管理の意味や概要について解説します。
目標管理制度とは
目標管理制度とは、目標管理を企業内の制度として応用したもののことをいいます。個人、チーム、部署などで目標を設定して、目標に対するプロセスや達成度などを管理することにより、評価を決定する制度です。
社員それぞれが目標管理をして目標達成のための努力をすることで、企業の目標ともリンクして企業全体の目標達成につながっていきます。
目標管理と目標設定の違い
目標設定とは、個人や部署や企業などが目的やゴールなどを設定することをいいます。一方、目標管理とは、目標設定により設定された目標に対して、期限までの達成度やプロセスを管理することです。
目標設定は、目標管理の中の一番最初の部分になります。目標設定については、下記ページに詳しく記載していますのでご参考ください。
目標管理の種類
目標管理は多くの企業で必要ですが、いくつかの種類があり目標設定の方法や評価方法などが異なるため、企業に合った目標管理を導入しています。本項では、目標管理の種類について解説します。
MBO
MBO(Management by Objective)とは、目標を企業、部署、チーム単位で設定するのではなく、社員個別単位で設定する方法です。経営の神様と呼ばれるピーター・ドラッカーにより提唱されました。
社員が個別の目標達成に向けて努力していき、その道のりをマネジメントしていくことで、企業全体が発展していくことができます。社員が個別に目標を設定するため、モチベーションや業務効率の向上が図れるのがメリットです。
MBOについては、下記ページに詳しく記載していますのでご参考ください。
OKR
OKR(Objectives and Key Results)とは、企業、部署、チーム、個人などの階層ごとに設定しリンクさせることで、全体で同じ目標に向けて取り組める目標設定方法です。Objective(目標)とKey Results(主要な成果)をあわせた目標管理手法になります。
OKRは、単なる目標設定だけでなく、目標設定、進捗、評価という流れを通じて、組織全体で成果をあげる組織マネジメント手法を可能にします。
KPI
KPI(Key Performance Indicator)とは、目標設定のために使用される指標で、「重要業績評価指標」のことです。最終目標を達成するために必要な具体的な指標を設定して、どのようなプロセスを辿ればよいかを数値として設定します。
KPIにより、最終目標を達成するためには、いつまでに何を達成すればよいのかが明確にわかるのが特徴です。
KGI
KGI(Key Goal Indicator)とは、重要目標達成指標のことです。企業が最終的に達成する目標を指標化したもので、売上高や制約数などの数値として設定します。
KPIやKGIについては、下記ページに詳しく記載していますのでご参考ください。
企業が目標管理を導入するメリット・デメリット
企業が目標管理を導入すると様々なメリットがありますが、導入することによるデメリットもあるのです。本項では、企業が目標管理を導入するメリットやデメリットについて解説します。
目標管理を導入するメリット
企業が目標管理を導入すると、以下のようなメリットがあります。
・社員のモチベーションアップが図れる
目標管理を導入することで、社員自ら目標を立て行動することになり、業務に対する自主性を高めることができます。その結果、積極的、意欲的に社員が業務に取り組むようになり、社員のモチベーションアップが図れるでしょう。
また、目標管理の導入により評価の基準が明確化することで、社員が行うべきことも明確化できるため、モチベーションアップが図れます。
・評価がしやすくなる
目標管理の導入により、目標に対してのプロセス、進捗状況、達成状況の各工程ごとの指標が明確化するため、評価が容易になります。また、具体的な目標を設定することで、達成状況による評価が可能となるとともに、公平な評価制度として活用できるでしょう。
・社員のスキルアップが図れる
自らが目標を設定して、目標達成のために進んでいくことにより、社員のスキルアップが図れます。社員がひとりひとりスキルアップすることで、チームや部署や企業の業績も向上して企業価値を高められるでしょう。
目標管理を導入するデメリット
目標管理の導入は、メリットだけでなく以下のようなデメリットを及ぼす可能性があります。
・目標設定しにくい部署もある
目標管理で目標を設定する場合には、基本的に数値を設定することが多いです。部署によっては目標を数値化することが難しいところもあり、目標を明確化できないケースも発生します。
・達成できるような目標の設定
目標管理では目標を自ら設定するため、場合によっては達成できるような簡単な目標を設定するケースもでてきます。最終的に何を達成するための目標なのかを明確化して、目標を設定することが大切です。
目標管理シートとは?
企業が目標管理を導入した場合、社員が自ら目標を立てる必要があります。その場合によく使われるのが、目標管理シートです。目標管理シートとは、目標を設定してその目標を達成するまでの状況を可視化するツールのことです。
マネーフォードクラウドでは、すぐに実務で使用できる目標管理シートを無料でダウンロードできますので、この機会にぜひご活用ください。
目標管理シートの例文、書き方
目標管理シートに記載することは、業種によって異なります。本項では、技術職を例として、目標管理シートのテンプレートを用いた各項目の書き方やコツ、目標設定の方法や行動計画、運用の仕方を解説します。
業務目標
業務目標とは、個人の目標を記載する項目ですが、企業や部署などの目標とずれないことが大切です。業務目標の項目には、具体的な目標を記載するとよいでしょう。
例えば、技術職の場合は、「新たなプログラム言語(JAVA)を習得する」「Oracle Certified Java Programmer Silver資格を取得する」などと記載します。
到達レベル
到達レベルには、どれくらいの到達レベルになっていたら目標達成なのかを記載します。このときに、到達レベルに達するように努力するや、頑張るなどの曖昧な表現は禁止です。
技術職の場合は、「JAVA言語を使って、プログラミングを納品できるレベルまで到達する」などと記載します。
行動計画
行動計画には、業務目標を達成するためにどのように計画を立てていくのかを記載します。目標達成のためのプロセスを記載する項目のため、曖昧ではなく具体的な行動計画を記載することが必要です。
技術職の場合は、「Oracle Certified Java Programmer Silver資格を取得するために、外部の講習を受講する」などと記載します。
達成期限
達成期限には、何年何月までに目標を達成するかを記載します。
ウェイト
業務目標の項目には、個人の場合は通常2つから4つくらいの目標を立てることになりますが、この中でどの目標に何%のウエイトを付けるかを記載します。難易度、成果貢献批准度、組織反映度などによりウエイトの基準を考えることが大切です。
自己評価
自己評価は、達成期限時点での自分が考える評価を以下のS・A・B・C・Dで判断します。
S:極めて優れていた
A:優れていた
B:普通
C:やや不十分だった
D:かなり不十分だった
上長評価
上長評価は、上司から見た評価をS・A・B・C・Dで判断する項目です。
達成度
達成度は、立てた業務目標に対して、何パーセントの達成度なのかを記載します。
備考
備考には、補足など何か他に記載すべき点があれば記載する項目です。
所属長所見
所属長所見は、所属長が目標管理シートを見て、全体的な感想や総括を記載する項目です。
目標管理の運用のポイント
企業が目標管理を導入して運用していくためには、いくつかのポイントがあります。本項では、目標管理の運用のポイントや注意点について解説します
従業員の自主性を尊重する
目標管理において目標を設定するときには、社員の自主性を尊重することが重要です。自主性の尊重は、社員のモチベーションのアップにもつながります。
一方、上司が社員の目標を一方的に決めることは、モチベーションの低下につながるため注意が必要です。
達成可能な目標を立てる
目標だからといって難易度が高すぎる目標を設定することは、モチベーション低下の原因になるため避けたほうがよいでしょう。一方、難易度が低く誰でも達成できるような目標を立てることは、企業のためにもならないだけでなく、社員のスキルアップにもつながりません。
目標を立てるときには、努力することで達成できる現実的な目標を立てることが大切です。
上司のフィードバックを反映させる
目標管理では、社員の自主性を尊重することが大切ですが、社員の目標が企業や部署などの目標とリンクすることも大切です。そのため、目標の設定には、上司のフィードバックを反映して、修正すべきところは修正してより良い目標管理にすることが重要になります。
定期的に目標の進捗を確認する
目標を立てたら期限になってから達成の有無を確認するのではなく、定期的に目標の進捗を確認することが大切です。自己と上司の両方の定期的な進捗状況の確認により、目標の達成度の確認や、目標を達成するためのこれからの行動について見直すことができます。
目標管理は企業の目標を達成するためにも必要なツール
企業が目標管理を導入することで、社員それぞれが自分の目標に向かってモチベーション高く自律的な行動をするようになることが期待できます。また、個人の目標管理はスキルアップにつながり、個人のスキルアップにより企業の業績が向上し、企業の目標達成にもつながるでしょう。
まだ目標管理を導入していない企業は、ぜひこの機会に目標管理の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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