• 更新日 : 2023年3月28日

有給休暇は繰越できる?上限や規程などをわかりやすく解説!

有給休暇は繰越できる?上限や規程などをわかりやすく解説!

従業員が有給休暇を付与されてから1年間で消化しきれなかった場合には、残日数の繰り越しが可能です。しかし、繰り越されるからといっても、有給休暇には時効があり、最大保有日数にも限度があります。
有給休暇はいつまでに取得しなければ消滅してしまうのか、付与日数や取得できる期限、繰越における注意点について解説します。

有給休暇の繰越とは?

有給休暇の繰越とは、従業員に新たに付与した有給休暇を1年以内に消化しなかった場合に、残日数を翌年に持ち越すことです。

例えば、4月1日に入社した正社員の場合、出勤しなければならない日(全労働日)の8割以上を出勤すると、6ヵ月後の10月1日に10日間の有給休暇が発生します。この場合、有給休暇を付与した10月1日から翌年の9月30日までの間にすべて消化しなくても、残りの日数を翌年に繰り越すことが可能です。

つまり、労働基準法では、有給休暇は付与されてから2年間取得可能な制度となっています。

有給休暇の付与日数 – 最大保有日数とは?

有給休暇の付与日数は週の所定労働日数や週の所定労働時間によって異なります。正社員やフルタイムで働く従業員は①の原則的な付与日数で計算しますが、パートやアルバイトのように所定労働日数が少ない従業員は②の比例付与による付与日数に当てはめて計算するため注意が必要です。
①原則的な付与日数
週の所定労働日数が5日以上の従業員や、週の所定労働時間が30時間以上の従業員の場合、以下の表に当てはめて計算します。

勤務年数
0.5年
1.5年
2.5年
3.5年
4.5年
5.5年
6.5年
以上
付与日数
10日
11日
12日
14日
16日
18日
20日

引用:労働基準法のあらまし|東京労働局

②比例付与による付与日数
週の所定労働日数が4日以下、かつ、週の所定労働時間が30時間未満となる従業員の場合、以下の表のように所定労働日数に応じて付与日数が減少します。また、週以外の期間で労働日数が定められているケースでは、1年間の所定労働日数で付与日数を計算します。

週所定
労働日数
1年間の
所定
労働日数
勤務年数
0.5年1.5年2.5年3.5年4.5年5.5年6.5年
以上
4日169日~
216日
7日8日9日10日12日13日15日
3日121日~
168日
5日6日8日9日10日11日
2日73日~
120日
3日4日5日6日7日
1日48日~
72日
1日2日3日

引用:労働基準法のあらまし|東京労働局

①の原則的な付与日数で見ると、6. 5年以上継続して勤務している従業員の有給休暇の付与日数が最高となり、その日数は20日です。したがって、有給休暇は1年に限って繰り越すことができますので、有給休暇の最大保有日数は40日となります。

有給休暇の繰越における時効

有給休暇の請求権の時効は2年となっているため、未消化の有給休暇は翌年も取得できるようにしなければなりません。有給休暇が1年に限って繰り越すことができるのも、最大保有日数は40日となるのも、請求権の時効が2年となっているためです。

つまり、有給休暇は基準日となる権利が発生した日から2年間で取得しなければ、時効によって消滅することになります。

有給休暇の計算方法 – 勤続年数など

有給休暇を繰り越した際の残日数の計算方法について①〜③のステップで具体的に見ていきましょう。

例えば、6. 5年以上勤務している従業員が2020年度に付与された20日のうち10日しか有給休暇を取得しなかった場合、2020年度に消化しなかった10日分が2021年度に繰り越されます。

【2020年】
①2020年度新規付与日数20日-2020年度消化日数10日=合計10日(2021年度へ10日繰り越す)
2021年度はさらに20日の有給休暇が付与されますので、有給休暇の保有日数の合計は30日となります。
【2021年】
②前年度繰越日数10日+2021年度新規付与日数20日=合計30日
ここで、2021年度に5日しか有給休暇を取得しなかったとしたらどうなるでしょう。
この場合、前年度から繰り越された日数が10日あるため、5日消化してもまだ5日が未消化の状態で残ります。しかし、この未消化の5日は2022年度になると2年の時効を迎えて消滅してしまうため繰り越すことができません。この未消化の5日と2021年度に新しく付与された20日の有給休暇との合計で保有日数が25日となっていたとしても、2022年度へ繰り越せる日数は25日ではなく20日です。
②´(前年度繰越日数10日-今年度消化日数5日)+2021年度新規付与日数20日=合計25日
↓                 ↓
前年度繰越日数のうち未消化の5日は時効で消滅 2022年度へ20日繰り越しが可能

2022年度は20日がさらに付与されることとなりますが、2020年度から2021年度に繰り越された10日のうち2021年度に消化しきれなかった5日は時効により請求権が消滅するため、2022年に繰り越せるのは2021年度に付与された20日です。したがって、2022年度の有給休暇の保有日数は45日とはならず、40日となります。

【2022年】
③2021年度未消化分20日+2022年度新規付与日数20日=合計40日
①〜③のステップから年度ごとに繰り越された有給休暇の日数と次年度に繰り越しが可能な日数の関係を表にまとめると、以下のようになります。

前年繰越日数新規付与日数取得日数合計次年度繰越可能日数
①2020年0日20日10日10日10日
②2021年10日20日30日
②´2021年10日20日5日25日20日(5日は時効で消滅)
③2022年20日20日0日40日(最大保有日数)20日(20日は時効で消滅)

 

有給休暇の付与および繰越における注意点

有給休暇の付与方法や繰り越す際の注意点について解説します。

会社によって付与のスケジュールは違う

有給休暇は、初めて付与する入社日から6ヵ月経過後が基準日となり、以後基準日から1年毎に付与するのが原則です。しかし、法律通りに付与すると、中途入社の従業員が多い場合、従業員ごとに有給休暇の付与日(基準日)が異なることとなるため、付与日数や残日数の管理が複雑になります。

このような場合には、全従業員の基準日を特定の日に定めて、付与日を統一することもできます。例えば、5月1日に入社した従業員の初年度の有給休暇を11月1日に10日付与し、2年目は全従業員の付与日(基準日)を統一するために4月1日に11日付与するといった方法です。これを「斉一的取扱い」といいます。

繰り越した有給は、新規の有給休暇よりも先に消化されるのが基本

有給休暇を繰り越した場合、翌年度は新しく付与した分から消化するのでしょうか。それとも、繰り越した分から消化するのでしょうか。

結論としてはどちらも可能です。ただし、有給休暇の取得方法として、就業規則などにルールを定めておく必要があります。

新しく付与した有給休暇から消化することとすると、繰り越した有給休暇を消化せずに時効で消滅させてしまうことがあるため、従業員にとっては不利益な取扱いとなります。従業員は繰り越した分から消化すると思っていることが多く、トラブルの原因になりかねません。

不要なトラブルを避けるためにも、繰り越した分から消化する取扱いとするのが一般的です。

最大保有日数を超えた有給はどうなる?

法定通りに有給休暇を付与すると、1年の付与日数は最高20日です。有給休暇は1年に限って繰り越すことができますので、有給休暇の最大保有日数は40日となります。最大保有日数を超えた有給休暇は時効によって請求権が消滅します。
ただし、法律を上回る有給休暇を従業員に与えることは問題ありません。傷病休暇など特別休暇の制度を設けて、時効で消滅した有給休暇を病気や怪我による長期療養が必要なときのために積み立てることができるようにしている企業も多くあります。

有給休暇が時効で消滅するようなことがないように、従業員が取得しやすい環境をつくることが大切です。しかし、どうしても有給休暇が取得しきれない場合には、企業独自の休暇制度を設けて、消滅した有給休暇を活用できる制度をつくるのもよい方法です。

有給休暇の繰り越しができるのは次年度の1年限り

有給休暇の請求権の時効は2年です。有給休暇は1年に限って繰り越すことができますので、企業は未消化の有給休暇を翌年も取得できるようにしなければなりません。

従業員が退職する際にまとめて有給休暇を取得する例も多く見られますが、企業としては長期間の有給休暇取得により事業に支障が生じる恐れもあり、望ましいこととはいえません。有給休暇の繰り越しができるのは次年度の1年限りとなるため、有給休暇が時効で消滅するようなことがないように管理することが大切です。

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よくある質問

有給休暇の繰越とはなんですか?

有給休暇の繰越とは、従業員に新たに付与した有給休暇を1年以内に消化しなかった場合に、残日数を翌年に持ち越すことです。ただし、有給休暇の請求権の時効は2年であり、繰越は1年限りとなります。詳しくはこちらをご覧ください。

有給休暇の最大保有日数は何日ですか?

有給休暇は1年に限って繰り越すことができます。法定通り有給休暇を付与すると、1年の付与日数は最高20日となるため、有給休暇の最大保有日数は40日です。詳しくはこちらをご覧ください。


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