- 更新日 : 2024年5月10日
身分証明書とは?種類や従業員証明(社員証)テンプレート、書き方を解説
市区町村役所における公的な手続きや銀行口座の開設、就職時など様々な場面で本人性の確認のために、身分証明書の提示や提出を求められます。その手続きが重要であればあるほど、本人であるか否かの確認の重要性も増していきます。
当記事では、身分証明書について解説します。社員証についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
身分証明書とは?
社会生活を送るうえでは、保有する資格の有無や本人性などを確認しなければならない場面があります。市区町村役所における手続きや銀行口座の開設などが代表的な場面となるでしょう。そのような場面において、本人性の確認に用いられる書類が「身分証明書」です。
身分証明書は、証明を行うという性質上、公的機関が発行するものが多くなっています。しかし、社員証など、私企業が発行する身分証明書も存在します。
身分証明書の種類
身分証明書には、様々な種類が存在します。そのほとんどは公的なものですが、一部には私的な身分証明書も存在します。公的身分証明書か否かの分類は、以下の通りです。
公的身分証明書 | 私的身分証明書 |
---|---|
運転免許証 マイナンバーカード 年金手帳 パスポート 健康保険証 住民基本台帳カード 在留カード・特別永住者証明書 | 社員証※ 学生証※ |
※提出先や発行機関によって扱いが異なる場合あり
次項から、それぞれの身分証明書について、概要を解説します。
運転免許証
運転免許証は、自動車やオートバイなどの運転の許可を得ていることを証する書類です。運転資格を証明するだけでなく、本人性の確認のために用いられることも多い公的な身分証明書です。
大型二種など、取得が難しい免許もありますが、原動機付自転車などは比較的取得が容易です。そのため、運転免許は、多くの人が保有する国家資格となっており、身分証明書として利用される場面も多くなっています。
また、運転免許証は、公的機関である都道府県公安委員会が発行し、顔写真も付いていることから、信頼性が非常に高くなっています。そのため、通常は運転免許証一枚で、本人の確認が可能です。
マイナンバーカード(個人番号カード)
2016年から、行政手続きにおける効率化と、国民の利便性を向上させることを目的として、マイナンバー制度が導入されています。マイナンバーは、住民票を有する日本国民全てに付与されているだけでなく、日本に中長期滞在する外国人にも付与されています。
マイナンバーカードは、12桁からなるマイナンバーが記載された公的な身分証明書です。顔写真が付いた身分証明書であり、運転免許証同様これ一枚で本人確認が可能です。
また、マイナンバーカードには電子証明書の機能も備わっています。この機能は、e-Taxを利用した確定申告の電子申請における電子署名などに用いられています。
年金手帳
年金手帳は、国民年金や厚生年金などの公的年金制度の加入者に交付されていた手帳です。公的年金制度の加入者であることを証するものとして、加入者一人に対して、一冊ずつ交付されていました。運転免許証などとは異なり、顔写真は貼られていません。
年金手帳は2022年3月末をもって廃止されており、2022年4月以降に公的年金制度に加入する場合には、年金手帳に代わって「基礎年金番号通知書」が発行されています。
年金手帳は、現在新規発行されていません。しかし、すでに交付されている場合には、公的な身分証明書として利用できます。年金手帳のみで本人確認が可能な場合もありますが、多くは後述する健康保険証などと併せての提示が求められます。
パスポート(旅券)
パスポート(旅券)は、日本政府が外国政府に対して、所持している者が日本国民であることを証明する書類です。また、所持している者が海外において安全に旅行などができるように、必要な保護および扶助を要請するための書類でもあります。海外への渡航時には、パスポートの携帯が義務付けられており、出入国審査などに使用されています。
パスポートには有効期限があり、赤い表紙は10年、紺色の表紙は5年となっています。申請日に満18歳以上であれば、5年と10年を選択できますが、18歳未満である場合には、5年しか選択できません。
パスポートは、海外だけでなく、国内においても公的な身分証明書として使用されています。その際には、運転免許証やマイナンバーカードと同様に一枚で本人確認ができます。
健康保険証
健康保険証は、公的医療保険制度の加入者に交付される書類です。公的医療保険制度には、国民健康保険や被用者保険、後期高齢者医療制度の3種類が存在します。
自営業者は、原則として国民健康保険に加入し、企業に勤めている場合には、協会けんぽや健康保険組合などの被用者保険に加入しています。また、75歳以上の者や一定の障害状態にある65歳以上74歳未満の者は、後期高齢者医療制度に加入することが必要です。
健康保険証は、医療機関で保険診療を受ける際に必要となります。健康保険証がない場合には、保険診療は受けられず、原則として10割負担となります。
健康保険証を公的な身分証明書として使用する場合には、通常先述の年金手帳や基礎年金番号通知書など、他の書類と併せて本人確認が行われます。
写真付き住民基本台帳カード
住民基本台帳カードとは、かつて発行されていたICカードです。行政事務手続きの効率化や住民の利便性向上を目的として、市区町村から発行されていましたが、2015年末をもって廃止されています。住民基本台帳カードに替わって発行されるようになったものが、先述のマイナンバーカードです。
住民基本台帳カードは、現在新規発行されていませんが、発行済みのものは有効期限内であれば公的な身分証明書として使用可能です。また、住民基本台帳カードには、写真付きと写真のないものの2種類が存在します。
写真付き住民基本台帳カードは、一枚で本人確認が可能です。しかし、写真付きでない場合には、健康保険証などと併せての提示や提出が求められることが通常です。
在留カード・特別永住者証明書
在留カードは、日本に中長期滞在する外国人に対して、法務省から交付されるカードです。適法な在留資格を有することを証明するものであり、公的な証明書としての性格を有しています。なお、所持者が16歳以上である場合には、顔写真が表示されます。
特別永住者証明書は、「出入国管理に関する特例法」に基づき、日本への永住資格が付与された外国人である特別永住者の法的な地位を証する書類です。在留カードと同様に所持者が16歳以上である場合には、顔写真が表示されます。
在留カードと特別永住者証明書は、両者ともに公的な身分証明書として利用可能です。一枚で本人確認が可能であり、通常は他の書類と併せて提示することを要しません。
社員証
社員証は、企業の従業員であることを証明する書類です。私企業が作成するものであるため、様式などに定めはなく、企業の自由なフォーマットで作成可能となっています。
社員証はカードタイプであることが多く、氏名や社員番号、所属部署などが表示されます。また、顔写真付きであることが多いでしょう。社員であることの証明の他に、ICカード化することで、入退室や勤怠管理などに用いている企業も存在します。
社員証は、私企業が発行している私的な文書であるため、公的身分証明書としては扱われない場合も多くなっています。特に顔写真のないものは身分証明書として利用不可としている場合も多いでしょう。
社員証は、銀行などの金融機関が行う本人確認においては、公的な身分証明書として扱わないことがほとんどです。一方で、市区町村などの手続きにおいては、公的な身分証明書として扱われることもあります。ただし、その場合であっても、写真の有無や住所地の記載といった条件が課されていることが多く、社員証であれば必ず使用可能なわけではありません。
なお、一枚で本人確認が可能であるか否かも提出先や記載内容によって異なるため、提出時には注意が必要です。
学生証
学生証は、高等学校や大学などの教育機関が所属する学生に対して、交付する証明書です。教育機関に所属する学生である証明を行う関係上、学籍番号や氏名、有効期間などが記載されていることが一般的です。また、顔写真が表示されていることが多くなっています。
学生証の発行主体は、公的機関である国公立学校と、私企業である私立学校のいずれの場合もあります。発行主体が公的機関か私企業であるかを問わず、公的な身分証明書として利用可能な場合が多くなっています。
ただし、金融機関では、官公庁などの公的機関から発行された学生証のみを公的な身分証明書として利用可能としていることが多いようです。顔写真の有無などでも扱いが変わる場合もあるため、提出先に確認を行いましょう。
会社で身分証明書(社員証)の発行を求められたら?
現在社員証を発行していない企業が、従業員からの要望によって、社員証を発行する場合もあるでしょう。その場合には、デザインや機能、外注か内製かなど様々なことを決めなければなりません。社員証の作成や発行は企業の義務ではありませんが、従業員の要望を取り入れたうえで作成しましょう。
社員証の形ではなく、会社に在籍していることの証明を社員から求められることがあります。在籍を証明する書類は、「身分証明書」「在籍証明書」などの名称であることが多くなっています。このような書類は、住宅ローンの申込みや、賃貸住宅への入居などで必要となることが多いでしょう。
身分証明書の発行を担当する部署に決まりはありませんが、人事部門が発行することが多いでしょう。また、書類の提出先によって、必要となる記載事項が異なるため、社員からヒアリングを行うことも必要です。
身分証明書は、社員証と同様に会社に発行義務があるわけではありません。しかし、作成が遅れるようなことがあれば、審査に間に合わない可能性もあります。社員から身分証明書の発行を求められた場合には、速やかに発行することが必要です。
身分証明書(社員証)のテンプレート、ひな形
身分証明書や社員証は法的な書類ではありません。そのため、どのような形式をとることも作成する会社の自由です。提出先によって要求される事項が異なる場合もありますが、一般的には以下のような事項を記載します。
- 発行日
- 提出先の会社名および代表者名
- 生年月日
- 社員の氏名・住所・電話番号
- 所属部署および職種
- 社員番号
- 入社日
- 勤務地
- 会社名および住所地・代表者名
身分証明書は、会社が一から作成しても問題ありません。しかし、以下のようなテンプレートを利用すると手間なく作成可能です。
身分証明書(社員証)の書き方や注意点
身分証明書に決まったフォーマットはありませんが、先ほど紹介したテンプレートを参考に書き方や注意点を解説します。
- 発行日
作成した日付を明らかとするために記載します。 - 提出先の会社名および代表者名
提出先を明らかにするために記載します。 - 生年月日
社員の年齢を明らかにするために記載します。 - 社員の氏名・住所・電話番号
社員の氏名および連絡先を記載します。必ず連絡がつくように引っ越しや電話番号の変更に注意しましょう。 - 所属部署および職種
社員が在籍していることだけでなく、どのような仕事を行っているか明らかにするために記載します。 - 社員番号
存在する場合には社員識別のための社員番号も記載します。 - 入社日
いつから社員が在籍しているか明らかにするために記載します。在籍期間は審査に関わる事項のため、誤りがないようにしましょう。 - 勤務地
本社や支社など、どこに勤務しているかを記載します。 - 会社名および住所地・代表者名
発行主体を明らかにするためにこれらの情報を記載します。所在地の記載がない場合には、有効な証明書として扱われない場合もあるため、忘れずに記載しましょう。また、確かに会社から発行された証明として、代表者印も必要です。
上記の他にも、提出先から求められた事項があれば記載が必要です。社員証を作成する際にも上記事項を記載すれば基本として問題ありませんが、裏面に譲渡や目的外の使用を禁ずる旨を記載しましょう。
身分証明書の種類と役割を理解しよう
銀行口座の開設や公的機関での手続きなど、本人確認が必要となる場面は数多く存在します。また、身分証明書といっても、全てが公的な身分証明書として利用可能なわけではありません。当記事の解説を参考に身分証明書への理解を深め、適切な手続きに役立ててください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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