• 更新日 : 2026年4月15日

社会保険の扶養はいくらまで?年収130万円の壁と手取り額

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会社員などの扶養家族となっている配偶者や子どもでも、一定金額を超えなければ扶養のまま、パート・アルバイト収入などを得られます。しかし、定められている金額を超えてしまうと、扶養から外れなければなりません。

扶養には「税の扶養」と「社会保険の扶養」があり、社会保険の扶養範囲は原則として年収130万円未満です。もう一つの基準として知られていた「106万円の壁」については、2025年6月に成立した年金制度改正法で撤廃が決定し、2026年10月の施行が予定されています。

今回は、この社会保険における「130万円の壁」を軸に、106万円の壁の最新動向と扶養に関する注意点をあわせて解説します。

目次

社会保険の扶養はいくらまで?年収130万円・106万円の違い

社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養範囲は、原則として年収130万円未満です。加えて、従業員数51人以上の企業で週20時間以上働くなどの条件を満たす場合は、年収106万円(月額賃金8.8万円)を超えた時点で勤務先の社会保険に加入する必要があります。

これらの基準を超えると、扶養から外れて勤務先または自身で社会保険に加入することになり、毎月の社会保険料の支払いが発生します。

  • 106万円の壁:勤務先の社会保険への加入基準(条件を満たす場合)
  • 130万円の壁:社会保険の扶養から外れる基準(すべての人が対象)

【重要】106万円の壁は2026年10月に撤廃、企業規模要件は2027年10月に撤廃

2025年6月13日に成立した年金制度改正法により、106万円の壁(月額賃金8.8万円以上という賃金要件)は2026年10月に撤廃されることが決まりました。

あわせて、従業員数51人以上という企業規模要件も2027年10月に撤廃される予定です。改正のスケジュールは以下の通りです。

  • 2026年10月:賃金要件(月額8.8万円以上=年収約106万円)を撤廃
  • 2027年10月:企業規模要件(従業員数51人以上)を撤廃
  • 2029年10月:従業員5人以上の個人事業所について、これまで対象外だった業種(農林水産業、飲食業、宿泊業、理美容業など)も厚生年金の加入対象に拡大

撤廃後は、週の所定労働時間が20時間以上であれば、年収や企業規模に関係なく勤務先の社会保険に加入する仕組みに変わります。つまり、106万円という「年収の壁」は、実質的に「労働時間の壁(週20時間)」へと移行することになります。

なお、学生を対象外とする要件は今回の改正でも維持されるため、学生アルバイトは引き続き社会保険加入の対象外です。

また、最低賃金の全国加重平均は2025年度に1,121円に達し、週20時間勤務で自然と月額8.8万円を超える地域が大半となっています。「106万円の壁」が実質的に形骸化していることも、撤廃が実施される背景の一つです。

保険料の一部を企業が肩代わりできる時限措置も(2026年4月〜)

撤廃によって新たに社会保険へ加入する労働者の手取り減少を緩和するため、2026年4月から、年収156万円未満の人を対象に、保険料の一部を企業の判断で肩代わりできる時限措置も始まっています。肩代わり割合は企業が任意で設定でき、追加負担分は国から企業へ支援される仕組みです。

参考:「年収の壁」への対応|厚生労働省

勤務先の規模によって加入条件が異なる(現行制度)

106万円の壁が正式に撤廃されるまでの間は、勤務先の従業員数によって社会保険の加入条件が異なります。

ご自身の働き方がどちらの条件に当てはまるか確認してみましょう。

社会保険加入の
年収の目安
約106万円以上
(月額賃金8.8万円以上)
130万円以上
(月給約10.8万円以上)
交通費の扱い 含まない
(基本給などで判定)
含む
(手当等もすべて含む総支給額)
対象条件
  • 従業員数51人以上の企業
  • 週20時間以上勤務
  • 2ヶ月以上の雇用見込み
  • 学生ではない
  • 従業員50人以下の企業
  • 年収106万円の壁に該当しないすべての人

参考:社会保険適用拡大の対象について|厚生労働省

106万円は交通費別だが、130万円は交通費込み

従業員数51人以上の企業で社会保険の加入基準となる「年収106万円(月額8.8万円)」の判定には、交通費(通勤手当)は含まれません。

そのため、交通費込みで年収106万円を超えていても、基本給などの「所定内賃金」が月8.8万円未満であれば、扶養のままでいられるケースがあります。

一方で、扶養認定の基準である年収130万円は、交通費を含んで判定します。

「106万円の判定では交通費を除外したから、130万円も同じだろう」と勘違いして交通費を除いて計算してしまうと、気づかないうちに上限を超えてしまい、扶養認定を取り消されるリスクがあります。

  • 106万円判定 = 交通費は
  • 130万円判定 = 交通費は込み

この違いは重要ですので、必ず覚えておきましょう。

例)

年収125万円+交通費なし:年収130万円未満となり、社会保険の扶養の範囲内になる

年収125万円+交通費6万円の支給あり:年収130万円以上になり、社会保険の扶養の範囲から外れる

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そもそも社会保険における扶養とは?

社会保険の扶養とは、会社員などの配偶者が自分自身では健康保険、および厚生年金に加入しなくても済む仕組みのことをいいます。

会社員や公務員は、勤務先において健康保険・厚生年金に加入します。そして健康保険料・厚生年金保険料の1/2を負担しなければなりません。なぜ1/2かというと健康保険料・厚生年金保険料は会社員・公務員である被保険者と、勤務先が折半して支払うことになっているためです。残りの1/2は勤務先が負担し、給料天引きで徴収した被保険者負担分と合わせて、保険料納付を行います。

こうした会社員・公務員が配偶者を扶養している場合、その配偶者を社会保険の扶養とすることができます。社会保険の扶養となった配偶者は、自分自身で健康保険に加入しなくても健康保険を使えます。年金でも不利な取り扱いにはなりません。自分自身が加入しているわけではないため、健康保険料・厚生年金保険料の支払いも不要です。

【金額シミュレーション】130万円・106万円を超えたら手取りはいくら?

年収106万円や130万円の基準を超えて社会保険(健康保険・厚生年金)に加入した場合、手取り額はどう変わるのでしょうか。

会社の社会保険は「労使折半(会社と半分ずつ負担)」ですが、それでも毎月の給与から天引きされるため、手取り額は一時的に減少します。

1. 130万円の壁を超えた場合(すべての人が対象)

年収130万円を超えると、勤務先の規模にかかわらず社会保険の扶養から外れます。

週20時間以上勤務などの条件を満たせば勤務先の社会保険(労使折半)に加入でき、満たさない場合は国民健康保険・国民年金に自分で加入する必要があります。以下は勤務先の社会保険に加入するケースのシミュレーションです。

年収129万円 vs 131万円の比較

項目 年収129万円(扶養内) 年収131万円(社保加入)
年収(額面) 129万円 131万円
所得税 0円 0円
住民税 約2万円 約2万円
社会保険料 0円

(負担なし)

約19万円

(従業員負担分)

手取り金額 約127万円 約109万円
差額 約18万円

※社会保険料は、40歳未満(介護保険なし)、東京都の協会けんぽ(令和7年度想定)の料率に基づいた概算です。
※実際の保険料は、基本給だけでなく通勤手当や残業代を含めた「標準報酬月額」で決定されるため、上記は目安としてご覧ください。
※社会保険料に雇用保険料は含まれていません。

年収130万円を超えると住民税に加えて社会保険料(健康保険・厚生年金)が発生し、年間約19万円(40歳未満の場合)の負担が生じます。所得税は年収160万円までかからないため、手取りは約109万円となります。

年収129万円のときと同じ手取り額(約127万円)に戻すためには、年収150万円前後まで働く時間を増やす必要があります。

2. 106万円の壁を超えた場合(従業員数51人以上の企業)

現行制度では、従業員数51人以上の企業などで週20時間以上働き、年収106万円(月収8.8万円)を超えると勤務先の社会保険に加入します。

保険料は会社と折半ですが、それでも手取りに影響があります。

年収105万円 vs 107万円の比較

項目 年収105万円(扶養内) 年収107万円(社保加入)
年収(額面) 105万円 107万円
所得税・住民税 0円※1 0円
社会保険料

(健康保険・厚生年金)

0円

(負担なし)

約15万円

(従業員負担分)

手取り金額 105万円 約92万円
差額 約15万円

※1 住民税は自治体により発生する場合があります。
※その他の条件は130万円の壁のシミュレーションと同様です。

年収が2万円増えたにもかかわらず、社会保険料の負担が発生するため、手取りは約15万円減ってしまいます。これを年収105万円のときと同じ手取り額(105万円)に戻すためには、年収120万円前後まで働く時間を増やす必要があります。

なお、前述のとおり106万円の壁は2026年10月に撤廃されることが決まっており、施行後は「週20時間以上働くかどうか」が加入の判断基準になります。106万円という年収ラインを意識する必要はなくなる見込みです。

「働き損」だけではないメリットも

手取りだけ見ると損をしたように感じますが、会社の社会保険に加入することには大きなメリットもあります。

  1. 将来の年金が増える:厚生年金に加入するため、将来受け取る年金額(2階建て部分)が増加します。
  2. 保障が手厚い:病気やケガで休んだ時の「傷病手当金」や、出産時の「出産手当金」などが受け取れます。
  3. 保険料が割安:国民年金・国保と違い、会社が半分負担してくれるため、保障内容に対しての支払額は安く抑えられています。

「目先の手取り減少」と「将来の安心・保障」のどちらを優先するか、ご自身のライフプランに合わせて検討することが大切です。

社会保険も含めた扶養に関する年収の壁一覧

2025年の税制改正により、従来の「103万円の壁」などのラインが大きく変更され、より段階的な仕組みになっています。特に、基礎控除等の引き上げが行われ、所得税が発生するボーダーラインが「103万円」から「160万円」へと大きく引き上げられました。

それぞれの年収と発生する負担や影響については、次の表の通りです。

年収の壁 種類 主な影響・発生する負担
106万円 社会保険 条件を満たすと勤務先の社会保険に加入(2026年10月に撤廃予定)
110万円 税金(住民税) 住民税の支払いが発生(自治体により異なる)
123万円 税金(扶養) 「特定親族特別控除(19歳以上23歳未満)」と配偶者特別控除の対象となる(扶養者の税負担減)
130万円 社会保険
税金
国民健康保険・国民年金の支払いが発生
150万円 税金(扶養) 「特定親族特別控除」の控除額が段階的に減り始める。

19歳以上23歳未満の親族は、社会保険の扶養から外れる基準となる。

160万円 税金(所得税) 所得税の支払いが発生(旧103万円の壁)

ここから本人に所得税がかかる。

188万円 税金(扶養) 「特定親族特別控除」が終了(対象外となる)。
201万円 税金(配偶者) 「配偶者特別控除」が終了(対象外となる)。

106万円の壁(社会保険の発生)

年収が106万円(月収8.8万円)を超えると、勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が発生します。所得税はかかりません(160万円まで非課税)が、社会保険料の負担はここから始まります。ただし、2026年10月にこの賃金要件は撤廃されるため、今後は「週20時間以上働くかどうか」が判断基準に変わります。

対象:従業員数51人以上の企業などで働く人

110万円の壁(住民税の発生)

年収がおおむね110万円(自治体により93万〜100万円超の場合もあり)を超えると、住民税の課税が始まります。 所得税はまだ0円ですが、住民税のみ年間数千円〜数万円程度の支払いが必要になります。

対象:すべての人

123万円の壁(特定親族特別控除・配偶者特別控除の開始)

2025年から注目されている新しいラインです。 従来の「扶養控除」に加え、親などの扶養者が受ける控除の激変緩和措置として「特定親族特別控除」が適用されます。お子さんのアルバイト収入がこのラインを超えても、親の税金がいきなり跳ね上がらないよう配慮されています。

また、123万円を超えると配偶者控除が適用されなくなる代わりに、配偶者特別控除が適用されるようになります。

対象:生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族※学生でなくても良い・配偶者

130万円の壁(社会保険加入)

年収130万円の壁は、社会保険の扶養外になるラインです。勤務先の保険に入れなくなり、国民健康保険・国民年金の支払い義務(年間約30万円弱)が発生します。

対象:すべての人

150万円の壁(特定親族特別控除・社会保険扶養の基準変更)

123万円から続いていた「特定親族特別控除」ですが、本人の年収が150万円を超えると、親が受けられる控除額が段階的に減り始めます。

また、2025年10月1日以降、19歳以上23歳未満の親族については、社会保険の扶養から外れる基準が130万円未満ではなく150万円未満に引き上げられました。大学生などの若い世代が社会保険の扶養を意識せず働ける環境を整備し、手取り増・人手不足解消を狙った改正です。

  • 対象:19歳以上23歳未満の親族(配偶者を除く)
  • 年齢判定:扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢
  • 注意点:学生であることは要件ではなく、年齢のみで判定されます

※配偶者(事実婚を含む)は年齢に関係なく、従来通り年収130万円未満が適用されます。混同しないよう注意しましょう。

160万円の壁(所得税の発生・旧103万円の壁)

以前「103万円の壁」と呼ばれていたものが、基礎控除等の拡大により160万円に引き上げられました。 年収160万円を超えて、初めて本人に所得税の納税義務が発生します。「103万円を超えたら税金がかかる」という常識は過去のものとなっていますので注意しましょう。

ただし、年収200万円を超える場合は基礎控除額が段階的に減少する仕組みになっているため、高収入の方は別途確認が必要です。

対象:すべての人

188万円・201万円の壁(扶養メリットの終了)

税制上の「扶養」のメリットはなくなりますが、一般的には手取り総額は増え、自立して稼ぐメリットの方が大きくなります。

  • 188万円超:親などが受ける「特定親族特別控除」が完全にゼロになります。
  • 201万円超:配偶者が受ける「配偶者特別控除」が完全にゼロになります。

対象:特定親族・配偶者

【2026年4月施行済】被扶養者の認定ルールが「労働契約書ベース」に変更されました

2026年4月1日から、社会保険の被扶養者認定のルールが大きく変わりました。

これまでは実際の年収が130万円を超えたかどうかで判断されるケースが多く、繁忙期の残業などで一時的に超えてしまい扶養から外れるリスクがありました。しかし2026年4月以降は、労働契約書(労働条件通知書)に記載された年収見込額で判断することが原則となっています。

つまり、契約上の年収が130万円未満であれば、繁忙期の残業などで実収入が一時的に130万円を超えても、原則として扶養から外れることはなくなりました。これにより、「130万円の壁」を気にしすぎて労働時間を過度に調整する必要性は薄れています。

なお、認定後も定期的に実収入との乖離がないか確認されるため、契約内容と実態が大きくかけ離れる場合には収入証明書などの提出を求められる可能性があります。

一時的に扶養内の金額を超える場合はどうなる?

月々の就業時間を管理していても、断りにくい残業を頼まれるなどして、気がついたら106万円、130万円を超えてしまったという場合もあるでしょう。その場合に活用できるのが、2023年10月から実施されている厚生労働省の「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」という措置です。

パートやアルバイトで働く人が繁忙期に労働時間を延ばすことで一時的に収入が上がって年収130万円を超えた場合でも、事業主がその旨を証明すれば扶養に入り続けられます。この措置は恒久化されており、前述の2026年4月施行の「労働契約書ベース判断」ルールとあわせて活用することで、より柔軟な働き方が可能になっています。

<例>扶養である息子がアルバイトで年収130万円を超えた場合

例えば息子がアルバイト先の繁忙期の残業などで、年収130万円を超えてしまったケースです。

  • 扶養者:母親
  • 被扶養者:息子(アルバイト勤務中)

アルバイト先の事業主が一時的な収入増であることを証明する書類を作成して、その証明書を母親の加入する健康保険に提出することで、息子は引き続き扶養に入り続けられます。

社会保険加入状況のテンプレート(無料)

以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。

社会保険の扶養について年収の注意点

会社員や公務員の配偶者で社会保険の扶養内でパート収入などを得ている場合、現状を維持したいのであれば扶養から外れないように注意する必要があります。社会保険の扶養で居続けるためには、収入が扶養の範囲内に収まっていなければなりません。

うっかり超えてしまった際の対応方法など、気をつけるべきことや知っておくべきことをきちんと理解しておくことが大切です。

130万円・106万円の壁を理解して自分や配偶者に合う働き方をしよう

社会保険の扶養に入っている配偶者が年収130万円以上になると、扶養から外れて自分自身で社会保険に加入する必要があります。健康保険料と年金保険料を負担することで手取りが減ってしまうため、あらかじめ自分自身で収入をしっかりと把握し、コントロールできるようにしておきましょう。

また、一時的に年収が超えても「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」や「労働契約書ベースの年収判定」により、継続して扶養に入り続けられるようになっています。106万円の壁についても2026年10月に撤廃が予定されており、今後は「週20時間以上働くかどうか」が社会保険加入の判断基準になります。

制度の変更をよく理解して、自分や配偶者にとってより良い働き方を選択しましょう。

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よくある質問

社会保険における扶養とはなんですか?

自分自身が保険料を負担しなくても健康保険・年金で不利とならないで済む仕組みのことです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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