• 作成日 : 2022年9月2日

社会保険における「130万円の壁」とは?扶養の注意点を解説

社会保険における「130万円の壁」とは?扶養の注意点を解説

会社員などの扶養家族となっている配偶者でも、一定金額を超えなければ扶養のまま、パート収入などを得ることができます。しかし、定められている金額を超えてしまうと、扶養から外れなければなりません。

扶養といわれているものには「税の扶養」と「社会保険の扶養」があり、社会保険の扶養範囲は配偶者年収130万円未満になります。

今回は、この社会保険における「130万の壁」について、扶養に関する注意点を解説します。

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社会保険における扶養とは?

社会保険の扶養とは、会社員などの配偶者が自分自身では健康保険、および厚生年金に加入しなくても済む仕組みのことをいいます。

会社員や公務員は、勤務先において健康保険・厚生年金に加入します。そして健康保険料・厚生年金保険料の1/2を負担しなければなりません。なぜ1/2かというと健康保険料・厚生年金保険料は会社員・公務員である被保険者と、勤務先が折半して支払うことになっているからです。そのため残りの1/2は勤務先が負担し、給料天引きで徴収した被保険者負担分と合わせて、保険料納付を行います。

こうした会社員・公務員が配偶者を扶養している場合、その配偶者を社会保険の扶養とすることができます。社会保険の扶養となった配偶者は、自分自身で健康保険に加入しなくても健康保険が使うことができます。年金でも不利な取り扱いにはなりません。自分自身が加入しているわけではないので、健康保険料・厚生年金保険料の支払いも不要です。

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社会保険における130万円の壁とは?

社会保険の扶養範囲は、収入が130万円未満の配偶者です。パートなどをすることは認められていますが、この130万円の範囲に収まっていなければ、社会保険の扶養からも外れてしまいます。130万の壁を越えると社会保険の扶養から外れ、自分自身で社会保険に加入しなければならなくなり、配偶者自身に健康保険料・年金保険料の負担義務が生じます。

130万の壁によく似たものに103万の壁がありますが、103万円は所得税の計算において配偶者控除の対象となるかどうかを決定する年収です。配偶者の年収が103万円以下であれば控除対象配偶者として認められ、配偶者控除が受けられます。103万円を超えてしまうと控除対象配偶者として認められなくなり、所得税計算において配偶者控除を受けることができなくなります。

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社会保険の扶養について年収の注意点

会社員や公務員の配偶者で社会保険の扶養内でパート収入などを得ている場合、現状を維持したいのであれば扶養から外れないように注意する必要があります。社会保険の扶養で居続けるためには、収入が扶養に範囲内に収まっていなければなりません。

うっかり超えてしまった際の対応方法など、気をつけるべきことや知っておくべきことをきちんと理解しておくことが大切です。

うっかり130万円を超えてしまったら?

会社員や公務員の配偶者の年収が130万円以上になると、社会保険の扶養から外れてしまいます。しかし130万円以上になったからといって、即座に扶養から外れるわけではありません。配偶者について社会保険の扶養から外すかどうかは、収入の状況から総合的に判断されます。過去の収入状況や現時点での収入、将来の収入の見込みなどで判断されるため、ある時点において130万円以上になっても、直ちに社会保険の扶養から外れなければならないということにはなりません。

特に今は新型コロナウイルス感染症の影響で、一時的に収入が増え、社会保険の扶養範囲を超える配偶者が出てくることが想定されています。厚生労働省は、全国健康保険協会や健康保険組合に対し、こうした一時的に年収が扶養の範囲内を超える配偶者に対して直ちに扶養から外すことのないよう、指示をしています。うっかり130万円を超えてしまった場合は、会社に事情をきちんと説明するようにしましょう。

130万円を超えてしまった場合、連絡がくる?

社会保険の扶養となっている配偶者の年収が130万を超えても、基本的にはどこからも連絡はきません。パート先などが配偶者の扶養範囲で働くパート・アルバイトに対する配慮から130万を超えそうな場合に教えてくれる場合はありますが、基本的には収入の把握・コントロールは自分自身でしっかりと行う必要があります。

社会保険の扶養に入っている配偶者の収入が130万円以上の状態が続くと、調査が行われた段階で扶養の対象外であることが発覚し、その旨の通知がきます。その場合は扶養からは外れ、自分自身で社会保険に加入しなければなりません。

130万円を超えてしまった場合、いくら払う?

社会保険の扶養に入っていた配偶者の収入が130万円以上になると、自分自身で社会保険に加入し、保険料を負担しなければならなくなります。2パターンの社会保険加入方法があり、それぞれ次の支払いをする必要があります。

  1. パート先で社会保険に加入する
    協会けんぽや健康保険組合などの健康保険と、厚生年金保険に加入します。収入から算定される標準報酬月額に応じた保険料支払いが必要になります。
  2. 国民健康保険に加入し、国民年金は第1号被保険者になる
    市町村の国民健康保険に対する保険料支払いと、国民年金保険料の支払いが必要になります。どちらもいくらを支払うことになるかを一概にいうことはできませんが、一般的に社会保険料負担額は収入の15%程度とされています。

103万円超と130万円超のどっちがお得

収入が103万円を超えると所得税計算において配偶者控除が受けられなくなり、130万円以上になると社会保険料を支払わなくてはならなくなります。負担が大きいのは130万円以上ですが、社会保険に自分自身が加入すると将来の年金受給額が増えるため、どちらが得かは考え方によって異なります。

130万円の扶養には交通費は含まれる?

社会保険の扶養範囲内である配偶者の収入130万円には、交通費が含まれます。130万円以下かどうかを計算する際は、交通費・通勤費として支給される金額も加えなければなりません。

例:

  • 収入が125万円で交通費なしの場合は130万円未満となり、社会保険の扶養の範囲内になる
  • 収入が125万円で交通費6万円の支給を受けている場合は、合計すると130万円以上になり、社会保険の扶養の範囲から外れる
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130万の壁を理解して自分や配偶者に合う働き方をしよう

社会保険の扶養に入っている配偶者が収入130万円以上になると、扶養から外れて自分自身で社会保険に加入しなければならなくなります。健康保険料と年金保険料を負担しなければならなくなり、手取りが減ってしまいます。130万の壁を越えないためには自分自身で収入をきちんと把握し、コントロールする必要があります。

収入が130万円以上になると扶養からは外れて、自分自身で社会保険に加入しなければならなくなりますが、年金受給額が増えるというメリットもあります。130万の壁の意味をよく理解してメリット・デメリットを検討し、自分や配偶者にとってより良い働き方を選択しましょう。

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よくある質問

社会保険における扶養とはなんですか?

自分自身が保険料を負担しなくても健康保険・年金で不利とならないで済む仕組みのことです。詳しくはこちらをご覧ください。

社会保険における130万円の壁とはなにか教えてください。

配偶者の収入が130万円未満であれば扶養でいられ、130万円以上になると扶養から外れることをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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