• 更新日 : 2022年9月1日

雇用保険料とは?2022年の法改正における変更点についても解説

雇用保険料とは?2022年の法改正における変更点についても解説

2022年度は、雇用保険料率が引き上げられ、雇用保険料の負担が増えます。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて雇用保険の財政が悪化し、健全化を図る必要が生じたためです。4月は事業主負担分のみを対象とした引き上げ、10月は事業主負担分と労働者負担分の両方を対象とした引き上げというように2段階で行われます。

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雇用保険とは?

雇用保険とは、労働者の生活の維持や雇用の安定、就職の促進のために設けられている社会保険です。原則として、労働者を1人でも雇用する事業は、適用事業となります。労働者も適用事業に雇用されている場合は、1週間の所定労働時間が短い人や昼間部の学生などの例外を除いて被保険者になります。具体的には以下の通りとされています。

雇用保険の適用事業

  • 労働者を1人でも雇用する事業

雇用保険の被保険者となる労働者

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者
  • 31日以上の雇用ことが見込まれる労働者
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雇用保険料とは?

雇用保険料は事業主と労働者、それぞれが定められた保険料率を負担します。労働者が失業等給付と育児休業給付に対する保険料率のみを負担するのに対し、事業主は失業等給付と育児休業給付の保険料率に加えて、雇用保険二事業の保険料率も加えた保険料率も負担することになっています。2021年度(令和3年度)分の雇用保険料率は以下の通りです。

事業の種類労働者が負担する保険料率事業主が負担する保険料率合計
失業等給付・
育児休業給付
の保険料率
雇用保険二事業
の保険料率
一般の事業3/10006/10009/1000
3/10003/1000
農林水産・清酒製造の事業4/10007/100011/1000
4/10003/1000
建設の事業4/10008/100012/1000
4/10004/1000

参考:厚生労働省「令和3年度の雇用保険料率について」

なお、園芸サービス・牛や馬の育成・酪農・養鶏・内水面養殖・特定の船員を雇用する事業については、一般の事業の保険料率が適用されます。

雇用保険料の対象となる賃金とは?

雇用保険料の対象となるのは、従業員に労働の対償として支払われる賃金の総額です。各種手当なども含んだ、所得税の源泉徴収や社会保険料の控除を行う前の金額で雇用保険料は計算されます。しかし労働の対象として支払われるものではない手当などは、雇用保険料の対象となりません。

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2022年の雇用保険法改正で雇用保険料はどう変わる?

過去において雇用保険料率は引き下げが続き、平成29年度から9/1000という低い料率が維持されてきました。しかし、2022年度は引き上げが行われるため、雇用保険料の負担が重くなります。

保険料率が引き上げられた背景

2022年度の雇用保険料率引き上げは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によるものです。事業縮小や休業により雇用環境が悪化し、雇用保険の支出が増大したことが雇用保険料率引き上げの背景となっています。雇用保険料率引き上げにより雇用保険料収入の増加を図り、雇用保険事業の安定を図ることが目的とされています。

雇用保険料引き上げの2段階

雇用保険法の改正により、2022年度は雇用保険料率が引き上げられます。4月から事業主が負担する雇用保険二事業の保険料率が、0.5/1000上がります。さらに10月からは失業等給付・育児休業給付の保険料率が事業主・労働者ともに2/1000上がります。

2022年4月からの雇用保険料率

事業の種類労働者が負担する保険料率事業主が負担する保険料率合計
失業等給付・
育児休業給付
の保険料率
雇用保険二事業
の保険料率
一般の事業3/10006.5/10009.5/1000
3/10003.5/1000
農林水産・清酒製造の事業4/10007.5/100011.5/1000
4/10003.5/1000
建設の事業4/10008.5/1000.512.5/1000
4/10004.5/1000

参考:厚生労働省「令和4年度雇用保険料率のご案内」

2022年10月からの雇用保険料率

事業の種類労働者が負担する保険料率事業主が負担する保険料率合計
失業等給付・
育児休業給付
の保険料率
雇用保険二事業
の保険料率
一般の事業5/10008.5/100013.5/1000
5/10003.5/1000
農林水産・清酒製造の事業6/10009.5/100015.5/1000
6/10003.5/1000
建設の事業6/100010.5/100016.5/1000
6/10004.5/1000

参考:厚生労働省「令和4年度雇用保険料率のご案内」

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雇用保険料の計算方法は?

雇用保険料は「賃金×雇用保険料率」で求められます。2022年の雇用保険料引き上げで雇用保険料は次のようになります。

一般の事業の場合

労働者が負担する保険料率事業主が負担する保険料率合計
失業等給付・育児休業給付の保険料率雇用保険二事業の保険料率
2022年4月まで保険料率3/10006/10009/1000
3/10003/1000
賃金25万円の保険料750円1500円2250円
750円750円
2022年4月から9月まで保険料率3/10006.5/10009.5/1000
3/10003.5/1000
賃金25万円の保険料750円1625円2375円
750円875円
2022年10月から保険料率5/10008.5/100013.5/1000
5/10003.5/1000
賃金25万円の保険料1250円2125円3375円
1250円875円

農林水産・清酒製造の事業の場合

労働者が負担する保険料率事業主が負担する保険料率合計
失業等給付・育児休業給付の保険料率雇用保険二事業の保険料率
2022年4月まで保険料率4/10007/100011/1000
4/10003/1000
賃金25万円の保険料1000円1750円2750円
1000円750円
2022年4月から9月まで保険料率4/10007.5/100011.5/1000
4/10003.5/1000
賃金25万円の保険料1000円1875円2875円
1000円875円
2022年10月から保険料率6/10009.5/100015.5/1000
6/10003.5/1000
賃金25万円の保険料1500円2375円3875円
1500円875円

建設の事業の場合

労働者が負担する保険料率事業主が負担する保険料率合計
失業等給付・育児休業給付の保険料率雇用保険二事業の保険料率
2022年4月まで保険料率4/10008/100012/1000
4/10004/1000
賃金25万円の保険料1000円2000円3000円
1000円1000円
2022年4月から9月まで保険料率4/10008.5/100011.5/1000
4/10004.5/1000
賃金25万円の保険料1000円2125円3125円
1000円1125円
2022年10月から保険料率6/100010.5/100016.5/1000
6/10004.5/1000
賃金25万円の保険料1500円2625円4125円
1500円1125円

雇用保険料率引き上げによる雇用保険料増加に気をつけよう

新型コロナウイルス感染症の影響により、雇用保険は支出増となっています。財政の健全化を図る目的で、2022年度は雇用保険料率の引き上げが行われます。まず4月から雇用保険二事業に対する事業主負担分が0.5/1000引き上げられます。10月からは失業等給付・育児休業給付に対する負担分が、労働者・事業主ともに2/1000ずつ引き上げられます。

雇用保険料率引き上げにより、雇用保険料の負担も大きくなります。特に10月からは2021年度より雇用保険料は大幅に増えるため、注意が必要です。

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よくある質問

雇用保険料とは?

事業主と労働者が負担し、労働の対償として労働者に支払う賃金総額に雇用保険料率をかけて計算します。詳しくはこちらをご覧ください。

雇用保険法改正で雇用保険料はどう変わる?

雇用保険料率の引き上げが行われ、雇用保険料の負担が大きく増えます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:坪 義生(社会保険労務士)

じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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