• 更新日 : 2024年1月30日

リワークとは?支援プログラムの内容や効果を解説

リワークとは?支援プログラムの内容や効果を解説

リワークとは、「return to work」の略称で、精神的な不調で休職している労働者に対する職場復帰を目的とした支援プログラムです。医療機関主体や職場主体など場所によって内容に違いがあります。ここでは、支援内容やリワークを受けるメリット・デメリット、費用など基本的な情報について紹介します。

リワークとは?

リワークとは、「return to work」の略称で、精神的な不調で休職している労働者に対して行う職場復帰を目的とした支援プログラムを指します。復職支援プログラム職場復帰支援プログラムとも呼ばれます。

うつ病や適応障害、パニック障害など、精神面の不調で休職した労働者が、適切なリワーク支援を受けることで復職へのハードルを下げることができます。

休職者にとって、職場復帰のハードルは低いとはいえません。復職したものの、無理をしてまたメンタル不調が再発し、休職となってしまうケースもあります。リワーク支援では、休職者に合わせたさまざまな職場復帰支援プログラムが用意されています。体力・集中力の回復やストレスへの対処法を学び、休職に至った原因を自己認識できるようにするなど、リワーク支援を受けることによって、必要な支援を得ながら、職場復帰を目指すことができるでしょう。

リワークのメリット

リワークでは、認知行動療法やキャリアデザイン、リクリエーションなどさまざまな取組みがあります。仕事の能力維持や集中力の回復を通じて職場復帰をスムーズにするだけではなく、生活リズムを整えるといったメリットがあります。

スムーズに復職しやすい

リワークでは職場に近い環境で作業訓練を行います。軽作業やパソコンを使ったオフィスワークなど、その人が休職前に行っていた業務に近い作業を選ぶことが可能です。リワークで業務体験を積むことで、集中力の回復にもつながり、復職したあとの業務がスムーズになる可能性が高くなります。

生活リズムが整う

休職中は療養に専念し、心身を休養させることが最優先です。しかし、昼夜逆転など生活リズムが崩れてしまうと、復職後に以前と同じリズムで働けるのか不安が強くなります。リワーク支援に通う場合は、決まった日にち・時間に活動します。生活リズムが整い、心身の調子を維持することができるでしょう。

セルフケアを習得できる

リワークの専門スタッフから、職場復帰に必要なアドバイスをもらうことができます。体調を崩した原因を客観的に把握し、自分にあったストレスの対象法を学ぶプログラムが用意されているのも、リワークの特徴です。復職後、体調を酷く崩す前に、セルフケアを行う方法を学ぶことができるため、再発防止・再発予防に役立ちます。また、復職タイミングについてスタッフからアドバイスを得ることも可能です。

リワークのデメリット

一方、期間や費用の面で通うのが難しいと感じる人もいるかもしれません。

数ヶ月通う必要がある

リワークの期間は、個人によって異なりますが3カ月~半年が目安です。リワークに通っている期間は休職扱いになります。会社での休職期間が定められている場合、リワークプログラムに最後まで通えないというケースも発生するかもしれません。

金銭面の負担がある場合も

リワークはプログラムによっては利用費用が発生します。リワーク参加は無料だとしても、交通費や昼食代などの金銭面が負担と感じる方もいるでしょう。自分にとって通いやすい場所や時間帯を、金銭的負担も合わせて考えることが大切です。

リワークプログラムとは?

リワークのプログラムの内容には、個人・集団でのワークショップのほか、体調を整えるための取組みなどさまざまな内容があります。細かい内容はリワークの事業所によって異なりますが、以下に代表的なものを紹介します。

  • オフィスワーク(作業課題)
  • 実際に仕事をするわけではなく、復職時を想定とした作業を行うプログラムです。パソコンでの作業などを通じて、集中力の回復を図ります。読書で集中力の維持に取り組むプログラムもあります。

  • ストレス対処
  • その人が何にストレスを感じるのか、原因を探るとともに、対処法を専門スタッフの力を借りて学ぶプログラムです。客観的に自己を分析し、陥りがちな思考パターンに気づくことで、職場でのストレスを軽減させます。

  • キャリアデザイン
  • キャリアデザインのプログラムでは、休職の期間を活かして、キャリアの棚卸を行います。また、中長期的なキャリアプランを立て、自分の強み・スキルを再発見する場として活用できます。

リワークの種類

リワークには「医療リワーク」、「職リハリワーク」、「職場リワーク」の3種類があり、それぞれ行う事業体に違いがあります。

医療リワーク

医療リワークとは、医療機関で行われるプログラムです。再休職の予防と復職を最終目標とし、働き続けられるために病状の回復・安定化を目指します。

精神科デイケア、精神科ショートケア、など診療報酬上の枠組みで、医師や看護師、作業療法士、心理職といったさまざまな医療専門職が医学的なリハビリテーションを提供します。費用は一部自己負担があるものの、健康保険制度などを活用することが可能です。また、自律支援医療制度も利用できます。

参考:医療リワークとは、その意味と支援

職リハリワーク

職リハリワーク(職業リハビリテーションサービス)とは、障害や病気を抱える人が、社会参加や就職・就業を目的に、継続して働き続けるためのサポートを行うことです。代表的なものとしては、地域障害者職業センターが実施する専門的な職業リハビリテーションサービスがあります。地域障害者職業センターとは、各都道府県に1か所以上設置されているものです。センターの職業カウンセラーが主体となり、休職者と雇用主、主治医の三者の合意を支援します。

地域障害者職業センターの職リハリワークの最終目的は、職場復帰にむけ本人だけではなく雇用主も支援することです。費用は雇用保険から支払われるため自己負担はありません。ただし、公務員は原則として利用できませんので注意が必要です。

参考:地域障害者職業センター

職場リワーク

職場リワークとは、主に企業内で行われる復職支援のためのプログラムをいいます。企業によっては、医療機関と連携し、職場復帰訓練制度を実施している例や、専門部署を立ち上げEAP(従業員支援プログラム)サービスを提供する例もあります。力を入れている企業では、リワーク施設を整備し、従業員のメンタルヘルスに取り組みます。

復職のタイミングや労働が可能かどうかを見極めるとともに、従業員の復職支援と、その後の安定就労が目的です。費用は主に企業負担で行われます。

参考:日産自動車株式会社(神奈川県横浜市)|「こころの耳」(厚生労働省サイト)

リワークプログラムの一般的な条件

プログラムによって詳細はことなりますが、リワークプログラムの一般的な条件は以下のようになっています。

参加期間

平均すると、プログラムの開催期間は3カ月~半年です。短いものでは数週間、長いものでは年単位となるケースもあります。

対象者

主な対象者は休職者本人です。なかには、家族や同僚、上司など、休職者と関わりの深い人が参加できるプログラムがあります。

リワークプログラムの支援内容

リワークプログラムでは、復職と安定した就労継続のため、さまざまな支援を行います。

生活リズムの再構築・自己管理能力の向上

生活リズムを整えるのは、リワークプログラムのなかでも初期に行われる支援です。事業所に定期的に通うことで、生活リズムが整います。また、生活リズム表や活動記録表を作成し、睡眠時間や食事内容、活動に伴う気分や疲労を客観的に把握することで、自己管理能力を向上させます。

体調・体力の回復

体力の回復を目的に、作業課題に取り組みます。作業課題は、物品請求書の作成や数値チェック、ピッキングなど、その人の体調や状態に合わせたものがあります。個人およびグループで作業することがあります。

職場復帰のためのスキル・活用方法の習得

職場復帰に向け、役に立つスキルを習得します。ストレスマネジメントや認知行動療法、リラクゼーションなどさまざまな講座が開催されています。

コミュニケーション技法の習得

復職後も精神的な不調を和らげるため、活用できるコミュニケーション技法を学びます。アサーション的なコミュニケーションを習得したり、チームで協調して働いたり、グループでのロールプレイングが役立ちます。

リワークはいくらかかる?一般的な費用

リワークを個人が利用する際、有料となるのは原則「医療リワーク」です。医療リワークの場合、医療費として自己負担が発生します。健康保険適用で通常3割負担となります。自律支援医療制度を活用した場合、自己負担を1割まで押さえることが可能です。

また、福祉サービスとしてリワークプログラムを提供する事業のプログラムを利用する場合には、プログラムを受講する本人の前年度の所得および家族の所得に応じて費用が異なります。費用が発生する場合は、月額上限が定められています。医療リワークおよび福祉サービス系のリワークでも、企業の費用負担は発生しません。

参考:Q&A | 自立訓練(生活訓練)事業所ニューロリワーク

休職者の職場復帰に向け重要な役割をはたすリワーク

リワークプログラムは、休職者の職場復帰に向けて適切なプログラムが提供されます。医療機関が行うリワークと、それ以外のリワークでは支援プログラムが異なるため、内容を調べた上で自身に合ったものを選択するとよいでしょう。


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