• 更新日 : 2023年7月28日

パーパスとは?ミッションと何が違う?意味や目的を紹介

パーパスとは?ミッションと何が違う?意味や目的を紹介

パーパスとは、企業の志や存在意義を表すものです。経営指針や経営理念などの企業の想いを形にしたものとしては、ミッション・ビジョン・バリューがありますが、パーパスはより上位の概念といってよいでしょう。

ここでは、パーパスの意味について説明するとともに、パーパス経営を実践する企業事例を紹介します。

パーパスとは?

パーパス(purpose)とは「目的、意図、意義」を意味する言葉です。ビジネスシーンにおいては、企業の「志」や「企業の社会的な存在意義」という意味で使われます。つまり、パーパスとは企業がなんのために存在するのか、事業をやる理由は何かという問いの答えとなるものです。その会社の原点や経営理念とも深い関係があるといってよいでしょう。

企業の方針や姿勢を具体化したものには、パーパスのほかに「ミッション」「ビジョン」「バリュー」があります。これらは混同されやすいものですが、それぞれに特徴があります。ここでは、それぞれの違いを説明します。

ミッションとの違い

ミッションとは、企業が果たすべきこと、企業として成し遂げたいことを表すものであり、「使命」や「任務」と訳されることもあります。パーパスと意味合いが似ていますが、パーパスはミッションよりも、さらに「社会的な貢献」を意識しています。

ビジョンとの違い

ビジョンとは企業のなりたい姿、実現したい未来像を表すものです。ビジョンを策定し明確にすることで、ミッションを達成したあとゴール、つまり、なるべき姿を組織で共有することができます。

バリューとの違い

バリューとは、企業としての価値観、ミッションやビジョンを成し遂げるための行動指針を表すものです。ミッション・ビジョンの下に策定されることが多く、上位概念であるミッション・ビジョンを達成するための、従業員のあるべき姿・行動として共有されるのが一般的です。

パーパスの歴史 – 経営にとっていつから重要に?

自社はなんのために存在するのか?という、企業や組織の存在意義を問う流れが、海外をはじめビジネスシーンでトレンドになりつつあります。

パーパスが重視されるようになった背景には、企業に求められる価値観の変化があげられます。代表的な例でいえば、ESGに代表されるようなサスティナブル経営です。

2015年に国連サミットでSDGs推進が掲げられて以来、企業は経済的発展を目指すだけではなく、社会・環境への影響を考慮し、社会的責任を果たすことが強く求められています。そうした流れを受け、Z世代と呼ばれる若手の間では、就職先を検討する際に社会貢献度を重視する傾向も生まれています。

業界や市場に新たな価値を提供するような、いわゆるスタートアップ企業を就職先として選ぶ若手世代のなかには、企業活動に社会的な存在意義を求めている背景があるといえるでしょう。

さらに、投資家が企業を評価する際も、パーパスが重視されるようになっています。財務諸表にあらわれる数字だけではなく、人的資本経営やサスティナビリティにも関心が高まっています。企業がパーパスを掲げることが、投資家やステークホルダーへの重要なアピールとなっているのです。

個人や従業員にとってのパーパスの意義

従業員にとってのパーパスとは、仕事を通じた自分の存在意義を肯定するものです。パーパスは個人にとって働く意義を言語化したものであり、パーパスが共有されることで、自分の仕事に誇りを持つことができます。

結果として、企業に対するロイヤリティが高まり、業務で働きがいを実感できる機会が増えるでしょう。さらに、自分の業務が社会にどのように貢献しているのかを感じられるようになり、エンゲージメント向上が期待できます。

ビジネスにおけるパーパスの活用

会社の存在意義を表すパーパスは、ビジネスシーンで以下のように活用されています。

パーパスブランディング

パーパスブランディングとは、パーパスを自社のブランディングにつなげる手法です。自社のパーパスを広く世間に認知させ、共感を得ることで商品やサービスの拡大を狙います。従来の利益重視のブランディングとは異なり、認知拡大が目的です。商品やサービスの存在意義への共感を集めることで、肯定的な反応を消費者から得ることができます。

パーパス経営

パーパス経営とは、パーパスを基軸に行う経営の在り方を意味します。企業活動として利益を追求するだけではなく、社会への貢献を目標とするのがパーパス経営の特徴です。

パーパスドリブン

パーパスドリブンとは、組織としてパーパスをすべての物事の起点としている状態を指します。商品やサービスだけではなく、従業員の行動指針まで、パーパスを反映しているのがパーパスドリブンの特徴です。なにかしらのアクションを起こす際、パーパスに照らし合わせ、なぜそれを行うのか問う状態ともいえます。

パーパスステートメント

パーパスステートメントとは、パーパスを言語化してまとめたもの、「わが社のパーパスは…」などといった声明を指します。社内外でパーパスを共有するために使われ、パーパスステートメントは社内報やウェブサイトに掲載され、従業員にシェアされるだけではなく、投資家などステークホルダーへのアピールにも使われます。

パーパスを活用した企業事例

最後に、パーパスを活用した企業事例を紹介します。

世界の環境問題に取り組むパタゴニア

米国発のアウトドアブランドであるパタゴニアは、2018年、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」というパーパスを発表しました。売上の1%を、環境保護と回復のために寄付するという取り組みを実施しています。

そして、パタゴニアのパーパスを体現しているのが、経営のあり方です。同社は、短期的な利益追求ではなく、「目的に進む(Going purpose)」とパーパスに沿ったあり方を追求し、「パタゴニアが生み出す富をすべての富の源を守るために」使用すると名言しています。

参考:資本主義を再考する | パタゴニア | Patagonia

食を通じて社会に貢献するネスレ

ネスレは、「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」をパーパスに掲げ、「人とペットの生活に大きな違いをもたらすこと」「環境を守り保全を強化すること」に取り組み、企業活動を続けています。

例えば、同社の代表的な事業である「カカオ」栽培では、農村の貧困問題解決と児童労働の撲滅をかかげ、サプライチェーンの継続的な改善を実施。利益追求型ではなく、社会問題や環境問題への取組を重視した上で事業成長を図っています。

参考:ネスレのパーパスと価値観 | 企業情報

会社の存在意義を問うパーパスが今後も重視される

多種多様なサービスが混在する現在では、パーパスは企業や個人の存在を強く肯定するものとなります。「なぜこのサービスが必要なのか?」「自分の仕事は何の役に立っているのか?」こういった問いの答えが明確であれば、人は自分の仕事に誇りを持って働くことができます。

今後、企業がパーパスを明確にすることは、投資家の評価を高め、従業員のワークエンゲージメントを高めるものとして、ますます重視されていくでしょう。


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