• 更新日 : 2024年8月29日

職務権限規程とは?テンプレートを参考に書き方を解説!

職務権限規程は、各職位の権限を定めた規程です。就業規則は労働基準法で労働者10名以上の会社に作成が義務付けられていますが、職務権限規程は法律で定められていないため、設けなくても問題ありません。

職務権限規程を定めると、指示命令系統の混乱をなくしたり職権濫用を防いだりすることができるため、内部統制やリスクマネジメントに役立ちます。

職務権限規程とは?

職務権限規程とは、部長や課長といった職位の者に対して付与される、職務上の権限に関する定めのことです。

購買業務の決裁権限も、職務権限に含まれます。部長には1,000万円までの決裁権がある、課長には500万円までの決裁権がある、といった決裁権限が職務権限規程に該当します。

職務権限規程を作成する目的

職務権限規程は、内部統制やリスクマネジメントの目的で作成されます。職務権限規程では各職位の権限が明文化されているため指示や命令が及ぶ範囲が明確になり、指示命令系統の混乱が生じず、内部統制に役立ちます。また職権の濫用を防ぐことができるため、リスクマネジメントにつながります。内部統制やリスクマネジメントを強化することで、組織の運営が効率的・円滑に行われるようになります。

職務権限規程はなぜ必要?作成は義務?

職務権限規程は各職位に対して付与されている権限や、組織内での役割・責任を明確にするために必要です。それぞれの職位で、業務の遂行における権限を定めることで、その職位が負う責任が明確になるため、効率的な業務遂行が可能になります。また、従業員による不正や人間関係のトラブルを防止するためにも役立ちます。

職務権限規程の作成は法律での定めからではなく、任意で行われます。労働基準法第89条において、10名以上の労働者がいる企業は就業規則を作成しなければならないと定められており、違反すると罰則が科せられます。一方で職務権限規程は法律で規程されていないため、作成しなくても法律違反にはなりません。

職務権限規程の主な内容

職務権限規程の主な内容は、職務範囲・権限の範囲・責任の範囲の3つです。それぞれどのようなものが該当し、職務権限規程を構成するのかを説明します。

職務範囲

その職位の者に与えられた業務を職務と呼びます。それぞれの職位の者が責務を全うするために遂行すべき具体的な業務を指し、職務権限規程で定める必要があります。

権限の範囲

権限とは職務の遂行にあたり、行為の効力が及ぶ範囲のことです。権限には命令・決定・承認・勧告・助言・審査といった種類があり、権限の範囲とは、これらの権限が及ぶ範囲を指します。

責任の範囲

その職位の者が負わなければならない責務を責任といい、職務権限規程には各職位の負うべき責任の範囲を定める必要があります。

職務権限規程の作成方法 – ステップごとに解説

職務権限規程は、組織図の把握・職務内容の分割・権限の割り当て・法律との調整・運用上の対応を5つのステップで作成します。

① 現状の組織図を把握する

職務権限規程の作成にあたって、まず現状の組織図を把握する必要があります。本社・支社から部門・部署まで、企業のあらゆる組織を網羅した組織図を作成し、全体像を可視化しましょう。これによって、部署間で連携が必要になる業務範囲が明確になります。

② 部署や職務単位で職務内容を分割する

次に部署や職務単位で行っている職務内容を細かく分け、具体的な役割・責任を明らかにします。第三者の視点で客観的に洗い出し、無駄な業務や効率的でない作業を見つけましょう。

③ 権限を割り当てる

部署間の関係性や連携しなければならない業務の範囲を考慮した上で、権限の割り当てを行います。イレギュラーな業務が発生した場合でも責任のなすり合いが起こらないよう、権限の範囲は明確にしておくことが大切です。

④ 労働法規との整合性を担保する

割り当てた権限とそれが及ぶ範囲について、労働法規に違反していないか確認します。法律違反がないよう、各規程を細かく確認してください。

⑤組織変更や法令改正に適宜対応する

職務権限規程を作成した後も、組織変更や法令改正には適切に対応しなければなりません。必要に応じて照らし合わせ、合わなくなった場合は職務権限規程を見直しましょう。

職務権限規程のフォーマットとテンプレート

インターネット上にはさまざまな職務権限規程があるため、作成する際はダウンロードしてサンプルや見本として活用することができます。以下のサイトでも、基本的な職務権限規程をダウンロードできます。

職務権限規程を作成して内部統制・リスクマネジメントの強化を図ろう

職務権限規程は、会社内のそれぞれの職位に付与される職務上の権限について定めたものです。それぞれの職位の権限を明確にすることで組織内での役割や責任を明らかにし、業務遂行を効率的にするために必要とされます。

主な内容は、職務範囲・権限の範囲・責任の範囲です。職務権限規程の作成は、組織図の把握・職務内容の分割・権限の割り当て・法律との調整・運用上の対応を5つのステップで行います。

職務権限規程の作成は法律で義務付けられておらず、任意です。労働基準法は就業規則の作成を従業員10人以上の会社に義務付けていますが、職務権限規程についての定めはないため、作成しなくても法律違反にはなりません。

ただし、職務権限規程によって各職位の職務範囲や権限の範囲が明確化されていると責任の所在も明らかになり、効率的に業務を遂行できます。また指示命令系統の混乱をなくしたり、職権濫用を防いだりすることにもつながります。職務権限規程を作成して、内部統制やリスクマネジメントの強化を図りましょう。

よくある質問

職務権限規程とは何ですか?

それぞれの職位についての権限に関する定めです。詳しくはこちらをご覧ください。

職務権限規程の作成は義務ですか?

就業規則とは異なり、職務権限規程の作成は義務ではなく任意です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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