• 更新日 : 2025年12月8日

【雇用形態別】退職日までに有給消化できない場合の対処法

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退職日までに有給消化ができない場合、法律上問題はありませんが、損した気分になるためできれば消化してから退職したいものです。

当記事では、退職日までに有給消化ができない場合の対処法について、雇用形態別に解説します。

近日中に退職を控えている従業員または該当する従業員がいる職場の方は、ぜひ参考にしてください。

有給休暇を取得する条件

前提として、有給休暇が取得できる条件について解説します。有給休暇は、従業員の勤続年数により年間で付与される日数が異なります。自分が何日分の有給休暇を取得しているか、あらかじめ職場で確認しておきましょう。

入社してからの勤務日数における条件を満たしていること

有給休暇を取得するための条件と、勤続年数ごとに付与される有給休暇の日数は下記のとおりです。

  • 入社日から6ヶ月間、継続して勤務していること
  • 6ヶ月間の全労働日のうち、出勤率が80%以上であること

上記の条件を満たすと、従業員には年次有給休暇が付与され、原則好きな日に利用できます。

【勤続年数別の有給休暇の付与日数】

継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数(日) 10 11 12 14 16 18 20

自身が取得している有給休暇の残日数は、給与明細で確認するほか、就業規則の記載をもとに自分で計算することも可能です。

退職日よりも前であること

退職する旨を伝えても、退職日前であれば有給休暇が取得できます。たとえば、20日分の有給休暇が残っている場合、希望すれば退職日までに残りすべての有給が消化できるでしょう。

ただし、職場側には有給休暇の取得時季を変更する権利(時季変更権)があります。

時季変更権とは、従業員から申請された有給取得に対して、職場が取得日の変更を求められる権利です。従業員が休むことで、事業や業務が滞ったり損害を被ったりする場合に限り、職場が時季変更権を利用できます。

そのため、希望する時季に必ずしも取得できるわけではない点に注意が必要です。

有給休暇の取得に関して、職場とトラブルを抱えている、またトラブルが起こらないか心配な人は、下記の記事もあわせてご覧ください。有給休暇についての疑問と回答をまとめています。

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職場は有給休暇の消化を拒否できる?

有給休暇は、労働基準法第39条にもとづき労働者に与えられた権利です。原則として事業の正常な運営を妨げる場合でない限り、利用を拒否できません。

ただし、会社には「時季変更権」があり、業務に支障をきたすおそれがある場合には、特定の時季に有給休暇の取得を変更するよう求められます。

たとえば、繁忙期で人員不足が深刻な場合、職場が有給休暇の取得時季を一時的に変更することが可能です。

また有給休暇を取得する際に、職場から理由を求められる場合があるでしょう。職場が有給休暇を取得する理由をたずねること自体は違法ではありませんが、理由によって有給休暇の取得を拒否することはできません。

有給休暇が残ったまま退職したらどうなる?

有給休暇を残したまま退職すると、退職時に雇用関係が終了するため、基本的には未消化の有給休暇はそのまま消滅します。従業員自身や職場には、法的な罰則や損害金の発生等はありません。

退職日までに有給休暇を消化できなかった場合でも、企業は退職した従業員に対して有給休暇を与える義務がありません。そのため、退職前に有給休暇を消化するか、会社に買い取ってもらうといった選択肢があります。

また、有給休暇の有効期限は付与日から2年間であり、退職後は有給休暇に関する権利を主張できないため注意が必要です。

有給休暇の権利の時効について、下記の記事でくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。

退職日までに有給消化できないときの対処法

有給休暇は従業員に与えられた権利のため、できればすべて消化してから退職したいものです。退職日までに有給が消化できなさそうだと思った場合の対処法について、雇用形態別に解説します。

正社員・正規職員の場合

基本的に、職場は労働基準法にもとづき、有給休暇の取得を理由なく拒否することはできません。しかし、職場が時季変更権を利用せざるを得ない、またはやむを得ない事情がある場合は、下記の方法を実施しましょう。

  • 退職日を調整する:残っている有給休暇の日数に応じて、最終出社日を調整することで、消化できる可能性が高まります。
  • 引継ぎスケジュールや人員配置について相談する:引継ぎスケジュールを早めたり人員配置を提案したりして、後任がスムーズに業務を進められるよう配慮しましょう。
  • 有給休暇の買い取りを求める:職場に買い取ってもらえますが、職場が買い取りに応じる義務はないため、断られる可能性があります。

派遣社員の場合

派遣社員の従業員が有給を取得する場合は、現在働いている職場ではなく、派遣元へ相談します。

現場との交渉の結果、難しいと言われた場合は、代替要員の派遣を要請してみましょう。その際、後任がスムーズに業務を進められるよう責任をもって引継ぎをする旨もあわせて伝えると、条件をのんでもらいやすいでしょう。

代替要員の派遣が決まったら、退職日と派遣契約期間について、現場と相談します。

アルバイト・パートの場合

アルバイトやパートにも、有給休暇が付与されます。とくに繁忙期と閑散期がある程度予想できる場合は、付与される日程を確認したうえで、日ごろから少しずつ計画的に取得したほうがよいでしょう。

まず、自分は有給休暇取得の条件を満たしているか、アルバイト・パートの従業員が正社員と同様の有給休暇を取得できる条件と付与される日数を確認しましょう。

【アルバイト・パートが正社員と同様の有給休暇を取得できる条件】

  • 入社日から6ヶ月間、継続して勤務していること
  • 6ヶ月間の全労働日のうち、出勤率が80%以上であること
  • 週所定労働日数が5日以上、または週所定労働時間が30時間以上であること

【勤続年数別の有給休暇の付与日数】

継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数(日) 10 11 12 14 16 18 20

週所定労働日数が4日以下・週所定労働時間が30時間未満の場合には、比例付与の対象となり、下記の日数が付与されます。

週所定労働日数 勤続年数
6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
付与日数 4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

原則、職場は有給の取得を拒否できませんが、やむを得ず拒否される場合は、ほかの人員で代替ができないか相談してみましょう。

交渉しても退職日までに有給消化できないと言われたら

職場によっては、冷静に交渉しているにもかかわらず、どうしても退職日までに有給消化を認めてくれない場合もあるでしょう。有給消化できないと言われた場合は、自身の権利を守るため、しかるべき場所へ相談することも必要です。

有給を買い取ってもらえないか相談する

退職日までに有給を消化できない場合、職場に買い取ってもらうよう交渉することは違法ではありません。しかし法律上、企業は有給休暇の買い取りを義務付けられていないため、就業規則に明記されていない場合は拒否できます。

有給休暇の買い取りは、従業員と職場同士の合意が必要であり、就業規則に有給の買い取りについて明記されていない限り、職場が拒否することもあるでしょう。

まずは職場の就業規則を確認し、有給休暇の買い取りに関する決まりが明記されているか確認します。明記されていない場合、有給休暇の買い取りはあくまで選択肢や可能性のひとつであり、必ず認めてくれるわけではないことを念頭において、相談しましょう。

上司または職場内の相談できる部署へたずねる

冷静に交渉しているにもかかわらず、合理的でない、または正当性がない理由で有給の取得を断られる場合は、さらにうえの上司または人事部や企業や職場内に設けられた部署等へ相談しましょう。

従業員の権利や労働環境についてトラブルや悩みが発生した場合は、管轄の労働基準監督署へ相談することもできます。

ただし、職場が労働基準監督署から改善指示等のメッセージや文書を受け取った場合、従業員と職場との関係が悪くなり、円満退社が難しくなる可能性があります。

そのため、はじめは職場や企業内での解決を試みましょう。

管轄の労働基準監督署に相談する

どうしても職場や企業での解決が見込めない場合は、職場を管轄している労働基準監督署へ相談します。

相談方法は、労働基準監督署へ直接訪れて窓口で相談するほか、メールや電話でも受け付けています。

相談する際は、下記のポイントをおさえて、あらかじめ情報を整理して準備したうえで相談しましょう。

  • 問題の内容についてできるだけくわしく情報を整理しておく
  • 法令違反をしている証拠になりそうな情報をまとめておく

法令違反をしている証拠となる可能性があるものとは、おもに有給取得を拒否された際の職場とのやり取りや、文書などがあります。証拠や情報が不十分の場合、相談にのってもらうことが難しい場合があります。また、労働基準監督署は職場へ是正勧告をすることは可能ですが、強制力がない点に注意が必要です。

【企業の方へ】退職日までに有給消化できないと言われたら

従業員を雇用している職場や企業には、従業員から退職日までに有給消化ができないと相談されることがあるでしょう。有給の取得は従業員にとっての権利であり、できるだけ希望通りに取得させることで、職場環境の改善にもつながります。

引継ぎや人手不足の影響で、どうしても退職日までに有給消化ができないと相談された場合の、企業側の対処法について紹介します。

引継ぎのスケジュールを立てる

従業員から理由を確認し、引継ぎスケジュールについて、当人を交えたうえで相談しましょう。

引継ぎスケジュールを立てる際は以下の手順で進めるとスムーズです。

  • 従業員が担当している業務を洗い出して整理する
  • スケジュールを調整する
  • 業務の関係者とスケジュールを調整する
  • 引継ぎの進捗を確認する

引継ぎを進めるなかで、進捗確認を行い、問題があれば早期に対処できるようにしましょう。後任者が新しい業務をスムーズに理解するためのサポートにもつながります。

人手不足が解消できるよう他部署などへ相談する

従業員が、退職日までに有給消化できない根本的な原因が人手不足にある場合、人員を増やしてもらえるよう他部署へ相談するか、人員配置を検討しましょう。

まず、退職予定の従業員が保有している有給休暇の残日数と、業務への影響を考慮します。自分の部署のみでの解決が難しい場合は、早めに上司や人事部門とも相談すべきです。

人手不足が懸念される場合、人員が補充された際に、業務の引継ぎやカバー体制について検討する必要があるでしょう。

出向先やチームでの協力をあおぎ、従業員がスムーズに有給消化ができるよう調整します。従業員のための迅速な対応は、ほかの従業員からの信頼を維持することにもつながります。

消化されなかった有給休暇を買い取る

消化されなかった有給休暇は、職場が買い取ることも可能です。ただし義務ではないため、現場が認めても企業自体が認めないこともあるため注意が必要です。職場の就業規則にあらかじめ明記されている場合は問題ありません。

職場が有給を買い取ることで、従業員が退職日まで、高いモチベーションを維持したまま勤務してくれる可能性が高いでしょう。

以下の記事で、従業員が急な退職で残った有給休暇の買い取りについて、受け入れなくてよい場合や買い取る際の計算方法を解説しています。あわせてご覧ください。

退職日までに有給消化できなくても問題はない

退職日までに有給消化ができなくても、法律上問題はありません。しかし、有給の取得は従業員に与えられた権利のひとつなので、できればすべて消化したうえで円満退社したほうがよいでしょう。

有給は一度に使うよりも日ごろから少しずつ取得しておいて、引継ぎを完了させたうえで後任に迷惑がかからないよう配慮することが大切です。

退職までの有給消化は、冷静に交渉したり引継ぎを完了させたりすることで認めてもらえやすいでしょう。

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