- 更新日 : 2026年10月5日
社員紹介の報酬(リファラル採用のインセンティブ)に税金はかかる?勘定科目や贈与税の注意点を解説
社員紹介の報酬は、勘定科目に関わらず所得税・住民税の課税対象です。
- 報酬は「給与手当」か「支払手数料」で処理
- 税率は合計約15〜55%で累進課税される
- 知人への山分けは贈与税の課税対象になる
Q. 報酬を紹介した知人と山分けしたら贈与税はかかる?
A. かかります。ただし年間の贈与総額が基礎控除110万円以内なら納税・申告は不要です。
近年、にわかに注目を浴びている「リファラル採用」。社員が自社に適任だと思う知人に声を掛け、人事に紹介し、選考へつなげる採用活動です。「採用氷河期」の今、採用コストを抑え、定着率の高い人材が採用できるなどの理由から導入を検討している企業も少なくありません。
あわせて、ベンチャー企業などでよく聞かれるのが、知人を紹介した社員への「紹介報酬」です。中には入社1名につき50万円以上を支給する企業もあります。この報酬金、税金は引かれるのでしょうか。
リファラル採用(社員紹介採用)の紹介報酬(インセンティブ)相場はどのくらい?
リファラル採用の実施企業は6割を超えており、紹介した社員への報酬(インセンティブ)を支給する企業も一定数存在します。金額は「3万円〜10万円」が中心ですが、職種によっては50万円以上の高額支給を行う企業もあります。
人材紹介のエン・ジャパンが501社を対象に2017年8月〜9月に行った調査では、過半数を超える62%の企業が「リファラル採用」を実施していると回答しました。実施理由の第1位は「入社後に定着・活躍しやすいため」(59%)、第2位は「採用コストを下げるため」(56%)、第3位は「採用成功の確率が高いため」(51%)でした。
また、実施企業のうち44%が、紹介した社員へインセンティブを支給しています。支給額は「3万円〜10万円」が52%で最多、次に「3万円以内」(28%)が続きます。中には「50万円以上」と高額支給している企業も1%あります。入社1名につき報酬金50万円もらえるならば、優秀な知人を人事に紹介しようと社員のモチベーションも高まるでしょう。
参考:リファラル採用(社員紹介)意識調査。62%の企業がリファラル採用の経験あり|エン株式会社(en Inc.)
リファラル採用の実施率は最新調査でどう変化した?
最新の統計では、リファラル採用の実施率は62.5%で、2018年調査(41.7%)と比べて20.8ポイント増加しています。導入企業のすそ野が広がり、採用手法として定着してきていることがわかります。
TalentX社が公表した「リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別統計レポート 2025年版」によると、リファラル採用を「実施している」と回答した企業は62.5%で、2018年調査時点の41.7%から20.8ポイント増加しました。同社のプレスリリースでも、リファラル採用は日本企業の62.5%に制度導入され、企業規模を問わず新たな採用手法として定着している点が紹介されています。
参考:TalentX、社員の記憶に眠る人脈を可視化する新機能でリファラル採用の応募率が3倍に伸長|株式会社TalentXのプレスリリース
紹介報酬(インセンティブ)の金額相場は現在どのくらい?
現在の紹介報酬の相場は、30万円未満に設定している企業が多い傾向にあります。ただし、職種によって水準に差があり、専門性の高い職種ほど高額になりやすい点に注意が必要です。
具体的には、営業職や事務職など比較的採用しやすい職種では1万円未満〜数万円程度の設定が多い一方、技術職・エンジニア職などIT人材の獲得競争が激しい職種では20万円〜30万円台の設定が他職種より多く見られます。人材採用が特に難しい職種では、紹介報酬を50万円以上に設定する企業もありますが、高額な報酬は職業安定法などの観点からリスクも伴うため、支給要件や上限額を慎重に設計することが望ましいとされています。
参考:リファラル採用の報酬(インセンティブ)相場|決め方や報奨金以外の事例も紹介|Refcome(リフカム)
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紹介した社員がもらう報酬は何費として処理される?税金はかかる?
社員紹介の報酬金は、その支給の実態に応じて所得区分を判断する必要があります。従業員が会社の採用活動の一環として知人を紹介し、その対価として会社から支給を受ける報酬は、給与所得に該当するケースが一般的です。
なお、所得区分は会社側の勘定科目によって決まるものではありません。会社が「給与手当」と「支払手数料」のどちらの勘定科目で処理するかにかかわらず、実際の支給内容や勤務との関係などを踏まえて判断します。
加えて、報酬を紹介者と紹介された知人で山分けした場合は、知人側に贈与税が課される点にも注意が必要です。
ところでこの報酬金、勘定科目は何費として処理されるのでしょうか。また課税対象なのでしょうか。ITやベンチャー企業の会計事情に詳しい、公認会計士で税理士の浅利圭佑さんに聞きました。
勘定科目は「給与手当」と「支払手数料」のどちらになる?
社員紹介の報酬金は、業務との関連性に応じて「給与手当」または「支払手数料(紹介手数料)」のいずれかで処理するのが一般的です。
――社員紹介の報酬金は、勘定科目は何費として処理されますか。
浅利さん:会社側の勘定科目は、以下のいずれかとなるのが一般的です。
①従業員としての業務に直接関係する場合 :給与手当②従業員としての業務に直接関係しない場合:支払手数料(紹介手数料)
①②のいずれに該当するかは、以下のポイント等を勘案して総合的に判断することとなります。人事担当者など業務の一環として採用活動を行っていれば給与手当、業務時間外に本来の業務とは全く関係なく採用活動したケースについては紹介手数料となる可能性が高いです。
・紹介活動を行っているのが業務時間内か否か ・紹介者の通常の業務と当該紹介活動が関係するか ・紹介活動にかかったコストが会社負担か否か ・勤務規定における紹介制度の整備状況
報酬金は課税対象になる?税率はどのくらい?
社員紹介の報酬金が給与に該当する場合は「給与所得」として課税されます。所得区分は、会社側の勘定科目ではなく、報酬の支給実態などに基づいて判断します。
――報酬金は課税対象になるのでしょうか。また課税対象の場合の税率を教えてください。
浅利さん:当該報酬が給与である場合は「給与所得」として、支払手数料である場合は「雑所得(あるいは一時所得)」としていずれも所得税及び住民税の課税対象となると考えられます。
なお、税率は対象者の所得金額によって変動し、所得税と住民税を合わせると約15%〜55%の税率で累進的に課税されることとなります。
社員紹介の報酬金の勘定科目が…
給与の場合:給与所得として所得税及び住民税の課税対象
支払手数料の場合:雑所得として所得税及び住民税の課税対象
報酬を知人と山分けした場合、贈与税はかかる?
知人を紹介して報酬金を得た社員が、その知人と報酬金を山分けする場合、山分けを受けた知人に対して贈与税が課税されます。
――知人を紹介して報酬金を手に入れた社員が、その知人と報酬金を山分けする場合、贈与税がかかるのでしょうか。
浅利さん:はい、社員から報酬金の山分けを受けた知人に対して贈与税が課税されます。贈与税の計算順序は以下の通りです。
①まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します
②続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます
③次に、その残りの金額に、以下の贈与税速算表(一般贈与財産用)の税率を乗じて税額を計算します
したがって、紹介により知人が得る財産の価額と、当年度中に得たその他の贈与の価額の合計が基礎控除110万円以内である場合は、納税は発生せず、贈与税の申告も不要となります。なお、この基礎控除額110万円および速算表の税率区分は、2026年9月時点でも変更なく維持されています。
参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
【取材協力】浅利 圭佑(あさり けいすけ) 公認会計士・税理士/IT、ベンチャー特化型の会計事務所「ネクスパート会計事務所」代表 スタートアップからメガベンチャーまで300社を超える企業に対し会計・税務・資金調達支援・VC対応など幅広いサービス提供を行う。会計・税務・FAS・法務のプロフェッショナルを集めたワンストップ型専門家集団、ネクスパート・アドバイザリーグループでグループCEOも務める。
【参考】
「リファラル(社員紹介)採用」に関するアンケート調査(エン・ジャパン)
よくある質問
「リファラル採用」を実施している企業はどれくらいある?
人材紹介のエン・ジャパンが501社を対象に2017年8月~9月に行った調査では、62%の企業が「リファラル採用」を実施していると回答しました。詳しくはこちらをご覧ください。
社員紹介の報酬金の勘定科目は?
給与手当もしくは、支払手数料で処理します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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