• 更新日 : 2024年12月24日

給与明細から標準報酬月額を確認できる?言葉の意味や調べ方、社会保険料の算出方法も

標準報酬月額とは、社会保険料を計算する際のもととなる数値のことです。複数月の給与の平均額を計算し、決められた等級に分けて表したものでもあります。

本記事では、標準報酬月額の言葉の意味や調べ方、給与明細からの確認方法について解説します。あわせて社会保険料の算出方法も紹介するので参考にしてください。

給与明細から標準報酬月額を確認できる?

標準報酬月額は給与明細から確認できます。企業によっては、備考欄などに記載されている場合もあるため、まずは記載がないか確認するようにしましょう。

もし記載されていない場合は、厚生年金保険料の額を用いて逆算していけば自分の標準報酬月額がいくらかがわかります。

そもそも標準報酬月額とは?

標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料を算出する際の基準となる数値のことです。標準報酬月額はひと月の報酬によって一定の範囲ごとに区分されています。

  • 厚生年金保険料:1〜32等級
  • 健康保険料:1〜50等級

各等級で割り当てられた標準報酬月額を使って、健康保険料や厚生年金保険料などを計算します。なお、等級が上がるほど、社会保険料も上がっていく仕組みです。

給与明細から標準報酬月額を調べる方法

給与明細から標準報酬月額を調べる方法を紹介します。

給与明細に記載されている厚生年金保険料を確認する

まずは、自分の給与明細に記載されている厚生年金保険料の金額を確認しましょう。基本給や時間外賃金、通勤手当といった項目の中に厚生年金の欄があります。

都道府県ごとの保険料額表で標準報酬月額を確認する

次は、会社が属する都道府県の保険料率表を用いて標準報酬月額をチェックします。健康保険料や厚生年金保険料などが等級ごとに掲載されています。

右側にある厚生年金保険料の欄を見ると、会社との折半した額が記載されているため、そこから先ほど確認した厚生年金保険料の額を見つけ、行にそって左側に目を移すと標準報酬月額や標準報酬月額等級に当たります。そこに記載されている数値が自身の標準報酬月額です。

参考: 令和6年度保険料額表|全国健康保険協会

給与明細に標準報酬月額が直接記載されている場合もある

給与明細の中に、標準報酬月額が直接記載されていて、そこから直接標準報酬月額を確認できるケースもあります。また「備考欄」に標準報酬月額が記載されているケースもあるようです。

まずは、自分の給与明細を確認して、標準報酬月額が記載されているかどうか確認しましょう。記載がない場合は、前述した方法で逆算してください。

給与明細の標準報酬月額から社会保険料を算出する方法

給与明細の標準報酬月額から社会保険料を算出する方法について紹介します。

健康保険料の算出方法

健康保険料を計算する式は、以下のとおりです。

健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率 ÷ 2

健康保険料率は加入している健康保険組合や都道府県によって違います。たとえば、東京都であれば9.98%です。従業員が支払う健康保険料は、次のようになります。

標準報酬月額 × 9.98% ÷ 2

厚生年金保険料の算出方法

厚生年金保険料を求める計算式は、以下のとおりです。

厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率 ÷ 2

2024年の厚生年金保険料率は18.3%(一律)であるため、従業員が支払う厚生年金保険料は、次のように計算できます。

標準報酬月額 × 18.3% ÷ 2

参考: 令和6年度保険料額表|全国健康保険協会

給与明細のテンプレート(無料)

以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。

給与明細の標準報酬月額が決定・変更されるタイミング

 給与明細の標準報酬月額が決定・変更されるタイミングには、5つのタイミングが存在します。タイミングは以下のとおりです。

  • 定時決定
  • 随時改定
  • 資格取得時
  • 育児休業等終了時
  • 産前産後休業終了時

ここでは、各タイミングについて解説します。

定時決定

定時決定とは、年に一度の見直しタイミングです。企業に在籍している被保険者(7月1日時点で)の4〜6月分までの3ヶ月分の給与から平均額を算出し、保険料額表の区分に照らし合わせて標準報酬月額を決定します。

決定された標準報酬月額は、原則その年の9月から翌年8月まで適用されます。

随時改定

随時改定は、昇給・降給などが生じた際に行う標準報酬月額の改定タイミングです。変動月から3ヶ月分で算出した標準報酬月額が、それまで額からして2等級以上の差が発生している場合、変更が行われます。

なお、変更が適用されるのが、変動後4ヶ月目以降です。

そのため、報酬に2等級以上の差が発生している場合でも、残業代のような非固定的な要因で変動しているときは随時改定の対象ではありません。

ただし、通勤手当や住宅手当などの固定手当の変更によって等級変動がある場合は、随時改定の対象となる点には注意しましょう。

資格取得時

資格取得時とは、入社などで新たに社会保険の被保険者資格を取得したときのことです。このタイミングでも、標準報酬月額の決定・変更がなされます。

基本的には、事前に入社条件として提示されている雇用契約書に記載されている報酬から算出した月額見込額から決定します。なお、新入社員の場合、1〜5月入社と6〜12月入社の場合でそれぞれタイミングが異なるため注意してください。

育児休業等終了時

育児休業等から復帰後も変更タイミングです。復帰月を含む3ヶ月の報酬がそれまでの標準報酬月額より1等級以上差がある場合、標準報酬月額を変更できます。

なお、変更した標準報酬月額は復帰後4ヶ月目以降に適用されます。3ヶ月目まではそれまでの標準報酬月額で計算することは理解しておきましょう。

産前産後休業終了時

産前産後休業後に職場に復帰した場合も育児休業等終了時と同様に、変更タイミングです。短時間勤務の取得などによって休業前報酬と変動があり、社会保険料が従前のままにならないための措置となります。

こちらも、変更した標準報酬月額の適用は、復帰後4ヶ月目以降です。

標準報酬月額は給与明細から確認できる

標準報酬月額は給与明細から確認できます。企業によっては、備考欄などに記載されている場合もあるため、まずは記載がないか確認するようにしましょう。

記載がない場合は、厚生年金保険料を用いて逆算することで算出可能です。また、 給与明細の標準報酬月額が決定・変更されるタイミングは5つ存在します。それぞれのタイミングを把握しておくことも重要です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事