• 更新日 : 2025年1月28日

産休はいつまで?期間の計算や伝えるコツ、予定日変更の場合を解説

産休は出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から、出産日の翌日から8週間まで取得可能です。

本記事では、産休期間の計算方法、双子の場合、予定日より早くまたは遅く出産した場合など、さまざまなケースにおける産休期間を詳しく解説します。

また、産休の手続きや給付金、職場への伝え方、復帰についてなど、産休に関するあらゆる疑問についても解説します。

人事労務担当者の方や、ご自身が産休を検討している方は、ぜひ本記事をお役立てください。

産休(産前産後休業)はいつまでとれる?

産休(産前産後休業)は、働く女性が出産前後の一定期間、休業できる制度です。

労働基準法によって定められており、正社員だけでなくパートやアルバイトなど雇用形態に関わらず、すべての労働者が取得できます。

次項で、産休をいつまで取得できるかについて、具体例を交えながら解説します。

産休は、産前6週間から産後8週間まで

産休は、下記のように産前休業と産後休業に分かれています。

  • 産前休業:出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得可能
  • 産後休業:出産日の翌日から8週間取得可能

産後休業は、法律で就業が禁止されている期間です。

ただし、産後6週間を経過後、医師の許可があれば就業可能です。

双子の出産の場合

双子など多胎妊娠の場合は、母体への負担が大きいことから、産前休業期間が延長されます。

通常の単胎妊娠では出産予定日の6週間前から産前休業を取得できますが、多胎妊娠の場合は出産予定日の14週間前から取得できます。

産後休業期間は単胎妊娠の場合と同様、出産日の翌日から8週間です。

流産や死産の場合

流産や死産の場合でも、産後休業を取得できます。

労働基準法第65条第2項でも、下記のように定められています。

「使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。」

引用:労働基準法第65条第2項

この場合の「産後」とは、出産後だけでなく、妊娠4ヶ月以降に死産した場合も含まれます。

具体的な休業期間は、医師の診断に基づいて判断されます。

出産予定日よりも前後に生まれた場合

予定日より早く生まれた場合、産前休業は実際に出産した日までとなります。

たとえば、予定日より1週間早く出産した場合、産前休業は5週間です。

一方で、予定日より遅く生まれた場合、産前休業は実際に出産する日まで延長されます。

たとえば、予定日より1週間遅れて出産した場合、産前休業は7週間です。

なお、産後休業は、出産予定日が前後した場合でも、出産日の翌日から8週間という期間は変わりません。

産休はいつまでに伝えるのが良い?

妊娠が判明し、産休を希望する場合、会社への報告はできるだけ早い段階で行うのが望ましいです。

事業主には男女雇用機会均等法による「母性健康管理措置」が義務付けられています。具体的には、妊産婦である女性労働者のために、以下のような措置が義務付けられています。

  • 健康診査を受けるための時間の確保
  • 医師からの指導事項(妊娠中の通勤緩和、休憩時間の配慮等)を守ることができるための措置

早めに報告することで、無理のない働き方ができるように会社側も考慮してくれます。

妊娠を上司に伝える時の例文

妊娠を上司に伝える際の例文を、状況に合わせていくつか紹介します。

例文1:直接会って伝える場合

「〇〇部長、お時間をいただきありがとうございます。私事で大変恐縮なのですが、この度、新しい命を授かりましたことをご報告させていただきます。現在妊娠〇ヶ月で、出産予定日は〇月頃です。つきましては、今後の働き方についてご相談させていただきたく、お時間を頂戴できますでしょうか。まずはご報告までと思い、お伝えさせていただきました。」

例文2:メールで伝える場合(直接会う前に事前に連絡する場合など)

件名:妊娠のご報告

〇〇部長

いつも大変お世話になっております。

私事で大変恐縮ではございますが、この度、新しい命を授かりましたことをご報告させていただきます。現在妊娠〇ヶ月で、出産予定日は〇月頃です。

つきましては、今後の働き方について、後日改めてお時間を頂戴し、ご相談させていただければと存じます。まずは取り急ぎ、ご報告までとさせていただきます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

〇〇(氏名)

これらの例文はあくまで一例なので、自身の状況に合わせて言葉を選び、誠意をもって伝えるように心掛けましょう。

また、今後の働き方について相談したい旨を伝えれば、会社側も対応を検討しやすくなります。

産休の手続きはいつまでに行うか

産休の手続きは、従業員と会社が連携して進める必要があります。

次項で、会社が行うべき手続きについて詳しく解説します。

従業員から妊娠の報告を受けたとき

従業員から妊娠の報告を受けた際、会社は下記の対応を行う必要があります。

  • 出産予定日、最終出社日の確認
  • 産休・育休の取得意思の確認
  • 復帰の意思確認
  • 今後の働き方について相談
  • 産休・育休制度や各種給付金についての説明

休業する場合は、「産前産後休業届」や「育児休業届」など、必要な書類を従業員に提出してもらう必要があります。

母子健康手帳のコピーなど、従業員でなければ用意できない書類もあるため、事前に伝えておきましょう。

従業員が産休に入るとき

従業員が産休に入る際には、会社は「産前産後休業取得者申出書」を提出する必要があります。

詳細は、下記の通りです。

必要書類(添付書類も含む)産前産後休業取得者申出書
提出時期産前産後休業期間中、または産前産後休業終了日の翌日から起算して1ヶ月以内
提出先年金事務所または事務センター

上記の手続きを行えば、健康保険・厚生年金保険料の事業主負担分と被保険者負担分が免除されます。

書類の提出は、郵送だけでなく電子申請も可能です。

従業員から出産の報告を受けたとき

従業員から出産の報告を受けた場合、会社は下記の手続きを行う必要があります。

詳細は、下記の通りです。

項目必要書類申請期限提出先
出産手当金の申請手続き
  • 健康保険出産手当金支給申請書
  • 医師または助産師の意見書
  • 事業主証明書類など
産休開始後の翌日から2年以内(時効)健康保険組合または協会けんぽ
出産育児一時金の申請手続き
  • 健康保険出産育児一時金支給申請書
  • 母子健康手帳など
出産日の翌日から2年以内(時効)健康保険組合または協会けんぽ
健康保険被扶養者異動届の提出
  • 健康保険被扶養者異動届
  • 戸籍謄本または戸籍抄本
  • 住民票の写し(場合による)
出生日から5日以内健康保険組合または協会けんぽ
給与所得者の扶養控除(異動)申告書の変更給与所得者の扶養控除(異動)申告書年末調整時、または扶養状況に変更があった場合年金事務所または事務センター

出産手当金と出産育児一時金については、従業員自身での手続きも可能です。

その場合は、会社は必要に応じて従業員への情報提供やサポートを行いましょう。

従業員が育児休業に入るとき

従業員が育児休業に入る際には、会社は育児休業給付金支給申請を行う必要があります。

詳細は、下記の通りです。

必要書類(添付書類も含む)
  • 育児休業給付金支給申請書
  • 母子健康手帳
  • 賃金台帳など
提出時期育児休業開始後、原則として2ヶ月以内
提出先ハローワーク

上記の手続きを行えば、従業員は育児休業給付金を受給できます。

申請期限を過ぎると給付金が支給されない可能性があるため、なるべく早めに手続きを完了させましょう。

産休期間はいつからいつまで?計算シミュレーション

産休期間はいつからいつまで取得できるか、下記のケースに分けて解説します。

予定日通りに出産した場合

(出産予定日:2024年10月1日)

産前休業:2024年8月21日~2024年10月1日(出産予定日の6週間前)

産後休業:2024年10月2日~2024年11月26日(出産日の翌日から8週間)

産休合計期間:2024年8月21日〜2024年11月26日

予定日より1週間早く出産した場合

(出産予定日:2024年10月1日

出産日:2024年9月24日)

産前休業:2024年8月21日~2024年9月24日(実際に出産した日まで)

産後休業:2024年9月25日~2024年11月19日(出産日の翌日から8週間)

産休合計期間:2024年8月21日〜2024年11月19日

予定日より1週間遅く出産した場合

(出産予定日:2024年10月1日

出産日:2024年10月8日)

産前休業:2024年8月21日~2024年10月8日(実際に出産した日まで)

産後休業:2024年10月8日~2024年12月3日(出産日の翌日から8週間)

産休合計期間:2024年8月21日か〜2024年12月3日

なお、ご自身で出産予定日などを入力すれば、簡単に産休期間を計算できる便利なシミュレーションサイトがあります。

リンクを貼っておくので、ぜひ活用してみてください。

産休・育休期間の計算サイト:産休・育休はいつから?産前・産後休業、育児休業の自動計算|厚生労働省

産休手当はいつまでもらえる?

産休期間中、一定の要件を満たせば産休手当(出産手当金)が支給されます。

詳細は、下記の通りです。

概要健康保険の被保険者が出産のために会社を休み、給与の支払いを受けなかった場合に支給される
支給期間産前42日(多胎妊娠の場合は98日)から産後56日までの範囲内で、会社を休んだ期間
支給要件
  • 健康保険の被保険者である
  • 出産のために会社を休み、給与の支払いを受けていない
支給金額支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2

なお、実際に産休手当が受け取れるのは、産休終了後、申請手続きを行ってから1〜2ヶ月後となります。

産休手当のほか、出産・育児で利用できる給付金

産休期間中に支給される出産手当金の他に、出産・育児期間中に利用できる給付金として、「出産育児一時金」と「育児休業給付金」があります。

それぞれの概要や支給金額は、下記の通りです。

出産育児一時金育児休業給付金
概要健康保険または国民健康保険から支給され、出産費用の一部を補助するための給付金雇用保険から支給され、育児休業期間中の生活を支援するための給付金
支給金額子ども1人につき50万円

※産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は、48.8万円

育児休業開始から6ヶ月までは休業開始前賃金の67%、それ以降は50%相当額

これらの給付金制度を活用すれば、出産・育児期間中の経済的な不安を軽減できます。

産休を早めたり、産後を早く復帰することはできる?

産休は、母体保護を目的とした制度であり、法律で定められた期間があります。

産休を早めることはできるか、産後早く復帰することはできるかについて詳しく解説します。

産休を早めることはできる?

産休のうち、産前休業は、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できます。

これはあくまで「出産予定日」に基づいており、本人の意思で早めることはできません。

ただし、体調不良などで医師から休業が必要と診断された場合、病気休暇や有給休暇などを利用すれば、予定日より前に休業可能です。

産前休業はあくまで出産予定日を基準とした期間であるため、体調不良による休業は別の扱いとなります。

産後早く復帰することはできる?

産後休業は、出産日の翌日から8週間と定められており、この期間は法律上、就業が禁止されています。

これは、出産後の母体の回復を最優先とするためです。

ただし、産後6週間を経過後、医師から就業に支障がないと認められた場合は、本人の希望と会社の合意があれば就業可能です。

体調の回復状況や育児の状況に合わせて、時短勤務やフレックスタイム制などを活用することも検討しましょう。

アルバイトやパート・派遣社員も産休を取得できる?

産休(産前産後休業)は、労働基準法によって定められた労働者の権利であり、雇用形態に関わらず、アルバイト、パート、派遣社員の方も取得できます。

なお、産休期間は正社員と同様で、下記の通りです。

  • 産前休業:出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)
  • 産後休業:出産日の翌日から8週間

上記の期間は、法律で定められたものであり、会社が独自に短縮することはできません。

ただし、産後6週間を経過後、医師の許可があれば就業可能です。

産休・育休に関わる申請書類のテンプレート

産休・育休を取得する際には、会社への申請手続きが必要です。

マネーフォワード クラウドでは、産休・育休に関わる申請書類のテンプレートをご用意いたしました。

次項で、それぞれの申請で使える無料のテンプレートを紹介いたしますので、必要に応じてご活用ください。

産休申請書テンプレート

産休(産前産後休業)を取得する際には、「産休申請書」を会社に提出する必要があります。

産休申請書は、出産予定日や産休期間などを記載する書類です。

下記に産休申請書の無料テンプレートをご用意いたしましたので、必要に応じてご活用ください。

産休申請書の無料テンプレートはこちら

育児休業申請書テンプレート

育児休業を取得する際には、「育児休業申請書」を会社に提出する必要があります。

育児休業申請書は、育児休業の開始日や終了予定日、養育する子どもの情報などを記載する書類です。

下記に育児休業申請書の無料テンプレートをご用意いたしましたので、必要に応じてご活用ください。

育児休業申請書の無料テンプレートはこちら

産休取得に関する重要ポイントまとめ

本記事では、産休がいつまで取得できるかという疑問にお答えするため、産休の期間や手続き、給付金などについて詳しく解説しました。

最後に、産休取得に関する重要なポイントを改めてまとめます。

  • 産休は正社員だけでなく、アルバイト、パート、派遣社員も取得可能
  • 産休期間は原則として産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間
  • 妊娠の報告はできるだけ早く、安定期を目安に行うのがおすすめ
  • 出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金など、さまざまな給付金が利用可能
  • 産後6週間以降、医師の許可があれば早期復帰も可能

これらのポイントを理解して準備を進めれば、安心して出産・育児期間を過ごし、スムーズな職場復帰に繋げられるでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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