• 更新日 : 2023年11月17日

リフレッシュ休暇とは?有給との違いは?制度のメリット・デメリット

リフレッシュ休暇は、勤続年数や節目の年齢のタイミングで、リフレッシュのために従業員に与える特別休暇です。休暇を取得するための条件や付与する休暇日数は、どのように決めるのでしょうか。

この記事では、リフレッシュ休暇に関して、有給休暇との違い、リフレッシュ休暇のメリットとデメリット、取得条件、付与日数などを解説します。

リフレッシュ休暇とは?

「リフレッシュ休暇」とは、年齢や勤続年数の節目のタイミングで、企業が従業員にリフレッシュしてもらうために休暇を与えることが目的の休暇です。リフレッシュ休暇は、年次有給休暇や育児休業、介護休業などの法律で定められた休暇ではありません。そのため、取得条件や休暇日数などは、企業ごとに独自で決めることができます。

リフレッシュ休暇制度の導入により、従業員と企業の双方にメリットがあると考えられるため、導入を検討している企業もあります。

有給休暇との違い

リフレッシュ休暇と有給休暇は、法律で定められている「法定休暇」か、法律では定められていない「法定外休暇」かという点が一番の違いです。

有給休暇は法律で定められた休暇であり、労働者に付与することが義務付けられています。また、有給休暇を取得した場合には、その休暇に対する給与を支払う必要があります。

それに対して、リフレッシュ休暇は法律で定められた休暇ではないため、企業ごとに導入する・導入しないを任意で決めることができます。また、休暇中の給与に関しても、企業ごとに有給・無給を決めることができます。

リフレッシュ休暇制度は法律で決まっている?義務?

リフレッシュ休暇は、企業が任意で導入できる「法定外休暇」であって、法律で義務付けられている休暇ではありません。企業にはリフレッシュ休暇制度を導入する義務まではありません。

企業にとってのリフレッシュ休暇のメリット

リフレッシュ休暇を導入することは、企業と従業員にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここからは、企業にとってのリフレッシュ休暇のメリットについて見ていきます。

離職対策やメンタルヘルス対策になる

リフレッシュ休暇は、従業員が心や身体を休め、その名のとおり、リフレッシュしてもらうことが目的の休暇です。

日常的にオーバーワーク気味の従業員は、知らないうちにストレスによるメンタル不調になっている場合があります。これを放置してしまうと、離職してしまう、休職してしまう事態が発生し、場合によっては企業の安全配慮義務を問われかねません。

リフレッシュ休暇により日ごろのストレスを解消してもらうことができれば、従業員のメンタルヘルス対策にもなり、離職者の低減にもつながります。

生産性が上がる

リフレッシュ休暇には、生産性を向上させるというメリットもあります。

リフレッシュ休暇により休養することで、心身の疲労を十分に回復させることができれば、従業員は新たな気持ちで仕事を始めることができます。その結果、仕事に意欲的に取り組むことができ、それが生産性の向上につながるのです。

採用面での売りになる

休暇は、求人に応募する人が必ず確認するポイントです。求人欄で「休日や休暇が多い」「リフレッシュ休暇など、特別休暇の制度が充実している」企業には好印象を持ちます。リフレッシュ休暇制度が導入されていて、一定の利用実績が伴っていれば、求人を見た人に「従業員が働きやすい企業である」という印象を与え魅力的な企業に映るでしょう。

リフレッシュ休暇を導入していることによって、採用面での売りにもなり企業のイメージアップにもつながります。

企業にとってのリフレッシュ休暇のデメリット

リフレッシュ休暇は、企業にとって多くのメリットがありますが、逆に注意しなければいけない点もあります。企業にとってのデメリットとしては、「制度が形骸化する」「有力な従業員が一時的にいなくなる」「引継ぎのコストがかかる」などが考えられます。では、具体的に見ていきましょう。

業務の稼働により制度が形骸化する

リフレッシュ休暇制度を導入しても、制度が浸透せず、従業員に利用されなければ意味がありません。

制度を導入する際には、なるべく業務が滞らない時期を決めておくこと、従業員がリフレッシュ休暇を取得することを想定して引継ぎのやり方を考えておくことが必要です。また、従業員がリフレッシュ休暇を取得しやすい環境づくりを行うことも大切です。

有力な従業員が一時的にいなくなる

従業員がリフレッシュ休暇で休んでいる期間、業務が滞る可能性があります。リフレッシュ休暇を取得する人の引継ぎが十分にできていなかった場合も同様です。

特に企業の重要な職務を担っている従業員がリフレッシュ休暇を取得する場合には、同じ部署の従業員が協力し合ってサポートできるように日ごろから準備を進めておく必要があります。

引継ぎのコストがかかる

リフレッシュ休暇を導入する場合、従業員の誰が休暇を取った場合でも、他の従業員がその人の代わりに対応できる体制を整えておくことが大切です。

しかし、このような職場環境を構築していくのに必要な引継ぎは、時間がかかるうえにコストもかかるため、その点が企業としてのデメリットになります。

リフレッシュ休暇は企業にとってさまざまなメリットがありますので、引継ぎの部分を効率的に進めて、なるべくコストがかからないように工夫していくことが重要です。

従業員にとってのリフレッシュ休暇のメリット

従業員にとってのリフレッシュのメリットとしては、「長期休暇を取ることができる」「家族や友人との時間を過ごせる」「自分の仕事の棚卸ができる」などが考えられます。では、具体的に見ていきましょう。

普段取れない長期休暇を取れる

リフレッシュ休暇を取得できる日数は会社によって異なりますが、年末年始休暇や夏季休暇以外に、連続した休暇を取れる機会はなかなかありません。

毎日働き続けるということは、心身に相当の負担を強いることになります。リフレッシュ休暇でまとまった休みを取ることにより、仕事のストレスから解放され、鋭気を養うことができます。職場に復帰した際には、仕事に対する意欲が高まり、仕事の効率も今まで以上に上がるでしょう。

家族や友人との時間を過ごせる

リフレッシュ休暇は、家族や友人たちと日ごろできなかったことを行って過ごせる休暇でもあります。リフレッシュ休暇を取る時期にもよりますが、仕事のことを忘れてリラックスできる仲間と、旅行やキャンプ、観光地巡りなど、楽しい時間を過ごす良い機会にもなるでしょう。

引継ぎ作業によって自分自身の業務整理になる

リフレッシュ休暇を取る場合、休暇中は他の人に仕事を任せることになります。その際には引継ぎが必要で、そのために業務フローの見直しをしたり、日ごろの仕事の進め方を見直したりしなければいけません。

その引継ぎ作業の過程で、自分の仕事の業務を整理する機会ができ、仕事の効率化や無駄を省くことができるようになります。

従業員にとってのリフレッシュ休暇のデメリット

従業員にとってリフレッシュ休暇のデメリットはあまりないように思いますが、あえて挙げるとすると、「一時的に業務から外れる」「リフレッシュ休暇前の仕事が引継ぎのための作業になる」などです。では、具体的に見ていきましょう。

一時的に業務から外れることになる

リフレッシュ休暇を取得する従業員は、休暇中、担当の業務から一時的に外れることになります。業務を引き継ぐ側の従業員も、通常業務以外に一時的に本来の業務以外の業務も合わせて担当することになるため負担が増えます。

休暇を取得する人は、自分が一時的に業務から外れることに対して負い目を感じてしまう可能性があります。そのような感情が、リフレッシュ休暇を取得する妨げとなる場合も考えられます。その点がデメリットになり得るでしょう。

引継ぎのための作業がリフ休前の業務になる

リフレッシュ休暇を取得することを決めるまでは、従業員それぞれが自分の通常業務を行っています。しかし、リフレッシュ休暇を取得することを決めた場合、休暇を取得する人、業務を引き継ぐ人の双方に引継ぎのための作業が発生します。

日ごろから、業務が属人化しないように行っていればそのような心配もありませんが、なかなかそのような状況にはなってはいないのが実情です。このあたりも、リフレッシュ休暇を取得する際のデメリットと言えます。

リフレッシュ休暇の付与日数・期間・条件

リフレッシュ休暇は、法律で定められた法定休暇ではなく、企業ごとに自由に決めることができる法定外休暇です。ここからは、リフレッシュ休暇を取得する条件や付与日数について見ていきます。

取得の条件・必要な勤続期間

リフレッシュ休暇の取得条件は、企業によって自由に決めることができます。例えば、対象になる人の条件として、勤続年数が5年目、10年目、20年目など、一定の勤続期間の節目でリフレッシュ休暇を取ることができる企業が多いようです。

また、年齢で決めて取得できるようにしている企業や、勤続年数などの条件を設定しないで取得できる企業などもあります。取得条件は、自社でよく検討して制度を構築するとよいでしょう。

付与日数の目安

リフレッシュ休暇として付与する日数についても企業によって異なります。一般的には、「勤続5年目で5日間」「勤続10年目で10日間」など、勤続年数により日数を決めている企業が多いようです。

ただし、あまりにも短いリフレッシュ休暇だと、心身の疲労を取ってリフレッシュするという本来の主旨を達成できません。そのため、土日や連休などを合わせて長い休暇取得をできるようにしているとリフレッシュできるのではないでしょうか。リフレッシュ休暇を導入する際には、付与する日数についてもよく検討しましょう。

リフレッシュ休暇中の給与はどうなる?

リフレッシュ休暇中の給与を無給にするか、有給にするか、有給にする場合、全額支給にするか、一部支給にするか、などについても法律で定められてはいません。そのため、会社ごとに自由に決めてルール化することができます。

ただし、リフレッシュ休暇を無給にすると休暇制度を利用しづらくなり、従業員のモチベーションも下がってしまう心配があります。したがって、有給としているのが一般的です。

リフレッシュ休暇の導入事例

リフレッシュ休暇制度を実際に運用している企業の事例を見てみましょう。今後、リフレッシュ休暇制度の導入を検討している会社の参考になるでしょう。

東京エレクトロン株式会社

【リフレッシュ休暇】

勤続10年になった従業員を対象に5年ごとに、心身のリフレッシュ、就業意欲を高めることを目的とした休暇制度です。勤続10年で2週間、15年で3週間、20年で2週間、勤続25年で1ヶ月の休暇を有給で取得できます。

参考: 休日・休暇制度|東京エレクトロン株式会社

株式会社ノバレーゼ

【リフレッシュ休暇制度】

会社が「仕事と休みのメリハリをつけてほしい」という姿勢を示すために、創業当初からリフレッシュ休暇制度を導入しています。3年ごとに1回、スタッフがリフレッシュするために利用できる30日間の休暇制度を設けています。育児や介護など、特定の理由を目的としない自由な取得が可能な制度です。

参考: 企業理念・文化|株式会社ノバレーゼ

リフレッシュ休暇の導入で従業員も会社もWin-Winに!

従業員が、心身をリフレッシュさせることを目的に取得できるリフレッシュ休暇制度を導入する企業も増えてきています。しかし、日本は他の国と比較すると決して休暇が取りやすい環境であるとは言えません。

リフレッシュ休暇の導入は、従業員満足度を向上させ、会社のイメージアップにもつながります。自社に合ったリフレッシュ休暇制度を導入し、従業員、会社の双方ともがWin-Winの関係になるように進めていきましょう。


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