• 更新日 : 2025年11月6日

扶養家族から外れる年収とは?税金や手取り額の例、超えた場合を解説

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扶養家族がいる場合、税金や社会保険について、家計を支えている人の税額計算に対する控除が受けられます。また、保険料を納めなくても社会保険に加入できるなどの優遇措置があります。

今回は、扶養家族の年収額ごとの税金や社会保険の優遇内容、扶養家族の手取り額への影響などを詳しく解説します。

扶養家族とは?

扶養家族とは、自身が主たる収入者である家計で生計を一つにする家族のことをいいます。

扶養には「税法上」と「社会保険上」の2種類がある

社会生活において、扶養家族が存在することで優遇が生じるのは税金と社会保険です。ただし、税法上と社会保険上では扶養家族の定義が異なります。

扶養家族の範囲や要件

税法上の扶養家族の定義

以下の要件を満たす者を控除対象の扶養家族にできます。

  1. その年12月31日現在の年齢が16歳以上
  2. 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)
  3. 納税者(主たる収入者)と生計を一つにしている
  4. 年間の合計所得金額が48万円以下(収入が給与のみの場合は年収額103万円以下)
  5. 青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、もしくは白色申告者の事業専従者ではない

参考: No.1180 扶養控除|国税庁

社会保険上の扶養家族の定義

以下の要件を満たす者を主たる収入者の社会保険における扶養者にできます。

  1. 被保険者(主たる収入者)から生計を維持されている直系尊属、配偶者(事実上婚を含む)、子、孫、兄弟姉妹
  2. 1.を除いた被保険者と同居し生計を維持されている3親等以内の親族
  3. 被保険者と同居している場合は、年収額130万円未満で被保険者の年収額の半額未満
  4. 被保険者と同居していない場合は、年収額130万円未満で被保険者の年収額よりも少ない

参考:被扶養者とは|全国健康保険協会

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扶養家族が受けられるメリット・デメリット

扶養家族になることによるメリットとデメリットを解説します。

扶養家族になることによるメリット

  1. 主たる収入者の税金負担が減る
    税額計算に対する控除を受けられるため、主たる収入者の税金負担が減ります。
  2. 保険料を払わずに健康保険に加入できる
    扶養家族は、自身の保険料を払わずに健康保険を使用できます。
  3. 保険料を払わずに国民年金を受給できる
    扶養家族が配偶者である場合、自身の保険料を払わずに将来国民年金を受給できます。
  4. 主たる収入者に会社から扶養手当が支給されることがある
    扶養家族の要件に該当することで、会社から主たる収入者に扶養手当が支給されることがあります。

扶養家族になることによるデメリット

  1. 年収の壁を意識した働き方をしなければならなくなる
    後述する年収の壁を意識した働き方をしなければならないことがあります。
  2. 特定の健康保険の補償を受けられなくなる
    扶養家族の立場では、病気や怪我で仕事を休むときに支給される傷病手当金や、出産時に仕事を休むときに支給される出産手当金を受給できません。
  3. 将来の年金額が少なくなる
    将来受給できる年金が国民年金だけの場合、自身の年金受給額が少なくなります。

扶養家族の年収の上限は?

扶養家族が会社などに勤務して給与収入がある場合、扶養家族自身に税金や社会保険料の負担が生じる年収額の基準が定められています。家計を支えている人の税額計算に対する控除も同様です。これらを年収の壁といいます。

扶養家族の年収額ごとの影響内容は、以下のとおりです。

扶養家族の年収額 家計への影響
100万円 扶養家族に住民税負担が生じる
103万円 扶養家族に所得税負担が生じる
106万円 扶養家族に社会保険料負担が生じる
130万円 扶養家族が健康保険の扶養から外れ国民年金への加入が求められる
150万円 主たる収入者の配偶者特別控除額が減額される
201万円 主たる収入者が配偶者特別控除を受けられなくなる

年収100万円

扶養家族の年収が100万円を超えると、本人に住民税負担が生じます。住民税額は、本人の年収額から給与所得控除額55万円と基礎控除額43万円、その他の所得控除額を引いた金額に税率をかけて計算します。

その他の所得控除がない場合、控除額は給与所得控除額と基礎控除額を足した98万円です。ただし、年収100万円以下の場合、原則住民税はかかりません。

参考:家族と税|国税庁

年収103万円

扶養家族の年収が103万円を超えると、本人に所得税負担が生じる可能性があります。所得税額は、本人の年収額から給与所得控除額55万円と基礎控除額48万円、その他の所得控除額を引いた金額に税率をかけて計算します。

その他の所得控除がない場合、年収額が給与所得控除額と基礎控除額を足した103万円を超えると、住民税に加えて所得税が発生します。

さらに、扶養する配偶者の年収額が103万円を超えると、家計を支えている人の税額計算に対する配偶者控除が受けられなくなります。配偶者控除額は、家計を支えている人の年収額に応じて13〜48万円になります。

なお、年収額が201万6千円未満であれば、配偶者特別控除を受けることが可能です。配偶者特別控除額は、家計を支えている人ならびに配偶者の年収額に応じて1万円から38万円になります。

年収106万円

扶養家族の年収が106万円を超えると、扶養家族が従業員数101人以上の会社に勤務していた場合、本人に社会保険料負担が生じます。社会保険料額は居住する都道府県や本人の年齢によって異なりますが、年収額の15%程度です。

2024年10月以降は、年収が106万円を超える場合、社会保険加入対象が従業員数51人以上の会社に拡大されるため注意してください。

参考:従業員数100人以下の事業主のみなさま|社会保険適用拡大 特設サイト

年収130万円

扶養家族の年収が130万円を超えると、本人が健康保険の扶養から外れ、年金の加入義務が生じます。

勤務先の従業員数が100人以下(2024年10月以降は50人以下)の場合、本人が社会保険の加入要件に該当しないときは、国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。それぞれの保険料も本人が毎月納付しなければなりません。

年収150万円

配偶者の年収が150万円を超えると、配偶者特別控除が減額されます。配偶者特別控除は、扶養する配偶者の年収額が201万6千円未満であれば、家計を支えている人の税額計算に対して受けられる特別控除です。

参考:No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき|国税庁

年収201万円

扶養する配偶者の年収が201万6千円以上になると、家計を支えている人の税額計算に対する配偶者特別控除額がゼロになります。ゼロになるということは、家計を支えている人の税負担額が最大になることを意味します。

扶養家族の年収ごとの手取り額の例

年収額から控除対象金額の合計額を引いた金額が手取り額です。以下の要件に該当する家計の中の主たる収入者でない人について、手取り額を試算してみましょう。

  • 東京都居住
  • 40歳以上(介護保険の対象)
  • 賞与なし
  • 週20時間以上勤務(雇用保険の対象、本人負担の雇用保険料率0.6%)
  • 従業員数101人以上の会社に勤務(年収106万円以上の場合、社会保険の対象)
  • 住民税の納付は特別徴収(給与天引き)

※住民税は、翌年の6月から翌々年の5月までの12か月間で徴収。

参考:

令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表全国健康保険協会

給与所得の源泉徴収税額表(令和6年分)|国税庁

<都税Q&A><個人住民税>|東京都主税局

No.1410 給与所得控除|国税庁

No.1130 社会保険料控除|国税庁

No.2260 所得税の税率|国税庁

年収100万円の手取り額

項目 年間 月間
額面収入 1,000,000円 83,333円
控除 雇用保険料 6,000円 500円
手取り 994,000円 82,833円

年収110万円の手取り額

項目 年間 月間
額面収入 1,100,000円 91,666円
控除 雇用保険料 6,600円 550円
健康保険料 61,140円 5,095円
厚生年金保険 96,624円 8,052円
源泉徴収 所得税 0円(※) 290円
住民税 4,000円 333円
手取り 931,636円 77,346円

※毎月の源泉徴収で納付した所得税額の合計3,480円(290円×12ヶ月)は年末調整後に還付されます

【所得税】

課税対象所得額

110万円-55万円(給与所得控除額)-48万円(基礎控除額)-6,600円(雇用保険料年額/社会保険料控除)-157,764円(健康保険・厚生年金保険料年額/社会保険料控除)=-94,364円

【住民税】

①所得割の課税対象所得額

110万円-55万円(給与所得控除額)-43万円(基礎控除額)-6,600円(雇用保険料年額/社会保険料控除)-157,764円(健康保険・厚生年金保険料年額/社会保険料控除)=-44,364円

②所得割額

課税対象所得額がマイナスなので、所得割額は発生しません。

③均等割税額

4,000円

④住民税額

4,000円

年収130万円の手取り額

項目 年間 月間
額面収入 1,300,000円 108,333円
控除 雇用保険料 7,800円 650円
健康保険料 76,428円 6,369円
厚生年金保険料 120,780円 10,065円
源泉徴収 所得税 3,200円(※) 1,130円
住民税 15,400円 1,283円
手取り 1,076,392円 88,836円

※毎月の源泉徴収で納付した所得税額の合計13,560円(1,130円×12ヶ月)と、年収に応じた所得税の確定額との差額10,360円は年末調整後に還付されます

【所得税】

①課税対象所得額

130万円-55万円(給与所得控除額)-48万円(基礎控除額)-7,800円(雇用保険料年額/社会保険料控除)-197,208円(健康保険・厚生年金保険料年額/社会保険料控除)=64,992円=64,000円(1,000円未満の端数は切り捨て)

②年間の所得税額

64,000円×5%=3,200円

【住民税】

①所得割の課税対象所得額

130万円-55万円(給与所得控除額)-43万円(基礎控除額)-7,800円(雇用保険料年額/社会保険料控除)-197,208円(健康保険・厚生年金保険料年額/社会保険料控除)=114,992円=114,000円(1,000円未満の端数は切り捨て)

②所得割額

114,000円×10%=11,400円

③均等割税額

4,000円

④住民税額

15,400円

年収150万円の手取り額

項目 年間 月間
額面収入 1,500,000円 125,000円
控除 雇用保険料 9,000円 750円
健康保険料 87,540円 7,295円
厚生年金保険料 138,348円 11,529円
源泉徴収 所得税 11,750円(※) 2,050円
住民税 32,500円 2,708円
手取り 1,220,862円 100,668円

※毎月の源泉徴収で納付した所得税額の合計24,600円(2,050円×12ヶ月)と、年収に応じた所得税の確定額との差額12,850円は年末調整後に還付されます

【所得税】

①課税対象所得額

150万円-55万円(給与所得控除額)-48万円(基礎控除額)-9,000円(雇用保険料年額/社会保険料控除)-225,888円(健康保険・厚生年金保険料年額/社会保険料控除)=235,112円=235,000円(1,000円未満の端数は切り捨て)

②年間の所得税額

235,000円×5%=11,750円

【住民税】

①所得割の課税対象所得額

150万円-55万円(給与所得控除額)-43万円(基礎控除額)-9,000円(雇用保険料年額/社会保険料控除)-225,888円(健康保険・厚生年金保険料年額/社会保険料控除)=285,112円=285,000円(1,000円未満の端数は切り捨て)

②所得割額

285,000円×10%=28,500円

③均等割税額

4,000円

④住民税額

32,500円

年収210万円の手取り額

項目 年間 月間
額面収入 2,100,000円 175,000円
控除 雇用保険料 12,600円 1,050円
健康保険料 125,064円 10,422円
厚生年金保険料 197,640円 16,470円
源泉徴収 所得税 28,700円(※) 3,910円
住民税 66,400円 5,533円
手取り 1,669,596円 137,615円

※毎月の源泉徴収で納付した所得税額の合計46,920円(3,910円×12ヶ月)と、年収に応じた所得税の確定額との差額18,220円は年末調整後に還付されます

【所得税】

①課税対象所得額

210万円-(210万円×30%+8万円=71万円)(給与所得控除額)-48万円(基礎控除額)-12,600円(雇用保険料年額/社会保険料控除)-322,704円(健康保険・厚生年金保険料年額/社会保険料控除)=574,696円=574,000円(1,000円未満の端数は切り捨て)

②年間の所得税額

574,000円×5%=28,700円

【住民税】

①所得割の課税対象所得額

210万円-(210万円×30%+8万円=71万円)(給与所得控除額)-43万円(基礎控除額)-12,600円(雇用保険料年額/社会保険料控除)-322,704円(健康保険・厚生年金保険料年額/社会保険料控除)=624,696円=624,000円(1,000円未満の端数は切り捨て)

②所得割額

624,000円×10%=62,400円

③均等割税額

4,000円

④住民税額

66,400円

扶養家族が年金を受給している場合の年収の計算

税法上の扶養控除を受けるためには、対象となる扶養家族の合計所得金額が48万円以下である必要があります。扶養家族が年金を受給しており、その他の所得控除がない場合は、年間の年金額から公的年金等控除額を引いた額が合計所得金額になります。

参考:所得金額の計算方法|日本年金機構

本人の年齢が65歳以上で年間の年金額が150万円である場合、合計所得金額が40万円となり、扶養控除を受けることが可能です。

扶養家族の年収が一定額を超えてしまったら?

扶養家族の年収額が一定額を超えた場合は扶養家族から外れることになり、以下の影響が発生します。

  1. 合計所得金額48万円(収入が給与のみの場合は年収額が103万円)を超えた場合、税法上の配偶者控除や家族の扶養控除が受けられなくなる
  2. 配偶者の年収額が201万6千円を超えた場合、税法上の配偶者特別控除が受けられなくなる
  3. 年収額が130万円以上になった場合、社会保険上の扶養者から外れる

税法上の扶養家族から外れる場合は、会社に「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」を提出します。提出期限は、変更の事実が発生した日以降最初に給与の支払いを受ける日までです。

社会保険上の扶養家族から外れる場合は、年金事務所もしくは健康保険組合に「被扶養者(異動)届」を提出します。提出期限は、変更の事実が発生した日から5日以内です。

扶養家族の年収の申告方法

扶養家族の年収額は、年末調整時に会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入する形で申告します。

年収額の記入は自己申告ですが、別居する家族を扶養している場合は、生活費を送金していることがわかる書類などの提出を求められることがあります。

キャリアの形成や社会保障のことも考えた上で自分自身の働き方を考えましょう

年収額が増えるにつれて税金や社会保険料の負担額が増え、給与の額面と手取り額との開きも拡大していきます。

反面、働く時間が長くなるにつれて、自分自身のキャリア形成の選択肢が増えるでしょう。さらに、社会保険に加入することで、将来もらえる年金額が増え、健康保険の保障内容も充実します。

税金や社会保険料を免れるという観点だけではなく、自分自身のキャリア形成や社会保障という観点からも働き方を考えてみる必要があるでしょう。

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