• 更新日 : 2022年4月28日

確定申告で配偶者控除・配偶者特別控除を申請する方法は?青色申告の場合も解説!

確定申告で配偶者控除・配偶者特別控除を申請する方法は?青色申告の場合も解説!

所得税の計算では、公正に所得税を課すために、各納税者の事情を加味する所得控除が認められています。所得控除は、全部で15個の項目があり、確定申告時には、青色申告白色申告を問わず合計所得金額から控除されます。所得控除により課税対象を圧縮できるため、その分、課税所得を減額できます。所得控除の中でも、配偶者に関連するのが、配偶者控除配偶者特別控除です。

この記事では、配偶者控除と配偶者特別控除についての概要や確定申告の方法、申告漏れしたときの対応まで解説します。

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配偶者控除とは

配偶者控除は、納税者の配偶者の年間合計所得金額が一定以下のときに適用できる所得控除のひとつです。要件や控除額、計算方法、申請方法を解説します。

配偶者控除の要件

配偶者控除は、以下の要件すべてを満たすときに適用できます。

  1. 民法規定の配偶者である
  2. 民法規定の配偶者とは、市区町村役場において婚姻届出を提出して受理された、正式な婚姻関係にある配偶者のことです。婚姻関係のない内縁関係の配偶者は配偶者控除の対象になりません。

  3. 納税者と控除対象者が生計を一にしている
  4. 別居している場合でも、生計を一にしていれば対象になります。

  5. 控除対象の配偶者の年間合計所得額が48万円以下である
  6. 所得が給与所得のみの場合は、給与収入103万円以下で適用対象になります。

  7. 白色申告者の事業専従者でない
  8. 年間を通して青色申告者の事業専従者として一度も給与の支払いを受けていないことが要件です。

  9. 納税者本人の年間合計所得金額が1,000万円以下である

なお、配偶者控除は、その年の12月31日の時点で要件を満たすかどうかで判断します。

配偶者控除の金額

配偶者控除の適用を受ける場合、以下に示す額を所得から控除できます。

対象配偶者
納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超950万円以下950万円超1,000万円以下
一般控除対象配偶者38万円26万円13万円
老人控除対象配偶者48万円32万円16万円

出典:No.1191 配偶者控除|国税庁(控除額表を編集して記載)

配偶者控除は、以前は納税者本人の合計所得金額が考慮されていませんでしたが、平成30年分以後の確定申告より、納税者の所得金額の合計に応じて配偶者控除の金額が変わるようになりました。

納税者の合計所得金額の要件が加わったことで、年間合計所得金額900万円を超える場合や950万円を超えて1,000万円以下の場合、細かく控除額が分けられるようになりました。

なお、表中の「老人控除対象配偶者」とは、その年の12月31日時点で70歳以上の配偶者のことを指します。「老人控除対象配偶者」に該当すると、一般の配偶者より控除額が多くなります。

配偶者控除の計算方法

配偶者控除の控除表はどのように利用すれば良いか、パターンをいくつか見ていきましょう。

【ケース1】
納税者本人の合計所得金額920万円、配偶者は現在75歳で公的年金の収入は100万円のみとする。

(配偶者控除の額)32万円

(解説)
納税者本人の合計所得金額は920万円なので、900万円超950万円以下に該当します。
配偶者は公的年金収入100万円ですが、公的年金等の雑所得は65歳以上の場合110万円までは所得ゼロで計算するため、配偶者の年間合計所得金額は0円です。

(公的年金等の所得の計算)
 100万円-110万円=△10万円(雑所得にマイナスはないので所得金額は0円)
つまり、控除表の老人控除対象配偶者に該当します。

【ケース2】
納税者本人の合計所得金額600万円、配偶者の所得は給与所得のみで、給与収入が年間で80万円あった。配偶者は老人対象配偶者ではないものとする。

(配偶者控除の額)38万円

(解説)
納税者本人の合計所得金額は600万円なので、900万円以下に該当します。
配偶者は給与所得のみで、給与収入は103万円以下です。
70歳以上ではないため、控除表の一般控除対象配偶者に該当します。

配偶者特別控除とは

配偶者特別控除とは、配偶者の合計所得金額が48万円を超えるため配偶者控除の適用が受けられない場合に、配偶者の所得金額に応じて一定の所得控除を受けることです。要件や控除額、計算方法、申請方法を解説します。

配偶者特別控除の要件

配偶者特別控除を適用できるのは、以下の要件すべてを満たしたときです。なお、配偶者控除と配偶者特別控除は対象配偶者の年間合計所得額で重なる部分がないため、重複して適用することはできません。

  1. 民法規定の配偶者である
  2. 配偶者控除と同様に、内縁関係の配偶者は対象になりません。

  3. 納税者と控除対象者が生計を一にしている
  4. 控除対象の配偶者の年間合計所得額が48万円超133万円以下である
  5. 白色申告者の事業専従者でない
  6. 年間を通して青色申告者の事業専従者として一度も給与の支払いを受けていない
  7. 納税者本人の年間合計所得金額が1,000万円以下である
  8. 配偶者が配偶者特別控除を適用していない
  9. 配偶者特別控除は、夫婦間で両方が適用することはできません。

  10. 配偶者が、源泉控除対象配偶者がある居住者として源泉徴収されていない

    源泉控除対象配偶者とは、合計所得900万円以下で、生計を一にする配偶者の合計所得が95万円以下である場合をいいます。給与所得者の扶養控除等申告書や公的年金等受給者の扶養親族等申告書には、「源泉控除対象配偶者」を記載する項目があります。ここに「源泉控除対象配偶者」を記載すると申告者は扶養親族等を1名追加でカウントして源泉徴収が受けられます。つまり、扶養対象者がいるという理由で、源泉徴収の額が軽減されるということです。

    配偶者の所得にかかわる源泉徴収時に扶養分が考慮されると、配偶者控除を適用した場合、二重に税額が軽減されることとなります。そのため、配偶者の給与所得者の扶養控除等申告書で源泉控除対象配偶者を記載している方は、配偶者特別控除の適用外となるのです。ただし、配偶者が確定申告または年末調整で配偶者特別控除の適用を受けなかったときを除きます。

配偶者特別控除の金額

配偶者特別控除の適用を受ける場合、以下に示す額を所得から控除できます。

【配偶者特別控除の控除額早見表 令和2年以降分】

配偶者の合計所得額
納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超950万円以下950万円超1,000万円以下
48万円超95万円以下38万円26万円13万円
95万円超100万円以下36万円24万円12万円
100万円超105万円以下31万円21万円11万円
105万円超110万円以下26万円18万円9万円
110万円超115万円以下21万円14万円7万円
115万円超120万円以下16万円11万円6万円
120万円超125万円以下11万円8万円4万円
125万円超130万円以下6万円4万円2万円
130万円超133万円以下3万円2万円1万円

出典:No.1195 配偶者特別控除|国税庁(控除額表を編集して記載)

配偶者控除は納税者本人の合計所得金額に応じて控除額が変わるだけですが、配偶者特別控除は控除対象となる配偶者自身の合計所得額で控除額が変化します。1~38万円と控除額の幅が広いです。また、配偶者控除のように70歳以上の老人控除対象配偶者の控除額の加算はありません。

配偶者特別控除の計算方法

配偶者特別控除の控除表はどのように計算に利用すれば良いか、パターンをいくつか見ていきましょう。

【ケース1】
納税者本人の合計所得金額960万円、配偶者の合計所得金額*1は100万円だった。

(配偶者特別控除の額)12万円

(解説)
納税者本人の合計所得金額は960万円なので、950万円超1,000万円以下に該当します。配偶者の合計所得金額は100万円なので、95万円超100万円以下に該当します。

【ケース2】
納税者本人の合計所得金額600万円、配偶者の所得は給与所得のみで、給与収入*2が年間で150万円だった。

(配偶者特別控除の額)38万円

(解説)
納税者本人の合計所得金額は600万円なので、900万円以下に該当します。
配偶者給与収入の150万円は、162.5万円以下は一律55万円の給与所得控除*3になるため、給与所得の金額は95万円です。配偶者の年間合計所得は48万円超95万円以下に該当します。

*1 合計所得金額とは、原則として、1年間(1月1日~12月31日)の各種所得の金額の合計です。たとえば、年間の収入が事業から生じるもの(自営業者やフリーランスなど)だけだった場合、総収入金額から必要経費を差し引いた金額が合計所得金額(事業所得)となります。

*2 給与収入とは、会社員が会社から受け取る給与の総支給額をいいます。

*3 所得金額は収入から経費を差し引くなどして計算しますが、給与所得者(会社から給与を受け取る会社員)も経費の計算を行って納税申告を行うとなると事務処理が複雑化してしまいます。そこで、給与所得者は、給与収入から経費を差し引いて所得額を算出する代わりに、給与収入に応じた給与所得控除を給与収入から控除することにより給与所得を計算することとなっています。令和2年以降分の給与所得控除は、55万円~195万円。給与収入が162.5万円までの給与所得控除は一律55万円です。(ただし、給与収入が55万円に満たない場合は給与収入額を上限に控除して、給与所得を計算します。)

配偶者控除の控除対象配偶者とは

所得税法によると、控除対象配偶者とはその年の12月31日の現況で、以下の要件すべてに該当する人とされています。

  1. 民法上の配偶者である(内縁関係の配偶者は対象になりません。)
  2. 納税者本人と生計を一にしている
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下である(令和元年分以前は38万円以下、所得が給与所得のみである場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告事業専従者として、年間を通して一度も専従者給与の支払を受けていない又は白色申告事業専従者でない

平成30年度以後は、納税者本人の所得要件が追加され、納税者の合計所得金額が1,000万円を超えると配偶者控除は受けられません。

参考:NO.1191 配偶者控除|国税庁

民法上の配偶者であること

夫から見た妻、妻から見た夫を、それぞれ配偶者と言います。所得税法上の「配偶者」とは民法上の配偶者を指します。民法上の配偶者は婚姻関係により認められるものですから、婚姻関係のない同棲や内縁関係は所得税法でも「配偶者」とはなりません。

納税者本人と生計を一にしていること

納税者と生計を一にするとは、所得税などを支払う義務を持つ配偶者と共に同じ生計のもとで暮らしている状態を指します。必ずしも同居を要件とするものではなく、転勤等の都合上一時的に別居しているが長期休暇の際には一緒に過ごしている場合や、常に生活費等の送金が行われている場合は「生計を一にするもの」として取り扱われます。

年間の合計所得金額が48万円以下であること

給与所得とは、会社員が貰う給与総額から「給与所得控除」という必要経費の代わりの控除を差し引いた額のことです。所得税法上の配偶者の年間給与総額が103万円の場合、給与所得控除は55万円(令和元年分以前は65万円)です。したがって、給与所得は103万円-55万円=48万円(令和元年分以前は38万円)で、控除対象配偶者となります。

合計所得金額とは、給与所得以外に利子、配当、不動産、事業、退職、山林、譲渡、雑所得がある場合にその所得を合算したものです。もし給与の他に所得がなければ、給与所得=合計所得金額となります。

ただし、平成30年度以降から、配偶者控除を受ける本人の所得金額が1,000万円を超える場合には、扶養配偶者の所得の金額に関わらず配偶者控除が受けられなくなりました。

青色申告事業専従者として、年間を通して一度も専従者給与の支払を受けていないこと又は白色申告事業専従者でないこと

個人事業主の場合、配偶者に関する所得税の軽減方法は、事業所得から必要経費にする方法と、所得控除で軽減する方法の2つがあります。

具体的な内容は、以下の通りです。

  1. 控除対象配偶者として38万円を総所得から控除する
  2. 白色申告者の場合、事業専従者給与86万円を事業収入から引く
  3. 青色申告者の場合、専従者給与を支払う年の3月15日までに「青色事業者専従者給与に関する届出」を提出することを要件に、実際に支払った額を事業収入から引く

1.の配偶者控除の適用がなくとも、2.3.の方法で所得税が減額できます。ただ、2.3.の対象者には配偶者控除は認められていません。通常の配偶者控除の適用も認めてしまうと、二重の減額措置となってしまうからです。

確定申告で配偶者控除を申請する方法

配偶者控除は、確定申告書の所定欄に記載することで控除を受けることができます。配偶者控除の受け方を青色申告と白色申告、それぞれのケースで解説します。

青色申告で配偶者控除を申請する場合

青色申告で配偶者控除を受けるためには、確定申告書第一表の所得控除「配偶者(特別)控除」の欄に控除額を記入します。

確定申告書B 第一表 配偶者控除

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
申告書B【令和3年分以降用】を加工して作成

同時に、確定申告書第二表「配偶者や親族に関する事項」欄に、配偶者の氏名や生年月日、マイナンバー等を記入します。

確定申告書B 第二表 配偶者控除

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
申告書B【令和3年分以降用】を加工して作成

白色申告で配偶者控除を申請する場合

白色申告で配偶者控除を受ける場合も青色申告と同様に、確定申告書第一表の所得控除「配偶者(特別)控除」の欄に控除額を記入します。

確定申告書B 第一表 配偶者控除

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
申告書B【令和3年分以降用】を加工して作成

同時に、確定申告書第二表「配偶者や親族に関する事項」欄に、配偶者の氏名や生年月日、マイナンバー等を記入します。

確定申告書B 第二表 配偶者控除

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
申告書B【令和3年分以降用】を加工して作成

確定申告で配偶者控除を申請し忘れるとどうなる?

配偶者控除または配偶者特別控除を申告しないまま確定申告書を提出してしまうケースがあるかもしれません。この場合、必要な手続きを行うことで、申告漏れした配偶者控除を申告できます。ただし、確定申告の申告期限内と申告期限後では対応が分かれるため、注意が必要です。

確定申告の申告期限内の場合

申告期限内の場合、確定申告書をやり直す形で再度作成し提出するだけです。提出を受けた税務署では、後から提出があったほうを正しい確定申告書として取り扱ってもらえます。

確定申告の申告期限後の場合

配偶者控除を申告し忘れていたということは、その分、課税所得が多かったわけですから、当初の確定申告では本来よりも多く納税していることになります。税金を納め過ぎた場合に行う手続きは更正の請求です。法定申告期限の5年以内であれば、更正の請求書を税務署に提出することで、還付の請求ができます。

こんな場合も配偶者控除を受けられる?

それでは、内縁関係の場合や離婚した場合などには配偶者控除を受けられるのでしょうか。

内縁関係の場合

内縁関係にある相手で配偶者控除を受けることはできません。配偶者控除は民法の規定による配偶者であることが基本なので、婚姻届を提出せずに内縁関係にある者は、法律的には配偶者になりません。

同棲している場合

籍を入れずに恋人と同棲している場合も、配偶者控除は認められません。戸籍上では赤の他人なので、所得税もお互いが別々に支払うことになります。

離婚した場合

配偶者控除が認められるか否かは離婚時期によります。控除対象配偶者に該当するかどうかは、その年の12月31日現在で判断されるからです。そのため、年内に離婚している場合は、配偶者控除が受けられません。翌年の元旦より後に離婚する場合には、配偶者控除が認められます。

育休中(産休中)の場合

配偶者控除も配偶者特別控除も、納税者本人と配偶者の年間合計所得の額で適用できるか判断します。所得金額ベースで見るため、育休中(産休中)かどうかはそこまで大きな問題ではありません。

また、育休中の確定申告において気になる部分は、育休中に支払われる給付金などが所得に含まれるかどうかだと思います。

結論からいうと、育休中や産休中に支払われる出産育児一時金や育児休業基本給付金は非課税ですので、所得には含まれません。極端なケースだと、育休中に育児休業基本給付金などの非課税の収入しかない場合は、所得がなかったものとされるため、配偶者控除の対象になる可能性があります(実際に配偶者控除を受けられるかはほかの要件も確認しなければなりません)。

配偶者控除を受けるには確定申告を忘れずに!

配偶者控除と配偶者特別控除は、所得控除のひとつです。適用要件に該当する場合、いずれかの控除が受けられます。確定申告時には、この記事で解説した適用要件、控除額を確認して確定申告時に確定申告書に控除額を記入しましょう。

よくある質問

配偶者控除とは?

納税者の配偶者の年間合計所得金額が一定以下のときに適用できる所得控除のひとつです。詳しくはこちらをご覧ください。

配偶者特別控除とは?

配偶者の合計所得金額が48万円を超えるため配偶者控除の適用が受けられない場合でも、配偶者の所得金額に応じて一定の所得控除を受けられることです。詳しくはこちらをご覧ください。

確定申告で配偶者控除を申請する方法は?

確定申告書第一表に控除額を、第二表に配偶者の氏名、生年月日などを記入します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド確定申告

確定申告に関するお役立ち情報を提供します。
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