• 更新日 : 2021年6月2日

【確定申告】配偶者控除と配偶者特別控除を解説!計算から育休対応まで

【確定申告】配偶者控除と配偶者特別控除を解説!計算から育休対応まで

所得税の計算では、公正に所得税を課すために、各納税者の事情を加味する所得控除が認められています。所得控除は、全部で15個の項目があり、確定申告時に、合計所得金額から控除されます。所得控除により課税対象を圧縮できるため、その分、課税所得を減額できます。所得控除の中でも、配偶者に関連するのが、配偶者控除配偶者特別控除です。この記事では配偶者控除と配偶者特別控除について、概要と計算方法、適用の要件、育休時の取扱い、申告漏れしたときの対応まで解説します。

配偶者控除とは

配偶者控除は、納税者の配偶者の年間合計所得金額が一定以下のときに適用できる所得控除のひとつです。要件や控除額、計算方法、申請方法を解説します。

配偶者控除の要件

配偶者控除は、以下の要件すべてを満たすときに適用できます。

  1. 民法規定の配偶者である
  2. 民法規定の配偶者とは、市区町村役場において婚姻届出を提出して受理された、正式な婚姻関係にある配偶者のことです。婚姻関係のない内縁関係の配偶者は配偶者控除の対象になりません。

  3. 納税者と控除対象者が生計を一にしている
  4. 別居している場合でも、生計を一にしていれば対象になります。

  5. 控除対象の配偶者の年間合計所得額が48万円以下である
  6. 所得が給与所得のみの場合は、給与収入103万円以下で適用対象になります。

  7. 白色申告者の事業専従者でない
  8. 年間を通して青色申告者の事業専従者として一度も給与の支払いを受けていない
  9. 納税者本人の年間合計所得金額が1,000万円以下である

なお、配偶者控除は、その年の12月31日の時点で要件を満たすかどうかで判断します。

配偶者控除の控除額早見表

配偶者控除の適用を受ける場合、以下に示す額を所得から控除できます。

対象配偶者
納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超950万円以下950万円超1,000万円以下
一般控除対象配偶者38万円26万円13万円
老人控除対象配偶者48万円32万円16万円

出典:No.1191 配偶者控除|国税庁(控除額表を編集して記載)

配偶者控除は、以前は納税者本人の合計所得金額が考慮されていませんでした。平成30年分以後の確定申告より、納税者の所得金額の合計が要件になっています。また、納税者の合計所得金額の要件が加わったことで、年間合計所得金額900万円を超える場合、950万円を超えで1,000万円以下の場合で、細かく控除額が分けられるようになりました。なお、配偶者控除における老人控除対象配偶者とは、対象年度の12月31日時点で70歳以上の配偶者のことです。

配偶者控除の計算方法

配偶者控除の控除表はどのように計算に利用すれば良いか、パターンをいくつか見ていきましょう。

【ケース1】
納税者本人の合計所得金額920万円、配偶者は現在75歳で公的年金の収入は100万円のみとする。

(配偶者控除の額)32万円

(解説)
納税者本人の合計所得金額は920万円なので、900万円超950万円以下に該当します。
配偶者は公的年金収入100万円ですが、公的年金等の雑所得は65歳以上の場合110万円までは所得ゼロで計算するため、配偶者の年間合計所得金額は0円です。
(公的年金等の所得の計算)
 100万円-110万円=△10万円(雑所得にマイナスはないので所得金額は0円)
つまり、控除表の老人控除対象配偶者に該当します。

【ケース2】
納税者本人の合計所得金額600万円、配偶者の所得は給与所得のみで、給与収入が年間で80万円あった。配偶者は老人対象配偶者ではないものとする。

(配偶者控除の額)38万円

(解説)
納税者本人の合計所得金額は600万円なので、900万円以下に該当します。
配偶者は給与所得のみで、給与収入は103万円以下です。
70歳以上ではないため、控除表の一般控除対象配偶者に該当します。

配偶者控除の申請方法

配偶者控除の適用を受けるには、確定申告書の所得から差し引かれる金額の「配偶者(特別)控除」の欄に、控除表などを参考に計算した控除額を記入します。配偶者控除の場合、区分1には何も記入する必要はありません。区分2は配偶者が国外居住親族である場合にのみ記入します。なお、配偶者が国外居住親族でない場合は、確定申告にともない添付や提示が必要な書類はありません。国外居住親族のときは、親族関係書類と送金関係書類を添付します。

配偶者特別控除とは

配偶者特別控除とは、配偶者の合計所得金額が48万円を超えるため、配偶者控除の適用が受けられない場合でも配偶者の所得金額に応じて、一定の所得控除を受けられることをいいます。要件や控除額、計算方法、申請方法を解説します。

配偶者特別控除の要件

配偶者特別控除を適用できるのは、以下の要件すべてを満たしたときです。なお、配偶者控除と配偶者特別控除は対象配偶者の年間合計所得額で重なる部分がないため、配偶者控除と配偶者特別控除とを重複して適用することはできません。

  1. 民法規定の配偶者である
  2. 配偶者控除と同様に、内縁関係の配偶者は対象になりません。

  3. 納税者と控除対象者が生計を一にしている
  4. 控除対象の配偶者の年間合計所得額が48万円超133万円以下である
  5. 白色申告者の事業専従者でない
  6. 年間を通して青色申告者の事業専従者として一度も給与の支払いを受けていない
  7. 納税者本人の年間合計所得金額が1,000万円以下である
  8. 配偶者が配偶者特別控除を適用していない
  9. 配偶者特別控除は、夫婦間で両方が適用することはできません。

  10. 配偶者が、源泉控除対象配偶者がある居住者として源泉徴収されていない

    源泉控除対象配偶者とは、合計所得900万円以下で、生計を一にする配偶者の合計所得が95万円以下である場合をいいます。給与所得者の扶養控除等申告書や公的年金等受給者の扶養親族等申告書には、「源泉控除対象配偶者」を記載する項目があり、ここに記載すると申告者は扶養親族等を1名追加でカウントして源泉徴収を受けることになります。つまり、扶養対象者がいるという理由で、源泉徴収の額が軽減されるということです。

    配偶者の所得にかかわる源泉徴収時に扶養分が考慮されると、配偶者控除を適用した場合、二重に税額が軽減されることとなりますので、配偶者の給与所得者の扶養控除等申告書で源泉控除対象配偶者を記載している方は配偶者特別控除の適用外となります。ただし、配偶者が確定申告または年末調整で配偶者特別控除の適用を受けなかったときを除きます。

配偶者特別控除の控除額早見表

配偶者特別控除の適用を受ける場合、以下に示す額を所得から控除できます。

【配偶者特別控除の控除額早見表 令和2年以降分】

配偶者の合計所得額
納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超950万円以下950万円超1,000万円以下
48万円超95万円以下38万円26万円13万円
95万円超100万円以下36万円24万円12万円
100万円超105万円以下31万円21万円11万円
105万円超110万円以下26万円18万円9万円
110万円超115万円以下21万円14万円7万円
115万円超120万円以下16万円11万円6万円
120万円超125万円以下11万円8万円4万円
125万円超130万円以下6万円4万円2万円
130万円超133万円以下3万円2万円1万円

出典:No.1195 配偶者特別控除|国税庁(控除額表を編集して記載)

配偶者控除は納税者本人の合計所得金額で控除額が変わるだけで一律ですが、配偶者特別控除は控除対象となる配偶者自身の合計所得額で控除額が変化します。1~38万円と控除額の幅が広いです。また、配偶者控除のように70歳以上の配偶者の控除額の加算はありません。

配偶者特別控除の計算方法

配偶者特別控除の控除表はどのように計算に利用すれば良いか、パターンをいくつか見ていきましょう。

【ケース1】
納税者本人の合計所得金額960万円、配偶者の合計所得金額*1は100万円だった。

(配偶者特別控除の額)12万円

(解説)
納税者本人の合計所得金額は960万円なので、950万円超1,000万円以下に該当します。
配偶者の合計所得金額は100万円なので、95万円超100万円以下に該当します。

【ケース2】
納税者本人の合計所得金額600万円、配偶者の所得は給与所得のみで、給与収入*2が年間で150万円だった。

(配偶者特別控除の額)38万円

(解説)
納税者本人の合計所得金額は600万円なので、900万円以下に該当します。
配偶者給与収入の150万円は、162.5万円以下は一律55万円の給与所得控除*3になるため、給与所得の金額は95万円です。配偶者の年間合計所得は48万円超95万円以下に該当します。

*1 合計所得金額とは、原則として、1年間(1月1日~12月31日)の各種所得の金額の合計です。たとえば、年間の収入が事業から生じるもの(自営業者やフリーランスなど)だけだった場合、総収入金額から必要経費を差し引いた金額が合計所得金額(事業所得)となります。

*2 給与収入とは、会社員が会社から受け取る給与の総支給額をいいます。

*3 所得金額は収入から経費を差し引くなどして計算しますが、給与所得者(会社から給与を受け取る会社員)も経費の計算を行って納税申告を行うとなると事務処理が複雑化してしまいます。そこで、給与所得者は、給与収入から経費を差し引いて所得額を算出する代わりに、給与収入に応じた給与所得控除を給与収入から控除することにより給与所得を計算することとなっています。令和2年以降分の給与所得控除は、55万円~195万円。給与収入が162.5万円までの給与所得控除は一律55万円です。(ただし、給与収入が55万円に満たない場合は給与収入額を上限に控除して、給与所得を計算します。)

配偶者特別控除の申請方法

配偶者特別控除の適用を受けるには、確定申告書の所得から差し引かれる金額の「配偶者(特別)控除」の欄に、控除表などを参考に計算した控除額を記入します。配偶者控除の申告の方法とおおむね同じです。配偶者特別控除適用のときは、区分1に「1」を記入します。配偶者特別控除同様、配偶者が国外居住親族でない限り、添付や提示が必要な書類はありません。

配偶者控除の対象

所得税の計算のほか、住民税の計算においても、課税所得を算出する上で、所得額から配偶者控除または配偶者特別控除を差し引けます。ただし、住民税の計算では、配偶者控除の額と配偶者特別控除の額は所得税と異なるため、注意が必要です。

以下は、住民税を納める自治体が東京主税局の場合の、配偶者控除と配偶者特別控除の額を表にしたものです。

【配偶者控除の額】

対象配偶者
納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超950万円以下950万円超1,000万円以下
一般控除対象配偶者33万円22万円11万円
老人控除対象配偶者38万円26万円13万円

出典:個人住民税|東京都主税局(控除額表を編集して記載)

【配偶者特別控除の額】

配偶者の合計所得額
納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超950万円以下950万円超1,000万円以下
48万円超100万円以下33万円22万円11万円
100万円超105万円以下31万円21万円11万円
105万円超110万円以下26万円18万円9万円
110万円超115万円以下21万円14万円7万円
115万円超120万円以下16万円11万円6万円
120万円超125万円以下11万円8万円4万円
125万円超130万円以下6万円4万円2万円
130万円超133万円以下3万円2万円1万円

出典:個人住民税|東京都主税局(控除額表を編集して記載)

配偶者控除は育休中(産休中)でも受けられるか

配偶者控除も配偶者特別控除も、納税者本人と配偶者の年間合計所得の額で適用できるか判断します。所得金額ベースで見るため、育休中(産休中)かどうかはそこまで大きな問題ではありません。

また、育休中の確定申告において気になる部分は、育休中に支払われる給付金などが所得に含まれるかどうかだと思います。

結論からいうと、育休中や産休中に支払われる出産育児一時金や育児休業基本給付金は非課税ですので、所得には含まれません。極端なケースだと、育休中に育児休業基本給付金などの非課税の収入しかない場合は、所得がなかったものとされるため、配偶者控除の対象になる可能性があります(実際に配偶者控除を受けられるかはほかの要件も確認しなければなりません)。

配偶者控除を申告漏れした場合

配偶者控除または配偶者特別控除を申告しないまま確定申告書を提出してしまったというケースもあるかと思います。この場合、必要な手続きを行うことで、申告漏れした配偶者控除を申告できます。ただし、確定申告の申告期限内と申告期限後では対応が分かれるため、注意が必要です。

  • 確定申告の申告期限内
  • 申告期限内の場合、確定申告書をやり直す形で再度作成し提出するだけです。提出を受けた税務署では、後から提出があったほうを正しい確定申告書として取り扱ってもらえます。

  • 確定申告の申告期限後
  • 配偶者控除を申告し忘れていたということは、その分、課税所得が多かったわけですから、当初の確定申告では本来よりも多く納税していることになります。税金を納め過ぎた場合に行う手続きは更正の請求です。法定申告期限の5年以内であれば、更正の請求書を税務署に提出することで、還付の請求ができます。

配偶者(特別)控除は適用できれば忘れず控除しよう

配偶者控除と配偶者特別控除は、所得控除のひとつです。適用要件に該当する場合、いずれかの控除を受けることができます。確定申告時には、この記事で解説した適用要件、控除額を確認して確定申告時に確定申告書に控除額を記入しましょう。

確定申告については、以下の記事で詳しく解説しています。確定申告について詳しく知りたい方は参考にしてください。

【参考】

よくある質問

配偶者控除とは?

納税者の配偶者の年間合計所得金額が一定以下のときに適用できる所得控除のひとつです。詳しくはこちらをご覧ください。

配偶者特別控除とは?

配偶者の合計所得金額が48万円を超えるため配偶者控除の適用が受けられない場合でも、配偶者の所得金額に応じて一定の所得控除を受けられることです。詳しくはこちらをご覧ください。

配偶者控除は育休中(産休中)でも受けられる?

納税者本人と配偶者の年間合計所得の額で適用できるか判断するため、育休中(産休中)かどうかはそこまで大きな問題ではありません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。