- 更新日 : 2026年1月28日
在籍証明書とは?必要なケースや記載項目など解説【テンプレート付き】
在籍証明書とは、対象従業員が会社に在籍していることを証明する書面のことです。住宅ローンや賃貸契約だけでなく、保育園の入園申し込みやビザの申請など、用途によって求められる記載項目が異なります。
本記事では、在職証明書との違いや法的な発行義務といった基礎知識に加え、用途別の正しい書き方や発行業務の注意点、すぐに使えるテンプレートまで詳しく解説します。
目次
在籍証明書とは?
在籍証明書とは、従業員が「現在その会社に所属している事実」を客観的に証明する書類です。主にローン審査や保育園の入園手続きなどで必要となります。
一般的に毎月発行されるものではありませんが、住宅購入や子供の入園といった従業員の重要なライフイベントにおいて不可欠な書類です。ここでは、法的な定義や別名、なぜ第三者機関への提出が求められるのかという背景について詳しく解説します。
在籍証明書の定義と概要
在籍証明書とは、対象となる人物が「現在、その企業に在籍(雇用)していること」を会社が証明する書類です。企業によっては「就労証明書」「雇用証明書」「就業証明書」などと呼ばれることもありますが、実務上の役割はほぼ同じです。
国が定めた統一規格や法的な決まりはなく、各企業が任意の様式で作成するか、提出先(銀行や役所)が指定する用紙に記入する形式が一般的です。正社員に限らず、契約社員やパート・アルバイトであっても、雇用関係がある限り発行の対象となります。
発行が必要となる目的と理由
第三者機関に対し、「安定した収入があること」や「社会的信用」を客観的に証明するために必要となります。
従業員個人が口頭で「私は働いています」と主張しても、金融機関や賃貸のオーナーに対する客観的な証拠にはなりません。会社代表印(角印など)が押印された書面を発行することで、以下の事実を対外的に証明します。
- 無職ではなく、安定した勤務先があること
- 継続的な労働の実態があり、支払い能力を有していること
- 申告した職務内容や勤続年数に虚偽がないこと
基本的には「現在」の証明ですが、必要に応じて日付を調整し、過去の一定期間における在籍証明として発行する場合もあります。
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在籍証明書と在職証明書・離職票との違いは?
証明する「時点」と「目的」が異なります。在籍証明書は「現在」在籍していることを証明するのに対し、在職証明書(退職証明書)は主に「過去」在籍していた事実を証明します。
言葉が似ているため混同されやすいですが、実務上は以下のように明確な使い分けが必要です。
| 書類名 | 対象と証明する時点 | 主な用途・法的義務 |
|---|---|---|
| 在籍証明書 | 現職者が対象 「現在」会社に在籍していること | 【主な用途】 住宅ローン、保育園、賃貸、ビザなど 【法的義務】 なし(任意) |
| 退職証明書 | 退職者が対象 「過去」在籍していた期間や業務、賃金などのうち、退職者が請求する事項 | 【主な用途】 転職活動、国民健康保険の加入など 【法的義務】 あり(労基法22条) |
| 労働権条件通知書 | 雇い入れ時に交付 労働条件(賃金・時間など)の約束 | 【主な用途】 労働条件の確認・合意 【法的義務】 あり(労基法15条、労規則5条)) |
法的な発行義務の違い
最も大きな違いは法的な義務の有無です。退職者が請求できる「退職証明書」については、労働基準法第22条により、使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由などを記載した書面の交付が会社に義務付けられています。また、労働条件通知書も法に基づいて、交付が義務付けられています。
一方、現職者が求める「在籍証明書」には、法律上の発行義務はありません。
しかし、住宅ローンの審査や保育園の入園など、従業員の生活基盤(ライフライン)に関わる重要な手続きで必要となるため、企業は福利厚生の一環として速やかに発行するのが一般的です。
労働条件通知書や離職票では代用できない
銀行や賃貸の審査において、雇用契約書や離職票で代用することは基本的にできません。
- 労働条件通知書: あくまで入社時の「労働条件」であり、現在も辞めずに働いている証明にはなりません。
- 離職票: 「会社を辞めたこと」を証明する書類であり、在籍の証明とは真逆の性質を持ちます。
それぞれの書類の役割を正しく理解し、従業員の依頼目的に合わせて適切な書類を発行しましょう。
在職証明書と離職票については、以下の記事でもそれぞれ詳しく紹介しています。
在籍証明書が必要なケースとは?
提出先によって審査のポイントが異なるため、用途ごとに「年収」「勤務日数」「職務内容」などの記載内容を使い分ける必要があります。従業員から依頼を受けた際は、必ず「何に使うのか」を確認しましょう。主なケースと、それぞれの発行時に注意すべき記載ポイントを説明します。
保育園・学童の入園申し込み(就労証明書)
保護者が日中働いており、保育が必要であることを証明するために必須となります。 自治体に対し、子供を保育園や学童保育(放課後児童クラブ)に入園させるための申請書類として提出します。
この用途では、単なる在籍証明ではなく「就労証明書」という名称の自治体指定フォーマットへの記入が一般的です。「週に何日、何時間働いているか」によって保育の必要性(点数)が変わるため、詳細な勤務日数や就労時間(開始・終了時刻)を正確に記載する必要があります。
住宅ローン・クレジットカードの審査
金融機関が「返済能力」を確認するために必要となり、勤続年数や年収の記載が求められます。クレジットカードを新規で作成する時や、住宅ローンを始めとする各種ローンを組む時、キャッシングといった借入を行う場合に、在籍証明書の提出が必要になります。
返済がきちんと行われるかどうか、希望する利用額に対して十分な支払い能力を有しているかどうかの確認に用いられます。そのため、単に在籍している事実だけでなく、「前年度の年収(総支給額)」や「勤続年数」の記載が求められるのが一般的です。
賃貸物件・公営住宅の入居契約
家賃の支払い能力を確認するために必要となり、公営住宅の場合はより詳細な所得証明が求められます。
一般的に賃貸物件へ入居する際は、契約時に在籍証明書の提出が必要になります。家賃支払いが滞ることなく行われるかどうか、入居者として問題がないかどうかの確認に用いられます。 特に県営・市営などの公営住宅に入居する場合は、入居資格に厳格な収入制限があるため、源泉徴収票とセットで詳細な所得証明として提出を求められるケースが多くあります。
外国籍従業員のビザ申請・更新
入国管理局に対し、日本での活動実態が在留資格と一致していることを証明するために必要です。外国籍の従業員が、在留資格(ビザ)の変更や期間更新の申請を行う際に提出します。
申請している在留資格(「技術・人文知識・国際業務」など)の範囲内で業務を行っているかを審査するため、具体的な職務内容(エンジニア、通訳、営業など)や雇用期間、報酬額の詳細な記述が不可欠です。
転職活動などの就職活動
応募者の経歴に詐称がないかを確認するため、選考や入社手続きの段階で求められます。 転職活動においては、転職希望先への応募書類として在籍証明書の提出が求められる場合があります。
本当にその会社に在籍しているかどうかを確認するため、また職務内容や役職、経験、担当業務などを照合して、採用の可否を決定するために用いられます。最近では外資系企業を中心に、経歴調査(リファレンスチェック)の一環として提出を求められるケースも増えています。
扶養家族の認定・変更手続き
配偶者の会社の健康保険組合などに、扶養家族として加入する際に収入要件の確認で必要となります。
従業員が家族(配偶者や子)の扶養に入る場合、年間収入が一定額(一般的に130万円未満)であることを証明しなければなりません。そのため、直近の給与支給額や交通費の支給状況、今後の給与見込み額など、収入に関する詳細な情報の記載が求められます。
在籍証明書の必須項目・書き方は?
法律上の規定はありませんが、一般的に「本人特定」「在籍事実」「発行元」を示す以下の5項目があれば証明書として機能します。
記載漏れがあると審査で差し戻しになる可能性があるため、各項目の役割を理解して記入しましょう。
1. 氏名・生年月日・住所
住民票や免許証の内容と照合するため、正確に記載します。特に住所は、引っ越し直後などで会社への届出と現住所が異なっている場合があるため、発行前に本人に確認することをお勧めします。
2. 入社年月日
ローンの審査などでは「勤続年数の長さ」が信用の指標となります。試用期間を含めた最初の日付を記載するのが一般的です。
3. 所属部署・役職・職務内容
どのような立場で働いているかを示します。ビザ申請の場合は「エンジニア」「通訳」など、在留資格と合致する職務内容の詳細な記載が求められます。
4. 発行日
一般的に、証明書の有効期限は「発行から3ヶ月以内」とされることが多いです。提出直前に発行する必要があります。
5. 会社情報・代表者印
会社の住所、会社名、代表者名を記載し、社印(角印)を押印します。上場企業などの場合、代表取締役印(丸印)ではなく、認印としての角印で問題ありません。
【用途に応じて追加が必要な項目】
提出先によっては、基本項目に加えて以下の情報の追記が必須となります。
- 前年度の年収(総支給額): 住宅ローンや保証会社の審査で必要。
- 勤務日数・就労時間: 保育園の入園審査(就労証明書)で必要。
- 備考欄(但し書き): 「上記の者は、現在当社に在籍していることを証明します」といった定型文を入れると、証明書としての体裁が整います。
在籍証明書の記入例
在籍証明書には以下のように記入します。

在籍証明書のテンプレート
在籍証明書には法的な統一フォーマットはありません。保育園や金融機関など提出先が指定する様式がある場合はそれを使用しますが、特に指定がなければ会社独自のフォーマットで作成して問題ありません。
また、この記事で紹介した在籍証明書のテンプレートは、以下からダウンロードすることができます。
在籍証明書を発行する際の注意点は?
トラブルを防ぐため、発行前に「用途の確認」「個人情報の管理」「発行期限の周知」の3点を徹底する必要があります。
従業員から在籍証明書の発行を依頼されたら、会社はどのようなことに気を付けるべきでしょうか。実務上の重要なポイントは以下の3つです。
1. 使用用途に合った内容を記載する
用途によって必須項目が異なるため、何に使うかを必ず聞き取りましょう。
在籍証明書は使用用途によって必要とされる記載内容が異なります。賃貸物件への入居に使用する場合は「在籍している事実」のみで問題ない場合が多いですが、住宅ローンを組む場合は「給料額」や「勤続年数」の記載が必須です。 後から「年収が載っていないので再発行してほしい」と言われないよう、事前に使用目的を確認し、その用途に合った内容を記載しましょう。
2. 個人情報は慎重に取り扱う
在籍証明書は個人情報の塊です。社内での取り扱いにも配慮が必要です。
給与額や住所などの個人情報が含まれるため、外部への漏洩はもちろん、社内での取り扱いにも注意が必要です。 例えば、作成中の画面や印刷された書類を他の従業員に見られることがないよう管理しましょう。特に「転職活動用」や「借入用」といったセンシティブな用途の場合、本人が周囲に知られたくないと考えているケースが多いため、封筒に入れて渡すなどの配慮が求められます。
3. 発行にかかる日数を伝えておく
即日発行は難しい場合が多いため、あらかじめ目安の日数を伝えておきましょう。
在籍証明書の作成・交付は、突発的に発生する業務です。特に春の入園・入学シーズンや、住宅購入が増える時期は依頼が重なることがあります。 「今日中に欲しい」と急かされても対応できない場合があるため、「申請から発行まで3営業日程度かかります」といったルールを定めて周知しておくと、従業員とのトラブルを防げます。
在籍証明書に関するよくある質問(FAQ)
Q. 従業員が自分で作成(自作)しても有効ですか?
A. 下書き作成は問題ありませんが、勝手な押印は「私文書偽造」になります。
会社指定のフォーマットがない場合、従業員自身がテンプレートに記入し、会社が内容を確認して社印を押すというフローであれば、証明書として有効です。事務負担を減らすために下書きを本人に依頼することもあります。 ただし、従業員が会社に無断で作成し、勝手に社印を持ち出して押印した場合は、私文書偽造罪や有印私文書偽造罪などに問われる重大なコンプライアンス違反となります。
Q. 電子印鑑やPDFデータでの交付は可能ですか?
A. 提出先によります。銀行や役所は「原本(朱肉の押印)」を求める傾向があります。
近年はテレワークの普及により、PDF送付(電子印鑑)でも可とする提出先が増えています。 しかし、住宅ローンの本審査や公的機関への提出書類など、厳格な審査においては「朱肉で押印された原本」の提出が必須条件となっているケースがまだ多くあります。二度手間を防ぐため、PDFでの交付を希望された場合は「提出先に電子データで問題ないか確認してください」と一言添えるのが確実です。
Q. パート・アルバイトや休職中でも発行できますか?
A. はい、雇用契約がある限り発行可能です。
正社員だけでなく、パート・アルバイトであっても在籍証明書は発行できます。 休職中の場合も会社に籍があるため発行可能ですが、住宅ローンの審査などでは「復職が前提」となるケースがあるため、備考欄に「休職中」と記載するかどうかは提出先の要件を確認して判断します。
在籍証明書の用途による違いを押さえておこう
在籍証明書は、従業員が会社に在籍していることを証明する書類です。住宅ローンや賃貸契約などで提出が求められ、法的義務はないものの、依頼に応じて作成する必要があります。
基本項目は氏名・住所・入社日などですが、用途によっては「給与額」や「勤務時間」の記載も不可欠です。目的によって必要な情報が異なるため、必ず用途を確認した上で、スムーズに発行できるよう準備しておきましょう。
よくある質問
在籍証明書とは何ですか?
対象従業員が会社に在籍していることを証明するために、会社が発行する書面です。詳しくはこちらをご覧ください。
在籍証明書が必要なケースを教えてください。
クレジットカードを作成する場合や住宅ローンなどのローンを組む場合、借入を行う場合、賃貸物件を契約する場合、転職活動をする場合などに在籍証明書が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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