- 更新日 : 2025年11月5日
【記入例付き】就業促進定着手当支給申請書の書き方は?ダウンロードから提出方法まで解説
再就職後の収入が離職前より下がってしまった方を支援する「就業促進定着手当」を受け取るには「就業促進定着手当支給申請書」の提出が必須です。
この記事では、就業促進定着手当支給申請書の具体的な記入例を項目別に詳しく解説します。申請手続きの流れから、会社への証明依頼で言いにくい場合の対処法、タイムカードがない場合の対応、そして申請で間違えた際の訂正方法まで、あらゆる疑問を解消します。
目次
就業促進定着手当とは?
就業促進定着手当とは、再就職手当の支給を受けた方が対象となる制度です。再就職先で6か月以上継続して雇用され、その6か月間の賃金が離職前の賃金より低い場合に支給されます。
この制度の目的は、早期の再就職を促し、新しい職場への定着を支援することです。再就職によって一時的に賃金が低下した場合の経済的な負担を軽くし、労働者が新しい職場で安心して長く働き続けられる環境を整えます。
就業促進定着手当の支給を受ける要件
手当の支給を受けるには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 再就職手当の支給を受けていること
大前提として、ハローワークから再就職手当の支給決定を受けている必要があります。 - 再就職先で6か月以上、継続して雇用されていること
再就職手当の支給対象となった就職日から、同じ事業主に継続して6か月以上雇用されていることが必要です。雇用保険の被保険者であることが条件となります。 - 再就職後6か月間の賃金が、離職前の賃金より低いこと
再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回っている場合に支給対象となります。この計算方法が申請の重要なポイントになります。
就業促進定着手当支給申請書の入手方法
就業促進定着手当支給申請書は、主に2つの方法で入手できます。
- ハローワークの窓口で受け取る
お住まいの地域を管轄するハローワークの雇用保険給付窓口で受け取る方法です。担当者に就業促進定着手当の申請をしたい旨を伝えれば、申請書とあわせて手続きの説明も受けられます。不明点があればその場で質問できるのが大きなメリットです。 - ハローワークインターネットサービスからダウンロードする
ハローワークインターネットサービスの「帳票一覧」ページからもPDF形式でダウンロードできます。自宅や職場のプリンターで印刷して使用できるため、ハローワークに行く時間がない方に便利です。ダウンロードする際は、必ず最新の様式であることを確認しましょう。
就業促進定着手当支給申請書の書き方
就業促進定着手当支給申請書の記入は、大きく分けて「申請者情報」「事業主の証明」「賃金支払状況」の3つのパートに分かれています。特に賃金の計算と比較が重要であり、賃金支払状況の欄には給与明細をもとに正確に記入する必要があります。
1. 申請者本人が記入する欄(表面)
この部分は申請者自身の情報を記入します。
- 氏名・フリガナ
申請者の氏名とフリガナを記入します。 - 電話番号
申請者の電話番号を記入します。 - 住所又は居所
現住所を都道府県から正確に記入し、電話番号も忘れずに記入します。
2. 事業主(再就職先)に証明してもらう欄(表面)
この部分は再就職先の事業主に記入と押印を依頼する欄であり、申請者本人が記入することはできません。
- 就職先の事業所名、住所、電話番号
- 雇用保険事業所番号
- 1週間の所定労働時間
- 求人申し込み時等に明示した賃金月額
3. 賃金支払状況(表面)
賃金支払状況は、この申請書で最も重要な部分です。
この情報をもとに、ハローワークが以下の計算を行い、支給要件を満たすか判断します。
- 再就職後6か月間の賃金合計額 ÷ 180日 = 再就職後の賃金日額(A)
- 離職前の賃金日額(B)
- (A)と(B)を比較し、(A)が(B)を下回っていれば支給対象
就業促進定着手当支給申請書の記入例
マネーフォワード クラウドでは、就業促進定着手当支給申請書の記入例をご用意しています。以下のリンクからダウンロードしてご活用ください。
就業促進定着手当支給申請書に必要な添付書類
就業促進定着手当支給申請書とあわせて、以下の書類の提出が必要です。これらの書類は、申請書裏面の「賃金支払状況等証明書」の内容が正しいことを証明するために必要です。
| 必要な書類 | 入手方法・注意点 |
|---|---|
| 雇用保険受給資格者証 | ハローワークから交付されているもの |
| 出勤簿またはタイムカードの写し | 再就職後6か月分のもの |
| 給与明細または賃金台帳の写し | 再就職後6か月分のもの |
就業促進定着手当の申請から支給までの流れ
申請は、再就職した日から6か月を経過した日の翌日から2か月以内に行う必要があります。
申請期間
申請期間は、再就職日からちょうど6か月が経過した日の翌日から、その2か月後の日までです。しかし、申請期限の2か月間を過ぎても、時効が完成する期間(2年)以内であれば申請が可能です。
提出先と提出方法
申請書と添付書類は、請求者の住所を管轄するハローワークに提出します。提出方法は以下の通りです。
- 窓口への持参
最も確実な方法です。書類をその場でチェックしてもらえ、不備があればすぐに修正できます。 - 郵送
ハローワークに行く時間がない場合に便利です。ただし、書類に不備があると郵送でのやり取りに時間がかかるため、提出前に念入りに確認しましょう。郵送の場合は、簡易書留など記録が残る方法を推奨します。
申請から支給までの期間
申請書類に不備がなければ、通常2週間から1か月程度で指定した金融機関の口座に手当が振り込まれます。支給が決定されると、ハローワークから支給決定通知書が送付されるので、内容を確認してください。
就業促進定着手当支給申請書に関してよくある質問
就業促進定着手当支給申請書に関してよくある質問とその回答をまとめました。
申請書に捨印は必要?
申請書には捨印を押す欄が設けられておらず押印は不要です。
申請書を書き間違えた場合の訂正方法は?
申請書を書き間違えた場合は、修正液や修正テープは使用せず、間違えた箇所に二重線を引き、その上から訂正印を押してください。
事業主の証明がもらえない場合はどうする?
まずは管轄のハローワークに相談してください。正当な理由なく事業主が証明を拒否することはできません。ハローワークから事業主へ説明や協力依頼を行ってくれる場合があります。自分で解決しようとせず、速やかに専門機関であるハローワークに状況を伝えましょう。
就業促進定着手当支給申請書を正しく記入しましょう
本記事では、就業促進定着手当支給申請書の記入例を中心に、制度の概要から具体的な書き方、申請手続きの流れまでを詳しく解説しました。再就職後の新しい環境で働き続けるための大切な支援制度ですので、要件に該当する方は忘れずに手続きを行いましょう。特に、申請書の中でも賃金支払状況の確認と事業主の証明が重要なポイントです。就業促進定着手当の申請書の書き方で不明な点があれば、一人で悩まずに管轄のハローワークに相談することをおすすめします。本記事を参考に、スムーズに申請を行ってください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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