- 更新日 : 2025年8月20日
内定辞退の理由を聞かれたらどう伝える?メールや電話での伝え方を例文付きで解説
内定を獲得したものの、辞退を決意した場合、どう断ればいいのか悩むケースは少なくありません。特に、企業から辞退理由を詳しく聞かれた際に、「正直に話すべきか」「どのような言葉を選べば角が立たないのか」と不安に感じる方は多いでしょう。
この記事では、内定辞退の理由を伝える際のマナーから、新卒・転職といった状況や理由別の伝え方、具体的な例文まで詳しく解説します。電話やメールでの連絡方法や、理由をしつこく聞かれた場合の対処法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
内定辞退の理由を伝える際の基本的なマナー
内定辞退の連絡は、気まずさを感じるかもしれませんが、社会人としてのマナーを守り、誠実に対応することが重要です。円満な関係を維持するためにも、以下の基本的なポイントを心がけましょう。
内定辞退を決めたらすぐに連絡する
内定を辞退する決意が固まったら、可能な限り早く、できれば1日でも早く連絡するのが鉄則です。企業はあなたが入社することを見越して、人員計画や受け入れ準備を進めています。連絡が遅れるほど、企業側にかかる迷惑は大きくなります。
内定辞退はいつでも可能であり、何日前までに行わなければならないという定めはありません。辞退の時期を問わず、内定辞退の意思表示から2週間が経過することで、辞退は有効となります。しかし、早ければ早いほど企業側への迷惑を最小限に抑えることができます。
電話で直接伝え、メールでも記録を残す
内定辞退の連絡は、まず電話で直接伝えるのが最も丁寧な方法です。採用担当者の都合を確認し、口頭で辞退の意思とお詫びを伝えます。電話は声色や話し方で誠意が伝わりやすいという利点があります。そして、電話で伝えた後に、改めてメールでも連絡を入れておくと、正式な記録として残るため双方にとって確実です。電話が繋がらない場合は、先にメールを送り、後ほど改めて電話をかけるようにしましょう。
誠実な態度で感謝とお詫びを伝える
内定を辞退するとはいえ、選考に時間と労力を割いてくれた企業への感謝の気持ちを忘れてはいけません。内定をいただいたことへのお礼と、期待に沿えず辞退することへのお詫びを誠実に伝えましょう。どのような理由であれ、最後まで丁寧な姿勢を崩さないことが、社会人としての信頼を保つ上で大切です。
【例文付き】内定辞退の理由の伝え方
内定辞退の理由は人それぞれですが、伝え方には工夫が必要です。ここでは、よくあるケース別に、新卒・転職者それぞれに適した伝え方と具体的な例文を紹介します。
他社への入社を決めた場合
最も一般的な理由です。この場合は、正直に伝えて問題ありません。ただし、辞退する企業への配慮を忘れず、比較して批判するような表現は避けましょう。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。大変恐縮ながら、慎重に検討を重ねた結果、誠に勝手ながら、本日の内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。別の企業様とのご縁があり、そちらに入社することを決意いたしました。最後まで悩んだのですが、自身の適性や将来のキャリアを考え、このような決断に至りました。
希望の職種・業務内容と異なる場合
配属先や担当業務が、自身の希望や想定と異なっていたケースです。これも正直に伝えて構いませんが、企業の制度を批判するのではなく、あくまで自身の希望との相違という視点で伝えましょう。
内定のご連絡、誠にありがとうございます。光栄な機会をいただきながら大変恐縮ですが、今回の内定を辞退させていただきたく存じます。選考でお話を伺う中で、私の希望しておりました〇〇という業務内容と、実際に担当させていただく業務に相違があると感じました。自分のキャリアプランと照らし合わせて熟考した結果、このような決断をいたしました。
家庭の事情で辞退する場合
親の介護や転居など、家庭の事情はプライベートな内容のため、詳細を話す必要はありません。「一身上の都合」としても問題ありませんが、もし差し支えない範囲で簡潔に触れると、より誠実な印象を与えられます。
内定をいただきありがとうございます。内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。誠に心苦しいのですが、家庭の事情により、貴社での勤務が難しい状況となってしまいました。そのため、誠に勝手ながら内定を辞退させていただけますでしょうか。個人的な事情でご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。
自信がないと感じる場合
「自分のスキルでは貢献できる自信がない」と感じた場合でも、それを正直に伝えるのは避けましょう。企業はあなたのポテンシャルや能力を評価して内定を出しています。自信がないと伝えると、「自社をしっかり理解してくれていなかったのか」とネガティブな印象を与えかねません。
この場合は、自身の適性やキャリアプランとの相違といった、より客観的で前向きな理由に変換して伝えるのが賢明です。
熟考を重ねた結果、自身の適性と、貴社で求められる専門性を照らし合わせた際に、現時点では私の能力が及ばないと判断いたしました。貴社にご貢献できるレベルには至っていないという考えに至り、誠に不本意ながら、内定を辞退させていただきたく存じます。
内定辞退の連絡方法
内定辞退の連絡は、電話とメールを組み合わせるのが最も丁寧です。それぞれのポイントと例文を確認し、スムーズな連絡を心がけましょう。
電話で連絡するポイント
電話では、まず採用担当者本人に代わってもらいます。不在の場合は、改めてかけ直す旨を伝えましょう。
会話の流れは、以下の通りです。
- 大学名と氏名を名乗る
- 採用担当者に取り次いでもらう
- 内定のお礼と、辞退の意思を伝える
- 簡潔に理由を述べる
- お詫びを伝える
緊張するかもしれませんが、はっきりと聞き取りやすい声で、誠意を込めて話すことが重要です。
メールの件名と本文の書き方
メールの件名は「内定辞退のご連絡/〇〇大学 〇〇(氏名)」のように、一目で内容がわかるようにします。本文は、電話と同様に、お礼、辞退の意思、理由、お詫びを記載します。誤字脱字がないか、送信前に必ず確認しましょう。会社の営業時間内に送るのがビジネスマナーです。
件名:内定辞退のご連絡/〇〇大学 氏名
株式会社〇〇
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇大学の〇〇(氏名)です。
先日、内定のご連絡をいただきました、〇〇大学の〇〇(氏名)です。
この度は、内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
このような光栄な機会をいただき大変恐縮ですが、慎重に検討を重ねた結果、誠に勝手ながら、今回の内定を辞退させていただきたく存じます。
自身のキャリアプランを改めて考え、別の企業とのご縁を感じたため、今回の決断に至りました。
貴社には多大なるご迷惑をおかけすることとなり、心よりお詫び申し上げます。
選考を通じて多くのことを学ばせていただき、〇〇様をはじめ、皆様には大変お世話になりましたこと、重ねて御礼申し上げます。
本来であれば直接お伺いしてお詫びすべきところ、メールでのご連絡となりましたことをご容赦ください。
末筆ではございますが、貴社の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。
内定辞退で注意すべきポイント
新卒と転職(中途採用)では、企業側の期待値が異なるため、辞退の際に注意すべきポイントも少し変わります。
新卒の場合
新卒採用はポテンシャルを重視されるため、スキル不足や自信がないといった理由は避けましょう。「自分のキャリアプランと照らし合わせて」など、前向きな理由に変換するのが無難です。また、同じ業界内で就職活動を続ける場合、辞退した企業の取引先などに就職する可能性もあります。悪い印象を与えないよう、最後まで誠実な対応を心がけましょう。
転職(中途採用)の場合
転職者は即戦力として期待されています。そのため、業務内容や待遇、勤務地といった具体的な条件面でのミスマッチを理由にすることは、新卒に比べて伝えやすいでしょう。ただし、前職や他社の不満を並べ立てるのはNGです。あくまで自身の希望条件との比較という客観的な視点で伝えることが重要です。転職エージェント経由で内定を得た場合は、まずエージェントの担当者に辞退の意思を伝え、その後の対応について指示を仰ぎましょう。
内定辞退でよくある質問
最後に、内定辞退に関して多くの人が抱く疑問についてお答えします。
内定承諾後に辞退することは可能?
内定承諾書にサインした後でも、法的には辞退することが可能です。職業選択の自由が憲法で保障されているため、企業側が辞退を理由に損害賠償を請求することは、基本的にはできません。ただし、承諾後の辞退は企業にかける迷惑がより大きくなるため、これまで以上に誠心誠意、丁重にお詫びする必要があります。
複数社から内定が出た場合の断り方は?
基本的なマナーは一社だけを断る場合と変わりません。各社に誠実に対応することが重要です。ただし、他社と比較するような発言は避けましょう。一社一社に対して、「貴社にも大変魅力を感じておりましたが」という姿勢で、個別に向き合って連絡することが大切です。
内定辞退を伝えた後、会社に書類を返送する必要はある?
企業から受け取った内定承諾書や入社関連書類などがある場合、企業の指示に従って返送するのが一般的です。辞退の連絡をする際に、書類の取り扱いについても確認しておくとスムーズです。特に指示がなければ、「お預かりしている書類がございましたら、ご指示に従い返送いたします」と一言添えると丁寧な印象になります。
内定辞退の理由はしっかりと伝えましょう
内定辞退は、決して後ろめたいことではありません。自分の将来を真剣に考えた末の、正当な決断です。大切なのは、これまで選考でお世話になった企業に対し、最後まで誠意と感謝の気持ちを持って対応することです。
この記事で紹介したマナーや例文を参考に、自信を持ってご自身の言葉で意思を伝えてください。適切な対応をすることで、円満に手続きを終えることができ、あなた自身もすっきりとした気持ちで新たな一歩を踏み出せるはずです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
退職の引き止めで部署異動を提案されたらどうする?企業側の注意点も解説
退職を引き止めるために部署異動を提案されたことのある方も多いのではないでしょうか。部署異動の提案に応じることでさまざまなメリットが得られる一方、注意すべきデメリットもあります。この記事では、退職の引き止めで部署異動を提案された場合に検討すべ…
詳しくみる外国人労働者が増えると起こる影響は?メリットとデメリットを解説
外国人労働者が増えると起こる影響については、よい影響と悪い影響があります。労働者人口が増加したり過疎地の人口が増えたりする反面、地元住民とのトラブルや国内労働者の仕事が奪われるなどの懸念もあります。 外国人労働者が増えることで起こる、よい影…
詳しくみるヒューマンスキルとは?構成要素や高めるメリット、習得方法を解説!
ヒューマンスキルの構成要素は、リーダーシップ・コミュニケーション能力・ネゴシエーション能力・プレゼンテーション能力・ファシリテーション能力・コーチング能力・ヒアリング能力す。高めると作業効率・対人関係が向上し、自己成長やキャリアアップできる…
詳しくみるポテンシャルとは?意味や使い方、高い人の特徴、高めるコツをわかりやすく解説
「ポテンシャル」という言葉は、社員の自己実現と人事労務を起点とする企業利益拡大にチャンスをもたらすキーワードです。本記事ではポテンシャルの正確な意味とポテンシャル人材の特徴、採用・育成のコツをわかりやすく解説します。 ポテンシャルとは? 「…
詳しくみるサイレントお祈りとは?実態や目安となる期間、企業側のデメリットを解説!
サイレントお祈りとは、就職活動の際、企業が面接や試験の合否の連絡をしないことを指します。企業の不合格連絡にかかる事務負担軽減や辞退者発生の場合に備えるために行うことが多く、一般的には1~2週間程度放置するとサイレントお祈りととらえられます。…
詳しくみる育休中の転職活動はアリ?デメリットや後悔しないための退職の流れ
育休中でも転職活動を行い、新しい職場へ移ることは法律的に問題ありません。また、育児休業給付金の返還義務もないため、金銭的なリスクを心配する必要もないです。 ただし、育休中の転職には独自の注意点や課題があるため、慎重な準備が求められます。 本…
詳しくみる