- 更新日 : 2024年10月30日
ペーシングとは?効果やラポール形成、実践するときのポイントなどを解説!
ペーシングは相手とペースを合わせてコミュニケーションを取るスキルです。これにより相手の警戒心を解き、安心感や親近感を与えることができ、良好な人間関係を保つラポール形成に役立ちます。仕草・表情、声、言葉において、バックトラッキングやミラーリング、マッチングといったスキルを用いて、実践します。実践時の注意点は不自然にならないように相手を真似することです。
目次
ペーシングとは?
ペーシングとは非言語的コミュニケーションスキルの一つで、相手のペースに合わせてコミュニケーションを取るテクニックのことを指します。ペースを合わせることで話しやすさや親密さなどが増し、相手と良好な関係が築けるようになります。心を開いたコミュニケーションが可能になり、さまざまなメリットが期待できます。
もともとは心理学用語であり、カウンセリングの手法の一つとして知られていますが、現在ではビジネスの分野でも広く用いられ、相手とのコミュニケーションが重要な営業や人事で活用されています。
ペーシングの効果は?
ペーシングは信頼関係の構築やコミュニケーションの円滑化、相手への理解といった3点について、効果があります。相手に対してペーシングを通じて交流することから相手からの信頼されやすくなり、早期の信頼関係構築が図れます。また、ペーシングにより相手の思考や感情に歩み寄ることで、スムーズなコミュニケーションが可能になり、相手に同調することで、感情や意見を深く理解できるようになります。
ペーシングの目的であるラポール形成とは?
ラポール形成とは、親密で信頼している関係性を生みだすことを指す言葉です。ラポールはフランス語を語源とし、もともと、無意識に心を通じ合わせられる状態・感覚を示す言葉です。主に、心理学やカウンセリングの分野で用いられてきました。
ペーシングの基本となるスキルは?
ペーシングには、さまざまなスキルが用いられます。ここでは基本となる3つのスキルを紹介します。
バックトラッキング
バックトラッキングとは相手の言ったことを、繰り返して言うことを指します。オウム返しのことで、きちんと聞いていることを示すために行います。同じことを言う以外に、別の言葉を使う、ニュアンスを変える、キーワードだけを取り入れる、順番を変えるといった工夫をすることで、自然な会話にすることができます。
ミラーリング
ミラーリングは相手の動作を真似するコミュニケーションスキルです。自分とは全く違う動きをする人より、自分と同じような動きをする人に親近感を覚えるという心理を利用するコミュニケーションスキルです。相手が髪を触ったら自分も髪を触る、相手が腕を組んだら自分も腕組みをする、のような行動を取って、仕草や動きを真似します。
マッチング
相手の声の様子や話し方に合わせることを、マッチングと言います。具体的にスピード、声の大きさや高さ、声色などを合わせます。寄り添っている、理解してくれている、といった印象を与えられます。
ペーシングを実践するポイントは?
ペーシングを実際にやる場合には、どのようなことを重視すればよいのでしょうか。ペーシング実施時のポイントを説明します。
仕草・表情
ペーシングでは仕草・表情にミラーリングを活用して、相手と同じような動きをしたり表情を真似したりします。ただし、意図的にやっていると相手がわかると不快感を与える可能性があるため、気づかれないように注意する必要があります。動きの一部分だけ真似する、タイミングをずらして時間差で同じ表情をするなどの工夫をして、悟られないようにしましょう。相手のリズムに合わせ、自然な範囲内での仕草・表情とすることがポイントになります。
声
ペーシング実践時の声は、高さや大きさを相手に合わせます。相手と同じトーンの声を出すことによって一体感が生まれ、共感が生まれやすくなります。信頼性が芽生えて、親密性が高まります。スムーズで、より濃密なコミュニケーションが可能になるでしょう。
言葉
ペーシングをしているときの言葉は、相手が発している同じ、あるいは類似しているものとすると効果的です。積極的に言語的コミュニケーションに、同じフレーズを使ったり表現方法を模倣したりしましょう。相手との一体感が増し、より深い関係が構築できます。
ペーシングを実践するときの注意点は?
ペーシングを実施する際は細心の注意を払って、相手に気づかれないようにしなければなりません。ペーシングに気づかれると信用を失い、ラポール形成できなくなります。
ペーシングは相手とよりよい関係を築くために用いる手法であり、相手を下に見たり思い通りにしたりするものではありません。
テクニックで相手と同調するのではなく、内面も真似して、同じ感覚を持つようにすることも大切です。相手の心情に寄り添い、価値観を理解し共感することが重要です。
ペーシングが十分な効果を発揮するよう注意点には気をつけよう
ペーシングは相手とペースを合わせることで良好な人間関係の構築を図る、コミュニケーションスキルの一つです。バックトラッキングやミラーリング、マッチングといった手法を用いてコミュニケーションを図ることで相手に安心感を与え、コミュニケーションの円滑化を図ります。しかしながら、ペーシングは、相手に気づかれないよう、十分に注意しなければなりません。ペーシングを行っていることが知られると逆に不快にさせてしまい、信頼関係が築けなくなってしまうこともあるでしょう。
良好な人間関係構築が図られると、企業の事業活動にも良い影響が及びます。実践方法や注意点をよく理解して正しくペーシングができるよう、教育などをしっかりとするようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ホテルで外国人雇用できる就労ビザ(在留資格)や業務範囲を解説
ホテル業において外国人を雇用したいと考える宿泊施設は増えています。ただし、外国人の就労ビザ(在留資格)によって許可されている業務範囲が異なるため注意が必要です。 この記事では、ホテルで外国人雇用できる就労ビザ(在留資格)や業務範囲について解…
詳しくみる離職票は必要?離職証明書との違い、再発行の方法、退職時・失業保険の手続きを解説
離職票は、従業員が退職した際、企業がハローワークで退職手続きをすると発行される書類です。退職した従業員が雇用保険の求職者給付、いわゆる失業保険を受給するためには、離職票が必要となります。 離職票の発行はどのようにして申請し、いつ従業員に交付…
詳しくみる人事労務とは?仕事内容・法律・資格の違い、向いている人を解説
人事労務とは、従業員に関する業務全般のことです。業務内容は、人事と労務に大別されます。労働関係法に基づいて業務を行い、正確性や迅速性も必要です。 本記事では、人事と労務の違いや仕事内容、関連する法律・資格について解説します。人事や労務に向い…
詳しくみるバーンアウト(燃え尽き症候群)とは?症状や対処法を解説
バーンアウト症候群は、仕事での極度の疲労によって引き起こされ、感情の枯渇や自己嫌悪などに陥るのが特徴です。何もやる気にならず、保守的になったり達成感が低下したりするため、仕事だけでなく私生活にも支障が出ることがあります。本記事では、バーンア…
詳しくみるキャリアカウンセラーとは?仕事内容や資格、キャリアコンサルタントとの違い
キャリアカウンセラーとは、相談者のスキルや知識、興味などのさまざまな特性から、最適なキャリアを目指すヒントを探し、キャリアデザインを支援する専門家です。この記事では、キャリアカウンセラーの役割や仕事内容、活躍の場、年収、必要な資格やスキルに…
詳しくみる360度評価とは?メリット・デメリットや評価項目、導入する方法を解説!
360度評価とは、従来の評価方法とは違って上司、部下、同僚など様々な立場の複数の人が評価対象者を評価する方法です。360度評価は他の評価制度と比べて、公平であり客観性に優れているのが特徴です。本記事では、360度評価のメリット・デメリット、…
詳しくみる