- 更新日 : 2025年3月4日
会社都合退職とは?デメリットや自己都合を会社都合にできる条件を解説
病気 や会社の業績悪化など、さまざまな理由で退職を余儀なくされる場合があります。退職には「会社都合」「自己都合」の2種類があり、それぞれ失業手当の受給や履歴書への記載など多くの違いがあるため注意は必要です。
本記事では会社都合退職の概要や、自己都合退職との違いなどについて解説します。
目次
会社都合退職とは?
会社都合退職とは、会社の倒産による解雇や業績悪化によるリストラなど、従業員本人の希望によらない退職のことです。本人が望まない退職であるため、失業手当の受給や再就職では有利となる場合があります。
会社都合退職が認められるケース
退職理由はさまざまですが、会社都合退職となる場合は限定されます。どのような理由でも会社都合となるわけではありません。
会社の倒産
会社の業績が悪化し、倒産に至ったことを理由とする退職は、会社都合退職となります。会社が倒産した場合には、従業員が希望しても雇用を継続することは不可能です。
希望退職制度による退職
希望退職制度による退職も会社都合となる場合があります。希望退職制度は多くの場合、業績悪化など会社の都合による退職勧奨の一面があるためです。ただし、恒常的に設けられている早期退職制度への応募による退職は、会社都合とはなりません。
リストラ、解雇
会社の業績悪化によるリストラは、会社都合となる典型例です。また、従業員に大きな責任がないにも関わらず、解雇する場合も会社都合となります。一方で、犯罪行為など重大な違反があったことによる解雇は、会社都合とはなりません。
会社による不当な未払い
会社が正当な理由がないにも関わらず、賃金の3分の1を超える額の未払いを2ヶ月以上続けた場合など、不当な未払いがあったことによる退職も会社都合となります。
会社都合退職によるメリット
会社都合退職は、倒産や給与未払いなどを理由とする従業員に責任がない退職です。そのため、失業手当の受給では有利に扱われます。
原則として失業手当の受給には、2ヶ月の給付制限期間が設けられています。しかし、会社都合であれば給付制限期間はありません。また、受給期間も最大で330日まで延長されます。
会社都合退職は、本人に責任がないため、再就職においても不利に扱われづらくなっています。再就職の準備期間に受給する失業手当や、再就職において不利にならないことは、会社都合退職のメリットだといえるでしょう。
会社都合退職のデメリット
従業員にとっての会社都合退職は、基本としてメリットが大きくデメリットはほとんどありません。しかし再就職先の会社によっては、リストラの対象となったことを能力の低さと捉える場合があり得ます。
会社にとっての会社都合退職は、従業員からの訴訟リスクというデメリットが発生するため注意しなくてはいけません。解雇された内容に納得できない従業員から、解雇無効や損害賠償請求の訴えを提起される場合もあります。
また、キャリアップ助成金など一部の助成金は、会社都合退職者を出していないことを要件としています。助成金受給の機会を失うことも会社にとってのデメリットといえるでしょう。
会社都合退職と自己都合退職との違い
退職は会社都合と自己都合の2種類に分けられます。会社都合と自己都合の大きな違いは、「本人の意思」です。家族の介護や本人の病気療養などを理由とする退職が自己都合退職の代表例といえるでしょう。
また、更なる待遇アップやキャリアアップを目指しての退職も自己都合退職となります。これらは、本人の自発的意思による退職であり、会社の都合は介在しません。
自己都合退職は、本人の意思による退職であるため、失業手当の受給要件や期間などの優遇が原則としてありません。また、自己都合退職は、再就職においても不利に扱われる場合があります。
多くの場合、自己都合退職は育児や介護などライフプランの変更によるものです。しかし、長期雇用を望む企業からすれば、「また育児や介護の必要性から離職してしまうのではないか」といった印象を抱かれる恐れもあります。自身に非のある理由からの離職ではないとはいえ、不利に扱われる場合もあり得ると留意しておいた方が良いでしょう。
会社都合退職でのよくある質問
退職は滅多に起きることではありません。そのため、会社都合退職においても疑問を持つ方が多くなっています。
会社都合退職での履歴書の書き方は?
履歴書には退職理由も記載しなければいけません。そのため、会社都合退職の場合は「会社都合により退職」と記載しましょう。この記載により、相手にはやむを得ない理由による退職であったことが伝わります。
自己都合の退職を会社都合にしてもらうことはできる?
自己都合退職となっている場合でも、会社都合退職に変更できる可能性があります。例えば、給与の未払いがあったにも関わらず、自己都合退職とされているような場合です。このような場合には、証拠となる資料をハローワークに提出して修正してもらいましょう。
パワハラが原因の退職を会社都合にできる?
会社から就業環境を著しく害されたことによる退職の場合には、会社都合退職となります。パワハラもこの理由に該当する場合があるため、会社都合となる可能性があります。
会社から「自己都合退職にしてほしい」と言われたら?
自己都合と会社都合は、客観的な事情から総合的に判断し、最終的にはハローワークが決定します。そのため、会社に事実と異なる退職理由に変更する権限はなく、そのような申し出に応じる義務もありません。
会社都合と自己都合の違いを理解しよう
会社都合退職と自己都合退職には、失業手当の受給期間をはじめ、さまざまな違いが存在します。再就職にも影響するため、退職理由の違いを理解することは大切です。是非当記事を参考に両者の違いを理解してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
出張中の移動時間は労働時間に該当する?ケースをもとに解説!
出張中の移動時間の使い方に悩む方は多いでしょう。移動時間が労働時間に該当するかどうかで、過ごし方が大きく変わります。 本記事では、具体的なケースや判例をもとに、出張の移動時間が労働時間に該当する条件を解説します。基本的に、移動時間は労働時間…
詳しくみるパワハラは訴えたもん勝ち?訴訟の事例や訴えられた場合の対応を解説
パワハラが「訴えたもん勝ち」と言われる場合があります。その背景として、社会的な関心の高まりや訴訟の増加が挙げられます。本記事では、人事労務担当者やビジネスパーソン向けに、実際の訴訟事例を交えながら、パワハラで訴えられた場合の適切な対応方法に…
詳しくみる外国人雇用時の就業規則はどうする?記載事項や注意点を解説
外国人労働者を雇う際には、就業規則で明確なルールを示すことが重要です。外国人労働者は、日本の法律や企業文化に不慣れな人が多いため、明確なルールがないと労働条件についての誤解やトラブルの原因になります。 本記事では、外国人雇用における就業規則…
詳しくみる退職手続きでは何をするべき?従業員側と会社側に分けて解説
退職手続きでは、従業員と会社の双方が適切に進めることが重要です。従業員は退職届の提出や引き継ぎ、貸与物の返却などを行い、会社は社会保険や雇用保険の喪失手続きを進めます。 本記事では、従業員側と会社側それぞれがすべき手続きを徹底解説します。ス…
詳しくみる物流業界の人手不足解消を担う外国人労働者:受け入れのメリットや注意点を解説
日本の物流業界は、生活を快適にする便利なサービスが増える一方、人手不足の問題にも直面しています。運送ドライバーの高齢化や少子化により、この問題はさらに深刻化する可能性があります。人手不足解消のため外国人労働者の需要が高まる一方、雇用するには…
詳しくみる移民と外国人労働者の違いは?定義や問題点を徹底解説
移民と外国人労働者は、法律上の定義や目的が異なります。違いを理解することは、適切な雇用管理の第一歩です。 本記事では、移民と外国人労働者の違いを明確にし、日本における受け入れ状況や企業が注意すべきポイントを解説します。適切な外国人雇用のため…
詳しくみる