- 更新日 : 2026年10月5日
契約社員は年末調整の対象になる?2026年(令和8年)最新の控除・確定申告ガイド
契約社員は原則として年末調整の対象です。
- 副業・退職時は確定申告が必要
- 医療費・住宅ローン控除は確定申告のみ
- 2026年改正で控除額・書類が変更
Q. 契約社員でも自分で確定申告が必要なケースは?
A. 年の途中で退職してそのまま再就職していない場合は、原則として確定申告の義務はありません。ただし、年末調整を受けていないため、源泉徴収された所得税が還付される可能性があり、還付申告をすることができます。
契約社員も年末調整の対象です。ただし、契約社員が自分で確定申告をしなければならないケース、確定申告をしなければ受けられない控除があって所得税還付のためにも自分で確定申告をしたほうがいいケースがあります。
ここでは、どのような働き方が契約社員に当てはまるのかを紹介し、契約社員の年末調整・確定申告について、2026年(令和8年)分の最新の税制改正内容もふまえて解説します。
契約社員の定義とは?
自分が契約社員に当てはまるのかどうかを確認するには、まずは基本的な働き方の違いを知ることが重要です。正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなどとさまざまな名称がありますが、その違いは、すべて雇用形態の特徴の違いにあります。
最近では、正社員の中でも「勤務地限定正社員」「短時間正社員」「勤務時間限定正社員」などと、多様な働き方のニーズに合わせて雇用形態ごとに異なる名称が用いられています。正社員は、労働契約に契約期間の定めがなく、フルタイムで働く直接雇用の労働者であることが一般的です。勤務地、所定労働時間、働く時間帯を限定するような、いわゆる「多様な正社員」というのは、正社員として労働契約の期間に定めはないものの、働き手のニーズに合わせて、時間や勤務地などの範囲を限定した正社員のことをいいます。
以上のことから考えても、「契約社員」という定義は法律上ありません。したがって、契約社員の定義は会社独自の判断で決定することができます。正社員と非正規社員を区別するために「契約社員」という名称を使うこともあれば、フルタイムで働くアルバイトよりも正社員に近い働き方として、「契約社員」という名称を使うこともあり、会社によって雇用形態の特徴はさまざまです。
一般的には、契約社員は「有期雇用労働者」に当てはまることが多いでしょう。有期契約労働者とは、以下のような働き方をする雇用形態のことです。
- 労働契約にあらかじめ契約期間が定められている
- 契約期間満了にともない自動的に労働契約が解消される(更新することも可能)
- 1回の契約期間は最長で一定の場合を除き3年
つまり、契約社員の場合、雇用契約書に「契約期間:1年」や「〇年〇月〇日をもって契約満了とする」といった雇用期間を限定する文言がある契約内容になっているケースが多いでしょう。
契約期間が定められている有期労働契約の場合、反復更新して通算5年を超えたときは、労働者の申し出により期間の定めのない無期労働契約に転換することができます。そして、会社は無期労働契約に転換することを断ることができません。
また、契約期間の定めのある労働契約の場合、会社はやむを得ない事由がなければ、契約期間中の労働者の解雇は認められていません。やむを得ず解雇する場合でも、30日前に予告することや、予告を行わない場合には30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うことが労働基準法で定められています。
なお、2024年4月からは労働条件明示のルールが改正され、有期労働契約の締結・更新時には、更新上限(通算契約期間や更新回数の上限)の有無とその内容、そして無期転換申込機会や無期転換後の労働条件についても書面で明示することが会社に義務づけられています。契約社員として働く方は、契約更新のたびに渡される労働条件通知書のこれらの項目も確認しておくとよいでしょう。
契約社員と派遣社員の違い
契約社員と派遣社員とでは、雇用主が異なります。契約社員は会社が直接雇用する形態です。派遣社員は派遣元(人材派遣会社)と雇用契約を結び、その上で、人材派遣会社が派遣先(働く会社)に労働者を派遣します。
このように、派遣社員は雇用されている会社と実際に指揮命令を受けながら業務する会社とが異なります。そのため、待遇や契約については、労働者派遣法で細かいルールが定められています。
契約社員とアルバイトの違い
契約社員の多くは、正社員と比べ昇給や昇格の機会が限定されていることが少なくありません。業務内容もほぼ変わらない場合、「アルバイト」と混同してしまうこともあるでしょう。契約社員とアルバイトとの大きな違いは「所定労働時間」にあります。
アルバイトは、パートタイム・有期雇用労働法(正式名称:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)上の「パートタイム労働者」に該当します。「パート」「アルバイト」と呼び方の違いはありますが、法律上の区分は同じです。こうしたパートタイム労働者は、契約で定められる1週間の所定労働時間が正社員より短く設定されています。
なお、契約社員であってもアルバイトであっても、条件に合致すれば社会保険や雇用保険の適用対象になり、年次有給休暇も発生します。また、正社員との不合理な待遇差を禁止する同一労働同一賃金のルールについては、令和8年10月からガイドラインの改正が施行される予定です。詳しい内容は所轄の労働局や厚生労働省の案内で確認しておくと安心です。
契約社員と個人事業主の違い
契約社員やパート、アルバイト、そして派遣労働者はそれぞれ労働法の保護の対象となります。こうした労働者と違う立場にいるのが、フリーランスや業務委託、個人事業主といった方々です。
個人事業主とは、法人を設立せず、個人で事業を営んでいる人をいいます。個人事業主として事業を開始した場合には、税務署に開業届を提出することができますが、開業届を提出したことだけで個人事業主になるわけではありません。
最近ではフリーランスという言葉が話題になりますが、フリーランスは、働き方の呼称といえるでしょう。フリーランスは、企業と雇用関係を結ばずに企業や取引先と「業務委託契約」もしくは「請負契約」を結び、成果物や役務の対価として報酬を得ます。フリーランスは個人事業主だけではなく法人設立も可能ですが、「企業や団体に属さずに個人で業務を請け負うような働き方をする人」をいい、明確な定義はありません。
契約社員は労働法の保護対象となる労働者の雇用形態の1つであり、事業主に雇用されて仕事をします。労働者の場合には、社会保険・雇用保険に加入し、その保険料の一部は事業主にも負担してもらえますが、個人事業主の場合は、国民健康保険や国民年金に全額自己負担で加入する必要があります。
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契約社員のうち年末調整の対象になる人は?
契約社員は原則として年末調整の対象になり、各種控除が適用されます。年末調整の対象者とは、以下のような労働者を指します。
会社が「給与」を支払っている
契約社員は、雇用する会社が給与を支払っています。年末調整は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出し、月々の給与から源泉徴収として税金を天引きしている人が対象となりますので、契約社員も年末調整の対象に含まれます。
一方、個人事業主やフリーランスのように業務委託・請負などの契約で働く人の報酬は給与ではなく事業収入であり、年末調整の対象外です。派遣社員は、雇用している派遣元である人材派遣会社の従業員ですので、派遣元で年末調整を行います。
会社で1年を通じて働いている
1年を通じて働き収入源が契約社員の給与のみであれば、年末調整の対象になります。副業をしつつ契約社員の仕事をしている場合も、1年を通じて働いていれば年末調整の対象です。
仕事を複数かけ持っており、別に「主たる収入源」がある(本業として働いている勤務先にだけ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して源泉徴収されている)場合は、年末調整の対象にはなりません。
中途入社で年末(12月31日)に会社に在籍している
年末時に会社に在籍している人が年末調整の対象になります。年の途中で退職した人は、一定の場合を除き原則として年末調整の対象にはなりません。
それ以外に、その年の年収や源泉徴収票の有無も、年末調整を行う上での要件となります。
契約社員のうち年末調整の対象にならない人は?
契約社員が年末調整の対象にならない可能性として一番考えられるのが、副業やアルバイトなど、他の収入源があるケースです。基本的に、年末調整を行う勤務先へは、入社時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しています。複数の勤務先がある場合は、扶養控除申告書をどこに提出したのかを今一度確認しましょう。
- 給与収入が年間2,000万円を超える人
- 年の途中で入社した人で前職での源泉徴収票が提出できない人
- 複数の企業に勤務し、自社以外の企業に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」未提出の人
- 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収の徴収猶予や還付を受けた人
契約社員が確定申告の必要なケース、したほうがいいケースとは?
契約社員は会社から給与が支払われている給与所得者であるため、年末調整の対象となります。個人事業主とは異なり、基本的には確定申告を自分でする必要はありません。ただし、副業で収入がある場合など、確定申告をしなければならないケースがあります。また、ケースによっては確定申告を自分で行うことで年末調整では行うことができない控除の適応を受け、所得税が安くなり、結果として支払う税金が少なくなるメリットがあります。
契約社員でも確定申告が必要な「退職」と「副業」
年末調整では、1年間の収入を確定し、毎月の源泉徴収で納めていた所得税の過不足が清算されます。もし、納めた所得税が多いという場合には年末調整で還付され、不足分がある場合には税金を追加で支払います。
会社に雇用されている契約社員は、年末調整でこの所得税の清算が行われているため、自分で確定申告をする必要はありません。しかし、年の途中で退職しそのまま無職となってしまったケースや、副業を行っていて一定額を超えるケースでは、確定申告の必要があります。
年の途中で雇用契約満了により退職し無職の場合、通常は年末調整の対象にはなりません。退職後、年末までに別の雇用先が決まれば、新しい雇用先で年末調整が行われます。しかし、年末まで引き続き無職となった場合は、確定申告を行う必要があります。
退職後、とくに収入がないため確定申告の必要はないと考える方もいるかもしれません。しかし、契約社員として勤務していた期間は源泉徴収で税金が給与から天引きされています。確定申告で各種控除が認められると、納めるべき所得税の額が低くなり、結果として税金の還付が受けられる可能性が高くなります。「働いていないから確定申告は必要ない」とは思わずに、退職した年の分こそ、確定申告の手続きを行いましょう。
近年では、ダブルワークを就業規則で認める、いわゆる副業解禁の流れが目につくようになりました。副業、アルバイトなどさまざまな形はありますが、本業である会社以外に収入がある場合は、原則として確定申告が必要となります。
このとき、副業が事業所得や雑所得などの給与所得以外の所得である場合は、原則として、その所得金額(収入から必要経費を差し引いた金額)などが20万円を超えると、確定申告が必要になる場合があります。一方、副業がアルバイトなどの給与所得である場合は、本業と副業の給与の支払状況などによって確定申告の要否が決まるため、「副業の給与収入が20万円を超えれば必ず確定申告が必要」と単純に判断することはできません。
契約社員でも確定申告を行ったほうがメリットのあるケース
個人事業主ではなく、副業もしておらず、会社に雇用され契約社員一本で継続的に働いている場合、基本的には年末調整のみで、確定申告の必要はありません。しかし、以下の3つの控除は年末調整では受けられない場合があり、確定申告が必要になります。
- 医療費控除
- 寄付金控除(ワンストップ特例を利用しない場合など)
- 住宅ローン控除(原則として適用初年度)なお、住宅ローン控除は、給与所得者の場合、2年目以降は一定の要件を満たせば年末調整で適用できます。
そのため、以下のケースに当てはまる場合は、年末調整後に自分で確定申告を行うことで、所得税・住民税の額が安くなる可能性があります。
医療費を多く支払った場合
病気やケガによる診察や入院、薬にかかった費用に対しては「医療費控除」が受けられます。医療費控除とは、年間200万円を上限額として、年間に支払った医療費から保険金などで補填された額を引き、さらに10万円または総所得金額等の5%のいずれか少ない額を差し引いた金額(最高200万円)が、医療費控除額となります。
また、医療費控除の条件には当てはまらない場合でも、一定の条件を満たした場合に利用できる「セルフメディケーション税制」もあります。この制度では、年間に購入した対象医薬品(スイッチOTC医薬品)の代金のうち1万2,000円を超えた金額(上限8万8,000円)を課税所得から控除することが可能です(医療費控除との併用はできません)。この特例は現行では2026年(令和8年)12月31日までの時限措置とされていますが、令和8年度税制改正でスイッチOTC医薬品部分の適用期限を撤廃し恒久化する方針が示されており、2027年以降も継続される見通しです。
契約社員で働きながら、病気やケガの治療など医療費が多くかかった場合には、確定申告の医療費控除やセルフメディケーション税制を活用するといいでしょう。
参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
ふるさと納税を6自治体以上に行った場合
ふるさと納税を行った場合は「寄付金控除」が受けられます。寄付金控除とは、地方自治体や認定NPO法人など、特定の団体・組織に対して寄付をした金額を、課税所得もしくは所得税額から差し引ける制度です。
ふるさと納税は、5つの自治体までは「ワンストップ特例制度」を活用することで確定申告をせずに控除を受けることができますが、6つ以上の自治体へ寄付を行っている場合は確定申告をする必要があります。
住宅ローンを支払っている場合
住宅ローンを利用して住宅を取得・新築し、一定の要件を満たす場合は、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」を受けられる場合があります。住宅ローン控除とは、住宅ローン等を利用して住宅を購入した人が受けられる控除制度で、年末のローン残高の0.7%を、最大13年間にわたって所得税や住民税から控除できる制度です。
この控除は、納めるべき所得税額から直接控除額が差し引かれる税額控除のため、大きな減税効果を実感できます。また、所得税で控除しきれない場合は上限額を設けて住民税からも控除されます。
住宅ローン控除は令和8年度税制改正(2025年12月26日閣議決定、2026年3月31日成立)により、適用期限が2030年(令和12年)12月31日入居分まで5年延長されました。認定長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅などの借入限度額は従来の水準がおおむね維持される一方、省エネ基準適合住宅は借入限度額が引き下げられ、2028年(令和10年)以降に建築確認を受ける新築住宅は原則として対象外となる予定です。子育て世帯・若者夫婦世帯への借入限度額の上乗せ措置は2026年以降も継続されます。
マイホームを購入して2026年以降に入居する予定の方は、入居時期や住宅の省エネ性能によって適用される内容が異なるため、事前によく確認しておきましょう。
参考:住宅ローン減税等の延長・拡充が閣議決定されました|国土交通省
契約社員の年末調整の仕方・書類の書き方は?
契約社員は、勤務先で年末調整を行い、確定申告での控除を利用する場合に自分で確定申告を行うのが基本の流れです。適切な控除を利用できるよう、まずは年末調整の書類を正しく記入しましょう。
2025年(令和7年)分・2026年(令和8年)分の年末調整では、いわゆる「年収の壁」対策として基礎控除と給与所得控除が段階的に引き上げられ、扶養親族等の合計所得金額の要件も緩和されています。あわせて、19歳以上23歳未満の親族がいる場合に適用できる「特定親族特別控除」が新設されました。これにともない、年末調整で提出する書類は次のとおりです。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(従来の「控除対象扶養親族」欄は「源泉控除対象親族」欄に名称が変更されています)
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
これらの書類は年末調整の時期が近づくと会社担当者から配布されます。改正により記入欄や計算の仕組みがやや複雑になっているため、内容を確認し、きちんと記入した上で、期日までに担当者に提出しましょう。その際、控除を受けるには以下の書類が必要になるため、保険料の支払いを証明する書類などは大切に保管しておくといいでしょう。
- 国民健康保険、国民年金、社会保険料などの支払いを証明する書類
- 生命保険料控除証明書
- 個人型の確定拠出年金の掛金払込証明書
- 住宅ローンに関する年末残高等証明書など
年末調整の書類を正しく記入し、必要に応じて確定申告を行おう
契約社員は年末調整の対象です。2025年・2026年の税制改正により基礎控除や扶養親族の所得要件が見直され、特定親族特別控除も新設されているため、まずは勤務先から配布される年末調整書類の変更点を間違いのないように確認して提出しましょう。その後、医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除など、年末調整では受けられない控除がある場合は、自分で確定申告を行うことで税金の還付が期待できます。
よくある質問
契約社員は年末調整の対象になりますか?
給与所得として会社から給与が支払われている契約社員は、原則として年末調整の対象となります。ただし、副業により複数の会社で勤務している場合など他に勤務先がある場合は、年末調整を行うのは1箇所のみです。詳しくはこちらをご覧ください。
契約社員にとって年末調整を行うメリットはなんですか?
年末調整では、会社で毎月天引きされた源泉所得税と正確に計算した所得税との差額清算と納税をするため、確定申告の手間が省けます。医療費控除や寄付金控除などがあるときは、確定申告をしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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