• 更新日 : 2025年11月5日

【記入例付き】通勤災害における様式16号の4の書き方は?提出方法まで解説

通勤災害による治療が長引く中で、「リハビリのためにもっと通いやすい病院に移りたい」「専門的な治療が受けられる病院に転院したい」と考えることがあるかもしれません。その際に必要となるのが、様式第16号の4(療養給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届)です。

この記事では、通勤災害で治療先を変更する際の様式16号の4について、具体的な記入例を交えながら、誰にでも分かりやすく書き方を解説します。

通勤災害における様式第16号の4とは?

様式第16号の4は、通勤災害の治療でかかっている労災指定病院から、別の労災指定病院へ転院する際に、その変更を届け出るための書類です。業務災害の場合は同様の趣旨で様式第6号を使用します。

通勤災害における様式第16号の4とは?

参考:主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式) |厚生労働省

労災保険の制度では、被災した労働者は原則として医療費を窓口で支払う必要がない現物給付という形で治療を受けられます。 これは国が医療費を直接病院に支払う仕組みであり、国が治療を受けている病院を正確に把握しておく必要があるため、病院を変更する際にはこの届出が求められます。

様式第16号の4は、あくまでA病院からB病院へ治療先を変更することを届け出るためのものであり、ご自身が立て替えた治療費を請求するための書類ではない点に注意が必要です。

様式16号の4と様式16号の5との違いは?

様式16号の4は治療を受ける病院の変更に、様式第16号の5は被災労働者が立て替えた治療費などを請求する際に使用します。 労災保険の書類は目的別に細分化されているため、両者の違いを明確に理解しておきましょう。

目的使用する様式
(通勤災害の場合)
治療を受ける病院を変更したい様式第16号の4
立て替えた治療費を請求したい様式第16号の5

様式第16号の4の入手方法は?

様式第16号の4は、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードするか、最寄りの労働基準監督署の窓口で直接受け取ることで入手可能です。

厚生労働省のウェブサイトでは、労災保険給付に関連する各種様式がPDF形式などで提供されており、ご自宅や会社のプリンターで印刷して使用できます。

参考:主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式) |厚生労働省

通勤災害の様式16号の4の書き方

ここからは、様式16号の4の具体的な書き方を、項目ごとに記入例を交えながら解説します。

設定事例
  • 被災者:労働 花子(ろうどう はなこ)
  • 災害発生:2025年4月10日、通勤途中の駅の階段で転倒し左足を骨折。
  • 現在の病院:〇〇総合病院(労災指定)
  • 変更理由:自宅近くのリハビリに通いやすい△△整形外科(労災指定)に転院したい。

労働保険番号・被災労働者の情報

会社の労働保険番号、あなたの氏名や生年月日など、基本的な情報を正確に記入します。労働保険番号が分からない場合は、会社の総務や人事の担当者に確認してください。また、傷病年金を受給している場合には、年金証書の番号も必要です。

負傷又は発病年月日

通勤災害に遭った年月日を和暦で正確に記入します。

災害の原因及び発生状況

いつ、どこで、何をしている時に、どのようにして災害が発生したかを、第三者が読んでも状況を客観的に理解できるように詳しく記入します。5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識して、事実を時系列に沿って具体的に書きましょう。

事業主の証明欄は、届出書に記載された災害の発生日時や状況が事実に相違ないことを、会社(事業主)に証明してもらうためのものです。会社の総務・人事などの担当部署に依頼し、会社の所在地、名称、代表者職氏名を記入してもらいます。ただし、会社を退職した後にこの届出書を提出する場合、事業主の証明は不要です。

変更前・変更後の指定病院等の情報

この書類で最も重要な部分です。現在治療を受けている病院(変更前)と、これから新しく治療を受けたい病院(変更後)の名称と所在地を、医療法人の名称なども含めて正式名称で正確に記入します。

変更理由

病院を変更する理由を簡潔に、分かりやすく記入します。たとえば、自宅から近い、リハビリの設備が整っている、専門医がいる、といった客観的な事実を記載するのが一般的です。

傷病名

医師の診断による正式な傷病名を記入します。診断書や診察券などを確認し、正確に記載してください。

その他就業先の有無

複数の企業で働いている場合には、裏面に必要事項を記入することが必要です。複数の勤務先がある場合には、有に〇を付けたうえで、その数(表面に書いた企業を除く)と特別加入の状況などを記入します。

通勤災害の様式16号の4の記入例

マネーフォワード クラウドでは、様式16号の4の記入例をご用意しています。以下のリンクからダウンロードして、実際の申請時にぜひご活用ください。

通勤災害の様式16号の4の提出方法

様式16号の4の提出先は、これから新しく通う病院(変更後の指定医療機関)を経由して、所轄の労働基準監督署へ提出するのが原則です。単に病院の窓口で完結するのではなく、監督署に届けられる必要があります。

提出のタイミングは、変更後の病院で最初の診察を受ける際が最も円滑です。事前に書類を準備しておき、初診の受付で健康保険証などと一緒に提出してください。

通勤災害の様式16号の4に関してよくある質問

最後に、通勤災害の様式16号の4に関してよくある質問とその回答をまとめました。

会社が事業主の証明を拒否する場合はどうすればよい?

万が一、会社が証明を拒否するなど協力を得られない場合でも、届出は提出できます。事業主の証明欄を空欄のまま変更後の病院に提出し、その際に会社の協力が得られなかった旨を伝えた上で、管轄の労働基準監督署に事情を相談してください。

会社を退職した後でも手続きできる?

はい、可能です。退職後であっても、災害が在職中に発生したものであれば労災保険の給付対象となります。その場合、事業主の証明は不要です。

整骨院や接骨院への変更でも様式16号の4を使える?

整骨院や接骨院は原則として医療機関には含まれないため、この様式ではなく、様式第16号の5(3)を使用する必要があります。まずは転院を希望する整骨院が労災の指定を受けているかを確認し、必要な手続きについて労働基準監督署や院の窓口にご相談ください。

通勤災害の様式16号の4を正しく記入しよう

この記事では、通勤災害で治療を受ける病院を変更する際に必要な様式16号の4について、その役割から書き方のポイント、提出方法までを解説しました。

転院を円滑に進めるためには、この書類を正しく作成し、適切なタイミングで新しい病院へ提出することが重要です。もし記入方法で不明な点があれば、会社の担当者、変更先の病院窓口、または管轄の労働基準監督署へ確認しましょう。必要な手続きを確実に行い、安心して治療に専念できる環境を整えてください。


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