- 更新日 : 2023年11月7日
年末調整のときに記載する住所は住民票の住所でよい?
年末調整の書類には、住所を記載する欄が設けられており、提出の際は正しく書かなければなりません。原則として記入する住所は、年末調整の翌年1月1日に住民票をおいている住所です。実際に住んでいる住所と住民票をおいている住所が異なる場合、年末調整の時期をはさんで引っ越しを行った場合などには、特に間違えないように注意する必要があります。
目次
年末調整のときに記載する住所は?住民票の住所?
何かの書類に住所を書く場合、一般的にはそのときに住んでいる住所地を記入します。しかし年末調整の書類への住所の書き方は少し特殊なため、注意する必要があります。
年末調整の書類に住所を書くときは、原則として翌年1月1日に住民票をおいている住所地を記入します。ポイントは、いつの時点の、どのような住所地か、という点です。
年末調整の書類に記入する住所のポイント
- いつの時点か:年末調整後の1月1日時点
- どのような住所地か:住民票がある住所地
なぜ年末調整で提出する書類には、ほかの書類のように現時点で住んでいる住所地を書かないのかというと、記入した内容の使われ方が違うためです。
ほかの書類の記載住所は、本人確認や電話、メールでの連絡ができなくなった場合の連絡手段を確保するために用いるのに対して、年末調整時における記載住所は、住民税を課税するために使用されます。
通常住民税は、1月1日の時点で住民票を置いている住所において支払うことが必要です。そのため、年末調整書類は、年末調整が済んだ1月1日において住民票を置いている住所地の記入が求められています。
年末調整に記載する住所をケースごとに解説
単身赴任で家族と離れて生活している場合、年末調整で書く住所には2つのケースがあります。1つは自身が住民票を変更しているケース、もう1つは住民票を変更していないケースです。
単身赴任の場合に書く住所は?
住民票を変更している場合、年末調整の書類に書くのは変更後の住所です。家族がいて、その家族は元の住所で暮らしている場合にも、年末調整の書類には単身赴任先の住所を書きます。
住民票を変更していない場合は、単身赴任後の住所を書かなくてはいけないことに注意が必要です。先に説明したとおり、原則として、年末調整の書類に書くべき住所は住民税が課税される住所地で、それは1月1日現在、住民票がおかれている住所地です。住所地とは、生活の本拠地を意味します。
しかし、転勤によって単身赴任し、住民票を移動していない場合は、生活の本拠地である単身赴任先の住所地で課税することができ、その市町村から納税通知が送付されたときには納税する義務があるからです。
年末調整前に引っ越し・住所を変更した場合は?
年末調整を行う前に引っ越し・住所変更をした場合は、年末調整の書類には基本的に引っ越し・住所変更をした後の住所を書きます。年末調整の書類に書く住所は、原則として1月1日に住民票をおいている住所地です。
引っ越し・住所変更をした時期が大晦日直前で、1年のほとんどを引っ越し・住所変更前の住所に住んで暮らしていたとしても、年末調整の書類に書くのは、引っ越し・住所変更後の新住所になります。
年末調整時に引っ越しているが住所を変更していない場合は?
引っ越しは終えているものの住民票を移動させる住所変更はしていない場合、年末調整の書類には引っ越し後の住所を書きます。住民税は「その市町村に住所を有する個人」を納税義務者としており、住所とは生活の本拠地のことです。引っ越しによって年末調整後の1月1日に生活の拠点がある場所が住所地となります。
もちろん、年内に引っ越し先での住民票の登録が済んでいれば、記入する住所は引っ越し後のものであることはいうまでもありません。
転職して前職の源泉徴収票の住所が異なる場合は?
転職して引っ越しした、あるいは引っ越しして転職した場合は、住所が前職の源泉徴収票に記載してあるものとは異なります。年末調整にも異なる住所を書くことになりますが、特に問題はありません。
年末調整後の1月1日に生活の本拠地となっている住所を書き、前職の源泉徴収票はそのまま提出します。引っ越し・住所変更をした旨を伝えるようにすると、確認の手間が省け、スムーズに処理を進めることができます。
年末調整の住所の書き方は?
年末調整の書類は、それぞれに住所を書く欄があるので、もれがないように記入します。
基礎控除等申告書
出典:令和5年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書|国税庁
扶養控除等申告書
出典:令和5年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書|国税庁
社会保険料控除申告書
年末書類の書類の書き方は、下の記事も参考にしてください。
年末調整で住所を訂正・修正するときは?
年末調整の書類に住所を間違って記入してしまった場合は、二重線で消して訂正・修正します。修正液や修正テープは使用できません。訂正印については、特には定められていないため、会社の指示に従ってください。
年末調整の書類の住所を正しく書こう
引っ越したり単身赴任中であったりすると、年末調整の書類にどの住所を書くべきか迷う人が多くいます。年末調整の書類に書く住所は、住民税を支払う住所地です。そのため年末調整後の1月1日に生活の本拠地となっている住所を書くことになっています。
年末調整の書類には、基礎控除等申告書・扶養控除等申告書・社会保険料控除申告書それぞれに住所を書く欄があります。記入もれがないように注意しましょう。
よくある質問
年末調整のときに記載する住所は?
年末調整後の1月1日に生活の本拠地となっている住所です。詳しくはこちらをご覧ください。
単身赴任の場合、年末調整に記載する住所は?
住民票を移動させている場合は単身赴任先の住所、住民票を移動させていない場合でも生活の本拠地である単身赴任先の住所を書きます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
年末調整の未済とは?確認と対応の方法について解説!
給与所得者は、年末に勤務先から源泉徴収票を受け取ります。源泉徴収票には、年末調整後の正しい給与所得額や所得控除額、納税額、特別徴収・普通徴収などの分類が確認できます。一方、年末調整が行えない人は「未済」として扱われ、確定申告などの対応が必要…
詳しくみる年末調整とは
毎月の給与から源泉徴収されている所得税は、その年に支払うべき所得税の仮払いであるため、年末調整によって精算されなければなりません。 ここでは、年末調整の目的や仕組みのおさらいに加え、年末調整と確定申告の違いについてもお話しします。 年末調整…
詳しくみる年末調整ソフトとは? 給与計算ソフトとの違いも徹底解説
給与計算ソフトには、年末調整の機能を備えているものがあります。しかし年末調整に特化したソフトには、業務を効率化する機能を備えているほか、システム化の負荷が少ないといったメリットがあるのです。今回は、年末調整ソフトの種類や給与計算ソフトとの違…
詳しくみる年末調整の保険料控除申告書の書き方
「保険料控除申告書」は、年末調整の時期に会社から各従業員に配られます。それに各人が必要事項を記入し、必要書類を添付したうえで会社に提出する重要な書類です。 正式には「給与所得者の保険料控除申告書」といい、年末調整の際に必要となります。 年末…
詳しくみる学資保険は生命保険料控除の対象になる?年末調整における書類の書き方
年末調整では、保険料控除などの所得控除を受けて節税するのが一般的です。一方、将来の教育費用に備えて学資保険を契約している方も多いことでしょう。学資保険は控除対象として税控除を受けられるのでしょうか。当記事では、学資保険を年末調整で控除する方…
詳しくみる年末調整時期に無職の場合
年末に会社に勤めている場合には、その年の最後の給料のときに年末調整が行われます。一方で、年末調整時期に無職の場合には、年末調整が行われないため、その年に収入を得ていたとしても、税金の還付を受けることができません。 税金の還付を希望するときに…
詳しくみる