- 更新日 : 2026年9月9日
【令和9年】扶養控除等(異動)申告書の記入例と書き方を解説!
毎月の源泉徴収と年末調整の計算に使う、給与所得者が毎年提出する書類です。
- 給与を受け取る全員が毎年提出する
- 令和8年分は特定親族の欄が加わる
- 12月からは所得要件が引き上がる
中途入社の方には、最初の給与支払日の前日までに提出するよう案内しておきましょう。
企業は毎年12月頃、新規採用者の場合は最初の給与を支払うときまでに、翌年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を従業員から受け取ります。この申告書がないと、毎月の給与から源泉徴収する際の控除ができず、年末調整も行えません。
令和8年分の記入例をもとに、欄ごとの書き方を解説します。
給与所得者の扶養控除等申告書(マル扶)とは?
マル扶とは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のことです。企業がその年の最初の給与を支給するときまでに従業員から受け取っておく書類で、年末調整の際にも使います。
ここで確認できる控除の種類には、配偶者控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除などがあり、所得税に関することを記載するほか、住民税に関する扶養控除の申告書も兼ねています。
提出が必要な人と提出しない場合の影響
給与の支払を受けるすべての従業員が対象です。提出を受けていないと、毎月の源泉徴収や年末調整を正しく行えません。
提出されている場合は、扶養親族の人数や年齢に応じた控除が反映されるため、源泉徴収税額が低くなります。提出がない場合は控除が適用されず、通常より高い税額で計算されます。
副業や複業をしている人の場合、年末調整は主たる給与の支払を受けている企業で行います。複数の企業で同じ扶養控除を重複して受けることはできないため、原則として年末調整を行う企業が申告書の提出を受けます。
社会保険上の扶養との違い
この申告書で扱うのは税法上の扶養で、社会保険上の被扶養者認定とは基準が異なります。健康保険や厚生年金のいわゆる130万円の壁とは、判定の方法も手続きも別です。
社会保険では、労働時間の延長などによる一時的な収入の変動で年収が130万円以上となった場合でも、事業主の証明を添えることで引き続き被扶養者として認定される仕組みがあります。詳細は、従業員が加入する健康保険組合などへ確認してもらうよう案内しましょう。
参照:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁
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令和8年分・令和9年分の扶養控除等申告書の変更点は?
令和7年度税制改正による特定親族特別控除の創設に加え、令和8年度税制改正では基礎控除と給与所得控除の引き上げ、扶養親族などの所得要件の引き上げが行われました。年末調整では2つの年分を同時に扱うため、それぞれの内容を確認しておきましょう。
特定親族のチェック欄の新設
令和8年分の様式では、扶養親族を記入する欄が「控除対象扶養親族」から「源泉控除対象親族」に変わりました。あわせて「特定親族」をチェックする欄が設けられています。
この欄に記入することで、毎月の源泉徴収の際にも特定親族特別控除が反映されます。ただし年末調整で控除の適用を受けるには、別途「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の提出が必要です。
令和8年12月からの所得要件の引き上げ
令和8年12月1日以後に支払う給与から、扶養親族等の所得要件が引き上げられます。扶養親族・同一生計配偶者は58万円以下から62万円以下へ、勤労学生は85万円以下から89万円以下へ広がります。
年初に配布された令和8年分の申告書は、改正前の要件で作られています。この改正により新たに要件を満たす親族がいる場合は、扶養控除等(異動)申告書をあらためて提出してもらう必要があります。
なお、令和8年分は月次の源泉徴収税額表に改正が反映されず、年末調整で精算する仕組みです。改訂後の税額表による月次源泉徴収は令和9年1月以降の適用となります。住民税は前年所得をもとに計算されるため、反映されるのは令和9年度分からです。
令和9年分の申告書との違い
年末調整の時期には、令和8年分と令和9年分の申告書を同時に扱います。両者は判定に使う金額が異なるため、どちらの年分かを確かめてから記入してもらいます。
| 項目 | 令和8年分 | 令和9年分 |
|---|---|---|
| 同一生計配偶者・扶養親族 | 58万円以下 (給与収入123万円以下) |
62万円以下 (給与収入136万円以下) |
| 源泉控除対象配偶者 | 95万円以下 (給与収入160万円以下) |
95万円以下 (給与収入169万円以下) |
| 特定親族 | 58万円超123万円以下 | 62万円超123万円以下 (給与収入136万円超197万円以下) |
| 源泉控除対象親族 | 所得100万円以下 (給与収入165万円以下) |
所得100万円以下 (給与収入174万円以下) |
| 勤労学生 | 85万円以下 (給与収入150万円以下) |
89万円以下 (給与収入163万円以下) |
| 16歳未満の扶養親族 | 平成23年1月2日以後生まれ | 平成24年1月2日以後生まれ |
所得の基準が同じでも、給与所得控除が74万円に引き上げられるため、給与収入に換算した金額は変わります。従業員へ配布する際は、年分を明示したうえで案内しましょう。
参照:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁
【令和9年】扶養控除等申告書の書き方は?
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、は、基本情報、源泉控除対象配偶者、源泉控除対象親族、障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生、他の所得者が控除を受ける扶養親族、住民税に関する事項の順で構成されています。
出典:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁
① 基本情報の書き方
最上部にある、給与の支払者と給与所得者自身の基本的な情報を記入する欄です。
「所轄税務署長等」には給与支払者の所在地を所轄する税務署の名称を、「市区町村長」には給与所得者の住所地の市区町村名を記入します。
- 給与の支払者の名称(氏名)と所在地:企業名と所在地を記入する
- 給与の支払者の法人(個人)番号:あらかじめ印字して配布するとスムーズ
- あなたの氏名・住所・生年月日・個人番号
- 世帯主の氏名とあなたとの続柄:住民票と一致しているか確認する
- 配偶者の有無:有・無のどちらかに丸をつける
個人番号は原則として記入しますが、給与の支払者が従業員やその配偶者、扶養親族のマイナンバーを記載した帳簿を備え付けていれば省略できます。
一番右にある「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」欄は、2か所以上から給与を受けている人が、他の給与の支払者へ「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している場合に丸をつけます。
主たる給与だけでは配偶者控除や扶養控除、障害者控除などを全額控除しきれない場合に提出するものです。
② 源泉控除対象配偶者の書き方
配偶者がいる場合に記入する欄です。本人の所得の見積額が900万円以下で、配偶者の所得の見積額が95万円以下の場合に記入します。配偶者の収入が給与だけであれば、給与収入169万円以下が目安です。
次の4つ全てに当てはまる場合に、配偶者控除を受けることができます。
- 民法上の配偶者であること(内縁関係にある人は該当しません)
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額が62万円以下(所得が給与のみの場合は給与収入が136万円以下)であること
- 青色事業専従者給与をその年を通じて一度も受け取っていないこと、または白色申告の事業専従者でないこと
合計所得金額が62万円超133万円以下(所得が給与のみの場合は給与収入が136万円超 207万円以下)の場合は、配偶者特別控除の対象になります。
いずれも、この申告書とは別に「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要です。
③ 源泉控除対象親族の書き方
16歳以上の控除対象扶養親族と、特定親族のうち所得の見積額が100万円以下の人を記入します。令和8年分から名称が「控除対象扶養親族」より変わり、記入する対象が広がりました。
控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち16歳以上で、次の要件をすべて満たす人です。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)であること。里子や養護を委託された老人も含む
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額が62万円以下であること
- 青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと
該当する場合は、年齢と同居の状況に応じてチェック欄を選びます。
| 区分 | 条件 |
|---|---|
| 一般の扶養親族 | 16歳以上 |
| 特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 |
| 同居老親等 | 70歳以上で、納税者またはその配偶者の直系尊属のうち常に同居している人 |
| 同居老親等以外の者 | 70歳以上で、同居老親等に該当しない控除対象扶養親族 |
同居老親等の「同居」は、同居を常況としていることが要件です。ケガや病気で一時的に入院している場合は、それが1年以上の長期にわたっても同居として扱います。
一方、老人ホームなどへ入所して住民票も移している場合は、老人ホームが居所となるため同居にはあたりません。
特定親族とは、19歳以上23歳未満で合計所得金額が62万円超123万円以下の親族です。配偶者、青色事業専従者として給与を受ける人、白色事業専従者は除きます。該当する場合は「特定親族」のチェック欄に印をつけます。
ただし年末調整で特定親族特別控除の適用を受けるには、別途「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出が必要です。所得が62万円以下であれば特定扶養親族となり、扶養控除の対象になります。
④ 障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生の書き方
障害者の書き方
本人、同一生計配偶者、扶養親族に障害者がいる場合に記入します。障害の程度によって、一般の障害者と特別障害者に分かれます。
対象になるのは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人、知的障害者と判定された人、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人、身体障害者手帳に障害がある人として記載されている人などです。
- 特別障害者:精神障害者保健福祉手帳の障害等級が1級、身体障害者手帳の障害の程度が1級または2級など
- 同居特別障害者:特別障害者のうち、本人や配偶者、生計を一にする親族と同居している人
チェックを入れたら、その下の欄に障害の状態や手帳の種類、交付年月日、障害の程度を記入します。判定に迷う場合は障害者手帳などの記載を確認してください。なお特定親族は扶養親族に該当しないため、障害者控除の対象にはなりません。
寡婦の書き方
寡婦控除は、本人の合計所得金額が500万円以下の女性が対象です。ひとり親に該当する場合は、そちらが優先されます。
該当するのは、次のいずれかに当てはまる人です。
- 夫と離婚した後に婚姻しておらず、扶養親族がいる人
- 夫と死別した後に婚姻していない人、または夫の生死が明らかでない人
事実上の婚姻関係と認められる人がいる場合は対象になりません。ここでいう「夫」とは、民法上の婚姻関係にあった人を指します。
ひとり親の書き方
ひとり親控除は、性別を問わず適用されます。本人の合計所得金額が500万円以下で、事実上の婚姻関係と認められる人がいないことが前提です。
加えて、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 現在婚姻していない人、または配偶者の生死が明らかでない人
- 生計を一にする子(総所得金額等の見積額が62万円以下)がいること
- その子が、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていないこと
寡婦控除とひとり親控除の両方の要件を満たす場合は、ひとり親控除が適用されます。重複して適用されることはありません。
勤労学生の書き方
本人が学生で、その年の12月31日において、次のすべてに該当する場合に記入する欄です。勤労学生控除を受けることができる場合、税金が安くなる可能性があります。
⑤ 他の所得者が控除を受ける扶養親族等の書き方
共働きなど、同じ世帯に所得者が2人以上いる場合に記入する欄です。
自分の扶養親族を他の所得者の扶養親族とする場合や、生計を一にする扶養親族を分けて控除を受ける場合に、その扶養親族の氏名や住所、控除を受ける所得者の情報を記入します。
長男は夫の扶養、長女は妻の扶養とするようなケースが該当します。
⑥ 住民税に関する事項の書き方
所得税の控除対象にならない16歳未満の扶養親族も、住民税の計算に使うためこの欄に記入します。平成24年1月2日以後に生まれた扶養親族が対象です。
- 16歳未満の扶養親族
平成24年1月2日以降に生まれた16歳未満の扶養親族がいる場合に、該当する扶養親族の情報を記入する欄です。 - 控除対象外国外扶養親族
16歳未満の該当する扶養親族が国外に住んでいる場合に、ここに〇を記入します。 - 退職手当等を有する配偶者・扶養親族
退職手当等の支払いがある配偶者、または扶養親族がいる場合に記入する欄があります。(ただし、退職所得を除く所得の見積額が133万円以下である人に限ります) - 寡婦またはひとり親
寡婦またはひとり親に該当する場合に記入する欄があります。(ただし、退職手当等の支払を受ける扶養親族を有する場合に限ります)
所得の見積額には退職手当の所得を除いて記入しますが、退職手当等の支払を受ける16歳未満の扶養親族の所得の見積額が62万円(退職手当の見積額を含む)を超える場合は、「16歳未満の扶養親族」欄は記載するのではなく、「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄に記入することに注意が必要です。
また、「控除対象外国外扶養親族」や「非居住者である親族」に該当する場合には、確認書類を令和9年3月16日までに提出しなければならない場合がありますので、詳しくは居住している市区町村に確認しましょう。
参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁、「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(裏面)」
扶養控除等申告書の提出方法と記載ミスを防ぐには?
従業員が記入して企業へ提出します。1年に1回の手続きのため、記入に迷う項目が出やすい書類です。
提出期限と変更があった場合
提出期限は、その年の最初の給与支払日の前日までです。中途入社の場合は、入社後最初の給与を受け取る日の前日までに提出してもらいます。
同じ年の間に記入内容へ変更があった場合は、変更の日後、最初に給与の支払いを受ける日の前日までに修正してもらいます。令和8年分については、12月からの所得要件の引き上げにより新たに扶養に入る親族がいる場合も再提出が必要です。
記載ミスを防ぐ工夫
見慣れない項目が多いため、担当者でも記載ミスが起こりやすい書類です。次の点に注意して確認しましょう。
- 記載漏れがないか、提出時に項目を追って確認する
- 扶養親族の年収や障害の状況を事前に確かめておく
- 不明な点は本人へ問い合わせ、速やかに修正する
年に1回しか行わない手続きのため、社内向けの記入マニュアルを用意しておくと、担当者が変わっても品質を保てます。法改正がある年は、変更点を反映したうえで配布しましょう。
扶養控除等申告書の記入例を確認して正確に提出しよう
扶養控除等申告書は、配偶者控除や扶養控除、障害者控除などを受けるために必要な書類です。給与の支払を受けるすべての従業員が対象で、提出がないと源泉徴収税額が高く計算されます。
令和8年分からは源泉控除対象親族の欄に特定親族のチェック欄が加わり、19歳以上23歳未満の区分が細かくなりました。
さらに12月からは扶養親族等の所得要件が引き上げられるため、新たに対象となる親族がいる場合は再提出が必要です。記入例と照らし合わせながら、欄ごとに内容を確認して提出しましょう。
よくある質問
扶養控除申告書の提出が必要な人は?
扶養控除申告書は、各種控除の確認書類ですので会社で年末調整を行う人は提出が必要です。副業・複業している人は年末調整を主たる給与の支払先で行いますので、年末調整を行う方の会社に提出してください。詳しくはこちらをご覧ください。
扶養控除申告書を提出しないとどうなりますか?
扶養控除申告書を提出していない場合は、通常の課税計算になりますので、源泉徴収額は申告書提出時よりも高額になります。詳しくはこちらをご覧ください。
扶養控除申告書の提出方法は?
扶養控除申告書は、該当の年の最初の給与の支払いを受ける日の前日まで(中途入社の場合は、入社後最初の給与の支払いを受ける日の前日まで)に関係する項目を記入した後、給与の支払者に提出してください。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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