- 更新日 : 2022年10月14日
年末調整はいつまで?1月でも大丈夫?時期と期限を確認
年末調整は、本年最後に給与の支払をする時に行うことになっていますが、状況によっては年末以外の時期に行われることがあります。それぞれの状況において、いつまでが期限かしっかり理解しておく必要があるでしょう。
ここでは、年末調整の実施時期や書類の提出期限のほか、特殊な場合の年末調整の実務についてご紹介します。
年末調整とは?
1年間の給与の税額が確定する年末に、その年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足を精算することを年末調整といいます。
年末調整は、原則として、勤務先へ「扶養控除等(異動)申告書」を提出している人で、1年を通じて勤務している人や、年の途中で就職し、年末まで勤務している人が対象となります。
年末調整の対象者を解説しているこちらのページから、より詳しい条件をご参照ください。
例外的に、年の途中で退職した場合でも、本人の死亡や心身障害が理由で辞めざるを得ず同一年内に再就職が難しい場合などは、年末調整の対象となります。
年末調整の全体の流れについて、文字ではなく動画で見たい方は以下の動画もご覧ください。
年末調整を行う時期
年末調整は、本年最後に給与の支払をする時に実施されます。
雇用者である勤務先は、税務署から送られてくる年末調整関連の書類が届き次第、手続きの準備を始めます。
特殊な場合の年末調整
以下の場合では、年末以外の時期に調整が行われることがあります。
2.被雇用者が日本国外の支店や子会社などに転勤した場合(出国時に年末調整を実施)
3.被雇用者が心身障害によって退職し、同年内に再度勤務に復帰するのが困難であり、かつ年度内に給与・報酬を受け取る場合(退職時に年末調整を実施)
4.12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した場合(退職時に年末調整を実施)
年末調整の期限はいつまで?
年末調整で控除ができるものは、勤務先に提出した「扶養控除等(異動)申告書」や「保険料控除申告書」など各種控除申告書に基づくものに限られます。ふるさと納税などに伴う寄附金控除や医療費控除、住宅ローン控除(2回目から年末調整で控除可能)、雑損控除等は確定申告で行うこととなります。
そのほか控除について詳しくは「年末調整で受けることのできる控除まとめ」をご覧ください。
法律上、年末調整の最終期限は1月31日となっていますが、本来この期限は年末調整の記入漏れや訂正による再年末調整のための期限となっており、多くの会社では年末調整に必要な書類を11月末か、遅くとも12月の頭の時期に提出するよう社員に呼びかけています。
年末調整のやり直し
年末調整の書類を勤務先に提出後、扶養家族に変更があった場合や書類に不備があった場合は、勤務先に年末調整のやり直しを依頼することができます。
この場合、訂正事項を報告し、受け取った源泉徴収票を返却します。所得税の再計算だけでなく、住民税に関する書類など、複数の書類を書き直す必要が生じるため、勤務先にとっては負担が大きくなります。
年末調整の内容に訂正や変更が生じた場合には、すみやかに勤務先の担当者に相談しましょう。
年末調整のやり直しについて、代表的な3つのパターンをこちらのページからご確認いただけます。
まとめ
年末調整後、提出書類に不備や記入漏れが判明した場合、年末調整のやり直しが可能です。会社の手続きの期限に間に合わなかった場合でも、納税者本人が確定申告することで、所得税の再計算をすることができます。また、医療費控除や寄附金控除といった、年末調整では申告できないものについても確定申告が必要です。
確定申告の期限は、還付の場合は5年間有効ですが、納付の場合は、翌年3月15日が期限です。書類の不備が無いよう、前もって準備しておくようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
年末調整の関連記事
新着記事
社宅の家賃相場はどれくらい?東京の相場や計算方法、税制上のメリットを解説
社宅制度は、企業が従業員に提供する福利厚生のひとつです。ただし、無償で提供すると給与として課税され、従業員の税制上の負担が増加してしまいます。適切な家賃設定は、従業員の満足度向上と企業のコスト面の効率化につながるでしょう。 本記事では、社宅…
詳しくみる一人暮らし向け社宅のメリット・デメリットは?導入のポイントを解説
一人暮らし向け社宅の導入は、企業と従業員双方に大きなメリットをもたらします。福利厚生の充実により企業イメージを向上し、採用活動が有利になります。従業員側にも転居手続きの簡素化やコスト軽減などがあげられるでしょう。 ただし、退職時の空室リスク…
詳しくみる退職者は算定基礎届が必要?対象者・書き方・記入例を紹介
退職者は基本的に算定基礎届の提出は必要ありません。ただし、退職日によっては届出の対象になる場合があり、誤った対応をすると年金事務所から指摘を受ける可能性があります。 本記事では、退職者の算定基礎届について解説します。基本的な記入例や対象者別…
詳しくみる算定基礎届を出さなかったらどうなる?リスクと対処法を解説
算定基礎届を出さなかったら、どのような影響があるのでしょうか。年に一度の重要な手続きである算定基礎届は、従業員の標準報酬月額を決定するために必要です。もし提出を忘れてしまった場合、さまざまなトラブルや不利益を招くことになります。 本記事では…
詳しくみる算定基礎届の提出期限はいつ?遅れた場合の対処法や提出方法を解説
算定基礎届は社会保険料を決定する大切な届出書で、毎年決まった時期の提出が必要です。提出方法には窓口での提出や郵送、電子申請などがあり、会社の規模やシステム環境によって選択できます。 この記事では、算定基礎届の概要や具体的な提出期限、遅れてし…
詳しくみる算定基礎届に残業代は含まれる?注意点と含まれる賃金について解説
算定基礎届は従業員の標準報酬月額を決定する重要な手続きで、残業代も反映されます。残業代の処理が不適切な場合、社会保険料や税金に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。 本記事では、算定基礎届における残業代の取り扱いや注意点を解説します。…
詳しくみる