
年末調整はやり直しができないと思っていませんか?
年末調整を行った後であっても、所得税額が変更されるような事情が生じた場合は、再度年末調整を行うことができます。
例えば、年末調整後に子どもが産まれたり、妻の給与が扶養控除の範囲を超えてしまったりした場合です。
今回は年末調整後にやり直しが必要なパターンや具体的な対応方法を紹介します。
年末調整後に扶養する子どもができた場合
出産予定日は年明けの予定だったにも関わらず、年内に子どもが産まれた場合は、いつまでにどのような対応を行う必要があるのでしょうか。
扶養親族がいる場合において適用することのできる控除に「扶養控除」がありますが、平成23年以降に適用される扶養控除は「16歳以上」という条件がつくようになりました。
したがって、年末調整を終えて12月31日までに扶養親族が増えたとしても、16歳以上でない限り扶養控除は適用されないため、年末調整を終えたあとに新生児が生まれたとしても、年末調整をやり直す必要はありません。
しかし年末調整を終えて年内に再婚し、16歳以上の連れ子を扶養することになった場合などは、扶養控除が適用できるため、年末調整をやり直す必要があります。
扶養親族が増えた場合、いつまでに年末調整担当者に連絡するのかが問題です。年末調整のやり直しは、年末調整を行った翌年の1月31日までとなっていますが、できるだけ早めに連絡しておくほうがよいでしょう。年末年始による会社の休業で連絡が年明けになってしまいそうな場合は、事前に年末調整担当者に事情を説明しておくようにしましょう。
あらかじめ状況を説明しておくことによって、会社の担当者もいつまでにどのような書類を用意すべきか準備しておくことができるだけでなく、年末調整のやり直しに伴う源泉徴収票の手配がスムーズに行うことができるようになります。
年末調整後に結婚することになった場合
年末調整後に結婚するパターンは、
2.本人が世帯主の配偶者となり、扶養されることになるパターン
3.扶養している家族が結婚し、扶養控除を外れるパターン
が考えられます。
1と2は、働いている社会人同士が結婚するような場合が考えられますが、お互いに配偶者扶養控除の給与収入150万円を超えていれば配偶者控除は適用できず、所得税は変わらないため、年末調整のやり直しをする必要はありません。
ただしパート収入150万円以下である妻が、正社員である夫の扶養に入る場合において年末調整後に結婚したとなれば、配偶者控除が適用されることになるため、年末調整のやり直しを行うことによって納税額が軽減されることになります。
3のパターンは、その年の12月31日時点では家族を扶養していないことになるため、納税額が増えることとなります。
扶養の判定は、12月31日の現況によって行うため、年末調整後に扶養の状況が変わる場合は、年末調整のやり直しが必要かどうか確認するようにしましょう。
年末調整後に妻が扶養の範囲を超えてしまった場合
年末調整の結果、妻が扶養の範囲を超えてしまう場合があります。
当初は妻を源泉控除対象配偶者として年末調整したけれど、実際には給与支給額が150万円を超えてしまった場合は配偶者控除ではなく配偶者特別控除が適用されることになるため、年末調整のやり直しが必要になります。
(注)源泉控除対象配偶者とは、合計所得金額が900万円以下の居住者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が85万円以下である人をいいます。
年末調整のやり直しは会社の年末調整担当者に連絡し、給与所得者の配偶者控除等申告書を翌年1月31日までに提出することによって行うことができます。
夫 | 妻 | |
---|---|---|
年末調整時の申告内容 | 妻を控除対象配偶者として年末調整を行う | 夫の源泉控除対象配偶者となるように年末調整を行う |
年末調整後、妻の給与が 150万円を超えてしまった | 妻の配偶者特別控除を適用するために年末調整のやり直しを行う | 手続き不要 |
まとめ
年末調整後にやり直しをする事情が生じた場合は、再度年末調整を行うことができます。
年末調整のやり直しができる期間は年末調整を行った年の翌年1月31日までとなっています。
手続きが間に合わなかった場合でも、年末調整を行った年の翌年3月15日までに確定申告を行うことによって修正することが可能です。年末調整後に扶養状況に変更があった場合は、早めに手続きするようにしましょう。
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