- 更新日 : 2025年7月3日
源泉徴収の計算方法と対象となる所得
わたしたちが払っている税金は、1年間の総収入から基礎控除や社会保険料などを差し引きした後、その残額に税率を掛けることにより計算されます。
一般的なサラリーマンの場合、勤め先の会社側が税額を計算するので給料からあらかじめ天引きされています。この天引きされた税額が源泉徴収です。
給与所得の源泉徴収税額表とは
給与から源泉徴収される額は、給与所得の源泉徴収税額表を使って計算します。
この税額表には「月額表」、「日額表」、「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」があります。給与が毎月支払われる場合(半月ごとや半年後などの給与の支払いも含む)は「月額表」、働いた日ごとに給与が支払われる、または1週間ごとや日割り計算で給与が支払われる場合は「日額表」が使われます。「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」は、ボーナスを支払う場合に用いますが、前月中に支払われる給与がない場合や、ボーナスが前月中の給与の10倍を超えている場合は、月額表を使用します。
税額表の「甲欄」「乙欄」「丙欄」について
所得税は、使用する税額表にある「甲欄」「乙欄」または「丙欄」を参照して税額を計算します。
給与を受け取る側が、その給与について配偶者控除や扶養控除、障がい者控除などの控除を受ける場合に提出する申告書は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と呼ばれ、この申告書が提出されている場合は「甲欄」を使用し、提出がない場合は「乙欄」を使用します。また、短期のアルバイトや日雇いに対する給与を支払う場合は「丙欄」を用いて計算して税額を求めます。
税額表を参照した給与等の金額
税額表を参照する際は、当該月または日分の給与の総額から厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料を差し引いた金額が使われます。
たとえば、給与所得者で扶養家族がいる場合、月額表の「その月における社会保険料等控除後の給与等の金額」から社会保険料等を差し引いた後の金額がある行を見つけます。
その金額がある行と、「控除対象配偶者」や「控除対象扶養親族家族の数」などの扶養者数をすべて加えて計算した数字に該当する税額表中の「甲欄」が交わったところにある金額が、源泉徴収される金額となります。
参考:国税庁|令和3年分 源泉徴収税額表

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出済みで配偶者がいる給与所得者の令和3年度分の源泉徴収税を例に見てみましょう。
この給与所得者の社会保険料等を差し引いた後の金額が月27万円の場合、給与所得の源泉徴収税の「月額表」の27万円を含む金額がある行と、「甲欄」の「扶養親族等の数」の「1人」が交わるところにある5,670円が源泉徴収税額となります。

源泉徴収の対象となる所得
- 源泉徴収の対象となる所得には、次のようなものがあります。
- 給料や賃金、賞与などの給与、役員や使用人に対する手当(残業手当や休日出勤手当、住宅手当など)※1
- 弁護士や税理士などへの報酬、原稿料など※2
- 公社債や預貯金などの利子
- 株式などから生じる配当
- 退職金
- 支払われた側に経済的利益を生む現物給与(無償または低価額で譲渡された物品や土地、家屋など)
※1 パートやアルバイトの税額も、一般の社員と同様、「給与所得の源泉徴収税額表」の「月額表」や「日額表」の「甲欄」または「乙欄」を使って計算されます。
※2 だれも雇っていない個人の場合、支払う報酬について源泉徴収は不要です。
源泉徴収で差し引かれた税金は、差し引いた側(源泉徴収義務者)によって税務署に納付され、対象となる給与などが支払われた月の翌月10日までに納付することになっています。
期限までに納付されない場合、源泉徴収義務者に延滞税や不納付加算税などのペナルティが課されることがありますので、十分な注意が必要です。
なお、給与等の支払いを受ける者が10人未満の場合、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄の税務署長に提出して許可を受けることにより、源泉徴収税の納付を2回(1月から6月までの分は7月10日が納入期限、7月から12月までの分は翌年1月20日が納入期限)に分けることが可能です。
源泉徴収税額表の見方を理解し、正しく所得税等を徴収しよう
毎月の給料から源泉徴収する所得税等の金額は、正確なものでなければいけません。もし間違えてしまうと、年末調整で多くの徴収が発生し従業員の負担になってしまう可能性があります。正しく所得税等を源泉徴収するためにも、源泉徴収税額表の見方をしっかりと理解しましょう。
よくある質問
毎月の給与から源泉徴収される額は、どのように計算しますか?
給与所得の源泉徴収税額表を使って計算します。 詳しくはこちらをご覧ください。
源泉徴収税額表の甲欄とは何ですか?
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員の源泉徴収税額の計算に使う欄です。 詳しくはこちらをご覧ください。
従業員から源泉徴収した所得税等は、いつ国に納めますか?
原則、給与などが支払われた月の翌月10日までに納付することになっています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
一人親方の社会保険加入は義務?判断のポイントを解説!
建設業などで独立して一人親方になる場合、運転資金、事務所、作業車などは、事前準備の段階で比較的しっかりと手配できているものです。しかし、それに加えて重要な社会保険についてはおざなりにされ、未加入の傾向があります。一人親方は個人事業主である一…
詳しくみる医療費が高額になったらどうする?社会保険の使用や自己負担割合を解説!
社会保険の医療費は3割負担です。入院や手術などの高額な医療費は、自己負担限度額を超えると高額療養費として返金を受けることができます。さらに、特定の疾病に罹患した場合は、自己負担額の一部または全額を助成する医療費助成制度を利用することも可能で…
詳しくみる介護保険料の計算方法は?第1号・第2号被保険者の違いや保険料の取り扱いについて解説
介護保険法では、介護保険被保険者のうち、65歳以上の方を「第1号被保険者」、40歳から64歳以下の公的医療保険加入者を「第2号被保険者」と定めています。第1号被保険者と第2号被保険者とでは介護保険料の決定方法や納付方法が異なります。 本稿で…
詳しくみる扶養手当とは?支給条件や金額、家族手当との違いについて解説
扶養手当とは、企業が福利厚生の一環として、扶養家族のいる従業員に対して支給する手当のことです。本記事では扶養手当の金額の相場や支給条件、家族手当との違いを解説します。また、育休中や離婚したとき、ひとり親への対応についてもお伝えします。近年、…
詳しくみる厚生年金の加入条件とは?加入義務のある対象企業や加入手続きを解説
法人ならびに常時5人以上の従業員がいる個人事業主は、厚生年金保険に加入する義務があります。また個人事業主は、適用業種で常時5人未満の場合および適用業種以外の場合は、任意適用事業という種類に分類されます。 ここでは、厚生年金保険の対象となる適…
詳しくみる労災保険の特別加入とは
労災保険は、基本的に労働者を保護するための保険ですが、労働者に準じて保護することがふさわしい者については特別に、任意加入することができます。それが、特別加入制度です。今回は、労災保険に特別加入できる対象範囲について解説していきます。 特別加…
詳しくみる