• 更新日 : 2026年9月8日

年末調整時期に無職の場合は?還付を受ける手続き解説

PDFダウンロード
Point年末調整時期に無職なら還付の受け方は?

年末調整を受けられないため、払い過ぎた所得税は翌年の確定申告で取り戻せます。

失業給付そのものに税金はかかりません。年内に再就職した場合は、転職先の年末調整で精算されます。

年末に会社に勤めている場合には、その年の最後の給料のときに年末調整が行われます。一方で、年末調整時期に無職の場合には、年末調整が行われないため、その年に収入を得ていたとしても、税金の還付を受けることができません。

税金の還付を希望するときには、確定申告を行いましょう。
ここでは、年末調整時期における無職の方へのさまざまな注意事項を解説します。

無職の場合も確定申告は必要

年末に無職の場合、その年に何らかの給与所得を得ていても、会社による年末調整が行われないため、税金を払い過ぎたままになってしまう可能性があります。

その年の収入が1円もない人は、納税する義務が生じないため、確定申告をしなくても問題ありませんが、数万円でも収入があって、その収入から源泉徴収されている人は、税金の還付を受けるために確定申告を行いましょう。

会社を辞めてすぐの無職の場合

会社を辞めると、当然のことですが、会社が年末調整の手配をしてくれません。そのため、会社員時代に給与から源泉徴収されていた税金が過払いであった場合でも、そのままになってしまいます。

会社を辞めて無職になったことで収入が減った場合には、税金が還付される可能性が高くなります。なぜなら、源泉徴収の額は、毎月の給与が1年間継続するものとして計算されているため、年の途中で退職した場合、源泉徴収税額が過大となるからです。

そのため、会社を辞めた年の分は、翌年に自分で確定申告をすることをおすすめします。

確定申告には、会社に勤めていたときの給与額および源泉徴収額が載っている「源泉徴収票」が必要となります。会社を辞めるときに、会社から離職票と一緒に配布されていることが多いものですが、もし渡されていない場合には、会社に請求すると発行してくれます。

また、会社を辞めると、自分で確定申告をしないと、これまで会社が年末調整のときに行ってくれていたさまざまな控除(生命保険料控除住宅ローン控除など)を受けることができませんので、注意が必要です。

確定申告が必要かどうかを自分で判断できない場合には、所轄の税務署に相談しましょう。

参照:No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき|国税庁

失業期間中にアルバイト収入を得た場合

次の仕事が決まらず、失業期間中にアルバイトで収入を得て、かつ源泉徴収されているなら、確定申告をした方がよいでしょう。納め過ぎた分が戻ってくる可能性があります。

一方で、失業期間中となった後にアルバイトなどの収入があって、源泉徴収がされていない場合、税金を納めていないことになります。ただし、収入額が多くない場合は、納税義務が免除されることがあります。

収入金額が多くない場合は、納税義務は生じません。したがって、確定申告をする必要もありません。

また、給与以外に副業などの所得があり、その合計が20万円を超える場合は確定申告が必要です。20万円以下でも、還付を受けたいときは申告できます。

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

年内に再就職した場合は転職先で年末調整

中途退職した同じ年に再就職した場合は、新しい勤務先が前の勤務先の給与を含めて年末調整をします。この場合は年末調整で納め過ぎが解消されるため、原則として自分で確定申告をする必要はありません。

転職先には、前職の源泉徴収票を提出します。前職の給与と天引きされた所得税を合算しなければ、その年の税額が確定しないためです。手元にない場合は、早めに前の勤務先へ交付を依頼しましょう。

ただし、源泉徴収票が転職先の年末調整に間に合わないこともあります。その場合や、12月31日時点でどこにも在籍していない場合は、翌年に自分で確定申告をして精算します。

失業給付は収入に含めない

雇用保険の失業給付(基本手当)には、所得税も住民税もかかりません。雇用保険法では、失業等給付として受け取った金銭を標準として租税その他の公課を課すことができないと定められています。

確定申告の際も、失業給付は所得に含めずに計算します。受給額が多いからといって、確定申告が必要になったり還付額が減ったりすることはありません。

注意したいのは、健康保険の被扶養者になれるかどうかの判定では、失業給付が収入として扱われる点です。税法上の扱いと基準が異なるため、家族の健康保険に入る予定がある場合は、加入先の健康保険組合や協会けんぽに確認しておくと安心です。

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

年末調整で従業員がやりがちな8つの間違い

年末調整で従業員がやりがちな8つの間違い

年末調整で従業員の方々がやりがちな8つのミスをとりあげ、正しい対応方法についてまとめました。

年末調整業務をスムーズに完了させるための、従業員向けの配布資料としてもご活用いただけます。

無料ダウンロードはこちら

扶養控除等申告書 取り扱いガイド

扶養控除等申告書 取り扱いガイド

扶養控除等申告書は、毎月の源泉徴収事務や年末調整の計算をするうえで必要不可欠な書類です。

扶養控除等申告書の基礎知識や具体的な記入方法、よくあるトラブルと対処方法などをわかりやすくまとめたおすすめのガイドです。

無料ダウンロードはこちら

年末調整業務を効率化するための5つのポイント

年末調整業務を効率化するための5つのポイント

「毎年年末調整のシーズンは残業が多くなりがち…」、そんな人事労務担当者の方に向けて年末調整業務をスムーズに行うためのポイントをまとめました。

スケジュールや従業員向け資料を作成する際の参考にしてください。

無料ダウンロードはこちら

年末調整のWeb化、業務効率化だけじゃない3つのメリット

年末調整のWeb化、業務効率化だけじゃない3つのメリット

年末調整のWeb化=業務効率化のイメージが強いかもしれませんが、実際には労務担当者にしかわからない「もやもや」を解消できるメリットがあります。

この資料ではWeb化により業務がどう変わり、何がラクになるのかを解説します。

無料ダウンロードはこちら

退職金も課税対象となる

会社を辞めたときにもらう退職金、企業年金制度から支払われる退職一時金にも、税金がかかります。

退職所得、控除額、税額の計算方法

退職金や退職一時金は「退職所得」に分類され、給与所得や不動産所得などの他の所得とは別に課税されることになっています。これは、退職金と他の所得が合算されて所得金額が大きくなり、累進税率によって税額が多額になってしまうことを避けるためです。

課税対象となる退職所得の金額は、以下の計算式で算出することができます。

退職所得=(源泉徴収される前の収入額-退職所得控除額)×2分の1

この退職所得に一定の税率を掛けることによって、所得税額の算出が可能です。

さらに、退職所得控除額は、以下の計算式から求められます。

  • 勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
  • 勤続年数が21年以上の場合:800万円+70万円×(勤続年数から20年を引いた年数)

※勤続年数に1年未満の端数がある場合には、1年に切り上げて計算します。

参照:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

勤続年数が短い場合は計算が変わる

勤続年数が5年以下の場合、退職所得の計算で2分の1をかける扱いが制限されます。前述の計算式をそのまま当てはめられないことがあるため、注意が必要です。

役員等以外として勤務した期間が5年以下の人が受け取る退職金は「短期退職手当等」と呼ばれます。この場合、収入金額から退職所得控除額を差し引いた額のうち300万円を超える部分には、2分の1をかける計算が適用されません。令和4年1月1日以後に支払われる退職手当等から適用されています。

また、役員等としての勤続年数が5年以下の人が受け取る「特定役員退職手当等」には、2分の1をかける計算そのものがありません。短期間で退職して退職金を受け取った場合は、退職金の額と勤続年数を確かめたうえで計算しましょう。

参考:No.2740 勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等(短期退職手当等)|国税庁

「退職所得の受給に関する申告書」の提出について

退職金を受け取った人が確定申告をする必要があるかどうかは、この申告書を勤務先に出しているかどうかで分かれます。

提出していれば確定申告は原則不要

退職金が支払われるときに「退職所得の受給に関する申告書」によって手続きを済ませている人は、基本的には確定申告の必要はありません。会社が上述の計算式に従った正規の所得税額を源泉徴収してから、支払ってくれるからです。

この申告書は、退職手当等の支払を受けるときに勤務先へ提出します。税務署へ送るものではなく、勤務先で保管される書類です。

なお、退職所得以外の所得について確定申告をする場合でも、退職所得を申告書に含めるかどうかは状況によって変わります。医療費控除や社会保険料控除などで還付を受けるときは、あわせて確認しておきましょう。

提出しなかった場合の源泉徴収

「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった人は、退職金に20.42%の税率を乗じた金額が源泉徴収されます。この場合は年末調整されることはありませんから、受給者が確定申告をすることによって、源泉徴収された税額を精算して還付を受けることになります。

20.42%は、所得税と復興特別所得税を合わせた税率です。令和9年1月からは復興特別所得税の税率が1.1%に下がり、あらたに防衛特別所得税1%が加わりますが、合計の付加税率は変わらないため、この税率も据え置かれます。

退職所得控除を差し引かずに計算された金額が源泉徴収されているため、確定申告をすれば多くのケースで税金が戻ります。退職所得の源泉徴収票を用意して手続きしましょう。

参照:A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁

確定申告で還付を増やすにはどうする?

無職の期間があっても、その間に支払ったものが控除の対象になる場合があります。還付額を左右するのは、申告できる控除をもれなく拾えるかどうかです。

無職期間に納めた国民年金や国民健康保険料

退職後に自分で納めた国民年金保険料や国民健康保険料は、全額が社会保険料控除の対象になります。無職の期間があるほど、申告する金額が大きくなりやすい部分です。

会社を辞めると厚生年金保険や健康保険から抜け、国民年金の第1号被保険者となり、国民健康保険にも加入するのが原則です。この期間に納めた保険料は、確定申告で社会保険料控除として申告できます。

国民年金保険料については、日本年金機構から届く控除証明書を添付します。国民健康保険料は証明書が送られてこないため、納付通知書や領収証書で年間の合計額を確認しましょう。生計を一にする家族の分を負担した場合も、支払った本人が控除を受けられます。

参照:No.1130 社会保険料控除|国税庁

確定申告が不要でも住民税の申告はしておく

所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告はしておくと安心です。所得がないことを自治体に伝える手続きとして機能します。

住民税の申告がないままだと、所得の状況が自治体に伝わりません。国民健康保険料の軽減判定や、各種の証明書の発行に反映されるため、本来受けられる軽減を受けられないケースがあります。

手続きの窓口や必要書類は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の案内を確認しましょう。なお、確定申告をした場合は、その内容が自治体に共有されるため、住民税の申告を別に行う必要はありません。

還付申告は5年間さかのぼれる

還付申告は、退職した年の翌年1月1日から5年間提出できます。確定申告の期間である2月16日から3月15日を待つ必要はありません。

年が明けたらすぐに提出でき、過去の年分の申告漏れに気づいた場合でも、期間内であれば手続きできます。前の年に退職したまま申告していない人は、さかのぼって還付を受けられないか確かめてみましょう。

ただし、必要書類がそろい次第、早めに済ませるほうが安心です。前職の源泉徴収票や各種の控除証明書は、なくさないよう保管しておきましょう。

参照:No.2030 還付申告|国税庁

会社を辞めたら自ら手続きをしましょう

年末調整の時期に無職の場合は、税金を還付してもらうために、確定申告をする必要があります。ただし、その年に自分が得た収入によって、確定申告に必要な書式や資料は異なります。

とくに令和8年(2026年)分は基礎控除給与所得控除が引き上げられており、年内に退職して無職のままの人は、確定申告をしないとその引き上げ分が反映されません。無職であっても、確定申告をする可能性があることを心得て、年末調整の時期には然るべき準備を行いましょう。

PDFダウンロード

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事