- 更新日 : 2024年12月6日
交通費申請書(交通費精算書)の書き方をテンプレートをもとに解説
出張や営業活動などに出向く際には、しばしば交通費の立て替えが生じます。立て替えた交通費を精算するために、交通費申請書の作成が必要となります。この記事では、交通費申請書の作成方法や記載事項などについて解説します。
目次
交通費を精算する流れや申請書の書き方
社員が業務のために立て替えた交通費の精算には、交通費申請書の作成が必要です。
具体的には、交通費を立て替えた社員が交通費申請書を直属の上司に提出し、承認をもらいます。その後、経理担当者からその適正が確認されると、経費として精算されることになります。精算は1ヶ月ごとに行われることが多く、会社ごとに所定の様式が用意されていることが一般的です。
精算方法には小口現金と銀行振込があり、どの方法で精算するかは会社によって異なります。
交通費申請書を作成する際には、「〇〇線〇〇駅~〇〇線〇〇駅(〇〇駅乗換)往復」など乗り換えや往復に関する情報も記載が必要です。
また、複数のルートがある場合には利用金額を特定するのが困難になるため、金額も具体的に記載する必要があります。その際には、片道の金額を記載するとより正確です。
交通費申請書のテンプレート・ひな形(エクセル)
交通費申請書を作成する場合には、テンプレートやひな形を用意しておくと便利です。交通費申請書のテンプレートについては、以下のページを参照してください。
交通費申請書の記入例
交通費申請書には、以下の項目が必須となります。
- 氏名
- 日付
- 交通機関
- 利用区間
- 金額
- 利用目的
まず、氏名は誰の申請かを確認するために必要な事項です。
日付については、経費として認められるべきものか適正さを確認するために必要な情報です。同時に、税率の変動や料金の改定などがある場合に正確に情報を反映するためにも必要となります。
交通機関および利用区間については、具体的な路線名や駅名もしくは停留所名を記載する必要があります。
このほかにも、使用するテンプレートによっては以下のような項目が必要となる場合があります。
領収書欄
交通費を支払った際に領収書を受け取った場合は添付します。領収書欄に領収書を添付することで、より正確な情報を記載できます。
領収書は必ずしも求められるとは限りません。詳細は後述します。
片道/往復選択
さらに金額や交通機関の記載に際し、重要となるのが片道か往復かの選択です。
必ずしも行きと帰りで同一のルート、交通機関を利用するとは限りません。そのため、正確な情報を記載するために片道/往復の選択も踏まえつつ記載する必要があります。
明細
会社によっては「交通費請求明細書」として、取引先や利用した交通機関など詳細な情報を求められる様式を採用している場合があります。
様式をあらかじめ確認しておくと、交通費を立て替えるときにそろえるべき情報や資料がわかるので精算がスムーズになるでしょう。
交通手段別の申請書の書き方
交通手段ごとに、申請書の書き方は異なります。それぞれの書き方のルールを把握し、社員に説明できるようにしておくとよいでしょう。
ここでは、交通手段別に、経費の考え方や書き方を解説します。
タクシー
タクシーは領収書の発行を請求できるため、受け取って交通費精算書に添付するのが一般的です。
確認する際は、領収書と交通費精算書の額が一致しているかチェックが必要になります。
タクシーは高額になるため、利用制限を設けることも必要になるでしょう。利用できる距離の上限設定や、長距離は電車で移動するといった決まりの設定が必要です。
バスや電車
バスや電車は高速バスや新幹線などを除き、領収書が発行されません。そのため、申請書には詳細な内容の記載が必要です。利用した交通機関名や路線、乗り換えルート、金額などの詳細を記載します。行きと帰りで別の交通機関を利用した場合は、それぞれの記載が必要です。
運賃の正誤については、路線検索を利用して確認ができます。確認作業を効率的に行うためには、よく利用する路線やルートの運賃について、一覧表にまとめておくなどの対策も必要になるでしょう。
飛行機・特急・船舶
飛行機・特急・船舶を利用する場合、費用が高額になる可能性が高いため、あらかじめ条件を詳細に設定しておくことが必要です。
また、特急のグリーン車、飛行機のビジネスクラスなど、役職により利用できるクラスが異なる場合は、その点も明確にしておかなければなりません。
飛行機は、マイルを利用して予約すると領収書の発行ができない点にも注意が必要です。
自家用車・社用車
車の利用は、自家用車と社用車で経費の取り扱いが異なります。社用車の場合、基本的に乗車目的はすべて業務のためと考えられるため、ガソリン代全額を経費として精算できます。
一方、家用車は私用で使用することもあるため、経費の精算にはルールの設定が必要です。一般的に、仕事での走行距離をもとにガソリン代を精算します。
車によって燃費が異なり、ガソリン代は日々変動するため、あらかじめ1kmあたりの金額を設定しておくとよいでしょう。
交通費申請書に領収書の添付は必要か
税法上、交通費申請書について領収書の添付は必須とはされていません。
しかし、交通費の精算は正確に行われなければならず、実際に立て替えた金額よりも多く会社に請求することがあってはなりません。そのような事態を避けるためには、営業や出張で実際に利用した交通機関において作成された領収書を添付することが重要となります。
電車やバスなどの公共交通機関では、領収書はこちらから求めなければ発行されないことがほとんどです。また路線バスは会社によって領収書の発行方法が異なるため、購入する前に確認しておく必要があります。
近年はSuicaやPASMOなどの交通系ICカードを利用できる交通機関が増えています。交通系ICカードは利用明細が発行できるため、電車やバスを利用する場合は交通系ICカードによる支払いで統一しておくと便利です。
交通費申請書を作成する際のチェックポイント
交通費申請書を作成する際は、定期区間が除外されているか、最適なルートが選択されているかなどのチェックが必要です。
申請書作成のチェックポイントをみていきましょう。
定期区間が除外されている
会社が通勤定期代を支給している場合は、交通費申請書のルートから定期区間が除外されているかの確認が必要です。定期区間が含まれている場合は、すでに支給している通勤定期代と二重の支給になってしまいます。
申請されたルートと定期区間との重複チェックは、担当者にとって大きな負担となるでしょう。重複による差し戻しが発生しないよう、定期区間を除外するというルールを社員に周知しておくことが大切です。
最適なルートが選択されている
申請書には、最適なルートが選択されているかもチェックが必要です。目的地まで最短のルート・最低運賃になっているか、確認します。
ただし、事情によっては最短でのルートではなくても認められるケースがあります。たとえば、顧客から連絡が入ったためにルートを変えて訪問したり、電車が止まって迂回が必要になったりした場合です。また、打ち合わせの時間に間に合わないため、料金が高くなるものの早く着くルートを選んだというケースもあるでしょう。
そのため、最適のルート・最低運賃を原則にしつつ、最低運賃とは異なる金額での申請になる場合は、申請時に事情を明記するルールを設けておくと、チェックもスムーズになります。
税率・勘定科目が適切
バスや電車、タクシーなどの運賃は基本的に税込のため、金額に消費税率の10%を加算していないか注意が必要です。
また、1枚の交通費申請書に複数の領収書がある場合は計算ミスが発生しやすいため、二重チェックが必要になるでしょう。
勘定科目にも注意しなければなりません。勘定科目は、その費用を「何のために使ったか」によって決定します。たとえば、取引先の接待のためにタクシーを使用した場合は、旅費交通費ではなく「交際費」です。
社員旅行や親睦会のために交通機関を利用した場合は、「福利交通費」を使います。研修やセミナーへの参加する場合の勘定科目は、「研修費」です。
間違った勘定科目で仕訳をしないよう、注意してください。
交通費の精算は会社のルールを事前に確認
交通費の精算は、交通費申請書を作成したうえで直属の上司の承認をもらい、経理のチェックを経て行われます。
その際に、交通費申請書には、氏名、日付、交通機関、利用区間、金額、利用目的を必ず記載しなければなりません。また、より正確に情報を反映するためにも領収書の添付が必要な場合があります。
交通費の精算にあたっては、様式や必要な資料など、会社によってルールが異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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