• 更新日 : 2023年12月18日

消費税とは?計算方法や使い道を分かりやすく解説

消費税とは?計算方法や使い道を分かりやすく解説

消費税は、商品やサービスの販売・提供に対してかかる税金で、年金、医療費、介護、少子化対策などに使用されている税金です。

消費税の計算は、標準税率10%の場合は【商品価格×1.1】で、軽減税率8%の場合は【商品価格×1.08】で税込み価格が求められます。

消費税の納税額の計算方法については、一般課税と簡易課税で2種類の計算方法があります。

当記事では、消費税の仕組みや計算方法について、図解を用いて分かりやすく紹介します。

消費税とは

消費税とは商品や製品を購入したり、サービスを受けたりする際にかかる税金です。消費をするときに消費をする人が平等に負担する税金であるため、誰もが馴染みのある税金といえるかもしれません。そのため税率が変わると、広く影響が及びます。

消費税の仕組み

商品や製品などは一般的に生産や製造をする業者、流通業者、小売業者の手を渡って消費者の手元に届きます。手から手に渡る中間の取引では消費税が発生します。消費税はこの中間の取引段階で、税が二重三重に累積しないような仕組みになっています。

具体的には事業者は売上げに係る消費税額から、仕入れに係る消費税額を差し引きその差額を納付するルールになっています。この仕組みを図解すると次のとおりです。
消費税の仕組み

上の図では卸売業者は製造業者から仕入れをする時に「5,000円+消費税500円」を支払っています。その後、卸売業者は小売業者へ「7,000円+消費税700円」で製品を売っています。

この場合、卸売業者は売上に係る消費税700円から仕入れに係る消費税500円を差し引き、差額の200円を納付することになります。

消費税の特徴として負担者と納税者が異なる「間接税」であるという点が挙げられます。

直接税と間接税の違い(消費税の負担者と納税者)

直接税と間接税の違い(消費税の負担者と納税者)

税金の徴収方法には、「直接税」と「間接税」の2種類があります。

直接税
税金を納める人と税を負担する人とが同じである税金のことです。直接税は納税者が直接手続きをして納めます。

代表的なものとしては、所得税・法人税・相続税・住民税・贈与税・事業税などが直接税です。

間接税
税金を納める人と税金を負担する担税者が異なります。

身近な税金で言えば、消費税・酒税・たばこ税・入湯税・印紙税などが該当し、担税者が支払った税金は納税義務者が代わり納税します。

買い物の際に消費者が消費税を支払いますが、支払った税金は消費者ではなく納税義務者が代わりに納めるため、消費税は間接税です。

消費税の仕組み

先ほどの図↑で見ると、消費者は10,000円の製品に対して1,000円の消費税を小売業者に支払っています。小売業者は売上にかかる「消費税1,000円-仕入れに係る消費税700円の差額300円」を納税し、卸売業者は同様に差額の200円、製造業者は仕入れがないため売上にかかる消費税500円を納税しています。

このように消費者が最終的に負担した消費税を、生産や流通、販売などを行う事業者がそれぞれ預かって、それぞれ納付する仕組みです。

消費税の簡単な計算方法

消費税にまつわる計算式を下記にまとめました。

①消費税”込み”の計算方法
10%の場合商品価格×1.1
8%の場合商品価格×1.08
②”消費税額”の計算方法
10%の場合商品価格×0.1
8%の場合商品価格×0.08
③消費税”抜き”の計算方法
10%の場合税込の商品価格÷1.1
8%の場合税込の商品価格÷1.08

なお、「消費税の納付税額」の計算式は、こちらの見出しで解説しています。

消費税の端数処理について

総額表示をするときの小数点以下の端数処理の方法として、切り捨てや切り上げ、四捨五入のどれを選択するかは、事業者に委ねられています。

事業間での取引でも同様です。

出典:財務省「総額表示に関する主な質問」

消費税の使い道

消費税の使い道

引用:消費税の使途に関する資料|財務省

消費税は、景気の変化に左右されにくく税収が安定していることや、特定の人に負担が集中しないことからも中立的です。そのため、社会保障の財源を調達する手段として消費税は増税され、社会保障の充実と安定のために使われています。

また、消費税引き上げの理由は、安定的な社会保障の財源を確保するためです。

社会保障とは、個人では対応できないリスクに対して社会全体で助け合う仕組みです。病気・出産・失業・介護・貧困などに対し一定の生活が保障されるように、社会保障制度でサポートされています。

社会保障費は基本的に保険料でまかなわれています。しかし、少子高齢化が進む中で、働く現役世代だけでは保険料がまかないきれず、多くを税金や借金に頼っている厳しい状況です。

消費税と地方消費税の違い

消費税と地方消費税の違い

消費税は国に納める国税、地方消費税は都道府県や市区町村に納める地方税です。

消費税は年金、医療費、介護、少子化対策に使われます。地方消費税はこれに加えて、都道府県や市区町村が行う社会保障施策全般に使われます。

消費税率10%のうち消費税率7.8%、地方消費税率2.2%、軽減税率の消費税率8%のうち消費税率6.24%、地方消費税率1.76%です。消費税と地方消費税はどちらも管轄の税務署で納付できます。

日本の消費税の歴史

日本の消費税の歴史(推移)

日本で初めて消費税が導入されたのは、1989年4月でした。このときの消費税率は3%です。

当時の日本は、世界に例を見ないスピードで高齢化社会へと進みだしたころでした。先細る歳入に対して、医療費や社会保障費は急速に増していくという見通しが、社会全体に強い危機感を与えていました。このような時代背景があり、医療や福祉のための財源確保を目的とした消費税が導入されました。

その後、消費税は1997年4月に5%、2014年4月に8%と時代とともに増え、2019年10月には10%(軽減税率8%)へと増税されることになります。

2021年4月:総額表示の義務化

10%に増税された後の2021年4月からは、総額表示が義務化となりました。総額表示とは事業者が消費者に対して商品や製品の販売、サービスの提供などを行うときの価格の表示について、消費税を含めた表示を行うという制度です。例えば、本体価格「1,000円」の商品に値札をつける際や、チラシなどの広告に表示する際には「1,100円」といった税込み価格で表示します。

総額表示は2004年4月から義務付けられていましたが、2度目の増税の2013年10月から条件付きで税抜き価格を表示してもよいという特別措置法が施行されました。この条件とは「1,000円(税別)」というように、税別であることを明確化する総額表示でなくてもよいというものです。

2021年3月末にこの特別措置法が失効したため、再び総額表示が義務づけられ、全ての事業者が対応することになりました。

世界の国の消費税はどれくらい?

日本では1989年から消費税が導入されましたが、ヨーロッパではすでに消費税と同じような税制である「付加価値税」が導入されていました。

財務省の「消費税など(消費課税)に関する資料」によると、2023年1月現在の諸外国における付加価値税率(消費税率)の平均は17.6%です。

最も消費税の税率が高いのがハンガリーで27%、続いて25%のクロアチア・デンマーク・ノルウェー・スウェーデンが並びます。上位にヨーロッパ諸国が並び、10%の日本を含め、アジア各国は平均の税率より低い傾向です。

出典:財務省「消費税など(消費課税)に関する資料」

消費税の納税額の計算方法

消費税の納税額の計算方法

消費税額は原則、売上にかかる消費税額から仕入などにかかる消費税額を差し引いて計算します。

消費税の計算方法には、①すべての取引を集計して計算する一般課税と、②課税売上だけを集計して納税額を計算する簡易課税の2通りの計算方法があります。

簡易課税は期間の売上高が5,000万円以下であることが条件で、事業年度開始前に税務署に届出をする必要があります。

①一般課税の場合

一般課税は、原則課税とも言われる、原則の消費税算定方法です。計算式は以下の通りです。

納付税額=
(1)売上にかかる消費税額-(2)仕入などにかかる消費税額 

消費税の税率には、標準税率と軽減税率の2種類があります。

標準税率は国税の消費税率7.8%と地方消費税率2.2%の合計10%、軽減税率は国税の消費税率6.24%と地方消費税率1.76%の合計8%です。

複数税率の場合、売上にかかる消費税額と仕入などにかかる消費税額は、それぞれの税率ごとに計算して合算する必要があります。

一般課税による消費税納付税額の計算方法は、以下の通りです。

(1)売上にかかる国税の消費税額の計算方法
売上により消費者から預かっている消費税のうち、国税で納める消費税を計算します。

売上税額=
(標準税率の対象となる税込売上額×7.8/110)
(軽減税率の対象となる税込売上額×6.24/108)

(2)仕入などにかかる国税の消費税額の計算方法
仕入などにかかった消費税のうち、国税で納めた消費税の計算です。

仕入税額=
(標準税率の対象となる税込仕入額×7.8/110)+(軽減税率の対象となる税込仕入額×6.24/108)

(1)で求めた金額から、(2)で求めた金額を差し引いた金額が年間で納める国税になります。

地方消費税額の計算方法は下記の通りです。

地方消費税額の計算方法
(3)で算出した年間で収める国税の消費税額に、22/78を乗じた金額が地方消費税になります。

これは、消費税で納める10%のうち、7.8%が国税、2.2%が地方税にあたるためです。

国税、地方税のそれぞれで求めた消費税額から、中間申告で前払いした中間納付税額を差し引くことで、確定申告で納める税金が算出できます。

出典:国税庁「No.6351 納付税額の計算のしかた」「No.6102 消費税の軽減税率制度」

②簡易課税の場合

簡易課税は「課税売上×みなし仕入れ率」で仕入控除税額を計算する方式です。

事業者の選択で、売上にかかる消費税額を基礎として、仕入にかかる消費税額を算出します。

具体的には、売上税額に事業区分により設定されている「みなし仕入率」を乗じて算出した金額を仕入税額として、売上税額から控除する仕組みです。

仕入税額(仕入控除税額)の計算方法は、以下の通りです。

仕入税額(仕入控除税額)=
(課税標準額に対する消費税額-売上にかかる対価の返還等の金額にかかる消費税額)
×みなし仕入率 

事業区分ごとに設定されている、みなし仕入率の割合は以下の通りです。(事業者の売上活動全体ではなく、事業ごとに判断していくことになるため注意が必要です。)

事業区分みなし仕入率
第1種事業(卸売業)90%
第2種事業(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る))80%
第3種事業
(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業)
70%
第4種事業
(第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業)
60%
第5種事業
(運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く))
50%
第6種事業(不動産業)40%

引用:国税庁「No.6505 簡易課税制度」

簡易課税制度の適用を受けたい事業者は、課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。

なお、基準期間での課税売上高が5,000万円を超過する場合は、その課税期間は簡易課税制度の適用はありません。法人の場合の基準期間は前々事業年度で、個人事業主の場合の基準期間は前々年です。

※インボイス制度対応の2割特例について

2割特例

免税事業者が2023年10月1日~2026年9月30日の期間にインボイス制度に対応した場合、その課税期間中の消費税額は売上税額の2割にできるという特例が設けられています。

2割特例は、一般課税と簡易課税のどちらを選択している場合でも、適用が可能です。もし、簡易課税制度の適用を受けるための届出書を提出していた場合でも、申告の際に2割特例を適用できます。

出典:2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁

課税対象となる取引とならない取引

日本国内で事業として対価を得て行う取引は、ほぼ課税の対象になります。ただし、消費税の性格と合わない取引や、社会政策的な配慮がされている取引など、非課税とされている取引もあります。

課税対象となる取引

日本国内で事業者が事業として対価を得て行う次の取引は、消費税の課税対象です。事業者は法人、個人事業主どちらも対象です。

資産の譲渡
売買や交換などにより、資産の所有権を他の人に移す取引を指します。
資産の貸付け
事務所の賃貸借や自動車のレンタルといった、形のあるものを貸付ける取引のほか、特許権やノウハウなど、形のないものを使用させることにより対価を得る取引も指します。
役務の提供
いわゆる他人のために技術や技能、知識などを使って対価を得る行為を指します。いわゆるサービスの提供で、工事や運送、飲食、宿泊から、弁護士やスポーツ選手まで、すべて役務の提供が挙げられます。

また、外国から商品を輸入する取引も消費税の対象となります。この場合事業者であるかどうかは問いません。

事業として行わない一般消費者も納税義務者になります。

課税対象とならない取引

課税対象となる要件に当てはまらない取引です。日本国外の取引、事業以外の取引、対価を得ずに行う取引は、課税対象には該当しません。

給与や賃金
労働の対価であり、事業の対価ではないため、課税の対象にはなりません。
寄附金や祝金、見舞金、補助金
そもそも対価ではないため、課税の対象にはなりません。
保険金や共済金
資産の譲渡による対価ではないため、課税の対象にはなりません。
株式の配当金やその他の出資分配金
株主などの地位に基づいて払われるため、資産の譲渡、貸付、役務提供いずれにも当たらず課税の対象外です。

非課税取引

消費税の性格に合わない取引きや社会政策的な配慮がされている取引きは、非課税にされています。

消費税の性格に合わない取引

    • 土地の譲渡、貸付け(一時的なものは課税)
    • 株や債券などの有価証券
    • 紙幣や硬貨、電子マネー、仮想通貨などの支払手段の譲渡
    • 利子、保証料、保険料
    • 郵便局やコンビニで行う郵便切手、印紙の譲渡
    • 商品券やプリペイドカードの譲渡
    • 住民票や戸籍抄本などの行政サービスの手数料
    • 外国為替

など

社会政策的な配慮がされている取引き

    • 社会保険が適用される医療
    • 介護保険サービスや社会福祉サービス
    • お産費用
    • 埋葬料や火葬料
    • 身体障害者用の用具の譲渡・レンタル
    • 小学校、中学校、高校などの授業料、入学金、入学試験料、施設設備費
    • 小学校、中学校、高校などの学校の教材用図書の譲渡
    • 居住用の住宅の貸付け(一時的なものは課税)

など

免税取引

輸出と輸出類似取引と呼ばれる国外向けのサービスなどは免税取引とされています。ただし、輸出証明書を保管するなどの要件を備えておく必要があります。

    • 商品や製品の輸出
    • 旅客や貨物の国際輸送、国際郵便
    • 外国貨物の積み込みや取り卸し、運送、保管といったのサービスの提供

など

消費税の納税義務と免税事業者

課税期間の基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者は、課税事業者となり納税義務者です。

課税期間とは法人の場合は事業年度を指します。個人事業主は1月始まりの暦年です。基準期間は法人の場合、事業年度の前々年度、個人事業主の暦年の前々年を指します。

この条件を満たさない場合でも、特別期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者は、課税事業者となります。特別期間とは法人の場合、前年度の開始から6か月間を指し、個人事業主の場合は前年の1月から6月の6か月間を指します。

免税事業者とは

免税事業者とは、基準期間、特別期間ともに課税売上高が1,000万円以下の事業者のことです。法人の場合は、その課税期間となる事業年度。個人事業主の場合、その年は納税の義務はありません。

例:法人で課税期間が2021年度(事業年度4月始まり)の場合
  • 2019年度の売上が1,000万円以上 → 課税事業者
  • 2019年度の売上が1,000万円未満かつ2020年4月から9月の売上が1,000万円 → 免税事業者

法人の場合、課税期間の終了日の翌日から2か月までが納付期限です。個人事業主の場合原則として3月31日です。

何らかの事情により確定申告の期日が延長される場合は、この限りではないようですので、毎年確認するとよいでしょう。

軽減税率制度とは

特定の商品や製品の消費税を、一般の商品の消費税より低くする制度です。2019年10月1日の消費税率10%への引き上げ時に、一部の商品や製品が8%に据え置かれました。

日々の生活の負担を軽減する目的があり、消費税の逆進性に配慮したものです。消費税はすべての人が均等に負担する性質があるため、所得の低い人にとっては、収入に対して消費税による支出が大きくなることから、このような配慮がなされました。

軽減税率の対象

お酒などのアルコール飲料と外食を除く飲料品や食料品、定期購読契約された週2回以上発行される新聞が、軽減税率の対象です。日用品や生活必需品、保険対象外の医薬品についても議論されましたが、対象外となりました。

【消費税8%のものの例】

ノンアルコールビールアルコール度数1度未満の飲料は飲料品に該当
みりん風味調味料
不可飲処置のされた料理酒
調味料として食料品に該当
出前やテイクアウト外食とみなされない
有料老人ホームの給食外食とみなされない

【消費税10%のものの例】

アルコール飲料アルコール度数1度以上は10%
みりん
不可飲処置のされていない料理酒
アルコール飲料と区分けが困難
イートイン外食に該当
ケータリング役務(サービス)の提供に該当
駅やコンビニで購入する
新聞
定期購読契約に基づかない

軽減税率が事業者に与える影響

軽減税率が始まったことにより事業者は、売上や仕入れに軽減税率の対象となる品目があれば、記帳時に税率ごとに区分して記載することが必要になりました。

これまでは請求額に一括して税率をかければ事足りましたが、軽減税率の導入により、2つの異なる税率を区分しておくことが必要になりました。その結果、軽減税率の品目を明記し、税率ごとの合計対価額を記載する方法が必須となったのです。これを「区分記載請求書等保存方式」と呼びます。なお、この方法もいわゆる経過措置です。

2023年10月1日からは、「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」が適用されました。

課税事業者は請求書にこれまでの「区分記載請求書等保存方式」方法から、「品目ごとの適用税率と税額」を記載する方法へと変更しなければなりません。

この「品目ごとの適用税率と税額」が記載された請求書のことをインボイス(適格請求書)と呼びます。仕入れ時にはこのインボイスを受取って保管し、売上の発生時に提出を求められた場合には、発行しなければなりません。

インボイス制度とは?消費税との関係性とは?

インボイスを発行する場合

インボイス制度とは、2023年10月1日から導入された仕入税額控除の方式です。正式名称は「適格請求書等保存方式」で、事業者は適格請求書の発行や保存が求められます。

課税事業者は、売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を差し引いて納税額を計算して消費税を納めています。このような売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を差し引く仕組みが、仕入税額控除です。

インボイス制度は、一定の項目が記載された適格請求書により消費税の仕入税額控除額を計算して、証拠書類を保管することが求められる消費税法の制度です。

課税事業者への影響

事業者には、消費税を納付している「課税事業者」と、消費税の納付義務がない「免税事業者」に分かれます。基準期間の課税売上高が1,000万円を超過すると課税事業者の対象となり、消費税の納付義務を負います。

現在すでに課税事業者である場合、登録申請を行えば適格請求書発行事業者として登録してもらうことが可能です。事務処理としては、請求書を変更したり、取引相手から発行された適格請求書を保存したりする必要があります。

免税事業者への影響

免税事業者はインボイス発行事業者として適格請求書が発行できません。

インボイスを発行しない場合

仕入税額控除が認められる適格請求書が発行できないということは、取引先にとってはマイナスになってしまいます。免税事業者との取引は、消費税負担が大きくなってしまうため、免税事業者との取引を避けて課税事業者と優先的に取引を行うことが考えられます。

インボイス制度開始を機に課税事業者として登録申請手続きを行えば、適格請求書の発行ができるため、取引先への影響はなくなります。しかし、課税事業者になることで、確定申告時には消費税の計算・申告・納税を行わなければなりません。また、今まで利益となっていた、消費税分の売上金額が減ってしまうことになります。

消費税は消費一般に広く・公平に課税する間接税

本記事では消費税の概要と2019年の増税時の制度変更とその影響、今後予定されている変更などについて紹介しました。

事業者の人は増税と軽減税率の導入に対応したばかりですが、2023年10月には適格請求書等保存方式(インボイス方式)が始まりました。消費税を正しく理解して、これからの変化に必要な準備も進めておきましょう。

よくある質問

消費税とは?

消費をする時にかかる間接税で、納税義務者は事業者です。詳しくはこちらをご覧ください。

軽減税率とは?

特定の商品の消費税を一般の商品の消費税より低くする制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

消費税と地方消費税の違いとは?

消費税は国税、地方消費税は地方税です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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