- 更新日 : 2026年1月8日
【チェックリスト・始末書テンプレート付き】逆パワハラとは?具体例や原因、対策をわかりやすく解説
逆パワハラとは、部下から上司に対して行われるハラスメント(逆ハラ)を指します。たとえば、上司の注意や指導に対して業務を拒否したり、「パワハラだ」と過度に反発したり、集団で指示を無視するような行為が該当します。
いわゆるモンスター社員による言動が原因で、上司が部下への指導をためらったり、職場の秩序が乱れたりするケースもあります。
今回は、逆パワハラの意味や該当しているかどうかを判断する3つの要件のほか、具体例、対象法などをわかりやすく解説します。
目次
逆パワハラ(逆ハラ)とは?
逆パワハラとは、部下から上司に対して行われるパワーハラスメントのことです。部下が上司に対して業務の範囲を超えた言動を行い、上司の就業環境を害する行為を意味します。
通常のパワーハラスメントは、上司から部下に対して優越的地位を背景に行われることが多いといえるでしょう。そのため逆パワーハラスメントは、行う者が通常のケースとは「逆」であるパワーハラスメントを指します。
逆パワハラをうけた上司の6割が休職・離職リスクというデータも
株式会社ジェイフィールの調査によると、課長職の約4割が逆パワハラを受けたと回答しました 。さらに逆パワハラを経験した課長のうち、約6割がその行為をきっかけに「離職や休職のきっかけになり得る」と回答しています。
具体的な行為としては、「あからさまに不機嫌な態度をとる」 、「上司の知識・経験を否定する」 、「小ばかにした感じで笑う」 が上位3つでした 。
逆パワハラの解決には、上司・部下双方が「お互いの強みや弱みといった特性を理解しようとすること」 や、「意見の背景にある考え方を理解しようとすること」 といった相互理解を最も重要視していることがわかりました。
また、「上司がマネジメントについて相談できる相手をつくる」 といった環境整備も上位に挙がっています。
参照:逆パワハラをうけた上司の6割が休職・離職リスクを感じる「逆パワハラ」の実態|J.Feel
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逆パワハラの3つの要件とは?
職場のパワーハラスメントは、法律(労働施策総合推進法)にもとづき、以下の3つの要素をすべて満たすものと定義されています。逆パワハラも、この基本的な定義は同じです。
- 優越的な関係を背景とした言動であること
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
- 労働者の就業環境が害されるものであること
1つずつ確認しましょう。
優越的な関係を背景とした言動であること
「優越的な関係を背景とした言動」とは、業務を遂行するにあたって、パワーハラスメントを受ける者が抵抗しにくい関係性を背景にしていることを指します。例えば、逆パワハラであれば部下のほうが上司よりも豊富な知識や経験を保有しており、部下の協力を得なければ業務をスムーズに行えない状況などが該当します。
業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」とされるのは、業務を行う上で明らかに必要のない言動や、業務の目的から逸脱した言動、業務を行うための手段としてふさわしくない言動などです。
労働者の就業環境が害されるものであること
「労働者の職場環境が害される」とは、その言動により、従業員が身体的または精神的に苦痛を感じ、職場環境が不快なものになっていることを指します。本来の能力を十分に発揮できないなど、能力の発揮に影響を及ぼすほどの言動が該当します。
参考:職場におけるハラスメントの防止のために|厚生労働省
参考:事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)|厚生労働省
逆パワハラにあたる具体的な事例は?
逆パワハラの具体例として、上司の指導への過剰な反発、集団での無視、不当な要求などがあげられます。
- 上司の指導への過剰な反発
- 集団での嫌がらせや孤立化
- 業務の妨害や不当な要求
- 暴言や威嚇的な言動
それぞれの内容をみていきましょう。
「パワハラだ」という言いがかりと指導の拒否
業務上必要な指導や注意(例:遅刻の注意、業務ミスの指摘)に対し、部下が「それはパワハラだ」「訴えてやる」などと過剰に反発し、正当な業務指示に従わないケースです。 上司が萎縮してしまい、必要な指導ができなくなる事態につながります。中には、意図的に業務を怠慢する(仕事をしない)態度をとる部下もいます。
集団での嫌がらせや孤立化
複数の部下が結託し、特定の上司を職場で孤立させる行為です。 具体的には、上司の指示を集団で意図的に無視する、上司が参加する会議で一切発言しない、挨拶をしない、社内イベントに意図的に参加しない・させないといった嫌がらせが該当します。
業務の妨害や不当な要求
上司の業務を円滑に進めさせないよう、意図的に協力を拒否したり、必要な情報を共有しなかったりする行為です。 また、部下自身の問題行動(例:協調性の欠如、度重なるミス)を棚に上げ、「あの無能な上司を異動させろ」「解雇しろ」などと、会社に対して不当な要求を突きつけるケースもあります。
暴言や威嚇的な言動
上司に対して「バカ」「使えない」などの暴言を吐く、あるいは舌打ちや睨みつけるといった威嚇的な態度をとる行為です。 場合によっては、物を投げつけたり、机を強く叩いたりするなど、身体的な攻撃に及ぶケースもあります。
逆パワハラが発生する主な原因や背景は?
逆パワハラが発生する原因としては、主に「部下側の要因」と「上司・会社側の要因」の2つに分けられます。
- 部下によるハラスメントへの認識不足
- 部下の経験値や能力の逆転
- 上司のマネジメント不足
- 逆パワハラ被害を訴えにくい雰囲気
1つずつ確認していきましょう。
部下側の要因
部下自身が、自分の言動が逆パワハラにあたるという自覚を持っていないケースがあります。正当な指導や注意に対し、過敏に「人格否定だ」と受け止める傾向も背景の一つです。
また、部下が特定の業務知識や経験で上司を上回っている場合、その優位性を背景に上司を軽んじることがあります。ITスキルなど専門知識のほか、部下が集団で行動することで上司に対して優位に立つケースも含まれます。
上司・会社側の要因
上司自身がマネジメントや指導に自信がない場合、部下からの暴言や理不尽な要求を受け入れてしまうことがあります。上司が部下やチームの話を聞く時間を十分に取れていない 、あるいは部下の意見や提案を適切に判断できていない といった状況も要因として挙げられています。
また、上司が「パワハラ加害者」として訴えられることを過度に恐れるあまり、部下に対して毅然とした態度で注意できなくなるケースも発生しています。この上司側の萎縮が、結果として部下の要求や言動をエスカレートさせることにもつながります。
パワハラかどうかを判断するポイントは?
業務上の正当な指導や注意は、パワハラにはあたりません。 部下が「不快」と感じたとしても、それが直ちにハラスメントと認定されるわけではない点に注意しましょう。
判断のポイントは業務上の必要性があるか
パワハラかどうかの判断ポイントは、その言動に「業務上の必要性」があり、その方法が「相当」であったかどうかです。 例えば、部下が遅刻を繰り返す場合に注意する、業務上のミスに対して再発防止を指示する、期限の迫った業務の遂行を命じる、といった行為は、上司の正当な業務指導の範囲内です。
上司からの正当な指導に対し、部下側が嫌がらせ・暴言・業務妨害などの言動をすることが逆パワハラになるわけです。
逆パワハラにあたらないケース
部下が上司の指導内容に納得できず、感情的にならずに「その指導の根拠を教えてください」「このやり方では難しいと思います」と冷静に反論・議論を求めること自体は、逆パワハラではありません。
逆パワハラと判断されるのは、あくまで部下側の「優越的な関係を背景」にして、「業務の範囲を超えた」人格否定や業務妨害、集団での無視といった攻撃的な言動があった場合です。
企業が取るべき逆パワハラの予防策は?
逆パワハラを防ぐためには、全従業員への周知やルールの明確化、相談体制の整備などの対策が有効です。
- ハラスメント禁止の周知徹底
- マネジメント研修の実施
- 就業規則に盛り込む
- 相談窓口の設置と整備
各対策について解説します。
ハラスメント禁止の周知徹底
新人研修などの人材教育のプロセスに、逆パワハラを含めたハラスメントの禁止を周知徹底させる内容を組み込むことが大切です。その際、被害者や加害者、目撃者などの具体的な役割を設定したロールプレイングを実施するなど、実践的な教育を行うと効果が見込めるでしょう。
マネジメント研修の実施
マネジメント研修によって、管理職のマネジメント力の向上を図ることも効果的です。上司が部下をマネジメントしきれていないと、逆パワハラが生まれやすくなるためです。管理職のマネジメント力の向上は、逆パワハラの防止につながることはもちろん、生産性の向上にも寄与すると考えられます。
就業規則に盛り込む
就業規則に、逆パワハラを含むパワハラを禁止する項目や、行った者への懲戒規定を盛り込むことも重要です。これにより、逆パワハラを含むパワハラを行った者に対して厳正に処分を行うという企業の姿勢を、従業員に対して周知することが可能になります。
相談窓口の設置と整備
相談窓口の設置と整備を行うことも、逆パワハラを含めたパワハラの防止には不可欠です。気軽に相談できる窓口の存在を周知することで、パワハラや逆パワハラに悩む従業員や上司に安心感を与えられます。また、社外に対してもコンプライアンス意識の高さをアピールできます。
逆パワハラが発生した場合の対処法は?
万が一、逆パワハラが発生した場合は、企業として毅然とした態度で、迅速な事実確認と対応を行いましょう。逆パワハラが発生した場合の、企業としての一般的な対処法の流れは以下のとおりです。
- 速やかに事実関係を確認する
- 逆パワハラの有無を判断する
- 調査報告書を作成する
- 被害者である上司への配慮措置を取る
- 加害者である部下に対する処分などの検討・措置を行う
- 再発防止措置を実施する
STEP1:速やかに事実関係を確認する
まずは被害者である上司から、いつ、どこで、誰が、どのような言動をしたかを具体的にヒアリングし、記録に残します。 その後、加害者とされる部下からも事情を聞きます。双方の主張が食い違う場合は、周囲の従業員など第三者からも客観的な事実を確認しましょう。可能な限り、メールの文面、チャットの履歴、録音データ、上司が記録していた業務日誌やメモなども、客観的な証拠として確保します。
STEP2:逆パワハラの有無を判断する
収集した事実関係や証拠にもとづき、当該言動が逆パワハラの3要件(優越的な関係、業務の範囲を超える、就業環境を害する)に該当するかどうかを客観的に判断します。上司側が「逆パワハラだ」と主張していても、部下側の言動がが業務上正当な範囲内であれば、ハラスメントにあたらないと冷静に判断することも含まれます。
STEP3:調査報告書を作成する
ヒアリング内容や収集した証拠、逆パワハラの有無の判断結果を調査報告書としてとりまとめます。これにより、その後の措置や処分を検討する際の正式な資料とします。
STEP4:被害者である上司への配慮措置を取る
被害を受けた上司のメンタルヘルスケアも重要です。精神的な苦痛が大きい場合は、産業医との面談を設定するなどの配慮が必要です。 また、当該上司が加害者の部下を継続してマネジメントすることが困難な場合は、両者を遠ざけるための配置転換も検討します。
STEP5:加害者である部下に対する処分などの検討・措置を行う
事実確認の結果、逆パワハラ行為が認められた場合、企業は加害者である部下に対して厳しく対処します。 まずは行為をやめるよう明確に指導・注意を行います。指導を繰り返しても改善が見られない、あるいは行為が悪質である場合は、就業規則にもとづき、書面による改善命令や懲戒処分(けん責、減給、出勤停止など)を検討・実施します。
STEP6:再発防止措置を実施する
事案の対応が完了したら、改めて全社に向けてハラスメント禁止のメッセージを発信する、注意喚起を行う、あるいは研修を再度実施するなど、同様の問題が二度と起きないよう再発防止に取り組みます。
企業が逆パワハラに対して毅然とした態度で対応することで、問題の大きさや深刻さの理解を促しましょう。
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逆パワハラの周知徹底を行い防止策を講じよう
逆パワハラとは、部下から上司に対して行われるパワーハラスメントのことです。パワーハラスメントへの理解が進みつつある一方で、逆パワハラに関する認知度はそこまで高くないのが現状といえます。
企業として、逆パワハラの周知徹底を行うなどの防止策を講じることが大切です。また、逆パワハラが起きた場合は、毅然とした姿勢で対処する必要があります。逆パワハラを防止し、働きやすい職場環境作りに努めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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